2019年06月24日 (更新:2022年08月17日)
カーポートを DIYで設置することは可能か?
敷地にカーポートがある邸宅を見て、うらやましいと思ったことはないでししょうか。しかし、いざカタログなどを見てもカーポートは高額である場合が多く、あきらめてきた方も多いはず。そこで考えらえるのがカーポートのDIYです。今回は、カーポートのDIYは果たして可能なのかどうか解説していきます。
カーポートの基本情報
カーポートとは
カーポートとは、家の敷地に設置される簡易的な車庫のこと。住宅とは切り離して隣接されることがほとんどであり、扉や壁などがないので開放的なのが特徴です。
日本においては15平方メートル以下の小規模なカーポートが多く、雨や太陽光の紫外線による塗装皮膜の劣化などを防ぐ効果があります。
ちなみに、史上初のカーポート付き邸宅は、1910年のアメリカ・イリノイ州のエルムハーストに建設されたW.B.スローン邸でした。
カーポートの種類
カーポートにはさまざまなデザインや構造がありますが、屋根の支持方法によりいくつかの種類に分けることができます。
片側支持タイプ
屋根を片側の柱で支えるタイプのカーポートです。他のタイプよりも柱が邪魔になりにくく、敷地が狭くても設置しやすいメリットがあります。
両側支持タイプ
屋根を両側から支えるシンメトリーのデザインにより、安定感のあるカーポートです。複数台用など広いカーポートを作ることができます。
Y合掌タイプ
片側支持タイプのカーポートを部材で接続し、背中合わせで設置するタイプです。サイズが違っても組み合わせ可能なので、出入り口サイズの調整が容易にできてしまいます。
M合掌タイプ
片側支持タイプを、向かい合わせで設置して部材で接続するタイプです。カーポートの種類の中で、最も開放感があります。
片側上吊りタイプ
屋根を柱の上部から吊ることで支えるタイプ。普通の片側支持タイプとは違い、クルマへの乗降時に柱が気にならないすっきりとしたスタイルが特徴です。
後方支持タイプ
これまで紹介したカーポートとは違い、屋根を支える支柱が後方に設置されたタイプです。クルマが出し入れしやすいだけではなく、柱が邪魔をすることがないため車椅子などの使用も楽に行うことが可能です。
ガレージとの違い
周囲が囲われているか・いないのか
まず、停めたクルマの外周を全て囲うことができるか、できないかという点。ガレージはシャッターを閉じることにより全体を囲うことができますが、カーポートは柱と屋根だけの構造であるため、囲われていません。
もちろん、カーポートでもサイドパネルなどを設置することにより囲いを増やすことは可能ですが、クルマの出入り口にシャッターなどを取り付けて囲うことは基本的にできません。
工事費の違い
また、工事費の違いがあります。ガレージは、カーポートに比べると工事費が高額になります。これは「基礎工事」と「土間打ち工事」が必要になるため。
カーポートは、柱を埋め込んで固定した上で屋根を組付けますが、ガレージは本体を組む前に土地の「基礎工事」が必要になります。そのため、ガレージのサイズに応じて価格は高額になっていきます。さらに、ガレージ内部の床はコンクリートを打つ場合がほとんど。基礎工事と土間コンクリート工事は別の工程になるので、ここでも値段が上がることになります。
課税の対象になる・ならない
最後が、「固定資産税」の対象になるか、ならないかということ。
カーポートは固定資産税の対象にならないのに対して、ガレージは固定資産税の対象になるという違いがあります。これは、ガレージが3面以上囲われている「建物」であると見なされるためです。ただし、これは各地域の行政の判断によるところも大きいため、設置したい場合は事前に確認を取っておいた方がいいかもしれません。
DIYのカーポート設置作業の全体的な流れ
メーカー製か?代用して自作するのか?
まず、前提としてカーポートの自作用キットは販売されていません。そのため、カーポートをDIYする場合は、一般的に住宅に設置されているようなメーカー製のカーポートと部品で取り寄せるか、その他の部材で代用して製作するかの2択になります。
前者はメーカー製の製品ですから、それなりの値段になることを覚悟しなければなりません。さらに、本体と屋根材の製造元が別々である場合は素人だと取り寄せること自体が難しかったり、スチール製の屋根材などは重量もあり危険なことも多いのが現実です。
DIYは、「自分でやって値段を安く抑えよう」というのが目的ですから、必然的に後者を選択することになるのではないでしょうか。
➊DIYに必要な部材を揃える
カーポートをDIYする時に必要になる基本的な部材は以下のようなものです。
- 単管パイプ
- ビニールシート
- フェンスの基礎石
- ドライ生コン
- クランプ(直交/自在/三連)
- ボンジョイント
- 紐
以上のものは、ほとんどがホームセンターにて購入することが出来ます。まず、単管パイプはカーポートの骨組みとなるもの。安くて簡単に組み立てられるメリットがあります。さらに、ビニールシートは屋根になります。長期間、雨ざらしになっていても劣化しにくいものを選ぶのがベター。
フェンスの基礎石は単管パイプの基礎になります。想定する支柱の本数に合わせて購入しましょう。その基礎石に通した単管パイプを固定するのがドライ生コンです。目安として、3か所パイプを固定したいのなら、20kgほどあれば十分です。
クランプとボンジョイントは、単管パイプを組み立てるための金属部材。最後の紐は、ビニールシートを固定するためのものです。
ここから、カーポートをDIYする手順を見ていきましょう。
➋支柱を立てる
まず、敷地内に屋根を支えるための支柱を設置する基礎石を埋めましょう。掘った穴に、基礎石を2/3以上埋め込みましょう。その基礎石の中に単管パイプを入れ、コンクリートで固定します。この時、埋めたパイプが垂直になるように調整してください。
コンクリートが完全に固まるのを待って、最初に立てた単管パイプにボンジョイントをつなぎ目としてパイプを差込み立てていきます。ある程度、クルマの出入りに邪魔にならない高さまで伸ばすことが出来たら支柱は完成です。
➌屋根の骨組みを作る
購入しておいたクランプを使用して、屋根となる部分を単管パイプで製作します。骨組みが出来たら支柱に固定するのですが、このままではカーポートに必要な「強度」が足りないので、支柱と屋根が交わる部分に筋交いで補強を入れていきます。そうすることで、ちょっとやそっとの風などでは倒れない強度をもたせることができます。
➍屋根となるシートを張る
シートに開けられた金属製の穴に紐を通して、屋根に張り込んでいきます。この時に、シートが完全に平行だと雨水がたまってしまうことになるので、どこか一部分だけ低めに貼っておくといいでしょう。
後は、シートが風で飛ばされないように骨組みにしっかり固定すれば完成となります。
DIYでカーポートを作るとどれくらいに抑えることができるか
見た目や性能はともかく、前述したような部材を揃えるだけであれば25,000円ほどで済んでしまいます。メーカー製のモノを購入して作ろうとすれば部品代プラス工賃で100,000円~ほどかかってしまうことがほとんど。DIYでは、工賃は一切かかりませんからかなり値段を抑えて作ることができるのです。
まとめ
「カーポート」という言葉が使われだしたのは1930年代に入ってからのこと。それ以来、カーポートはアメリカを中心に広がりを見せ、日本でも2018年時点で460億円の市場規模を持つ、需要の高い設備になっています。雨天でも乗降が楽になったり、冬にフロントガラスの凍結を予防できたりと、メリットも多いカーポートは業者に頼らずとも作ることができます。この機会に、カーポートのDIYにチャレンジしてみませんか?