2019年06月03日 (更新:2020年08月04日)
老舗自動車メーカーダイハツの歴史とエンブレム
ダイハツといえば軽自動車のイメージが強いですが、「ミゼット」や「コペン」のようにデザイン性の高い車を生み出す、他に類をみないメーカーといえます。「ミゼットⅡ」は残念ながら2001年に生産を終えていますが、「コペン」は現在も限定モデルの組み立てを手作業で行うという徹底したこだわりがうかがえます。スモールカーだけではないダイハツの魅力を歴史と共に振り返ってみましょう。
ダイハツの歴史
ダイハツは日本で一番長い歴史を持つ自動車メーカーです。1907年に「発動機製造株式会社」として創設。現大阪大学の研究者が中心メンバーとなりガス発動機の製造を手掛けていました。
当時、日本の発動機は輸入に頼っていたため国産の発動機を初めて開発し、日本の産業発展を築いたのです。他社との差別化を図った顧客たちの間で「大阪の発動機」と呼ばれるようになり、短縮され「大発」から「ダイハツ」になったといわれています。「ダイハツ工業株式会社」へと社名変更されたのは1951年のことです。
自動車メーカーへの第一歩
ガス発動機に始まりディーゼルエンジンの開発や鉄道車両機器の製造まで幅広く手掛けることになります。1930年には小型4サイクル空冷単気筒サイドバルブのガソリンエンジンを搭載したオート三輪「ダイハツ号HA型」の開発に成功し、現「マツダ」である「東洋工業」とオート三輪の覇権を争うほどの成長をみせます。
ダイハツを代表する車種
- ダイハツ1号車三輪自動車「HA型」
輸入オートバイ用エンジンをそのまま三輪車に搭載しています。操作性や安定性、旋回性能はあまり良くなかったようですが、ここからダイハツの歴史がスタートしました。
- 三輪自動車「ミゼット」
軽自動車規格の三輪自動車で、名前の「ミゼット」は英語で超小型のものという意味から、小型な車という想いが込められています。合理的で簡易性も高いミゼットはオート三輪の中でも人気が高いものでした。
- ハイゼット
1960年に発売以来、現在も続いているロングセラー。ダイハツ初の軽四輪です。初代は乗用車に近いモデルでしたが、2代目以降で現在に近いモデルへと変更されています。積載性があり、充実した装備で現在も人気の高い一台です。
- コンバーノ
モノコックボディが浸透する中で、あえてハイゼット用の梯子型フレームを採用。OHV800cc、41馬力で最高速度は110㎞/hでした。時代に先行していたのは、ギアボックスで4速フルシンクロでフロアシフトも選択することができます。また日本で初めて機械式インジェクションを搭載した車でもあります。
- シャレード
キャッチコピーは「5平米カー」。全長3,460㎜、全幅1510㎜とコンパクトな作りは5㎡以内に収まることを前面に押し出しています。FFレイアウトのハッチバック、3気筒の横置きエンジンです。燃費の良さから国内外でエコノミーランに参加し好成績を残す実績があります。
- ミラ
1980年から販売が開始され、現在でも派生形の「ミライース」や「ミラトコット」などの「ミラシリーズ」モデルが販売されている息の長い車です。1991年には国内通年最多販売を記録するなど人気車種といえるでしょう。
モータースポーツ参戦の歴史
1965年に「コンパーノ・スパイダー」でモータースポーツデビューを果たして以降、日本グランプリGP-1クラスでの優勝もありましたが、その後はサーキットからラリーへと活動の場を変えていきます。
1981年シャレードでラリー・モンテカルロに参戦しクラス優勝を果たす実績も残しました。数々の受賞を果たし、積極的にモータースポーツに参戦していましたが、2009年に経済的負担などの理由によりモータースポーツから撤退を表明し、その後は一切の活動を行ってはいません。
現在ダイハツのカスタマイズブランドとして「D-SPORT」があります。直接的な資本関係はありませんがディーラーでも唯一商品を取り扱っており、DRS(ダイハツ・レーシング・サービス)の名前で競技者用のパーツを販売しています。
ダイハツの特徴
グループ理念の「世界一のスモールカーづくりが私たちの挑戦(チャレンジ)です」にあるように、ダイハツでは今も変わることなくスモールカーの開発に力を注いでいます。世界に目を向ければ、軽自動車は日本固有の車として進化を遂げてきました。
使いやすく、広々とした車内空間を実現し、目的に合わせたバリエーションが豊富です。またダイハツは福祉車両も充実しています。女性からファミリー、障害を持つ人などあらゆる形態に寄り添ったモノづくりをしていることが大きな特徴といえるでしょう。
トヨタ自動車のグループ会社となった経緯については、新興国への進出にダイハツのスモールカー作りに対する技術が必要だったトヨタ自動車側と、ダイハツ側のトヨタの技術を提供してもらいながら、ダイハツブランドを守れるというお互いの利害が一致した結果のことでした。
エンブレムの意味
エンブレムとは特定の人や物を表すために使われる図案のこと。中世では聖人たちにエンブレムが与えられており、絵画に描かれたときに誰なのかをわかるようにしていたといいます。
車のエンブレムもメーカーや車種をわかりやすくするためのものであり、象徴といえるでしょう。例えばドイツでは、エンブレムを付けないで走行している車が多いようです。これはディーラーオプションで、「エンブレム無し」を選択できるから。
そのメリットは、お抱え運転手といわれるショーファードリブンを付けるグレードがSクラスからEクラスなどに変わったり、小排気量が好まれるようになったりしていることから、オーナーに恥ずかしい思いをさせない配慮のためといわれています。
つまりエンブレムは、メーカーのプライドと共に乗り手側のプライドを表すものといえるのではないでしょうか?どの車のメーカーにも必ずエンブレムがあり、そこには車づくりの歴史や理念と共に品格が存在します。
ダイハツのエンブレムは英語表記の「DAIHATSU」の頭文字を採用したものです。海外でも「DAIHATU MOTORS」として人気が高く、その理由は日本と同様に小回りが利き、使い勝手が良いところがにあります。エンブレムのDは海外でも広く認知されているダイハツの誇りといえるでしょう。
まとめ
ダイハツのブランドスローガン「Light you up~らしく、ともに、軽やかに」のLightには「光」と「軽やかさ」2つの意味が込められています。今まで気づかれなかったところに光を当てきめ細やかなサービスを提供すること。
そして家計や環境への負担を軽くし、ひとりひとりに充実した日常を届けるという想いが詰まっています。車を日常に取り入れるためには、小回りなどの性能面はもちろんのこと、燃費などのコストパフォーマンスはとても重要です。
ダイハツの長い歴史の中で培われてきたスモールカー作りに特化した技術力がどう活かされていくのか期待が高まります。