ターボのメリット・デメリットその仕組みを解説! | CARTUNEマガジン
ターボのメリット・デメリットその仕組みを解説!

2019年02月11日 (更新:2022年12月27日)

ターボのメリット・デメリットその仕組みを解説!

一昔前の車には当たり前のように搭載されていたターボ、元々は何のために搭載されていたのでしょうか?今回はターボの仕組みや歴史、ターボ付き車両で燃費の向上は本当に可能なのかについて解説していきたいと思います。

ターボの仕組みやメリット・デメリット

ターボの仕組み

yosshy8139@WAKERS!さんのウェイクLA700Sの画像
yosshy8139@WAKERS!さんのウェイクLA700Sの画像
引用元:yosshy8139@WAKERS!さんの投稿

ターボの正式名称はターボチャージャーです。排気の流れを利用して「より多くの混合気を燃焼室に導入し、出力を増大させる」事を目的とした過給システムの事です。吸気管と排気管の間にタービンと呼ばれる部品を装着し、排気ガスの圧力でタービンホイールという羽のついた円盤を回転させ、同じ軸で繋がっている吸気側のコンプレッサーホイールという羽のついた円盤を回転させます。これにより、排気のエネルギーを利用してエンジンに送り込む空気の量を増やすことで、出力をアップさせる仕組みとなっています。

ターボのメリット

ターボの魅力といえば、何といっても加速力でしょう。ターボ車両独特の背中を押されるような感覚は、NA(自然吸気エンジン、非ターボ)と比べるともの凄い加速力です。ノンターボ車で急こう配の坂道や山道を登っていると、音はすごいのに実際スピードは出ていないなんてことがありますよね。

ターボ搭載車ならばストレスなくスムーズに坂道を登れます。ターボが搭載されているグレードはその大半が上級グレードですから、売却の際にも条件が良くなります。

また、ダウンサイジングターボ車は、排気量が小さくなるので、自動車税が安くなるのです。低燃費によってガソリン代だけでなく税金面でも維持費が安くなる、まさに一石二鳥ですね。

ターボのデメリット

燃費への影響

ターボ車は、加速などが良い分、同じ排気量でターボ無しと比べると燃費に影響があります。ただしターボなしだとアクセルを更に踏み込むため単純に悪くなると言うわけではありません。

構造が複雑

ターボチャージャーを装着したエンジンは吸気と排気の配管が必要なため、エンジンルームのレイアウトが複雑になりがちです。また、充分な過給圧が得られるまでに遅れが生じる「ターボラグ」と呼ばれる現象が発生しやすく、アクセル操作に対するエンジンの出力上昇が遅れてしまいがちです。

エンジンオイルが劣化しやすい

ターボチャージャーは高温となるため、タービンの潤滑と冷却の役割を担っているエンジンオイルの劣化が進みやすいというデメリットもあります。

部品点数が多く、コストがかかる

コンプレッサーによる圧縮やタービンからの熱により吸いこむ空気の温度が高くなるため、インタークーラーで圧縮後の吸気を冷却する必要があります。そのため、ターボチャージャー本体に加え、インタークーラーを設置する場所を確保しなければなりません。

また、それらのコストが価格に反映するため、自然吸気の車種よりも割高な価格設定になってしまいます。部品が多い以上故障する確率も上がってしまいますから、日ごろのこまめなメンテナンスが必要です。

ターボにはどんな部品が使われている?

ターボ車はタービン以外にどのような部品が使われているのでしょうか?

サクションパイプ

gontaさんのチェイサーの画像
gontaさんのチェイサーの画像

コンプレッサーホイールへ向かう空気の通り道です。エアクリーナーから取り込んだ空気がサクションパイプを介してタービンのインレットへ、インレットから出た空気がインタークーラーへと通っていきます。素材やパイプの太さ、曲げ方により整流効果や放熱性能が変わってきます。

インタークーラー

じゅんさんの180SXRPS13の画像
じゅんさんの180SXRPS13の画像

インタクーラーはターボ車用の空気冷却装置です。過給器で加圧された空気は非常に高温で、そのままエンジンに入れるとオーバーヒートの原因となってしまうため、冷却が必要です。インタークーラーによって吸気温度が下がる事で空気密度が増し、トルクの向上や燃費効率のアップが図れる部品です。

ブローオフバルブ(リサキュレーションバルブ)

に〜やんさんのスイフトスポーツZC33Sの画像
に〜やんさんのスイフトスポーツZC33Sの画像

スロットルバルブが閉じられた際にコンプレッサーとスロットルバルブ間の余剰圧力を解放し、スロットルレスポンスの悪化やサージングを防ぐ為のタービン保護に必要な部品です。

エキゾーストマニホールド

にゃー 。さんのシルビアS14エキゾーストマニホールドの画像
にゃー 。さんのシルビアS14エキゾーストマニホールドの画像

タービンホイールへ排気ガスを誘導する為の通り道です。素材やパイプの太さだけでなく、形状も性能を左右します。燃焼室から出た排気ガスは、エキゾーストマニホールドを通ってタービンホイールへと流れていきます。

バイパスバルブ

トラ太郎さんのラクティスNCP100の画像
トラ太郎さんのラクティスNCP100の画像

ブースト圧が制御値以上に上がってしまった場合に排気ガスを逃がす部品です。バイパスバルブにはアクチュエーター式とウエストゲート式の2種類があり、アクチュエーター式は過給器本体と一体型にできるが、開放弁が大きくできない(タービンのコンパクト化が可能)、ウエストゲート式はタービン手前の排気管に設置できるので開放弁を大きくすることができる(タービンの大型化が可能) という特徴があります。

エキゾーストアウトレットパイプ

頭文字EさんのスカイラインECR33の画像
頭文字EさんのスカイラインECR33の画像

排気ガスをタービンから効率的に外へ送る為の通り道です。素材やパイプの太さ、形状により排気効率が上がります。

ターボチャージャーとスーパーチャージャーの違い

排気ガスを活用して過給するのがターボチャージャーで、エンジンの力で過給するのがスーパーチャージャーです。どちらも、空気を過給して強制的にエンジンに送り込むことから「過給機」と言われます。

ターボチャージャー

R34.BossさんのスカイラインER34の画像
R34.BossさんのスカイラインER34の画像
引用元:R34.Bossさんの投稿

ターボチャージャーは、排気ガスのエネルギーを利用して風車のような羽根を回してコンプレッサーを回し、圧縮した空気を強制的にエンジンへ送り込むことで高出力を得ます。

車好きにとって興味があるのは、低い設定になっている純正のブースト圧を高くして、本来のエンジン性能を引き出すブーストアップでしょう。より多くの空気を圧縮できるようセッティングすることで簡単にパワーが得られるため誰もが飛びつきがちですが、複雑なセッティングが必要であり、誤るとエンジンが破損してしまう「禁断のメニュー」でもあるので、信頼のおけるチューナーのもとで行う必要があります。

スーパーチャージャー

CamaroJANKYさんのカマロスーパーチャージャーの画像
CamaroJANKYさんのカマロスーパーチャージャーの画像
引用元:CamaroJANKYさんの投稿

エンジンのクランクシャフトからベルトなどで過給器を回し、エンジンに空気を押し込んむ方式がスーパーチャージャーです。エンジンの回転数が低い状態でも過給器が動くため、「ターボラグ」がなく、レスポンスが良いという特徴があります。低回転ではメリットが多い反面、高回転になるとエンジンの負担になるため、ターボに比べて効率が悪くなる傾向にあります。

ターボ車を紹介

シビックタイプR

a.k.a.67さんのシビックタイプRFK8の画像
a.k.a.67さんのシビックタイプRFK8の画像
引用元:a.k.a.67さんの投稿

それまでのシビックタイプRといえば、ターボを使用しない自然吸気で高回転型のエンジンが魅力でした。ですが、現行モデルではまさかのターボエンジンで登場しています。それまでのターボ技術とは隔絶した仕上がりで低回転でのトルク不足を解消、ハイレスポンスな仕上がりになっています。

GT-R

あいまいみーさんのNISSAN GT-RR35の画像
あいまいみーさんのNISSAN GT-RR35の画像
引用元:あいまいみーさんの投稿

日本を代表するスポーツカーですね。3.8L V6ツインターボは570馬力、トルクは637Nmというとんでもないハイパワーになっています。値段もお高いですがパワーもすごいですね。

ハリアー

やまっぴさんのハリアーASU60Wの画像
やまっぴさんのハリアーASU60Wの画像
引用元:やまっぴさんの投稿

SUVからもターボ車が出ています。低燃費とパワーを兼ね備えた新世代のエンジンながら、昔ながらの味付けが魅力。エンジンが3,000回転を超えると鋭い加速を味わえます。最高出力は231馬力で、最大トルクは35.7kg-mになっています。

ポルシェ991

りょーいちさんの991の画像
りょーいちさんの991の画像
引用元:りょーいちさんの投稿

一般車よりも多い排気量を持ちながら、ターボとの相乗効果で抜群の加速性能を発揮します。高速道路などでアクセルを踏み込んだときは、力強いパワーが車内に伝わり、スピードを楽しめます。

カローラスポーツ

おおまささんのカローラスポーツNRE210Hの画像
おおまささんのカローラスポーツNRE210Hの画像
引用元:おおまささんの投稿

ダウンサイジングターボは近年コンパクトカーに多く見られるターボモデルです。排気量が少ないので、安い自動車税で優れた走行性能の車を運転できます。排気量は1.2Lですが、ターボモデルなので、ワンランク上の排気量を持ったNAエンジンのコンパクトカーに負けないくらいの116psを発揮します。

ターボ車の歴史

スイフトイイネ2さんのスイフトスポーツZC33Sの画像
スイフトイイネ2さんのスイフトスポーツZC33Sの画像
引用元:スイフトイイネ2さんの投稿

【1973年】ターボ搭載市販車の始祖

1973年、世界で初めて市販車としてターボ搭載車が販売されました。それはBMWの「 2002ターボ」。当時はポルシェとBMWがツーリングカーレースを通してターボの実用化に向けて凌ぎを削っていました。BMWは航空機のエンジンで培った技術によりポルシェターボに先行して2002ターボが市販化できたそうです。

【1979年】日本で最初のターボ搭載車

1979年10月に5代目「日産 セドリック430型」が販売開始されました。エンジンはL20ET型2.0Lターボエンジン、かの有名なL型エンジンの系統です。排気量こそ2000ccにすぎませんが、当時のターボ技術でも2800ccのL28エンジンよりハイパワーを出せるユニットです。

※兄弟車グロリアは1979年12月にターボモデルが発売されました。

【1980年代】国産車ターボ時代の幕開け

1980年〜1990年代に車好きだった若者が心惹かれた「ターボ」。トヨタからは110クラウン、10ソアラ、60セリカに加え、60マークⅡ3兄弟が、日産からは430セド・グロ、210スカイラインに加え、130フェアレディZが登場します。どの車も145馬力の6気筒SOHCターボユニットで、現在では拍子抜けするほど慎ましく感じますが、当時は立派なハイパワーマシンでした。

DOHCとターボの組み合わせ

70年後半、世の車好きはある大きなテーマに悩まされたいました。それは、レスポンスの俊敏なDOHCと、タイムラグがあってもパワーを出せるターボのどちらが優れているのか。今でこそDOHCターボというのも至極自然ですが、当時はターボ車はSOHC、NA車はDOHCで出力を出すというのが当然の発想でした。

ですが、1982年、DOHCターボ型エンジン「トヨタ 3TーGTEU」がTA63カリーナ、TA63セリカ、TT142コロナに搭載されました。※発売では先手を取られてしまいましたが、翌1983年に日産からもFJ20ETやCA18DETという名機を送り出しています。

【1989年】伝説の誕生

1989年7月、国産初の280馬力モデル「日産 Z32型フェアレディZ」も忘れてはいけませんが、時を同じくして1989年8月に国産車の歴史、チューニング業界や走り屋の未来…。いえ、レースの世界までも変えてしまった「日産 R32型スカイライン GTーR」言わずとも知れた名車です。

レースで勝つ事を目的に作られ車体性能を底上げしただけに収まらずエンジンまで設計、当時のグループA全日本ツーリングカー選手権のレギュレーションギリギリ、直6ツインターボ2.6Lエンジン「日産 RB26DETT型」まで搭載、グループAでの戦績は29戦29勝…まさに伝説の誕生でしたが、連勝を止めたのはレース自体の消滅でした。

ハイパワーターボ競争勃発

R32型スカイラインの発売以降、トヨタからスープラなどに搭載された「1JZーGTE、2JZーGTE型」の2種類、日産からはR34までのスカイラインGTーRなどに搭載された。「RB26DETT型」含む2種類、三菱からランサーEVO4以降に搭載された「4G63型」を含む4種類、スバルからインプレッサやレガシィなどに搭載された「EJ20型」1種類、マツダからはFD3SのRX-7に搭載された「13B-REW型」1種類のエンジンが開発され、1990年代後半までターボとともに開発・販売競争は加速していきました。

市販車ではないので上記に入れませんでしたがホンダはF1で1988年、マクラーレンに「RA168E型 1.5L V6ツインターボエンジン」を供給し16戦中15勝と無双し総合優勝を獲得しています。

【2000年代】ターボ時代の終焉

2000年代に入りターボ車の存在は排ガス規制により衰退していきます。各メーカーでも開発は続けていましたが、規制をクリアするために膨大な資金が掛かってしまうのです。2008年には原油価格が高騰し、当時燃費の悪かったターボ車はユーザーからも切り離されてしまったのが要因の一つではないでしょうか…。

ガソリン価格問題やエコカー減税も相まって時代はエコになり、ターボ搭載車は燃費が悪い=エコでは無いというレッテルだけが残るようになってしまいました。ターボ車を扱う喜びを味わえる人も今では少なくなりつつあります。しかし、現在ではターボ車を再び扱うチャンスがすぐそこまで来ています。

低燃費技術として再び注目を集めるターボ

エンジンのダウンサイジング化

ハヤココさんのステップワゴンRP6ミニバンの画像
ハヤココさんのステップワゴンRP6ミニバンの画像
引用元:ハヤココさんの投稿

最近では「燃費向上のためのターボ技術」を実現させるためにダウンサイジングターボが注目されています。「ダウンサイジングターボ=これまで大排気量エンジンを採用していた車種が排気量の小さいコンパクトなエンジンを搭載する+ターボの技術で小型化により損失してしまったパワーを補い確保する」という定義に当てはまります。

ダウンサイジングターボでは、排気ガスの流量が少ないうちから加給圧を発生させるためにコンプレッサーホイールとタービンホイールを小さく作っており、大きな出力を発生することはできません。しかし、街乗りなどの実用性が高いところでのトルク確保には最適で、ターボラグも非常に少ないので「燃費向上のためのターボ技術」となっています。

スポーツカーのパフォーマンスが上がる

従来の大排気量エンジンが必須だった大型車やスポーツカーが相次いでターボチャージャーを装備した小排気量エンジンを採用しているのは、効率が良く軽量なため、走行性能がアップするという利点を活かしたものとなります。

つまり、無駄な燃料を使わない効率的なターボチャージャーは、低燃費を追求する車種にも、軽さとハイパワーの両立を目指すスポーツカーにも理想的な機構といえます。

まとめ

うにょうにょ∞さんのWRX STIVABの画像
うにょうにょ∞さんのWRX STIVABの画像
引用元:うにょうにょ∞さんの投稿

今回はターボについてのお話でしたがいかがだったでしょうか?ターボについて各メーカーで様々な歴史がありました、もちろん明るみに出ていない構想や技術もたくさんあったと思います。ですがこれから先は燃費向上の手段としてターボの歴史をたくさんのメーカーが作ってくれる事でしょう。みなさんも一度ターボ車の魅力を感じてみてはいかがでしょうか。

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