2018年12月18日 (更新:2022年10月11日)
エアロパーツを徹底解説!役割や 効果、エアロでカスタムしたい方必見!
エアロパーツは「改造パーツ」と捉われがちですが、単にエクステリアを変更してドレスアップするためのものではありません。車の周りを流れる空気の流れを整え、空気抵抗を減らすことで燃費の向上にも繋がるなど、さまざまな役割を担っています。今回はエアロパーツの種類やどのような効果があるのかを徹底解説していきます。
エアロパーツとは?その役割を
エアロの語源はラテン語の「aero」を英語読みすることで「エアロ」と言われるようになりました。aeroを日本語に訳すと「空気・空中」といった意味がありますが車の部品であるエアロパーツは、走行時に「空気」の流れを変えることにより空気抵抗を減らし、走行性能向上に役立っているのです。
車のフロントスポイラー、リアスポイラー、ディフューザー、ウイングなどのエアロパーツ。そもそも何のためにエアロパーツは各メーカーで開発されているのでしょうか?エアロの主な効果は以下の5つ。
- 空気の流れを整えて空気抵抗を減らす
- 揚力を抑えて操作性を向上させる
- 冷却性能を上げる
- パーツ素材を変更することによる軽量化
- ドレスアップ
1. 空気の流れを整えて空気抵抗を減らす
空気抵抗とは前方から受ける空気の力のことです。「空気抵抗による影響は80km/h程度から無視できなくなり、以降速度の2乗に比例して大きくなる。つまり速度が2倍で4倍に、3倍では9倍になる。」このように、レーシングカーも市販車も、空気抵抗によるパワーのロスは無視できません。そのため一般的には前方からの空気抵抗を少なくするには車高を低くしたり、車体を流線型にします。
2. 揚力を抑えて操作性を向上させる
揚力とは、空気が車体を上方に浮かせようとする力のことです。この力は空気抵抗の大きさと関係します。「空気抵抗の小さいボディは、横から見ると飛行機の主翼のような形状になっていることが多い。このようなボディは上部を流れる空気が下部よりも速くなり、ボディを上方に浮かせようとする力=揚力が発生してしまうという問題が生じる。」車体が上方に浮き上がってしまうと、タイヤのグリップが問題になります。揚力が発生すると、荷重の値が小さくなるので、タイヤのグリップも落ちてしまいます。
それを防ぐためには、車体を下方に抑える空気の力が必要になってきます。この力をダウンフォースと呼びます。ダウンフォースを発生させる方法はいくつかあります。代表的なものはGTウィングやカナードによるものです。これらは、板を傾けることで、空気を当て、その圧力で車体を下方に抑えるものです。
もう一つはベルヌーイの定理を応用したものです。先ほど上記に記述したように、上部を流れる空気が下部よりも速くなると、揚力が発生します。これは上部の流速が下部よりも速く、上部にかかる圧力が下部よりも小さくなっているためです。逆に車体下部の流速を上部よりも速くすると、車体下部には負圧が発生し、車を下方に抑えつけてくれます。デフューザーなどが代表例です。
3. 冷却性能を上げる
また別の呼び方では「空力的付加物」といいエアロパーツは、空気抵抗を低減させ、燃費を向上させるほか、揚力を減らすことでダウンフォースを稼ぎ、操縦性を上げることもできるのです。
さらに新鮮な外部からの空気を取り込みやすくして、エンジンルーム内などに発生する熱を効率的に排出しています。
4. パーツ素材を変更することによる軽量化
ボディ素材が鉄の場合、それをアルミ、FPR、カーボンなどを使用したエアロパーツを装着することでボディが軽量化し、燃費性能に優れることはもちろんのこと、走行性能を上げることも可能にしています。
5. ドレスアップ
エアロパーツで走りを変える
風を利用して運動性能UP!
最新の車を見ると、ボディ形状が複雑になっていることが分かります。最近では流線型の車が増えていますし、エアロダイナミクスを意識させるパーツが増えています。純正品であっても見た目がダイナミックなパーツが多いですが、それらのパーツはエクステリアを意識しただけのものではありません。パーツを装着することで、空気の流れを整える「整流効果」を得ることができるためです。
整流効果によるメリットは、走行性能の向上が挙げられます。車に向かってくる風がうまく後方に流れていけば、車体にかかる抵抗が少なくなるため、運動性能がアップするのです。車にぶつかる空気は目に見えませんが、実は車体の後ろではいくつもの空気渦が発生しており、高速走行時に車体が安定しにくくなっているのです。
エアロパーツを装着すると空気抵抗が大きくなるように見えますが、場合によっては直線でのスピード向上させます。エアロからはダウンフォースといって、空気の流れを利用して作り出す、車体を地面方向に押し付ける力が働いており、このダウンフォースで運動性能が上げることもできるのです。
空気抵抗を減らす!
先ほどは風を利用すると安全性能がアップするとお伝えしましたが、空気抵抗を減らすことで燃費向上などのメリットも生まれます。整流効果により車体にかかる抵抗が少なくなるということは車がスムーズに走行できる分、とくにフルエアロの場合は燃費が向上するのです。
エアロパーツを装着することで運動性能向上の実感は感じにくいとしても、燃費が向上しているのは燃費計を見ることで実感が得られるでしょう。このようにエアロパーツを装着することで、運動性能を向上させます。それに加えて燃費性能も向上するなど、エアロパーツ装着にはたくさんのメリットがあるとお分かりいただけるでしょう。
ただしこれらは整流効果などが加味されて制作されたエアロパーツに限ります。見た目重視のエアロパーツに上記のような効果はありません。見た目で楽しみましょう。
エアロパーツのCD値って何?
空力の話をするときに見かける「cd値」という言葉。cdは「空気抵抗係数」のことをいい、この係数は車の空気抵抗を計算するときに用いられます。
このcd値は、車のボディ形状や構造によってさまざまです。例えばバンとスポーツカーを比較すると、バンのような四角い形状よりもスポーツタイプのような流線形のほうが空気抵抗が少ないため、後者の方がcd値は小さくなります。
現代では、車をコンピュータ上で模擬走行させ、速度によってどれくらいのcd値が得られるのかを算出しています。
ただ、実際に車が走るのはコンピュータのような人工的な環境ではなく自然環境なので、さまざまな走行環境を考えて車の形状を考えなければいけません。空力は簡単なものではなく奥が深いのです。
エアロパーツでドレスアップ
エアロパーツの種類
エアロパーツといっても、その種類はさまざまですので、具体的にどのようなエアロパーツがあるのか見ていきましょう。
フロントバンパースポイラー
フロントバンパースポイラーとはバンパーとスポイラーが一体となったエアロパーツを指します。ハーフスポイラーやリップスポイラーを後付するのとは違い、バンパーまるごと成型されているため、リップスポイラーが外れたりなどのリスクが減り、一体成型のため強度も強く一体感があるため費用は高くなるものの最もおすすめのフロント向けエアロパーツになります。
ハーフスポイラー
純正のバンパーをそのまま利用しリップ全体を覆うようなスポイラーをフロントハーフスポイラーと言います。バンパー全体の交換はかなり大掛かりな作業が必要となりますが、ハーフスポイラーの場合は純正を活かしながら最大限スポイラーを効果的に取り付けられるので、費用対効果を考えた場合オススメのエアロパーツとなります。
フロントアンダースポイラー /リップスポイラー
リップスポイラー装着前
リップスポイラーはバンパーの先端(リップ)部分に取り付けるスポイラーになります。フロントに取り付けるスポイラーとしては最も小さめなスポイラーとなりますが、数センチ車高が下がるだけでも
カナード
フロントバンパー両サイドに装着されているのが「カナード」。ホイールハウス内の空気を引く抜く役割を果たしています。タイヤハウス内に空気が溜まると、高速走行時に車体を浮き上がらせる方向に空気の力がはたらく「リフトフォース」が生じるため、走行が不安定になるのです。カナードは安定した走行をするための効果が得られます。
リアウイング・GTウイング
スポーツカーやレーシングカーなどに装着されているリアウイングは、前端の下端は薄くなっており、中央に厚みがあるデザインが多く、強いダウンフォースを生み出しています。ただ保安基準に厳しい形状規制があるため注意が必要です。
ダックテールスポイラー
ダックテールスポイラーはトランク上部に装着するスポイラーでトランクの高圧ゾーンを増やし、スピード時のリアエンドのダウンフォースを増加させます。 また、リアウイングとの組み合わせも可能でリアダウンフォースを大幅に向上することが出来ます。
サイドアンダースポイラー
車体のサイドから、車体の下に流れる空気を防ぎ、より効率よく空気が後方へ流れる整流効果が発揮できます。サイドアンダースポイラーを装着することで、車高が低く見えることで、カスタマイズ効果は十分に得られます。
オーバーフェンダー
オーバーフェンダーは、フェンダーを加工したりアウトレットダクトを装着することで、ダクト内を通ってきた風を効果的に抜くことができます。フロントフェンダー内の空気をフェンダー上部へ出し、フロントダウンフォースを発生させることが可能です。さらにブレーキの冷却にも役立ちます。
フロントディフューザー
ディフューザーは、車体の下に入った空気を整流するパーツです。アンダーパネルともいわれるフロントディフューザーは、車体の下の空気をスムーズに流してくれます。
時速100km/hで走行しても、時速70km/h以下のスピードにしか感じないほど安定感があるのです。フロント部分に装着するものですので、取り付ける場合はしっかりと固定する必要があります。
センターディフューザー
センターディフューザーは、車の中央部に装着されるディフューザーですが、センターディフューザー単体でみると、ダウンフォースはほとんど発生していません。しかしセンターディフューザーは、フロントディフューザーからリアディフューザーへ空気を送るための重要な役割を果たしているのです。センターディフューザーがあるからこそ、リアディフューザーの効力が発揮できます。
リアディフューザー
リアディフューザーは、フロントから入ってきた空気を抜く役割をしており、車体の下に流れ込んできた空気をさらに加速させる効力をもっています。空気を加速させるということは、車体下にさらなる負圧を生み出しますので、ダウンフォースが得られるのです。
リアの空気の流れが良いということは、フロントから入ってくる空気をどんどん流すことが可能になります。このようにディフューザーは、車体の下に入った空気をスムーズに流す効果があるのです。
グランドエフェクター
このパーツは車の底部分に装着されるもので、車体下の空気をサイドへ綺麗に流す役割を果たします。車体下の空気が流れやすくなることで、その流れに引っ張られ、ダウンフォースが発生します。空気の流れは広いところから狭いところへ入ったときに速度を増すため、これの装着に合わせて車高を下げることでより効果を高めることができます。
CARTUNEユーザーのカスタム紹介
まとめ
今回はエアロパーツにはどのような効果があるのかを徹底解説していきました。エアロパーツは、エクステリアのドレスアップをしているだけというイメージを持たれてる方が多いですが、単にドレスアップをしているだけではないことがお分かりいただけましたでしょうか。スポーツカーほど、リアウイングなどを装着していることが多いのは、整流効果を図っており、より運動性能や燃費性能の向上をねらっているのです。
エアロパーツといっても、さまざまなパーツがありますので、記事をお読みになって、それぞれのパーツにはどのような役割があり、どのような効果があるのかを知ってください。合わせてさまざまなカスタマイズ例を掲載していますので参考にしましょう。今回の記事を熟読なさって、あなたの車もエアロを装着してカスタマイズしてみてください。