アウディのクワトロってなに?特徴やどんな機能がある?

2019年06月01日

アウディのクワトロってなに?特徴やどんな機能がある?

labelクワトロ label車雑学

ドイツの名門アウディが世に送り出したシステムである「クワトロ」。欧州車好きの方はもちろん、車が好きな方は名称を聞いたことはあるのではないでしょうか?今回は、クワトロとは一体何なのか、詳しく掘り下げてご紹介したいと思います。

アウディ・クワトロとはなにか

クワトロとは、ドイツのメーカーであるアウディが設計したフルタイム4WDシステムの名称です。今ではアウディの代名詞ともなっている程です。

クワトロはquattroと書き、イタリア語で数字の「4」を意味します。4=4WD(四輪駆動)を意味するわけですね。

歴史

引用元:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/brand/innovation/quatttro_special.html#layer=/jp/web/ja/brand/innovation/quatttro_special/layer/history.html

1980年、アウディからアウディ・クワトロ(車名)が発売され、これが世界初のフルタイム4WDを搭載していました。少し複雑ですが、当初はシステム名自体が車名として使われていました。

当時、4WDはオフロードの悪路を走破する為のシステムと考えられており、オンロードを走行するのは2WDでした。そんな中アウディは、オンロードでの高速走行時の安定性を得る為にはフルタイム4WDが必要と考え、世界初の量産乗用車のフルタイム4WDを開発販売することとなりました。

そして、アウディはフルタイム4WDのパイオニアとして、現在も進化を重ねたクワトロを量産車へ搭載し販売しています。

クワトロのデビュー経緯

クワトロとデビューさせる以前、アウディは縦置きエンジンレイアウトのFF(フロントホイール・フロントドライブ)を採用していました。FFは車を構成する部品で最も重量のあるエンジンが駆動輪直前に配置されているので、しっかりと駆動輪に荷重がかかりタイヤのグリップ力を発揮できます。当時の低いグリップ力のタイヤを空転させない為には適した駆動方式でした。

しかし、FFはFR(フロントエンジン・リアドライブ)と比べてアンダーステアが強くコーナリングでは不利であり、技術の進歩でますます高まるエンジンパワーを有効に受け止める必要もありました。こういった課題に対処するべくアウディが出した答えがフルタイム4WDであり、クワトロが開発されていったわけです。

アウディ・クワトロの真価

引用元:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/brand/innovation/quatttro_special.html#layer=/jp/web/ja/brand/innovation/quatttro_special/layer/ideal.html

続いては、クワトロが具体的にどういった機構で何が優れているのか詳しく見ていきましょう。

特徴最大の特徴としては、フルタイム4WDであることによる圧倒的なトラクションからくる安定性と悪路走破性能です。

アウディ・クワトロは、路面状況に合わせて4輪それぞれの駆動力の配分をフルタイム変化させるので、どのような路面でも四輪に適切に駆動力を分配することができ、ダイナミックなパフォーマンスを発揮します。晴れたドライコンディションはもちろん、ウェットコンディションやスノーコンディションの悪環境においても非常に有効であり、コンディション問わず安全に走行する事が可能です。

例えば、雨の日の濡れたマンホールは非常に滑りやすいですが、マンホールを踏んでしまいスリップしそうになった時でもクワトロは残りのタイヤで安全性を確保してくれます。

どのような状況でも路面を捉える安定のある走行フィールは、クワトロがパートタイム4WDとは違いフルタイム4WDであるが故、得ることができます。ここで、パートタイム4WDとフルタイム4WDの違いについて少し触れておきたいと思います。

パートタイム4WDとは

必要に応じて2輪駆動と4輪駆動の切り換えを行う駆動方式です。ドライバーが、室内に設けられたレバーやスイッチを操作して切り換えるが出来るようになっています。

パートタイム4WDはセンターデファレンシャルが無いので前輪と後輪の回転差を調整する事はできないので、基本的には悪路でのみ4WDを使用することとなります。乾いた路面など十分にタイヤがグリップを得られる状況で4WDのまま走行してしまうと、駆動系に思わぬ負担を掛けてしまう恐れもあります。

フルタイム4WDとは

常に前後輪全てを駆動させる駆動方式となります。

パートタイム4WDとは違いセンターデファレンシャルを備えているので、前輪と後輪の回転差を自動で調整して、エンジンの力を状況に応じて適切に分配してくれます。よって、路面状況に関わらず適切に駆動力を調整してくれるので、常に4輪全てを駆動しながら安定した走行が可能となります。

機能

現在、アウディはラインナップしている車種全てにクワトロを搭載したモデルを販売しています。大きく分けると車格別に2つのシステムがありますので、それぞれの機能についてご紹介していたいと思います。

A4以上の車種

引用元:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/models/a4/a4.html

縦置きレイアウトのエンジンに機械式センターデファレンシャルを用いた、アウディ伝統の機構を継承しているクワトロを搭載しています。このシステムは後述するスタンバイ式とは異なり、常に4輪全てに駆動が伝わっている真のフルタイム4WDと言えるでしょう。

1980年のデビューから、改良を加えられて進化してきており、それら全てをご紹介すると非常にマニアックな内容になるので少々割愛させて頂きますが、近年のクワトロは基本的には前後輪の駆動配分は40:60を基本とし、走行状況や路面変化により差動制限が掛かると、概ね70:30〜20:80の間で駆動力が変化されます(モデルにより違いがあります)。その反応速度は1000分の数秒以内であり、常に車両が置かれている状況に応じて最適な駆動力で走行が可能です。

このタイプのクワトロの優れた点は、常時4輪に駆動が伝わっていて、且つ上述の様に優れた駆動分配制御が成されている事で、優れた走破性能、高速安定性が高次元で実現されていることでしょう。また、後輪に多くの駆動分配ができることで、まるでFRの様な優れた回頭性が実現されている点も見逃せません。

A3以下の車種

引用元:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja/models/a3/a3_sportback.html

こちらの車種に搭載されているタイプは、横置きレイアウトのエンジンに電子制御式多板クラッチを用いて前後輪に駆動分配をするシステムを使用しています。実は、この電子制御式多板クラッチを用いた4輪駆動システムは、スウェーデンのハルデックス社が開発した物です。余談ですが、現在ハルデックス社はボルグワーナー社に吸収された為、ハルデックスの名称を前面に出すことはできないようです。

このタイプはハルデックスカップリングとも呼ばれ、その機構からスタンバイ式の4輪駆動となっています。基本的な駆動配分は100:0ですが、アウディは95:5のセッティングとしています。100:0の配分だと後輪に駆動を分配する時に一瞬の間が発生してしまう欠点があり、それを緩和する為、常時後輪に少しの駆動を加えておくこととしました。駆動制御は入らない時には殆どFFと同じ状態であり、制御が入ると50:50まで駆動配分を行い安定した走行を実現しています。

ハルデックスカップリングはアウディ以外にも採用しているメーカーはありますが、アウディは上述の様に制御プログラムは自社独自のセッティングをしているのでクワトロの名称を与えて搭載しています。

このタイプのクワトロの良い点はエンジンが横置きで設計ができるので、車体のパッケージングに自由度が上がること、機械式センターデファレンシャルを持たない為、基本的にはFFとなり駆動ロスが小さく燃費が良いというところです。パッケージング、燃費等の効率を求めた方式と言えるでしょう。

WRCでも活躍

アウディ・クワトロはWRC(世界ラリー選手権)でも輝かしい成績を残しています。

1981年からWRCのグループ4に本格的に参戦し始めました。

当時、ラリーはランチア・ストラトスやフィアット131アバルトといった後輪駆動車が当たり前でした。参戦前には「4WDのラリー車は、構造が複雑で重量がかさむだけ」と批判的な意見もある中、初戦のモンテカルロでは2位以下を6つのSSで6分以上離すという圧倒的な速さを見せつける事となりました。初戦はリタイヤといった結果に終わってしまいましたが、第2戦のスウェディッシュラリーでは早くも優勝します。翌年の1982年には、ムートンがポルトガル、アクロポリス、ブラジルで優勝。ミッコラが1000湖、RACで優勝。ブロンクビストがスウェディッシュとサンレモで優勝し、参戦2年目にしてメイクスタイトルを獲得することになりました。

この様な輝かしいデビューを果たし、この後のWRCは「プジョー205ターボ16」「ランチア・デルタ」といった4WDマシンが主流になっていき、1990年代に入ると「ランチア・デルタインテグラーレ」「スバル・レガシィRS、インプレッサWRX」「三菱・ギャランVR4、ランサーエボリューション」

「トヨタ・セリカGT-FOUR」など、ほぼ全てのマシンが4WDとなります。そして、もちろん現在もその流れは変わらず4WDマシンが主流です。

このように、悪路走破の為だけでなく、速く安定した走りの為に4WDを初めて導入し、これまでのラリー界の常識を変革してしまったアウディ・クワトロの、功績の大きさは計り知れません。

まとめ

今回はアウディ・クワトロについてご紹介させて頂きましたが如何でしたでしょうか?40年近い歴史があり世界の4WDの先駆けとなったクワトロ、もしご自身でハンドルを握れば、素晴らしい歴史と功績を知った上で安定性と性能を体感することになり、「クワトロ」に心を奪われてしまうかもしれませんね。