いすゞが作った近未来SUV!?『ビークロス』の特集です!

2019年07月10日 (更新:2019年07月11日)

いすゞが作った近未来SUV!?『ビークロス』の特集です!

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1993年、セダンやクーペなど乗用車の生産より撤退したいすゞですが、クロスオーバーSUVの先駆けともいえるモデルを販売していたことをご存知でしょうか。今回は、近未来的なスタイリングで注目を集め、現在ではかなりの希少車となっているいすゞ・ビークロスについてご紹介します。

ビークロスとは?

ショーの話題をさらったコンセプトモデル

1993年に開催された東京モーターショー。そこに、いすゞから一台のコンセプトカーが出展されていました。そのコンセプトカーは新しいSUVのコンセプトカーであり、〝VehiCROSS(ヴィークロス)〟という名前が与えられていました。

これまでのSUVの概念を打ち破る、スポーティ3ドアの近未来的なスタイリングは業界に大きな衝撃をもたらしたのです。

ビークロスの設計思想

コンセプトカー・ヴィークロスの開発が始まったのは1992年の夏。基本設計は日本、主なデザインはヨーロッパで行われました。設計が行われたのは、いすゞの藤沢工場であり、パッシブ4WS作用機構を備えたサスペンションであるニシボリック・サスペンションの開発者・西堀稔氏をリーダーとして抜擢し、開発が進められました。

海外の悪路も走破することが可能な全天候型SUVというコンセプトにて、走りのパッケージが追求されています。

ビークロス、市販化へ

出展した東京モーターショーで、高評価を得たヴィークロスはいすゞの判断により市販化に踏み切ることになります。車名が『ビークロス』となっているのは、運輸省へ認可を取るために提出された書類に記載されていた名前が謝っていたためたともいわれています。

1997年4月26日、市販モデルとなったビークロスは、生産性の向上とコスト削減の面からプラットフォームにビックホーンなどにも採用されていた、ショートボディが流用されデビューしました。

追加されたオプションと特別仕様車

ビークロスは単一グレードのみラインアップというモノグレードで販売されました。デザインで注目を浴び、今でこそ珍しくありませんがクロスオーバーSUVとしてのクルマという新しいジャンルを開拓したモデルとして評価され、1997年11月には既存で5色設定されていたボディカラーに加え、20色を追加したプレミアムプロデュースカラー25がオプションとして追加されることになります。

1997-1998年の日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞とグッドデザイン賞も受賞したビークロスは、1999年に国内での販売終了に際し、特別仕様車にあたる「175リミテッドエディション」を発売。この「175」とは、ビークロスの開発コードネームに由来しており、その全てを受注生産により販売されました。

ビークロス、幻の派生モデルの存在

引用元:https://www.isuzu.co.jp/museum/conhis/vxo2.html

1999年、ビークロスは北米での販売は続けられることになったものの、国内での販売を終了。日本国内での最終登録数は1700台だったと記録されています。

いすゞには、まだこのコンセプトを広げる展望があったようで、ビークロス国内販売終了後に開催された東京モーターショーには、2シーターオープンバージョン「VX-02」が出展されます。

都会的なデザインを持つSUVを更にオープンにするという、「VX-02」の斬新な発想は、時代の先端を走っていたというより〝駆け抜けていた〟コンセプトだったのです。

その後、2000年に北米国際モーターショーにて発表されたモデル「VX-04」は、メーカーやディーラーにとっても販売しずらい2ドアではなく、4ドアをもったモデルとして開発されましたが、結局市販化にはいたりませんでした。

ビークロスのエクスリア(外装)

ビークロスのエクステリアは、他のどのモデルにも似ていないかなり斬新なデザインとなっていました。

空間を効率的に使おうとすればするほど四角くなっていく「ハコ型」ではなく、曲面と曲線を多用したボディデザインは、3ドアに張り出した手作業組み立てより取り付けられたFRP製フェンダーや、異形ヘッドライトを採用したことによる独自のフロントフェイスを持ち、テールゲートそのもの内部にスペアタイヤを格納しているなど、まさに個性の塊ようなデザインとなっています。

ボディサイズは全長4,130mm×全幅1,790mm×全高1,710mmとなっており、プラットフォームを流用したビッグホーン・ショートよりも一回りダウンサイジングされています。

ビークロスのインテリア(内装)

テールゲートデザインの関係で後方視界がほとんど確保できていないビークロスには、高角バックアイカメラ連動型モニタという先進の機能を搭載していました。

社外ブランドのパーツも積極的に取り入れられており、シートはレカロ製セミバケットシート、ステアリングにはエアバッグ付き本革巻きステアリングが標準で採用されています。

ビークロスのパワートレイン

エンジンは、もともとビッグホーンに搭載されていた3.2L V6DOHCガソリン仕様の6VD1型エンジンに改良を施したモノであり、最高出力は15psアップの215ps、最大トルクは2kgmアップの29kgmへ向上が図られています。

また、駆動方式もビッグホーンより受け継いだ、電子制御式トルクスプリット式パートタイム4WDが採用されています。

ビークロスのカスタム例

びーくんさんのビークロスは、もともと近未来的なフォルムをしたビークロスを驚きのガルウイング化。ライトメイクも相まって、更に先進的な雰囲気が加速しています。スポークが太い6穴ホイールで、SUVとしてのタフな一面もアピールしています。

まとめ

モーターファンの度肝を抜いたビークロスは、現在のSUVのあり方に少なからず影響を与えた歴史的な一台であることは間違いありません。ビークロスと同時期に販売されたトヨタ・初代ハリアーの大ヒットから鑑みるに、もう少し販売されるのが遅かったら…と考えると感慨深いものがあります。

希少性だけなら高級スーパーカーにも劣らないビークロス。街中で出会えることがあったなら、それはとても貴重な体験でしょう。