オフスタイルミーティングに参加していた通称”アゲファード”。そのカスタム内容とストーリーを取材しました。
この記事の目次
愛車&オーナー情報
- 車種:トヨタ アルファード ハイブリッド AYH30W
- 年式:2015年(平成27年)
- 走行距離:70,000km
- ボディカラー:070 ホワイトパールクリスタルシャイン
- オーナー:꧁Tom꧂
- 所有年数:4年6ヶ月
リフトアップキットの元祖
今回ご紹介するアルファード、4WD系が好きな方もそうでない方も、「見たことがある!」という方は多いのではないだろうか。
それもそのはず。実はこのアルファード、2023年のオートサロンに展示されていた車両そのものなのだ。会場ではデルタフォース公認デモカー”DELTA FORCE ALPHARD”として展示された。
ごく一般のアルファードオーナーだった꧁Tom꧂さん。DIYのカスタムから始まり、オートサロンの会場で展示されるデモカーに選ばれるまでのストーリーをまずはご紹介していきたい。
元々は”下げ”のカスタムをしていましたが、”アルファード自体を上げたら面白いんじゃないか”という単純な発想からスタートしたんです。上げる前に1度、やったことのない”オールドアメリカンスタイル”にしたんですが、半年せずに飽きて上げへと移行しました。
話を伺っていくと、先日ご紹介したakky-52さんのヴェルファイアを雑誌で見て、「アゲバン越されるぞ、流行りに乗らないと!」と感じ着手。今でこそakky-52さんのヴェルファイアもすごい完成度なのだが、当時はまだ今ほどガチガチに”上げバン”を作っている人がいなかったそうだ。
注目されるにはどうすれば良いかな、と考えたとき、「オフ系ってフロントにガードを付けているな」というイメージがありました。そこでアルファードには何が合うかなと探してハイエース用のガードを入手して、チッピングスプレーで塗装して四駆感を出しました。
それに加えて純正でも履けるようなサイズのタイヤとホイールを入れて、という軽い感じからスタートしました。
そんな仕様で参加した最初のオフ会で、当時はまだ奇抜だった”オフ系アルファード”を雑誌社の担当者は見過ごさなかった。
自分の中では現行型でやらないと意味がないと思っていて。そのとき雑誌社の方にも「現行でここまでやる人はそうそういないよ」というコメントをもらって、自分の中でさらに火がつきました。
今でこそアルファードやヴェルファイアなど、ミニバンに対応したボディリフトキットが存在しているが、もちろん当時は世間にそんなものはなかった。
そこでデリカで有名な”HEART LAND”へ車を持ち込んだ。
꧁Tom꧂さんが持ち込む以前にも数名アルファードで上げたいという人がいたそうだが、ショップ側は全て話を断っていたそうだ。
ところが、꧁Tom꧂さんの車を目にして「これだったら上げてみよう」とショップの重い腰を上げたのだ。そこから試行錯誤を重ねてアルファードのボディリフトキットを製作。初めてアルファードのボディキットがこの世に誕生したのである。
アルファードのボディキットができたと同時に、「君も働いてみないか?」とショップにスカウトされたんです。そこからさまざまなミニバンのボディリフトの開発を行い、その後キット化して世間にも広がっていきました。
そして2023オートサロンへの出展、雑誌にも数冊、ネットニュースなどにも掲載され、ちょっとしたバズりを経験させてもらいました。
さらにはオートサロンに出展したことをきっかけに、エアロメーカーなどからも”デザインを考えてみないか”と声をかけられたりと、話はどんどん広がっていったそうだ。
現在までにアルファード・ヴェルファイアはもちろん、エスティマやプリウス、プロボックスといったラインナップのリフトアップキットを完成させ、一般販売に至った。これらの車種で今”アゲ”を楽しまれているみなさんの車には、꧁Tom꧂さんが開発に携わったキットが組まれているかもしれない。
まるで車のアニメか何かのストーリーを聞いているような気分になったが、全て実話である。まさに”アゲバン”流行を牽引するきっかけとなった車両といっても過言ではない。
1/1プラモデル感覚
꧁Tom꧂さんのアルファードは、そのほとんどがDIY仕上げだというからさらに驚かされる。本人は「素人DIYなので...」と謙遜されていたが、プロショップにも負けない完成度だ。
前後のバンパーカットはもちろんDIYによるもの。フロントマスクのポイントでもあるフロントガードは、ご自身でハイエース用ブルバーに角材を溶接して作ったというオリジナル品。そこにハイラックス用のTRD製アンダーガードを追加し、さらにはメッシュ加工したグリルにタコマ風のトヨタロゴを装着して、USトラックをイメージして作り上げた。
バックミラーでこのアルファードを見ても、絶対にアルファードとは気が付けないだろう。
背面タイヤも、四駆感を出すにはどうすれば・・・と考えたとき、タイヤつけよう!という単純な発想です。発想はあってもやる人はなかなかいないと思うんですが、”やっぱりやらなきゃ”っていう気持ちでどんどん続けていたらこんな感じになりました。
フロントに続いて一度見たら忘れることのないインパクトのあるリア周り。ネクサスジャパンのリアヒッチタイヤステーを用いて四駆車両さながらのインパクトを追加している。
今となっては背面タイヤがないとフロントの迫力にリアが負けてしまうそうで、全体のバランスを保つ重要な役割も担っている。
また、ラダーはジムニー用を流用し、ご自身でステーを変更して装着しているそうだ。
さて、気になるリフトアップの詳細は、ボディリフトで6インチ、スプリングで1インチ、タイヤ外径で1インチ、トータルすると約8インチアップという脅威の上げ幅だ。これを市販キット化して一般に広めたのだから、本当にすごい。
ただし꧁Tom꧂さんのアルファードのボディリフトはあくまでプロトタイプ。細かい部分は既製品のものと異なるそうなので、実車を参考にする際は注意してほしい。例えば、リアは燃料ホースが当たる部分があったので、ホースの取付位置を若干移動して干渉を防いだりしているそうだが、既製品はポン付けでクリアしていたりする。
ホイールは大人気のDELTA FORCE OVAL。サイズは17×8.0J+35だが、オーバーフェンダーに合わせて+40mmのワイドトレッドスペーサーでセッティングされている。
タイヤはTOYO TIRES OPEN COUNTRY R/Tでサイズが265/65R17。ハイラックスサーフやランドクルーザープラドなどが純正で履いているようなサイズといえばその大きさが伝わるだろう。
見かけによらず
実はこう見えてハイブリッドなんですよ。矛盾した外装ですが、そのギャップもいいかなと。この見た目で燃費も街中でリッター10以上ですし、下手なガソリン車より走るうえ、車内はアルファードなので快適そのものです。
見た目は本格的な四駆車両そのものだが、せっかくのアルファードの快適性を失わないよう、車内はあえてほとんど手を加えていないとか。この見た目で街中でリッター10キロ以上走る燃費、そして快適な車内とくれば、家族からの苦情もなさそうだ。
ちなみに取材中ずっと気になっていた隣のミニ・アルファード。実は日本国内では売っていないレアなアイテムだとか。こうしたオフ会の場では子どもたちに大人気だそうだ。
次はこのミニアルファードを四駆っぽく改造したらウケるのではないかと計画しているそう。1/1アルファードと並んでリフトアップされた姿を見られるのが待ち遠しい。
スペック表
ホイール
- DELTA FORCE OVAL
- 17×8.0J+35(+40mmワイドトレッドスペーサー)
タイヤ
- TOYO TIRES OPEN COUNTRY R/T
- 265/65R17
外装
- ボンネット:クールレーシング
- Fバンパー:純正カット
- Fバンパーその他:ハイエース用ブルバーに角材を溶接してオリジナルブルバー化+ハイラックス用TRDアンダーガード
- グリル:ROWENアルファード用グリルをDIY加工+ネクサスジャパン製タコマ風トヨタロゴ
- フェンダー:汎用品30mmオーバーフェンダー
- Rバンパー:純正カット
- Rバンパーガード:ハイエース用
- Rその他:ネクサスジャパンリアヒッチタイヤステー
- Rラダー:ジムニー用
- CART製ルーフキャリアバスケット
- 各部LEDライトバー
- ライノラック・サイドウォーニング
足回り
- ESPELIR スーパーアップサス(35〜40mmアップ)
- ボディリフトにより6インチのリフトアップ化(エンジン、ミッションやメンバーを下げる事により車のポテンシャルを崩す事なくリフトアップ化)
補強
- ボディの歪みなどの対策として各部フロントやリアにタワーバーを取付ボディを強化
ギャラリー
(photo:CARTUNE運営 Hiroki)
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