2019年06月04日 (更新:2024年05月16日)
ただ挟めばいいだけじゃない?10mmのスペーサーを使用する際にしなければならないこと
厚みのある10mmスペーサーを使用するにはどのような作業が必要なのか、取り付けの際の注意点や必要な作業を解説します。
ホイールスペーサーとは
そもそもホイールスペーサーとは、ホイールを今よりも外側に出したい時に使用するものです。ホイールがとりつくホイールハブとホイールの間に厚みのあるスペーサーを取り付けることで、その厚みの分だけホイールが外側に移動します。
ボディとホイールが近づき一体感が生まれる
スペーサーを装着すると、ボディ(フェンダー)とタイヤホイールが近づき、一体感のある見た目が得られます。ホイールをボディにピッタリの位置に調整することをツラを出すといい、ぴったりの位置関係にある状態をツライチと呼びます。
トレッドが広がり安定感が増す
スペーサーを装着すると、左右のタイヤ間の距離が広がるため車の動きがより安定するように感じられます。これはホイールのインセットを変更したときと同じ効果です。直進安定性の向上や、ステアリングを切った時の初期反応が上がったように感じられます。
10mmのスペーサーでしなければならないこと
ハブセンター付きのスペーサーを用意する
車体のホイール取り付け部の真ん中にはハブ(突起)があり、このハブをホイールの裏面にハメることでホイールを真ん中に保持し、取り付け強度を上げる役割があります。車種専用のスペーサーにはハブセンターがありますが、安価な汎用スペーサーではハブセンターが省略されており、ホイールをど真ん中に取り付けることが難しくなります。スペーサーを購入するときは、ハブセンターが装備されているものを選ぶようにしましょう。
ハブボルトをロングハブボルトへ交換する
10mm厚のホイールスペーサーを使用する場合、ホイールを固定するハブボルトの長さが足りなくなり、ナットをしっかり噛ませるだけのネジ長さが確保できなくなります。そのため、ハブボルトを純正よりも長いロングハブボルトへ打ち替える必要があります。打ち替えずに使用するとネジ切れてナットが外れてホイールが脱落するというトラブルが発生するため、ハブボルトの打ち替えは必ず行いましょう。
なお、ロングハブボルトを使用するべきスペーサーの厚さは8mm以上といわれていますが、重量級の車やハイパワー車の場合はハブボルトへの負担が大きいため5mm厚のスペーサーでも打ち替えを行うのが安心です。
ハブボルトの打ち替え方
ハブボルトを交換する作業ではブレーキ関係やハブまわりの部品を取り外すため、ひとつのミスで重大な事故に直結します。自動車整備の熟練者でない限りは専門店にお願いしましょう。
1.ブレーキまわりを取り外す
ジャッキアップしてタイヤを取り外し、ブレーキキャリパーとブレーキローター、ドラム車はブレーキドラムを外します。
2.ハブボルトを打ち抜く
ハンマーでハブボルトを叩き、ハブからハブボルトを抜いていきます。奥へ飛び出たハブボルトが他の部品に当たらないよう、裏側にスペースがある位置に回転させてから打ち抜いていきます。
一度に全て抜くのではなく数本ずつ新品へ交換していくのがコツ。新しいハブボルトを圧入する時に、まだ取り外していない古いハブボルトが役立ちます。
3.ハブボルトを差し込む
打ち抜いた古いハブボルトを抜き取り、ハブの裏から新しいハブボルトを通します。
このとき、ハブボルトの根元にあるスプライン(縦溝のギザギザ)をハブ側のスプラインに合わせ、グッと差し込みましょう。手の力ではほとんど入らないため、軽く固定されればOKです。
4.ハブボルトを圧入する
ハブボルトに厚いワッシャーを数枚通し、その上から貫通ホイールナットを逆向きにねじ込んで締め付け、ハブボルトをネジの力で手前に引き込みます。
ハブの裏側を確認し、ボルトが最後まで引き込めていれば圧入完了です。
※ワッシャーなどを挟まずに締め付けると、回転するナットでハブが削れ、ホイールがガタついてしまいます。面倒でも必ず挟むようにしましょう。
ナットを回す時にハブが回ってしまうときは、ハブに木材などを噛ませて固定するのがオススメ。まだ交換していない古いハブボルトに棒を噛ませて回りどめにする方法もあります。
5.ブレーキを取り付ける
最後にブレーキローターやブレーキキャリパーを取り付ければハブボルトの打ち替えは完了です。ホイールを装着してナットを締め付け、規定トルクで締まること、ブレーキがしっかり効くことを確認します。
スペーサーを入れるには多くの作業が必要
10mmスペーサーの使用にはハブボルトの打ち替えなど様々な作業が発生します。たかがスペーサーと油断せず、安全なクルマ作りを心がけましょう。