【イニシャルD】シルエイティーってなに!?【佐藤真子】 | CARTUNEマガジン
【イニシャルD】シルエイティーってなに!?【佐藤真子】

2019年06月23日 (更新:2022年08月04日)

【イニシャルD】シルエイティーってなに!?【佐藤真子】

公道最速を目指す若者たちを描いた漫画『頭文字D』に登場し、一気に名前が知れ渡ったシルエイティ。名前だけは聞いたことがある!という方も多いのではないでしょうか。そこで、今回はシルエイティとはなんなのか?何故、そう呼ばれているのかについて詳しくご紹介します。

シルエイティーとは

引用元:シル未♪さんの投稿

シルエイティが生まれたワケ

シルエイティーとは、日産が1998年まで製造・販売を手掛けていたモデル『180SX』の車体に、S13型シルビアのフロント部分をスワップしたクルマのことを指します。

この2つのモデルは、完全に別車種ながら同じ型番を共通しており、いわば姉妹車。そのために、パーツの互換性が高く純正パーツの流用が簡単に行うことができました。その特性を生かして生まれたクルマが、『シルビア』の「シル」と『180(ワンエイティ)SX』の「エイティ」の名前をもじって付けられた『シルエイティ』だったのです。

180SXはボンネットに格納できるタイプのヘッドライトである「リトラクタブルヘッドライト」を標準装備していたために、フロントを破損してしまうと修理代が高く付きました。そこで、フロントの破損時に、部品が多く流用が簡単なS13シルビアのフロント部分を利用したのが始まりであるといわれています。

シルエイティの歴史

そうして生まれたシルエイティですが、フロントが重くなりがちなリトラクタブルヘッドライトを取り払ったことにより軽量化にも成功。チューニング愛好家の間で徐々に広まっていき、雑誌にも取り上げられるようになります。この頃、すでにシルビアはS13型からS14型へモデルチェンジしていましたが販売台数が伸びず、逆にモデルが据え置きとされた180SXの人気が高まったのです。

マルチメディアでの活躍

がっちん ~群馬の妖精~さんのRX-7FC3Sの画像
がっちん ~群馬の妖精~さんのRX-7FC3Sの画像

また、1995年から週刊少年ヤングマガジンにて連載されていた漫画作品『頭文字D(イニシャルD)』(著:しげの秀一)にて、群馬県と長野県の県境にある碓氷峠を拠点とする女性の走り屋・〝インパクトブルー〟佐藤真子の愛車として、ボディカラーがブルーのシルエイティが登場。さらに、世界中で大人気のカーレースゲームである『グランツーリスモ』のレース車両としても採用され、シルエイティの名称が一般にも浸透していくことになりました。

シルエイティーは新車で売っていた?

シルエイティは改造車であるため、新車での販売はされていないと思われがちですが、実は日産純正の新車として販売されたことがあります。新車の販売を手掛けたのは、愛知県名古屋市のチューニングショップ有限会社きっずはぁと。1998年に販売が開始され、雑誌にも取り上げられたことがあります。

このシルエイティは日産系のディーラーに委託されて製作されたため、日産の純正扱いになりディーラーで整備を受けることが可能でした。専用ロゴやフィンタイプグリルなど特別装備を施され、オプションとしてニスモ製LSDなどを設定することができました。この500台限定で販売を終了した貴重なモデルは、唯一日産から標章として『シルエイティ』の名前を使用することが認められている車両。つまり、公式としての『シルエイティ』なのです。

ワンビアとは!

引用元: きょっぺ@かめきちわーくすさんの投稿

前述したように、シルエイティは「180SXの車体にシルビアのフロント」をスワップした車両。実は、逆に「シルビアの車体に180SXのフロント」をスワップした車両も存在します。

こちらは『ワンビア』と呼ばれ、シルエイティとは逆の構成。重量増加などデメリットが多く、このカスタムはほとんど必要のないものでしたが、プロドリフト選手などの活躍によりワンビアもドリフト競技の世界においては一定の人気を保っています。

S14顔、S15顔のシルエイティー

引用元:yさんの投稿
ずみさんの180SXRPS13DIYの画像
ずみさんの180SXRPS13DIYの画像

シルエイティーには、バリエーションとしてS13シルビアの顔面だけではなく後継モデルであるS14/S15型シルビアのフロントを180SXに移植したパターンも存在します。ただし、S13シルビアのフロント周りは180SXの車体にボルトオンで装着できるのに対し、S14/S15のフロント周りはポン付けが不可能です。

フェンダーの形状が違ったり、車幅も違うためフレームやフェンダーの加工といった大掛かりなカスタムが必要になってきます。それでも、S14/S15を使ったシルエイティーに一定のニーズがあったため、後にパーツメーカーから換装用のフェンダーとバンパーキットが販売されたこともありました。

シルエイティーまとめ

愛紅@ばかたれシルエイティさんのシルエイティの画像
愛紅@ばかたれシルエイティさんのシルエイティの画像

S13シルビアの顔面を180SXに移植して完成するシルエイティーは、競技用の車両としての性能も上がるばかりか、修理も安くすることができました。また、〝ホンモノ〟のシルエイティは今では希少車となっており、ファンにとっては喉から手が出るほど欲しい一台でしょう。

愛好家の知恵と工夫から生まれたシルエイティーは、日本で生まれた顔面スワップの代表例として長く名前が残り続けるのではないでしょうか。

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