2019年01月24日 (更新:2024年02月01日)
ロアアームってどんなパーツ?役割や交換工賃についても解説!
足回りで非常に重要な役割を持ちながら、あまりスポットライトが当たらないのがロアアーム。車体剛性や乗り心地、ハンドリングに至るまで、縁の下の力持ちのごとく大きな役割を果たすロアアームについて解説します。
ロアアームとは?
ロアアームとは、車の足回りを構成する骨組みのひとつです。ロアアームにはブレーキやハブが組み付いているナックルやサスペンションなどが接続されており、このロアアーム自体はメンバーと呼ばれるフレーム部分に取り付けられています。
ロアアームは路面からの衝撃をサスペンションへ伝えると同時に、加減速時の前後方向の力やコーナリング中の左右方向の力を受け止めています。足回りの部品の中でも、特に強度が要求される重要部品です。
ロアアームはいくつかのパーツで構成されている
ロアアームは足回りを構成する骨組みのひとつですが、ロアアーム自体もロアアームブッシュ、ロアボールジョイント、ロアボールジョイントブーツといったいくつかの部品で構成されています。
- ロアアーム本体(金属)
- ロアアームブッシュ(ゴム部品)
- ロアボールジョイント(金属の継ぎ手)
- ロアボールジョイントブーツ(ゴム部品)
ロアアームの交換が必要なとき
ロアアームの交換が必要となる原因は多岐に渡りますが、ブッシュの劣化やジョイントのガタなど、構成部品の劣化や損傷によるものが多くを占めます。また、縁石に乗り上げてしまった、側溝に落ちた、大きめの段差を越えて強い衝撃が加わったなど、ロアアーム本体や足回りに直接ダメージが加わったときも交換の必要性が生じます。
リコールで対策品へ交換となるケースも
ロアアームはタイヤや地面に近いため水分や融雪剤が付着しやすく、錆びによる腐食が理由で交換というケースもあります。
2024年1月にはトヨタの3車種(2019年12月〜2024年1月製造のヤリス、アクア、シエンタ)でロアアームの交換を必要とするリコールが発表されており、その内容は融雪剤が頻繁にかかると腐食して亀裂が生じるので、対策品へ交換するというものでした。
亀裂が入ったからといってすぐ走行不能になるわけではありませんが、錆びが進行して亀裂が広がっていくと、ロアアームが破断し走行不能となるおそれがあります。重要部品なだけに、オーナーはもちろん、中古車を検討している方は注意が必要です。
え!また!? しかも前回と同じロアアームかー😥 ロアアームだから、またノックスドール剥がさないとだし半日かかるなー🙄
ロアアームの部品代と交換工賃や費用
ロアアームは足回りの中でも大きめの部品で、特にフロントのロアアームはボールジョイントなどの構成部品を備えておりそれなりの値段になります。
国産車の新品のロアアームはおおよそ20,000円程度(両側)で、輸入車では50,000円以上になるものもあります。リビルト品であれば10,000円程度で入手可能です。
交換作業はフロント両側で2時間、車種によっては3時間程度となり、作業工賃は20,000円前後が平均的です。リアは両側1〜2時間程度で交換可能で、作業工賃も10,000円から15,000円前後となります。
作業内容 | ロアアーム交換 |
---|---|
作業時間 | 2時間 |
部品代 | ¥15,000~20,000 |
工賃 | ¥20,000~ |
ロアアームブッシュとは?
ロアアームブッシュとは、ロアアーム自体に組み付けられている硬めのゴムでできた部品です。ロアアームはボディフレームにブッシュを介して取り付けられており、ブッシュにはロアアームを正しい位置に保持しつつ、路面からの衝撃や前後左右方向から加わる力をマイルドに抑える役割があります。
また、ロアアームブッシュはハンドリング特性や乗り心地の味付けにおいて重要な部品です。自動車メーカーはブッシュのゴムの硬さや形状を工夫することで、ゴム特有のたわみを活かして上質な乗り心地やクイックなハンドリングを実現しています。
ロアアームブッシュの交換が必要なとき
経年劣化によってロアアームブッシュにひび割れや亀裂が生じると交換が必要となります。ブッシュにひび割れが発生するとロアアームがしっかりと保持されなくなるため、車が勝手に曲がっていく、ステアリングが震える、ゴツゴツとした振動や異音が聞こえるなどの症状があらわれます。
ロアアームブッシュは初度登録から7年から10年、走行距離でおおよそ7万キロから10万キロあたりでひび割れや亀裂が発生する傾向にあります。
ロアアームブッシュの部品代と交換工賃や費用
ロアアームブッシュはロアアームに強い圧力で圧入されており、多くの車種でブッシュのみの単体交換ができません。そのため、ロアアームブッシュが劣化したらロアアームをまるごと交換する必要があります。
交換に必要な費用は、ロアアーム交換と同様になります。
ロアボールジョイントとは?
ロアボールジョイントとは、ブレーキやハブが組み付いているステアリングナックルとロアアームをつなぐ部分に備わっている金属の継ぎ手のこと。このパーツはステアリングを左右に回すときの軸となる重要な役割を持ち、車検の際にはこのジョイントにガタがないか必ずチェックされます。
ロアボールジョイントの交換が必要なとき
ロアボールジョイントがサビてしまったり、摩耗によってガタが発生すると交換が必要です。ガタが発生すると、ステアリングの感触が操作にたいして曖昧な反応となったり、最悪の場合ジョイント部分が壊れて走行不能となります。
ロアボールジョイントの部品代と交換工賃や費用
ロアボールジョイントは、ロアアームブッシュと同じく多くの車種においてジョイントのみの単体交換ができません。そのため、ロアアームジョイントに異常がある場合はロアアームをまるごと交換する必要があります。
ジョイント単体で交換できる場合、国産車ならぶひんはおおよそ10,000円程度(両側)で入手可能。交換作業はフロント両側で2時間程度で、作業工賃は20,000円前後が平均的です。
作業内容 | ロアボールジョイント交換 |
---|---|
作業時間 | 2時間 |
部品代 | ¥10,000~ |
工賃 | ¥10,000~20,000 |
ロアボールジョイントブーツとは?
ロアボールジョイントブーツとは、ロアボールジョイントに被せてあるゴム製のカバーのこと。ロアボールジョイントには摩耗やサビを防ぎつつスムーズに動くよう多量のグリスが塗りこんであり、そこに覆い被さってグリスの漏れや乾きを防いでいるのがゴム製のロアアームブーツです。
ロアボールジョイントブーツの交換が必要なとき
ロアボールジョイントブーツにひび割れが発生し、中からグリスが漏れ出ている場合は交換が必要となります。ロアボールジョイントは走行には欠かせない重要部品の一つなので、亀裂が入っているのを見つけたら、迷わず交換しておきましょう。
ロアボールジョイントブーツの部品代と交換工賃や費用
ロアボールジョイントブーツは、ロアアームボールジョイントとナックルの締結部分を外すことで交換が可能です。車種によってこの部分を分解する手間が異なるため、工賃がかさむ可能性があります。
ブーツ自体は両側2,000円前後と安価で、交換にはおおよそ1時間ほどかかります。交換工賃は8,000円から10,000円程度です。
作業内容 | ロアボールジョイントブーツ交換 |
---|---|
作業時間 | 1時間 |
部品代 | ¥2,000~ |
工賃 | ¥8,000~10,000 |
ロアアームを交換したらアライメント調整も行う
ロアアームを交換すると、劣化してヘタっていたブッシュが新車時の状態に戻るため、ロアアームの位置が交換前から変化しタイヤの向きや傾き角度などが若干変化します。車が正しい姿勢で真っ直ぐ走行できるよう、ロアアーム交換後はアライメント測定と調整を行うようにしましょう。
ロアアーム交換でしなやかな走りを取り戻す
ロアアームはクルマの動きに重要な影響を及ぼす部品です。しかしながら、普段目に入らないため見落としがちな部品でもあります。乗り心地やハンドリングが悪くなってきたなと感じてきたら、ロアアームに関係する部分の不調かもしれません。タイヤ交換やサスペンションチューニングの際には、一緒にチェックをしてみましょう。