2024年03月05日 (更新:2024年03月05日)
スペーサーとワイドトレッドスペーサーは何が違うのか
ホイールのツラ出しに使用するホイールスペーサー。単なるスペーサーとワイドドレッドスペーサーにはどのような違いがあるのか、それぞれのメリットやデメリット、注意点も合わせて解説します。
ホイールスペーサーとは
そもそもホイールスペーサーとは、ホイールを今よりも外側に出したい時に使用するものです。ホイールがとりつくホイールハブとホイールの間に厚みのあるスペーサーを取り付けることで、その厚みの分だけホイールが外側に移動します。
このホイールに使用するスペーサーをホイールスペーサーといいますが、自動車のカスタムやチューニングにおいては、ホイールに使用するスペーサーは仕組み別で2種類存在します。
ホイールスペーサー
ハブボルトに厚みのある板をひっかけ、ホイールとの間にはさむものがホイールスペーサーです。ホイールスペーサーといえば通常この仕組みのものを指します。ホイールスペーサーは3mm〜5mm厚のものが多く、中には10mm厚のものがあります。通常、5mmを超える厚みのものはロングハブボルトへの打ち替えが推奨されています。
ワイドトレッドスペーサー
ワイドトレッドスペーサー(ワイトレ)とはホイールスペーサーの派生系で、ボルトやナットで大きなスペーサー本体をハブに固定する仕組みのものを指します。ワイドトレッドスペーサーをいままでホイールが取り付いていた面に装着し、さらにその上からホイールを装着することでホイールを外側に出す仕組みです。
ワイドトレッドスペーサーは通常15mm以上の厚みがあり、中には60mm厚の製品も存在します。
ホイールにスペーサーを使用することのメリット
ホイールスペーサーやワイドトレッドスペーサーを使用することによるメリットには、次のようなものがあります。
ボディとホイールが近づき一体感が生まれる
スペーサーを装着すると、ボディ(フェンダー)とタイヤホイールが近づき、一体感のある見た目が得られます。ホイールをボディにピッタリの位置に調整することをツラを出すといい、ぴったりの位置関係にある状態をツライチと呼びます。
ホイールをそのまま使うため費用が安い
スペーサーはコスパの高いカスタムでもあります。通常、ホイールの位置を動かそうとするとホイールの新調が必要ですが、スペーサーはホイールよりも安価で購入できるため、コストを抑えてカスタマイズできます。ホイールを購入する場合はタイヤの交換も必要と考えると、スペーサーのコスパはかなりのものです。
トレッドが広がり安定感が増す
スペーサーを装着すると、左右のタイヤ間の距離が広がるため車の動きがより安定するように感じられます。これはホイールのインセットを変更したときと同じ効果です。直進安定性の向上や、ステアリングを切った時の初期反応が上がったように感じられます。
ホイールにスペーサーを使用することのデメリット
ホイールスペーサーやワイドトレッドスペーサーを使用することによるメリットには、次のようなものがあります。
わだちに取られやすくなる
厚みのあるスペーサーを装着すると、車種によってはわだちにステアリングを取られやすくなる可能性があります。これはスペーサーによってスクラブ半径というものが増してしまうからで、スペーサーの厚みを増していけばいくほど現象は酷くなります。しかし、30mmを超えない程度なら体感できるほど大差はないともいわれています。
ロングハブボルトへ交換が必要 ※ホイールスペーサー
8mmよりも厚いホイールスペーサーを使用する場合、ホイールを固定するハブボルトの長さが足りなくなり、ナットをしっかり噛ませるだけのネジ長さが確保できなくなります。そのため、ハブボルトを純正よりも長いロングハブボルトへ打ち替える必要があります。打ち替えずに使用するとネジ切れてナットが外れてホイールが脱落するというトラブルが発生するため、ハブボルトの打ち替えは必ず行いましょう。
なお、ロングハブボルトを使用するべきスペーサーの厚さは8mm以上といわれていますが、重量級の車やハイパワー車の場合はハブボルトへの負担が大きいため5mm厚のスペーサーでも打ち替えを行うのが安心です。
足回りの重量が増える ※ワイトレ
ワイドトレッドスペーサーは、アルミやジュラルミンでできたスペーサー本体部分と、スペーサーを車体に取り付ける鉄製のナット、そしてホイールを取り付けるために圧入された鉄製ボルトで構成されています。
これらが車軸部分に取り付けられるため、足回り、特にタイヤホイールが重くなったのと同じような感覚になります。もちろんブレーキが効かなくなったりするわけではありませんが、バネ下重量が増してしまうことは覚えておきましょう。
タイヤがインナーフェンダーに接触する可能性がある
タイヤホイールが外に出ると、ステアリングを切った時にインナーフェンダーとの距離が縮まることになります。取り付け時は問題なさそうに見えても、接地してから据え切りをしたときや、走行中にサスペンションが縮んだときに接触する可能性もあり注意が必要です。インナーフェンダーと接触してしまう場合はスペーサーを薄いものに交換するしかありません。
定期的なトルク管理が必要
スペーサーは金属製ですがアルミやジュラルミンのため熱による影響を受けやすいため、定期的に緩んでいないかチェックが必要です。一度つけたら放ったらかし、というわけにはいかないということを覚えておきましょう。緩みを放置すると、ハブボルトが破断して重大な事故を招きます。
どのように使い分けるべきか
ホイールスペーサーとワイドトレッドスペーサー、この2種類のスペーサーをどのように使い分けていくのが良いのでしょうか?
少しの幅ならホイールスペーサー
3mm〜5mm程度の出し幅ならホイールスペーサーを装着しましょう。5mm厚までなら純正のハブボルトのままでも装着できることが多く、手軽にイメチェンを楽しめます。8mm以上の厚みのものは、ハブボルトをロングハブボルトへ交換しましょう。
ホイールの出し幅が大きいならワイトレ
ホイールを15mm以上外に出したいなら、ワイドトレッドスペーサーを使用しましょう。ホイールスペーサーは5mmほどの厚みしかないうえ、2枚重ねての使用はNG。また、ロングハブボルトを使用して15mmのホイールスペーサーを装着したとしても、ホイールによってはナットのかかりが十分に確保できない可能性もあり危険です。15mm厚のワイドトレッドスペーサーは少々高価ですが、ワイトレを使用することで安心確実に装着できます。
手軽に見た目を変化させられるアイテム
ホイールに使用するスペーサーには、スタンダードな仕組みのホイールスペーサーと、ボルトナットで固定する大型のワイドトレッドスペーサーがあります。何か少しチャレンジしたい、そんな方は手軽に見た目の変化を楽しめるホイールスペーサーからはじめてみましょう。