2019年06月04日 (更新:2024年02月29日)
ただ挟めばいいだけじゃない?10mmのスペーサーを使用する際にしなければならないこと
厚みのある10mmスペーサーを使用するにはどのような作業が必要なのか、取り付けの際の注意点や必要な作業を解説します。
ホイールスペーサーとは
そもそもホイールスペーサーとは、ホイールを今よりも外側に出したい時に使用するものです。ホイールがとりつくホイールハブとホイールの間に厚みのあるスペーサーを取り付けることで、その厚みの分だけホイールが外側に移動します。
ボディとホイールが近づき一体感が生まれる
スペーサーを装着すると、ボディ(フェンダー)とタイヤホイールが近づき、一体感のある見た目が得られます。ホイールをボディにピッタリの位置に調整することをツラを出すといい、ぴったりの位置関係にある状態をツライチと呼びます。
トレッドが広がり安定感が増す
スペーサーを装着すると、左右のタイヤ間の距離が広がるため車の動きがより安定するように感じられます。これはホイールのインセットを変更したときと同じ効果です。直進安定性の向上や、ステアリングを切った時の初期反応が上がったように感じられます。
10mmのスペーサーでしなければならないこと
ハブセンター付きのスペーサーを用意する
車体のホイール取り付け部の真ん中にはハブ(突起)があり、このハブをホイールの裏面にハメることでホイールを真ん中に保持し、取り付け強度を上げる役割があります。車種専用のスペーサーにはハブセンターがありますが、安価な汎用スペーサーではハブセンターが省略されており、ホイールをど真ん中に取り付けることが難しくなります。スペーサーを購入するときは、ハブセンターが装備されているものを選ぶようにしましょう。
ハブボルトをロングハブボルトへ交換する
10mm厚のホイールスペーサーを使用する場合、ホイールを固定するハブボルトの長さが足りなくなり、ナットをしっかり噛ませるだけのネジ長さが確保できなくなります。そのため、ハブボルトを純正よりも長いロングハブボルトへ打ち替える必要があります。打ち替えずに使用するとネジ切れてナットが外れてホイールが脱落するというトラブルが発生するため、ハブボルトの打ち替えは必ず行いましょう。
なお、ロングハブボルトを使用するべきスペーサーの厚さは8mm以上といわれていますが、重量級の車やハイパワー車の場合はハブボルトへの負担が大きいため5mm厚のスペーサーでも打ち替えを行うのが安心です。
ハブボルトを交換するには?
ハブボルトをロングの物に交換する際はブレーキ関係やハブまわりの部品を取り外しますが、ハブボルトの交換作業でのミスは重大な事故に直結します。自動車整備の熟練者でない限りは専門店にお願いしましょう。
1.ハブボルトの圧入を解く
ジャッキアップしてタイヤを取り外し、ブレーキ関連のパーツを外してからハブボルトの緩め作業をします。ハブボルトの根元に潤滑スプレーを吹き付け、ハブボルトが奥へ半分ほど抜けるまでハンマーで叩いて外していきましょう。
2.ハブを外す
ハブボルトが全てゆるくなったら、ハブの真ん中にあるナットを外し、ハブ本体を取り外します。ついでにハブベアリングの点検やグリスの交換も行いましょう。ハブを取り外さなくてもハブボルトを交換できる場合もあります。
3.ハブボルトを交換する
外れかかっているハブボルトを叩いて完全に抜き取り、新しいハブボルトを差し込みます。ボルトのスプライン(ギザギザ部)を合わせて差し込みます。もちろん手の力ではほとんど入らないため、軽く入れたところで次に進みましょう。
4.ハブを取り付け、ハブボルトを圧入する
ハブを取り付け、ハブがしっかりと固定されたことを確認したら、ハブボルトを圧入します。ハブボルトに厚いワッシャーを通し、その上から貫通ホイールナットを逆向きにねじ込んで締め付け、ハブボルトを引き込みます。ハブボルトが最後まで入ったら圧入完了です。ハブのまわり留めには木材などを使用しましょう。
5.ブレーキを取り付ける
最後にブレーキまわりを取り付ければハブボルトの打ち替えは完了です。スペーサーを取り付け、ホイールを装着しましょう。ホイールが規定トルクで締まること、ハブにガタつきがないことをしっかり確認します。
スペーサーを入れるには多くの作業が必要
10mmスペーサーの使用にはハブボルトの打ち替えなど様々な作業が発生します。たかがスペーサーと油断せず、安全なクルマ作りを心がけましょう。