2019年05月01日 (更新:2024年05月16日)
20mmのワイトレを装着することで考えられるメリットとデメリット
厚みのある20mmのワイドトレッドスペーサーを使用するにはどのような作業が必要なのか、ワイトレのメリットとデメリット、取り付けの際の注意点や必要な作業を解説します。
ホイールスペーサーとは
そもそもホイールスペーサーとは、ホイールを今よりも外側に出したい時に使用するものです。ホイールがとりつくホイールハブとホイールの間に厚みのあるスペーサーを取り付けることで、その厚みの分だけホイールが外側に移動します。
ボルトナットで固定するもの=ワイドトレッドスペーサー
ワイドトレッドスペーサーとはホイールスペーサーの一種で、一般的には15mm以上の厚みがあり、ボルトやナットでハブに固定するタイプのスペーサーを指します。ワイドトレッドスペーサーをいままでホイールが取り付いていた面に装着し、さらにその上からホイールを装着することでホイールを外側に出す仕組みです。
20mmのワイトレ装着によるメリット
20mm以上のワイトレを装着した場合、次のようなメリットが考えられます。
ボディとホイールが近づき一体感が生まれる
スペーサーを装着すると、ボディ(フェンダー)とタイヤホイールが近づき、一体感のある見た目が得られます。ホイールをボディにピッタリの位置に調整することをツラを出すといい、ぴったりの位置関係にある状態をツライチと呼びます。
ホイールをそのまま使うため費用が安い
ワイトレはコスパの高いカスタムでもあります。通常、ホイールの位置を20mm動かそうとするとスペーサーではまかなえないためホイールの新調が必要ですが、ワイトレは1輪あたり2万円前後で購入できるため、はるかに安価にホイールの位置を変更できます。ホイールを購入する場合はタイヤの交換も必要と考えると、ワイトレのコスパはかなりのものです。
トレッドが広がり安定感が増す
スペーサーを装着すると、左右のタイヤ間の距離が広がるため車の動きがより安定するように感じられます。これはホイールのインセットを変更したときと同じ効果です。直進安定性の向上や、ステアリングを切った時の初期反応が上がったように感じられます。
乗り心地がしなやかになる
スペーサーを装着すると、車体とタイヤ間の距離が長くなるため乗り心地がしなやかになります。これは足回りのアームを長くしたときと同じ効果です。同じ力でもより多く動くようになるため、柔らかくしなやかな乗り心地に変化します。
車体がロールしにくくなる
スペーサーを装着すると、足回りのアームを長くするのと同じ状態になるため、ロールセンターが上がります。車体が傾く時に中心となる点が上にもち上がるため、車体が傾きにくくなり、ステアリング操作にたいして動きがクイックになったように感じられます。
20mmのワイトレ装着時によるデメリット
20mm以上のワイトレを装着した場合、次のようなデメリットが考えられます。
わだちに取られやすくなる
20mmのワイトレを装着すると、車種によってはわだちにステアリングを取られやすくなる可能性があります。これはワイトレ装着によってスクラブ半径というものが増してしまうからで、ワイトレの厚みを増していけばいくほど現象は酷くなります。しかし、30mmを超えない程度なら体感できるほど大差はないともいわれています。
足回りの重量が増える
ワイドトレッドスペーサーはアルミやジュラルミンという比較的軽量な素材でできたスペーサー本体部分と、スペーサーを車体に取り付ける鉄製のナット、そしてホイールを取り付けるために圧入された鉄製ボルトで構成されています。
これらが車軸部分に取り付けられるため、足回り、特にタイヤホイールが重くなったのと同じような感覚になります。もちろんブレーキが効かなくなったりするわけではありませんが、バネ下重量が増してしまうことは覚えておきましょう。
ハブベアリングの負担が増える
ワイトレを装着するとタイヤがハブから離れるため、テコの原理でハブベアリングにかかる負担が増します。
装着したからといってハブベアリングがすぐに壊れることはありませんが、未装着時よりも大きな負荷がかかるのは間違いありません。ワイトレを装着する場合はハブベアリングのグリスアップや状態確認を定期的に行うようにしましょう。
タイヤがインナーフェンダーに接触する可能性がある
タイヤホイールが外に出ると、ステアリングを切った時にインナーフェンダーとの距離が縮まることになります。取り付け時は問題なさそうに見えても、接地してから据え切りをしたときや、走行中にサスペンションが縮んだときに接触する可能性もあり注意が必要です。インナーフェンダーと接触してしまう場合はスペーサーを薄いものに交換するしかありません。
定期的なトルク管理が必要
ワイドトレッドスペーサーは金属製ですがアルミやジュラルミンのため熱による影響を受けやすいほか、通常時よりも締め付け部品が多いため、定期的に緩んでいないかチェックが必要です。一度つけたら放ったらかし、というわけにはいかないということを覚えておきましょう。緩みを放置すると、ハブボルトが破断して重大な事故を招きます。
20mmワイトレでしなければならないこと
ハブセンター付きのワイトレを用意する
車体のホイール取り付け部の真ん中にはハブ(突起)があり、このハブをホイールの裏面にハメることでホイールを真ん中に保持し、取り付け強度を上げる役割があります。車種専用のワイトレにはハブセンターがありますが、安価な汎用ワイトレではハブセンターが省略されており、ホイールをど真ん中に取り付けることが難しくなります。ワイトレを購入するときは、ハブセンターが装備されているものを選ぶようにしましょう。
ホイール裏面の形状をチェックする
20mm程度の厚さのワイドトレッドスペーサーを車体に装着すると、ワイトレからハブボルトのあまりが飛び出ていることに気づきます(ボルトとナット両方が出ていることも)。この飛び出たハブボルトやナットはホイールの裏面に当たってしまうため、ホイールの裏面がこれを避けるような形状になっているかどうかをチェックするようにしましょう。仮に避けるような形状になっていたとしても、深さを測り確実に当たらないことを確認する必要があります。
ワイトレは車検に通る?
基本的に、ワイドトレッドスペーサーを装着した状態でも車検には通ります。世間でワイトレを装着していると車検に通らないといわれている理由は、ワイトレを装着した状態ではフェンダーからホイールがはみ出てしまっているケースが多いからです。
ワイトレを装着した状態でもフェンダーからホイールがはみ出ていなければ車検には問題なく通るため、初めから車検適合となるようワイトレの厚みを検討しましょう。
強度が保証されているものが安心
ワイトレははみ出しがなければ車検に通るから、といって粗悪品を装着すると重大な事故を招く可能性があります。事実、安価な中華製のワイトレは本体が割れたりボルトが折れたりという不具合が多発しており、そのようなものを使用しないことも公道で車を走らせるドライバーの責務といえます。
ワイトレの中にはこのような強度試験証明書を発行し品質を保証している製品もあります。多少高価ではありますが、これらの製品を購入するようにしましょう。
ワイトレは信頼できるものを正しく装着したい
低価格で見た目を変化させられるワイドトレッドスペーサーですが、定期的なトルクチェックを必要とするなど注意すべきことが多いパーツです。しかし、強度証明のある製品はサーキット走行にも対応しており、チューニングパーツとしても重宝されています。ワイトレ導入時は、このようなメリデメをしっかり把握しておくようにしましょう。