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任意保険はなぜ大事なのか?

2021年01月04日 (更新:2022年07月15日)

任意保険はなぜ大事なのか?

自動車を所有している方であれば必ず入っているであろう自動車保険が任意保険です。車を購入したら任意保険に入る、というふうに考えるのが一般的ですが、任意保険が何故大事なのかを知ることで安全運転の意識も高まることと思います。そこで今回は、任意保険の重要性についていくつか例を出しながら説明します。

任意保険とは?

車の所有者が自主的に加入する自動車保険

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任意保険とは車を所有する人が自主的に加入する自動車保険です。単純に自動車保険とも呼ばれています。任意保険の目的は他車が絡む交通事故時や盗難に単独事故などの人・モノが被害・損害を受けた場合にその分の補償を保険料を用いて行うことです。

任意保険では相手への補償(死傷・車やモノ)/自分への補償(死傷・車)を行うようになっています。さらに、相手がある事故では、保険代理店の担当者が相手との交渉を代行してくれるようになっています。

保険料を決める要素

1.年齢

任意保険には年齢条件と言うものがあります。全年齢補償/21歳以上補償/26歳以上補償/30歳以上補償/35歳以上補償という5種類です。全年齢補償にかかる保険料が最も高く、35歳以上補償にかかる保険料が最も安くなっています。

これは、若い人ほど運転技術が乏しい/無謀な運転をするという考えが基にあり、反対にある程度年を重ねた運転手であれば事故を起こす可能性が低いという考えが基本となっているようです。

2.型式別料率クラス

任意保険では、車の型式それぞれに対して料率クラスというものが定められています。対人賠償・対物賠償・傷害・車両という4つの補償内容に分けられて、それぞれの補償内容を1~9クラスの間で評価するという仕組みです。

クラスの決定方法ですが、世の中を走っている(走っていた)その型式の車の事故発生状況をそのクラス決定の参考にしています。料率クラスは毎年その見直しが行われていて、料率クラスが高くなる可能性もあるのです。

高くなった場合、自身が無事故で過ごしていたとしても保険料が上がる可能性もあります。その逆もしかりで、料率クラスが低くなって保険料が安くなる可能性もあるのです。様々な年式の車を比較してみると、現在進行形で走っている車の数が多い車ほど料率クラスが高くなっています。

反対に20〜30年前の車になると、大事に乗るオーナーが多い傾向があるようで、料率クラスが低く、保険料が比較的安くなっています。

3.等級制度

等級制度とは任意保険加入者を1等級から20等級の間で評価する制度のことです。具体的にはその加入者に対して行われる保険料金割引率のことになります。それぞれの等級には割引率が決められていて、その割引率が高いと最終的に支払う保険料が安くなるのです。

例えば、35歳で8等級事故無となっている方と、同じく35歳で20等級事故無の方が同じ車に乗っていて同じ補償内容の保険を利用している場合、元々の保険料は同じでも20等級のほうが割引率が高いため、支払う保険料が8等級の人よりも安くなります。

自賠責との違い

任意保険と比較されるのが自賠責保険(正式名称は自動車損害賠償責任保険)です。どちらも自動車保険であることに変わりはありませんが、内容的には異なるものとなっています。ここでは任意保険と自賠責保険の違いを説明します。

自賠責保険は強制的に加入する保険

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自賠責保険と任意保険の違いの1つが加入義務の有無です。任意保険は運転手が自主的に保険会社に依頼して加入する自動車保険ですが、自賠責保険は車を所有する場合に必ず加入しなければならない保険になります。

自賠責保険は交通事故の被害者を救済することを目的としている自動車保険です。ゆえに、自動車を公道で運転する場合には必ず加入している必要があります。これは自動車損害賠償保障法という法律で定められているため、例外はありません。

自賠責保険に加入せずに公道を走ると罰せられる

自賠責保険に加入していない車で公道を走ると罰せられます。処罰内容は、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」及び道路交通法による違反点数6点が追加されることとなりますので、即免許停止処分になるというものです。

なお、任意保険は法律で加入することを定められているものではありませんから、自賠責保険未加入のまま行動を運転した時のような処罰を受けることはありません。

補償範囲の違い

任意保険と自賠責保険では補償範囲も違います。自賠責保険の保険金が支払われるケースは、交通事故によって他人の身体に損害がもたらされた場合のみです。障害に対して支払い上限額120万円、死亡に対して支払い上限額3,000万円が支払われるようになっています。

後遺障害に対しては、後遺障害の程度毎に階級が決められ、その階級によって75万円から4,000万円の保険金が支払われる仕組みです。このとおり、自賠責保険は対人責任補償のみに保険金が支払われるようになっていて、それ以外の補償は何もしていません。

これに対して、任意保険は対人だけでなく、対物や搭乗者及び運転手自身及び車両を補償する保険を掛けることができるようになっています。任意保険の主な補償をまとめると以下の図のようになっています。

補償の名称補償対象補償内容
対人賠償保険相手方損害賠償義務
対物賠償保険相手方損害賠償義務
人身傷害保険自分・搭乗者自身や搭乗者の怪我
搭乗者傷害保険自分・搭乗者身体損害
無保険車傷害特約自分・搭乗者死亡・後遺障害
自損事故傷害特約自分・搭乗者自損・単独事故による死傷
車両保険自分の車事故・盗難

上記の表をご覧いただくとわかるように、自賠責保険よりも保険の補償項目が非常に多いです。相手方の人や車及びモノ、自分や搭乗者の怪我や身体損害および車の修理費補償まで対応していて、補償限度額は無制限にすることが可能です(対人や対物で無制限にするユーザーが多い)。

他車を巻き込む重大事故が発生することを想定した任意保険となっていること、及び自賠責保険の補償限度額がいかに狭くて低いかということがよくわかります。

任意保険がないとどうなる?

任意保険に加入していることで、多額の損害賠償を支払うことになったとしても支払うことでき、同乗者や自分の怪我の治療費を補償することができます。ここでは、任意保険に加入していない場合にはどうなるのかを説明します。

事故を起こした場合

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事故に遭ってしまった場合、その事故に対する自身の過失割合によって事情が変わってきます。例えば、自分の運転する車と相手の運転する車が衝突して交通事故となった場合を考えてみましょう。事故の過失割合が「自分:相手=4:6」になったとします。

相手の車の修理費が40万円とすると、自分はその修理費用を4割負担して相手は6割を負担するということです。計算すると、自分は16万円の修理費負担、相手は24万円の修理費負担をしなければならないということになります。任意保険に入っていないため、この16万円の費用を自分は実費で支払わなければならないということです。

それだけでなく、相手方の運転手・搭乗者が事故によって怪我をした場合や後遺障害によって逸失利益が発生した場合にはそれらの賠償責任を負うこととなります。相手の怪我の程度が弱ければ少額で済むこともありますが、億単位の賠償責任となる可能性もあるのです。

任意保険未加入者は、それらの金額をもすべて実費で支払う責任を負うことになります。任意保険に加入することなく行動を車で走ることは、百害あって一利なしということです。

過失割合が自分に無い場合

過失割合が自分に全く無い場合に関して説明すると、相手の任意保険加入の有無やその補償内容によっては大きな損害を受けることとなります。対人・対物無制限補償の任意保険に相手が加入していた場合、事故によって壊れた自身の車の修理費用や自身及び搭乗者の怪我の治療費を相手の任意保険で補償することが可能です。

しかし補償はそれのみで、自分では任意保険に加入していないため人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険といった補償を受けることはできません。

相手が任意保険に加入していなかった場合

最も深刻な問題となるのは、相手方が任意保険に加入しておらず支払い能力も無いというような場合です。その場合、過失割合でこちらに責任が全くない場合でも、自賠責保険の補償限度額分しか補償されないことになります。

自身で任意保険に加入して無保険車障害保険に加入するなどしておけば保険金を受けることができますが、任意保険に加入していなければそれを受け取ることもできません。ましてや車の修理費用を受け取ることも難しいでしょう。

つまり、事故の相手が任意保険未加入だった場合、こちら側の損害は補償されず、泣き寝入りのパターンが多いのです。これは社会的な問題となっています。以上のことからわかるとおり、任意保険未加入で交通事故に遭って自身に過失が無いとしても、発生する損害・負担は大きいのです。

任意保険はどこで加入できる?

ここまでで任意保険と自賠責保険の基本情報及びそれぞれの違いを説明しましたが、任意保険に加入しておくことは義務ではないけれど必須であるということが分かったことと思います。ここでは任意保険に加入するための方法を見ていきましょう。

代理店

任意保険に加入する方法の1つが保険代理店を通じた加入方法です。保険代理店とは保険会社とユーザーを仲介する業者で、対面式で任意保険の見積もりから契約まで進めていくのが契約に至るまでの特徴です。

保険代理店を通じて任意保険に加入する大きなメリットは、任意保険に詳しくなくても自分に適した任意保険を見つけやすいことにあります。担当者は任意保険のについて詳しい方が多いので、ユーザーの方が任意保険についての知識が多くなくても、アドバイスを聞きながら自分に最も適した任意保険を見つけることができるのです。

説明を受けながら任意保険を選ぶことでユーザー自身も仕組みを学ぶことができ、疑問点があれば商談時に質問することもできます。それに加えて、ユーザーに対して担当者が決まっている点もメリットです。

常に同じ担当者に対応してもらうことができるので、安心できます。事故に遭ってしまった場合、近場にいれば現場へ足を運んでもらうことも可能でしょう。代理店を通じて任意保険に加入することのデメリットは保険料が高いことです。

保険代理店は保険会社に代わってユーザー(顧客)を獲得することで保険会社からそのマージンを得ています。保険代理店の店舗費用や社員の人件費などの経費が経営にあたって発生している分を考えたマージンとなっていますので、任意保険料は下記で紹介するネット保険よりも高いというのが定説です。

ネット保険

ネット保険とは、インターネットを通じて任意保険を申し込むことまたはその手段のことです。ネット保険という呼び方もありますが、通信販売型(ダイレクト系)自動車保険とも呼ばれています。

具体的な申し込みの流れとしては、まず自動車保険の見積もりを各保険会社に依頼するところから始まります。見積もり後、必要に応じて質問を保険会社にしながら、必要書類一式を自宅に郵送してもらい、それらを記入すると同時にユーザー自身が揃えるべき書類(車検証など)を合わせて保険会社へ発送し、保険料の支払いを終えて契約完了という流れです。

書類への記入をすることなくインターネットで全て完結する場合もあります。ネット保険の最大のメリットは保険料に保険代理店のマージン(手数料)分が上乗せされていないため保険料が比較的安くなることです。

任意保険は決して安くありませんから、保険の補償を充実させつつ保険料を安く抑えたい場合には非常に合理的なものとなっています。ネット保険のデメリットとしては、保険の内容についてわからないことを自分で逐一調べる必要があること、全ての手続きを自身で行うため手間がある程度かかること、決まった担当者がいないことなどです。

最後に述べた決まった担当者がいないことについては、保険会社のデータベースに必要な情報はすべて記載されているため、サポート力が代理店より劣るというわけではありません。

まとめ

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今回は車の任意保険がどのようなものでどういう仕組みで成り立っているのかを、自賠責保険との違いや任意保険未加入だとどうなるのか、そして任意保険の加入方法などと合わせて説明しました。

自賠責保険と違って加入義務があるわけではありませんが、任意保険未加入で車で公道を走行中に交通事故に遭った場合に発生しうるリスクを考慮すると、任意保険には加入しておくべきです。

もしこの記事を読んでいる方で、車ないしはバイクを任意保険に加入することなく運転している方がいらっしゃるのであれば、すぐに任意保険に加入しましょう。任意保険の加入方法は保険代理店を経由する方法だけでなく、ネット保険を利用する方法もあります。それぞれメリット・デメリットがありますので各社の情報を検討して自分に合った保険へ加入しましょう!

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