2023年08月23日 (更新:2024年03月01日)
アライメントとは?ホイールアライメント調整の必要性を徹底解説
車好きの中でもしっかりと意識している人が案外少ないホイールアライメント。車を気持ちよく走らせるのに重要なアライメントのあれこれを解説します。
アライメントとは4つのタイヤの整列ぐあいのこと
アライメントという単語には整列とか一列に並べたものなどの意味がありますが、自動車業界ではホイールアライメントのこと。具体的には4つのタイヤの整列ぐあいのことを指します。
「あークルマはまっすぐ走らなきゃいけないから、全部のタイヤが真っ直ぐ前を向いてるかどうかが大切だもんね〜!」と考えがちですが、実際のところ、車のアライメントはもう少し複雑です。
タイヤには微妙に角度がつけられている
車のタイヤは、どんな速度でも、荷物をたくさん積んだ状態でも、タイヤやサスペンションの性能をしっかりと引き出して思い通りの走行ができるよう、取り付け時に微妙に角度が与えられています。
ホイールアライメントの種類には次のようなものがあります。
- キャンバー
- トー
- キャスター
キャンバー
車を真正面から見たときのタイヤの傾きがキャンバー(キャンバー角)です。タイヤの上側が車体側へ傾いているハの字状態をネガティブキャンバー、タイヤの上側が車体から離れる方向へ傾いているV字状態をポジティブキャンバー、タイヤがどちらにも傾いていないローマ数字のIIの状態をニュートラルキャンバーといいます。
トー
車を真上から見たときのタイヤの向きがトー(トー角)です。左右のタイヤの位置関係が、進行方向にたいして内股の状態をトーインといい、ガニ股の状態をトーアウト、平行な状態をトーゼロといいます。
キャスター
車を真横から見た時のサスペンションの傾き※がキャスター(キャスター角)です。キャスターは上側が後ろへ傾いており、例を挙げると左前のキャスターは/のような角度になります。
※ストラット式サスペンションの場合
なぜアライメントを調整すべきなのか
代表的なアライメント項目には、上記の3つ(厳密にはその他にも)があります。これらがずれていると、次のような問題が発生します。
- ハンドリングの悪化
- 燃費の悪化
- 制動力の低下
ハンドリングの悪化
アライメントの狂いは操縦性能に大きな悪影響を与えます。各アライメントに左右差があるとそもそも車が真っ直ぐ進まなかったり、左右のカーブそれぞれで車が異なった動きをしてしまうことにも繋がります。
また、横滑り防止装置などのスタビリティ制御機能の誤作動につながる可能性もあります。
燃費の悪化
アライメントの狂いは燃費の悪化にもつながります。アライメントは燃費を含む車両のあらゆる性能を満たせるようセッティングされていますが、特にトー角の狂いはタイヤと路面の摩擦が必要以上に増加し、燃費の悪化とタイヤの急速な摩耗を引き起こします。
制動力の低下
例えばアライメントが狂って過度なキャンバー角がついている状態では、タイヤの接地面積が減り急制動時のグリップ力が低下します。
ブレーキ性能をしっかりと引き出すには、4つのタイヤに車重や必要な制動力を正しく分散し、それぞれのタイヤを確実にグリップさせることが重要です。
アライメント調整をすべきタイミング
- 車の動きがいつもと違うとき
- タイヤやホイールに強い衝撃が加わったとき
- 車高を変更したとき
- 過走行や古くなってきたとき
車の動きがいつもと違うとき
いつものように真っ直ぐ走らない、ステアリングが重たい、ステアリングの中心がズレたなどの時は、アライメント調整をオススメします。
もちろんアライメント以外の可能性も捨てきれませんが、どこかで無理にステアリングを切ったために足回りが歪んでいたなどの可能性があります。
タイヤやホイールに強い衝撃が加わったとき
縁石に乗り上げてしまったり、側溝などの大きめの段差へ落ちてしまったりしたときはアライメント調整を行いましょう。
脱出できたとしても足回りやタイヤホイールが歪んでしまっている可能性が高く、アライメント調整と同時に修理箇所がみえてきます。
車高を変更したとき
サスペンションを交換したりセッティングを変更すると、トー角やキャンバー角が変化します。
タイヤホイールのサイズ変更は問題ありませんが、サスペンションの調整や交換で車高が変化した時はアライメント調整を行いましょう。
過走行や古くなってきたとき
アライメントは、足回りに使用されているブッシュなどのゴム類が劣化することでも狂いが生じます。
ブッシュは走行距離や年数によって徐々にひび割れて弱くなっていくので、劣化したブッシュを交換するのと同時にアライメント調整を行いましょう。
アライメント調整を行う前にチェック
タイヤの空気圧
強い衝撃を加えていないのに車の動きがいつもと違うときは、まずタイヤの空気圧を確認してみましょう。空気圧が適正でないとアライメントが狂っている状態と似たような症状が出てきます。
同時に、タイヤホイールにどこかに擦ったような跡がないかもチェックしてみましょう。
ホイールナットが締まっているか
あってはならないことですが、なんだかふらつくという場合はホイールをとめているホイールナットが緩んでいることがあります。
アライメント調整を行う前に各ホイールのナットが緩んでいないか確認してみましょう。
おかしいなと思ったら点検を
ブッシュの劣化があるとはいえ、通常アライメントは大きく狂うものではありません。縁石に乗り上げた日からステアリングが真ん中からズレた、なんだか気づいたら右に寄っていってしまう、そんな症状はアライメント調整が必要なサイン。
タイヤの空気圧やホイールの歪みなどを点検しつつ、最寄りのカー用品店や車屋さんに相談してみましょう。