2020年08月07日 (更新:2020年08月07日)
世界一醜いクルマ?ポンティアックアズテックとは
皆さんは世界一醜いと言われている車を知っていますか? その名もアズテック。米国自動車メーカーの最大手であるゼネラルモーターズがかつて展開していたブランド、ポンティアックのクロスオーバーSUVです。今回はそのアズテックがなぜ世界一醜い車だと言われているのかを、アズテックの基本情報とともに紹介したいと思います!
アズテックの基本情報
世の中には誰もが認めるカッコいい車もあれば、そのスタイリングに賛否両論ある車もあります。とはいえ、どんな車にも少なからずファンが存在していて、満場一致でダサいと結論付けられる車はそう多くありません。
昨今の車でいえば、日産・ジュークはその個性的なスタイリングが賛否両論となりましたが、ジュークの個性的なスタイリングに惹かれたファンは少なくありません。実際にジュークはコンパクトSUVとしてはそれなりの販売台数を記録しています。
しかし、世界は広いもの。アメリカの自動車メーカーであるゼネラルモーターズがかつて製造及び販売を手掛けていたアズテックは満場一致でダサいと結論づけられるどころか、世界一醜いという不名誉な称号を与えられています。
そもそもアズテックはゼネラルモーターズが展開しているブランドのひとつである、ポンティアックのクロスオーバーSUVです。アウトドアシーンで活躍するファミリー向けのクロスオーバーSUVとして登場しました。
アズテックが世界一醜いといわれている理由に迫って行く前に、まずはその販売期間や主要スペックについて紹介したいと思います。
販売期間
アズテックは、ポンティアックファミリーの一員として2000年に販売が開始されました。当時、ジェネレーションXと呼ばれていたファミリーに向けて、設計および開発が進められた車種なのですが、そのあまりにも個性的なスタイリングに大バッシングを受けて、ジェネレーションXの人気を獲得することができませんでした。その結果、わずか5年という販売期間でフルモデルチェンジを実施することなく生産終了となっています。
5年という販売期間は短いようにも感じますが、国産車の中には5年以下で生産終了となった車種が多数存在しています。世界一醜い車という烙印を押された割には長生きした方なのかもしれません。そんな不名誉な称号を授かったがゆえに、世界中で悪い印象のまま有名になったアズテック。その主要スペックはどのようになっているのでしょうか。
スペック
ポンティアックアズテックの主要スペックを以下に記載します。
エンジン | V型6気筒 |
---|---|
排気量(L) | 3.4 |
駆動方式 | FF(前輪駆動)4WD |
トランスミッション | 4速AT |
全長(mm) | 4,625 |
全幅(mm) | 1,870 |
全高(mm) | 1,695 |
車両重量(kg) | 1,714~1,834 |
北米市場を中心に展開されたクロスオーバー SUVということもあり、そのボディサイズは非常に大きく設計されています。特に1,870mmという全幅は、大半の国産車よりもワイドな設計です。とても存在感のあるボディの割に、全長は4,625mmという一般的な数値で、カテゴリ的にはミドルサイズSUVに該当します。
エンジンは3.4L V型6気筒エンジンを搭載。1,700kgを超える大柄なボディを動かすためには、やはりパワフルなエンジンを搭載することが必要不可欠です。トランスミッションは4速ATとやや物足りない印象がありますね。
駆動方式は、昨今のクロスオーバーSUVと同じくFFと4WDのどちらかを選択することができます。全幅の広さと車両重量の大きさは気になりますが、それ以外は一般的な車と変わりありません。実用性を求めるファミリー層向けのSUVとしては申し分ないスペックだと思います。
それでいて販売台数が伴っていないということは、やはり外観デザインが賛否両論だったところが大きく関係しているのでしょう。そもそもなぜアズテックは世界中で酷評されるようになったのでしょうか。続いてアズテックが世界一醜いといわれる理由について紹介します。
アズテックが世界一醜いと言われる理由
アズテックが世界一醜いといわれている理由は、間違いなくその個性的なスタイリングにあります。まずは先入観を一切抜きにしてアズテックの見た目をチェックしましょう。
見た目
アズテックの全体的なスタイリングは無骨で当時のクロスオーバーSUVとしてはオーソドックスだと思います。世界一醜いといわれるようになった要因は、間違いなくフロントマスクとリア周りの形状にあるといえるでしょう。
アズテックのフロントマスクは文章で解説するのが非常に難しい個性的なデザインです。ヘッドライトの位置が一般的な車よりもやや下側に配置されていて、本来ヘッドライトが配置される部分にウインカーポジションがあります。
ウィンカーポジションの間にはエアインテークのようなダクトが設けられていて、ヘッドライトの間には存在感のあるフロントグリルが配置されていますね。フロントバンパー下部の樹脂部分にはSUVとしての力強さが表現されています。
見るものを圧倒する存在感はありますが、フロントマスクのバランスが整っているとはいえません。ウインカーポジションがヘッドライト上部に配置されているせいで、人間でいう目に当たる部分に見えてしまうのです。
また、大型フロントグリルの中央にラインが入っていることもあり、ブタ鼻のように見えてしまいます。キドニーグリルを採用しているBMWのフロントマスクに似ているようにも思えますが、BMWはデザインが非常に洗練されているので似て非なる存在です。
さらに、リア周りのデザインも個性的に仕上がっています。アズテックはクロスオーバーSUVにもかかわらず、テールゲートにノッチバックスタイルを採用。全体的には個性的ですが、テールランプの形状などは普遍的で面白みを感じません。
アズテックは2007年に、イギリス雑誌の「史上最悪の車50台」というランキングの1位に選ばれ、2010年に「史上最悪の発明品50選」でも1位に選ばれています。個性のあるデザインを追求するのではなく、中途半端に妥協してしまったことがアズテックの外観が酷評される結果につながったのでしょう。
本当に醜いのか
史上最も醜い車として知名度の高いアズテックですが、個人的にはその評価が1人歩きしているだけのようにも感じます。もちろん、見てくれがどうかと問われれば醜いとしかいいようがありません。しかしフロントマスクに関しては、ウィンカーポジションではなくヘッドライトを人間の目に当たる部分として認識するだけで、アズテックの評価は随分とマシになるでしょう。
問題はリア周りです。個人的には、フロントマスクよりもリア周りがとてもブサイクなデザインと感じています。ただし、クロスオーバーSUVにあえてノッチバックスタイルを採用したということは、極端な話、クーペSUVの先駆けともいえるのではないでしょうか。結果的に悪い評価にはつながってしまいましたが、その挑戦的な姿勢は評価するべきだと思います。
アズテックの良いところ
世界一醜い車と称されて散々な目に遭っているアズテックですが、もちろんアズテックにも良いところはあります。今回はアズテックのいいところを2つピックアップしました。アズテックの醜い外観ばかりに注目せずに、良いところもきちんと把握しておきましょう。
SUVとしての実用性が高い
上記でもお伝えしたように、アズテックはミドルサイズクラスのファミリー層向けのクロスオーバーSUVです。3.4L V型6気筒エンジンを搭載したことによる力強い走りと、ファミリー層向けのSUVとしての使い勝手の良さが魅力的なポイントとなっています。それが幸いして、実際にアズテックを所有していたオーナー達からは実用面で高く評価されています。
ボディサイズが大柄なので車内空間、ラゲッジスペースのどちらも広く確保。テールゲートの開口部も広いため、ユーティリティの面では抜群に優秀です。このようにアズテックは外観はともかく、実用性という大きな魅力を兼ね備えていることがわかりました。
日本国内だとあまり見かけないので注目度が高い
アズテックにはもうひとつ魅力があります。アズテックは日本国内では高級スーパーカーよりも見かけることがないので、注目度が非常に高いといえるでしょう。自動車大国のこの日本でもアズテックのことを知っている人は限定されます。先入観を抜きにして、アズテックを見かけた時、その個性的な外観デザインが評価されることがあるかもしれません。
ちなみにアズテックは、ブレイキングバッドという人気海外ドラマに出演しています。なぜ評価の低いアズテックが人気ドラマに抜擢されたのかというと、冴えない中年主人公のイメージにしっかりと当てはまっていたからです。
決していいとはいえない抜擢ではありますが、人気海外ドラマの出演によってアズテックの知名度が高まったのは事実です。ブレイキングバッドのファンという人はアズテックを中古で購入してみるのも悪くないかもしれません。
まとめ
今回は世界一醜い車と称されているポンティアックアズテックを紹介しました。アズテックは確かに個性的すぎる外観デザインのせいで賛否両論ある車ではありますが、個人的には世界一醜いといわれるほど悪いデザインではないと考えています。
外観デザインは、車を選ぶ上でとても重要となる要素ですが、アズテックのように外観デザインが優れていなくてもたくさんの魅力が備わっている車は多数存在しています。外観デザインが気に入らないからと目を背けるのではなく、まずはその車の特徴や魅力を知った上で総合的に判断するべきではないでしょうか。