2018年09月11日 (更新:2020年08月24日)
人気の衰えないVW Type 2(T1) インスパイアされたモデル『I.D. Buzz』も登場予定
VW Type 2(T1)は多くのオマージュモデルを生み出すなど、今でも高い人気を誇っています。ついにはVW自身も次世代EVであるI.D. Buzzにて現代のType 2(T1)を生み出そうとしています。素晴らしいコンディションのウェストファリアキャンパーの動画と共にこの車を振り返ってみました。
VW Type 2(T1)とは
VW Type 2(T1)はオランダでVW車のインポーターだったベン・ポン氏のアイデアから誕生したといわれています。彼は1946年にウォルフスブルグ工場を訪問した際に工場内で活躍するPlattenwagenという部品運搬車からアイデアを思いついたそうです。
この車輌はType 1 のシャシーに、荷台を装着したモデルです。この荷台を、ルーフを持つアッパーボディに架装すれば優秀なバンになるのではないか!?というのが最初の発想でした。 そして1949年5月に生産が決定され、11月には最初のモデルがラインオフしました。
Type 2(T1)の特徴的なデザインはヒッピーカルチャーも相まって高い人気を集め、日本ではオマージュされたカスタムカーも多数誕生するほどの人気があります。ついにはVW自身がType 2(T1) にインスパイアされたモデルであるEV、I.D. Buzzを2022年に登場させる予定です。ツートンカラーに太いDピラー、三角窓を連想させるフロントサイドウィンドウの造形にType 2(T1) の特徴を取り入れています。
アーリー(1967年式まで)の代表的なラインナップ
それでは一番人気のアーリーと呼ばれるモデルの代表的なラインナップを確認してみましょう。
- パネルバン
- デリバリーバン
- ウォークスルー・コンビ
- スタンダード・マイクロバス
- コンビ
- ダブルドア・パネルバン
- 23ウィンドウ・デラックス
- 15ウィンドウ・デラックス
- ウェストファリアキャンパー・SO23
- 21ウィンドウ・デラックス
- 13ウィンドウ・デラックス
- ウェストファリアキャンパー・SO42
上記に記載した以外にもピックアップや救急車仕様など豊富なバリエーションがあります。
この中で最も目にする機会の多いのがコンビです。パネルバンやウォークスルー・コンビなどは世界的にも現存する車輌も少なく、ユーズドカー市場に出回ることもありません。また、23ウィンドウ・デラックスや15ウィンドウ・デラックスなどは特に値段が高騰しています。
コンビはデリバリー・バンをベースに左右に3枚づつのサイドウィンドウを設けたモデルです。荷室には2列のシートが装備され、乗用車として使用可能にされていますが、シートを外せば広いラゲッジルームになりますので商用車としても活用できました。
23ウィンドウ・デラックスはアメリカのオークションでは1,000万円以上で落札されています。23ウィンドウ・デラックスと15ウィンドウ・デラックスの特徴は最後部(Dピラー)左右にコーナーウィンドウを装備する点です。どちらの車輌も装備する窓の合計枚数からこのように呼ばれています。
15ウィンドウ・デラックスの場合はフロントのスプリットウィンドウで2枚、左右のフロントドアウィンドウで2枚、左右のサイドウィンドウが4枚づつで合計8枚、リアウィンドウが1枚に左右のコーナーウィンドウ2枚の合計15枚のウィンドウを装備しています。
23ウィンドウ・デラックスではこれにルーフ左右4枚づつ合計8枚のルーフウィンドウが装備されていますので15+8=23ウィンドウになります。1964年式からはコーナーウィンドウが廃止されましたのでそれぞれ21ウィンドウ・デラックス及び13ウィンドウ・デラックスになりました。
ユーズドカー市場の変遷
2000年代初頭にはカリフォルニアから輸入してレストア、販売される車輌も多かったType2。価格も200万円台後半からと購入するにも現実的な価格でした。しかし世界的なネオクラシックカーブームの盛り上がりに伴いユーズドカーの相場も上昇しています。
キャンパーは500万円からともなっており、なかなか手が出しにくい価格になっています。海外から輸入され、レストアの後に国内向けに販売されていたのと逆の動きも出てきました。これは空冷ポルシェなどと同じで、海外と比較して程度の良い日本のユーズドカーを海外のバイヤーが買い付けています。
こうした動きから国内のタマ数は減る一方です。CARTUNE内には大切に維持されている方が多く、こうした方々がオーナーズクラブを盛り上げていらっしゃるのでしょう。
Type2を動画で確認
こちらの動画では美しいウェストファリアキャンパー・SO23が取り上げられています。17秒過ぎから実車が映ります。SO23の特徴であるサブハッチ(フリップ式サンルーフ)が確認できます。
30秒からはインテリアが映し出されますが、こちらもレストア済みなのか良い状態が保たれていますね。ルーフのウッドは雨漏りなどで腐食している車輌もありますが、こちらの車輌はその心配もありません。
50秒過ぎには運転席周りが映し出されますが、シフトレバーはアタッチメントを装着して手元寄りにオフセットされています。実際に運転する際はオリジナルのままですとシフトレバーが遠いので、このカスタマイズを行っている車輌も多いですね。
1分44秒から映し出されるドアウィンドウ周りが素晴らしいです!ここにサビが発生しているケースが多いですが、この車輌はその部分もきっちりと仕上げられています。
CARTUNEユーザーのカスタマイズ例をピックアップ!
程度の良さそうなType 2です。雑誌で取り上げられる際にはこの2トーンのボディーカラーが取り上げられることが多いですね。こちらの車輌は「コンビ」でしょうか。
人気のサファリウィンドウの車輌です。防水対策が難しい難点はありますがベンチレーション目的でも、ルックスの面でも人気の装備です。レストアする際に追加加工することも可能でした。
メッキモールが装着されていることから、デラックスでしょうか。こうして見ていくと年式によってウィンカーレンズの形状も異なることがわかります。こちらのホワイトのウィンカーは1961年式までのアーリー・アーリーこと前期型ですね。塗装の状態も素晴らしいです。きっちりレストアされた車輌なのでしょう。
まとめ
最終年式から52年を経過しても人気の衰えないVW Type 2(T1)を取り上げてみました。年式を考えればCARTUNEユーザーの数の多さも驚きです。それだけ高い人気を維持ししているわけですし、ユーズドカー市場の高騰もそれを裏付けています。
世界的な人気の高まりにより海外に流出する車輌も多く、23ウィンドウ・デラックスなどの貴重なグレードは目にすることも少なくなってしまいました。各地で空冷VWのイベントが開催されていますので、そういったイベントで是非、実車を確認してみてはいかがでしょうか。