2021年11月07日 (更新:2021年11月12日)
車のエアコンが効かない!冷えない原因と修理費用を徹底解説
春から夏への季節の変わり目にもっとも多いのがエアコンのトラブル。去年よりも冷えが悪い、全く冷えないなど、一体どんな原因が考えられるのでしょうか。プロが修理費用の概算とともに徹底解説します。
エアコンの設定を間違えていないか
車のエアコンから冷えた空気が出てこない時や冷えが悪いときは、まずエアコンの設定や状態が正常かを確認ましょう。チェックすべきなのは以下の5点です。
- A/CスイッチがONになっているか
- 温度設定は適切か
- 内気循環になっているか
- 吸気口を塞いでいないか
- 車内が高温になっていないか
A/CスイッチがONになっているか
まず一番に確認しないといけないのがA/Cスイッチです。これがONになっていないとエアコンコンプレッサーが作動しないため、家庭用エアコンでいう”送風モード”になってしまいます。ONにすると、正常であればエンジンルーム内のエアコンコンプレッサーから「カチッ」っと音が鳴り、ONにして30秒程度で冷えた空気が出てくるようになります。音が鳴らない場合はエアコンのヒューズが切れていないかチェックしましょう。
温度設定は適切か
次に、温度設定を確認しましょう。仮に車内気温が27℃である場合、26℃などの近い温度に設定しても冷えた空気はほとんど出てきません。目安としては車内温度より3℃程度低い温度に設定することでひんやりとした空気を体感できます。
内気循環になっているか
車のエアコンは、使用する空気の取り込み方を外気導入と内気循環で選択できるようになっています。外気導入は文字通り外の空気を取り込んで車内へ、内気循環は車内の空気を取り込んで再び車内へと流します。(画像は外気導入。)
エアコン(クーラー)をもっとも効率よく効かせるなら、選ぶべきは内気循環。外気導入は車外の高い気温の空気を取り込んで冷やすのに対し、内気循環はクーラーで冷えてつつある車内の空気を取り込んで再び冷やして流すため、外気導入と比較して効率が良くなります。冷えが悪い場合は、内気循環の設定になっているかを確認してみましょう。
内気循環は定期的な換気を
内気循環の場合は、車外からの空気を取り込みません。そのため、時間が経つにつれ人間の呼吸によって車内の酸素濃度が下がり、二酸化炭素濃度が上昇していきます。眠気をふせぐため定期的に換気を行ったり、車内が冷えたら外気導入に切り替えるようにしましょう。
吸気口を塞いでいないか
車のエアコンの内気循環モードでは、車内の空気を助手席の足元上あたりの取り込み口から吸入します。ごく稀に、この吸気口をカバンなどで塞いでしまっており、空気が吸えなくなっているケースがあります。エアコンの効きが悪い、風が弱い場合は助手席足元の荷物をどかしてチェックしてみましょう。
車内が高温になっていないか
先述のとおり、車のエアコンは車内の空気を取り込む内気循環にすることで冷却効率を高めることができます。しかし、車内の空気温度が高い場合、すぐに冷たい空気が出てこない場合があります。真夏は、まずドアや窓を開けて30秒ほど換気して車内温度を下げてからエアコンを使用するようにしましょう。
これらを行っても冷えた空気が出てこない場合は、エアコンシステムのなんらかの故障が考えられます。
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エアコンが冷えなくなる原因
エアコンが冷えない原因や故障、エアコンのトラブルには次のようなものがあります。
- エアコンヒューズの切れ
- エアコンリレーの不良
- エアコンフィルターの詰まり
- エアコンガス配管の詰まり
- エアコンガスの抜け
- エアコンベルトの切れ
- コンプレッサーの故障
- コンデンサーファンの故障
- ブロアファンの故障
エアコンヒューズの切れ
エアコンシステムのヒューズが切れてしまっていて、電気が流れなくなってしまっているケースです。家庭用エアコンで例えると、エアコンのブレーカーが上がってしまっているような状態となります。
車には部品が故障した時に大電流が流れないよう、ヒューズというブレーカーのような部品が備わっています。車両火災や部品の焼損を防ぐ重要部品です。これが経年劣化で切れてしまうと、エアコンコンプレッサーが動かず冷やすことができません。
A/CスイッチをONにしてもエンジンルーム内のエアコンコンプレッサーから「カチッ」っと音が聞こえない場合は、エアコンのヒューズが切れていないかチェックしましょう。エンジンルームないのヒューズボックスを開けてA/Cと記載のあるエアコン用ヒューズを抜き、切れていたら同じアンペアのヒューズと交換します。作業自体は簡単ですが、慣れていない場合は無理に触れず車屋さんに相談しましょう。
ヒューズが切れる根本原因は何か
ヒューズ切れにはヒューズ自体の劣化によるものもありますが、経年劣化によってヒューズが切れるのはごく稀で、通常は電装系のどこかに不具合があり過電流が流れた場合がほとんどです。ヒューズを交換してもその場ですぐに切れたり、一週間以内に再び切れたりする場合は車屋さんで詳しくみてもらいましょう。
エアコンヒューズ切れの修理工賃や修理費用
エアコンヒューズが切れていた場合の修理工賃や修理費用は、およそ次のようになります。ヒューズ切れの原因が別にある場合は、費用が高額になることがあります。
- ヒューズ交換のみの場合:500~2,000円(工賃+部品代)
- ヒューズ切れの根本原因がある場合:故障内容によって異なる
エアコンリレーの不良
エアコンスイッチとエアコンコンプレッサーをつなぐリレーが壊れてしまい、スイッチ操作がエアコンシステムへ伝わっていないケースです。家庭用エアコンではあまり発生しません。
車にはリレーと呼ばれる電装部品が備わっています。リレーは文字通り部品と部品をつなぐ役割をするもので、エンジンルーム内の大電流を必要とする部品をリレーを介して車内のスイッチで操作することで、車内に直接大電流を引き込まなくても良い仕組みになっています。
このリレーが壊れると、手元でA/CスイッチをONにしてもそれがエアコンコンプレッサーまで伝わらずエアコンコンプレッサーが作動しません。ですが、このエアコンリレーの修理は簡単で壊れたリレーを新品に交換するだけ。A/CスイッチをONにしてもエアコンコンプレッサーから「カチッ」っと音が聞こえなかった、だけどヒューズも切れていなかった…。そんな時は、このエアコンリレー交換で直る可能性があります。
エアコンリレー不良の修理工賃や修理費用
エアコンリレーが不良の場合の修理工賃や修理費用は、およそ次のようになります。
- エアコンリレーの交換:1,000~3,000円(工賃+部品代)
エアコンガス配管の詰まり
エアコンガスが通る配管や細やかなバルブ部分が詰まってしまい、冷えなくなってしまっているケースです。家庭用エアコンではあまり発生しません。
家庭用エアコンと違い、車のエアコンは数年に一度エアコンガス自体を交換することがあります。その時に微量のチリやホコリがエアコンガスラインに入ってしまうと、それが配管各部を詰まらせてしまう原因となります。また、エアコンシステム内にある乾燥剤が破裂して詰まりを引き起こすケースもあり、修理にはエアコンガス配管の清掃や乾燥剤の交換が必要となります。よくある事例としては、エキスパンションバルブの詰まりが挙げられます。
エアコンガス配管の詰まりの修理工賃や修理費用
エアコンガス配管に詰まりがある場合の修理工賃や修理費用は、およそ次のようになります。エキスパンションバルブは入り組んだところにあることが多く、周囲の部品の脱着によって工賃がかさみがちです。また、清掃を行っても必ず直るという保証はありません。
- エキスパンションバルブの交換:20,000〜40,000円(工賃+部品代)
- エアコンラインの清掃のみ:15,000〜30,000円(工賃+洗浄剤など)
エアコンガスの抜け
エアコンシステムに使用するエアコンガス(冷媒)が漏れ出し、冷却効率が下がってしまっているケースです。家庭用エアコンではあまり発生しません。
車のエアコンは家庭用エアコン同様多数の部品で構成されていますが、走行中の熱や振動など家庭用と比較するとはるかに過酷な環境下におかれています。そのため部品に不具合が発生する可能性が高くなります。エアコンガスの抜けの原因には、ゴムホースの劣化による割れやゴムパッキンの痩せ、エアコンコンプレッサー自体の故障などが考えられます。
エアコンガス補充はオススメできない
エアコンガスは抜けてしまうこと自体が異常ですが、漏れる量が微量の場合はエアコンガスの補充のみで乗り切るドライバーが多いのも事実。しかしこれでは根本的な解決にはならず、補充することで圧力が増し漏れが悪化する可能性もあります。今後も長く乗っていく車であれば早めにしっかりと修理しましょう。
エアコンガスの抜けの修理工賃や修理費用
エアコンガスが抜けている場合の修理工賃や修理費用は、およそ次のようになります。
- エアコンガスの補充のみ:2,000円〜(工賃+ガス代。重点する量によってガス代が増額)
- ガス抜けの根本原因がある場合:故障内容によって異なる
エアコンフィルターの詰まり
エアコン自体は正常だが、空気がうまく流れなくなっているというケースです。家庭用エアコンで例えると、フィルターがホコリで詰まってしまっているのと同じ状態となります。
車のエアコンにも家庭用と同様フィルターが備わっており、エアコンを使用しているうちにホコリで徐々に詰まっていきます。詰まってしまうと空気の流れが悪くなってしまうため、冷えた空気が車内へ到達しにくくなります。このフィルターは冷暖房共通のため、暖房しか使用していないという方も要注意。定期的に点検し清掃や交換が必要です。
エアコンフィルターの詰まりの修理工賃や修理費用
エアコンフィルターの詰まりの場合の修理工賃や修理費用は、およそ次のようになります。エアコンフィルターは安価なため清掃で済ませることは少なく、ほとんどの場合が交換となります。カビなどでにおいが発生しやすいため、思い切って交換してしまいましょう。
- エアコンフィルター清掃:0〜1,500円
- エアコンフィルター交換:2,000〜5,000円(工賃+部品代)
エアコンベルトの切れ
エアコンコンプレッサーとエンジンを繋いでいるベルトが切れてしまい、エアコンコンプレッサーが動いていないというケースです。家庭用エアコンで例えると、室外機の電源線が切れていて室外機が動いていないという状態です。
エアコンベルトが切れてしまっていると、何をしても常に送風モードとなり空気が冷えることはありません。エアコンベルトが切れてしまっているかどうかは、ボンネットを開けエアコンコンプレッサーにベルトがかかっているかどうかを見て判断が可能です。あまり多く発生するトラブルではありませんが、切れてしまっている場合は新品に交換しましょう。エアコンベルトが緩んでいるだけというケースもあり、この場合はA/CスイッチをONにしてエアコンをかけるとキュルキュルと音が鳴ることがあります。
ベルト切れの根本原因は何か
ベルト切れの場合、ベルトの交換と同時にベルトが切れた根本原因の究明が必要です。古い車はベルトの劣化による切れが考えられますが、新しい車や走行距離の少ない車は根本原因が別にある可能性が高いといえます。
ベルト切れの根本原因の例としてはベルトの張りすぎやネズミによるかじり、プーリーの割れや欠け、エアコンコンプレッサー内部のベアリング破損によるプーリーの軸ズレなどがあり、後者の場合はコンプレッサー交換などの高額修理となる場合があります。
エアコンベルト切れの修理工賃や修理費用
エアコンベルト切れの場合の修理工賃や修理費用は、およそ次のようになります。エアコンベルトの切れの根本原因が別にある場合は、内容によって費用が異なります。エアコンベルトの緩みの場合は、張りを調整するだけで直ることがあります。
- ベルトの緩みの場合:0〜1,000円
- ベルト交換のみの場合:2,000〜5,000円(工賃+部品代)
- ベルト切れの根本原因がある場合:故障内容によって異なる
コンデンサーファンモーターの故障
エアコンガスを冷やすためのファンが故障してしまい、ガスを冷やすことができくなってしまうケースです。家庭用エアコンで例えると、室外機についている扇風機のような大きなファンが回らなくなってしまっている状態です。
車内の熱を吸収したエアコンガスは、コンデンサーと呼ばれる部品に入り回転するファンの風によって冷却されます。このファンが回らないと、ガスが冷却されずエアコンが冷えにくい状態となります。走行中は走行風によってガスが冷やされるため、走行中は冷えるが停車中はぬるい…こんな症状はこのファンの欠けや緩み、モーターの故障が考えられます。
コンデンサーファンの修理工賃や修理費用
コンデンサーファン故障の場合の修理工賃や修理費用は、およそ次のようになります。ファン周り一式ではなくモーターのみ交換できるようになっている場合、部品代が抑えられる可能性があります。
- コンデンサーファン交換:30,000円〜(工賃+部品代)
ブロアファンの故障
エアコンの風を生み出しているブロアファンが故障してしまい、風が出てこないケースです。家庭用エアコンで例えると、稼働させても風が全く出ない状態です。
エアコンの操作パネルで風量を操作すると風の強さが変わりますが、この風を生み出しているのが、車内助手席足元付近に搭載されているブロアファンです。このファンは冷暖房共用で年間を通して稼働時間が長いため、発生する可能性の高い故障のひとつ。軸のベアリングの摩耗によって軸がずれ、周囲と擦れてシャッシャッっという音が鳴ったり、モーターの寿命によって全く回らなくなってしまったりします。
ブロアファンの修理工賃や修理費用
ブロアファンの故障の場合の修理工賃や修理費用は、およそ次のようになります。ブロアファンは車種によっては非常に入り組んだ場所にあるため、工賃が高額になる可能性があります。また、部品自体も他の部品と一体型になっている可能性があります。
- ブロアファン交換:25,000〜50,000円(工賃+部品代)
カーエアコンのトラブルは多岐にわたる
エアコンは多くの部品で構成されており、ただエアコンの風がぬるくなったといえどこれだけの故障ケースが考えられます。もしクーラーが効かなくなったら、どんな状況でどうなったのかをできる限り覚えておくことで修理がスムーズに進みます。場合によっては高額となるケースもありますが、快適な夏のドライブを楽しむためにしっかり修理しましょう。
カーエアコンを壊さないためにできること
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