シリコン洗車はアリなのか?手放しでオススメできない理由 | CARTUNEマガジン
シリコン洗車はアリなのか?手放しでオススメできない理由

2020年12月06日 (更新:2021年10月22日)

シリコン洗車はアリなのか?手放しでオススメできない理由

最近話題のシリコン洗車。シリコンオイルなどをボディへ塗布してツヤを出す洗車方法ですが、シリコン洗車を行なっても問題はないのでしょうか?

シリコン洗車とは

ブラックRさんのワゴンRMH21S洗車の画像
ブラックRさんのワゴンRMH21S洗車の画像

シリコン洗車とは、シリコンスプレーやシリコンオイルなどを使用してシリコンをワックスのように塗布する洗車方法。

お手軽かつ安価に美しいツヤを手に入れられるとあって、最近話題になっています。

樹脂への塗布はパーツの保護につながる

シリコンをプラスチックやゴムパーツに塗布すると、わずかながら硬化防止などの効果が得られるほか、色ツヤが復活します。

シリコンオイルでの樹脂パーツの保護方法やメリットは、こちらの記事でまとめています。

シリコンで車の樹脂を保護、DIYでプラやゴムの劣化を防ぐ方法

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シリコンオイルをボディに塗布するのはアリなのか

では、シリコンオイルをボディ(塗装面)に塗布するのはアリなのでしょうか?

これに関しては、あまりいいことがないというのが結論です。ボディに塗布した場合、美しいツヤや撥水効果を得られることは確かですが、いくつも微妙な点があります。

ボディが短時間で汚れやすい

シリコンオイルは油分のため、薄く塗布してもボディ上に油膜が存在することになります。油膜には粘着力があるため、空気中のホコリを吸着しやすくなります。

塗布した直後のボディはツヤが出て綺麗ですが、ホコリを吸着しやすく短時間で汚れやすいボディになるといえます。

毎度確実に洗い流す必要がある

ボディ上のシリコンオイルの油膜には、空気中のゴミや汚れが付着するわけですが、シリコンの油膜はゴミや汚れに浸透し、それらを油膜内側へと取り込んでしまいます。

油汚れの場合はさらに厄介で、シリコンの油膜に付着すると馴染んで内側へと広がっていきます。

(これは、油の上にティッシュを浮かべると油がティッシュへ染み込んでいくイメージ。汚れの場合も同じく、汚れた物を油へ落とすと汚れが染み出し油全体へ広がっていく。)

シリコンを塗布してしばらく走行すると油膜自体が汚れてしまうため、洗車時にはシャンプーを使用して綺麗サッパリ洗い落とす必要があります。

シリコンの油膜はある程度水で流すことができますが、中途半端な洗い方をすると油膜内に溜まっているゴミで洗車傷をつけたり、汚れを引き伸ばしてしまうことになりかねません。

塗っている最中に傷をつけてしまう可能性が高い

シリコンを塗装面に塗布するとムラが発生するため、シリコンを塗布した後は一度乾拭きして余った油分を拭き取る必要があります。

しかし、シリコンを塗布してから乾拭きまでの間に埃や砂塵が付着してしまう可能性が高く、そのまま乾拭きを行うとボディに傷を入れてしまうことになります。

万が一砂塵などが付着した場合、一度シリコンを洗い流して再度塗布し直す必要があるため、あまり効率の良い洗車方法とは言えません。

ツヤや撥水効果はあまり長続きしない

シリコンは油分のため、塗布するとツヤや撥水といった効果が見込めます。しかし、ゴミを吸着しやすいためツヤは持続しにくく、撥水効果もすぐに薄れてしまいます。

ボディ全体に注意深く塗布して磨き上げたとしても、持続力がないため労力に見合わない結果となりがちです。

摩擦などへの耐性はない

シリコンの油膜は非常に柔らかいため、耐摩擦性や耐衝撃性はありません。

摩擦や飛び石などによる細かな傷を防ぎたい場合は、シリコンではなくしっかりと硬化するコーティングを施工する必要があります。

傷を埋めたり消す効果はない

シリコンオイルには研磨剤が一切入っていないため、コンパウンド入りのワックスのように傷が消えることはありません。

また、レジンなども配合されていないため傷を埋める効果もありません。ただし、シリコンが傷に入り込むことで平滑化され、傷がなくなったように感じられる場合があります。

ステッカーが剥がれる可能性がある

ボディに貼ってあるステッカーのふちにシリコーンが付着すると、シリコーンが接着面に浸透してステッカーやラッピングシートが剥がれてくる可能性があります。

万が一ナンバープレートに貼り付けられている検査標章が剥がれると公道走行ができなくなるため注意が必要です。

板金塗装を断られる可能性がある

油分が塗布されているボディを板金塗装しようとした場合、断られる可能性があります。

何度もシリコンオイルを塗布していると、ボディの微細な傷に油分が浸透していくため洗い落とすのが難しくなっていきます。油分が染み込んだボディはパテや塗料がのりにくく、作業が困難になってしまうようです。

コーティングを断られる可能性がある

また、コーティングも断られる場合があります。

コーティングはボディー表面に硬い膜を形成するものですが、ボディとコーティング剤の間に油膜があってはコーティングが安定しません。もちろん施工前にはボディの下地処理を行いますが、下地の段階で油膜が取りきれないなどの問題が発生する可能性は高くなります。

ボディ保護を目的とするなら専用コーティングを

いなけんさんの360モデナの画像
いなけんさんの360モデナの画像

シリコン塗布による効果は一時的なツヤや撥水程度に留まり、ボディの傷を防ぐこともできません。

ボディを保護し長期的に美しく保ちたい場合は、クルマ専用のコーティングを施工するのがよいでしょう。

硬化するコーティングとシリコン油膜塗布の最大の違い

施工後に硬化するコーティングとシリコンオイルの塗布との最大の違いは、ボディ上に強度のある膜を形成するかどうかという点にあります。

硬化するコーティングの場合

専用のコーティングはボディ表面に硬い膜を形成するため、少々の摩擦による傷や走行中に付着する汚れはコーティングの表面で留まります。洗車時にも地のボディは常にコーティングで保護され表面に出てこないため、美しいボディが保たれます。

さらに、コーティングを何度も施工することでコーティング膜が厚くなり、保護性が高まっていきます。

シリコン油膜の場合

シリコン油膜の場合、摩擦による傷は防げないうえ、走行中に付着する汚れは油膜内部へと取り込まれます。洗車時は汚れを含んだ油膜を全て落とさなければならないため、そのたびに地のボディが現れます。

また、シリコンは毎度地のボディへ塗布することになるため、傷を入れるリスクは拭いきれません。

このように、長期的に見ると、自動車専用のコーティングを施したほうがボディの保護につながるといえます。

洗車を頻繁に行うという点ではプラス

kensoさんのハリアーZSU60Wの画像
kensoさんのハリアーZSU60Wの画像

車を綺麗に保つためには、適切な頻度のメンテナンスがなによりも大切。特に洗車は、車の外装コンディションを把握するチャンスでもあります。

シリコン洗車は、何もしない状態と比較すると遥かに綺麗に保つことができますが自己責任となります。メリットデメリットをしっかりと把握して行ってください。

また、さらなる輝きや保護性能を求める場合はコーティングを検討しましょう。

シリコンでのDIYカーメンテナンスはこちら

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