2019年05月15日 (更新:2020年07月15日)
フロントスポイラーについて詳しくなろう
フロントスポイラーはドレスアップだけのパーツではありません。しっかりと形状が設計されたものは、車の浮き上がりを抑え、高速域での走行安定性を向上させる等、走行性能にも影響を及ぼします。フロントスポイラーの役割と機能を今一度見直してみましょう。
フロントスポイラーとは
フロントスポイラーは、車のバンパー先端に取りける外装パーツ。ノーマル状態の車はさまざまな場所での走行を想定しているため、バンパーを含めた車高は高めに設定され、利便性を最優先にしています。アフターパーツとしてフロントスポイラーを取りつけることは、ノーマル状態の利便性を削るかわりに、見た目のよさと走行性能を向上させることができます。
フロントバンパーに装着されるパーツの総称
フロントスポイラーはバンパーに追加する外装パーツの総称、あるいはフロントバンパー形状そのものを指します。スポイラーという言葉は、「せき止める」という意味をもち、車の周囲を流れる空気を部分的にせき止め、流れ方を変えることで、車の空力性能を調整するための装備です。
フロントバンパー下部を延長して取り付けるタイプが一般的ですが、バンパーに追加するフロントフィングやカナードといった追加パーツも厳密にはフロントスポイラーと呼ばれます。
フロントスポイラーの機能
空気抵抗を減らすだけであれば、もっとも走行風の当たるフロントバンパーはシンプルな流線形状がベストです。しかし、車は速度が上がるほど浮き上がる方向の力が働くため、押さえつける力を加えなければ安定性を保つことができません。
フロントスポイラーによって空気抵抗をつくりだし、車の浮き上がりを抑え高速走行時の安定性を保つのがフロントスポイラーの基本的な機能。形状を変えることで、空気抵抗の強弱や、デザインにさまざまなバリエーションをもたせることができるため、車の印象を変えるドレスアップパーツとしても人気の高いアイテムです。
フロントスポイラーの種類
フロントスポイラーには大きく分けて3種類の形状があります。大きな面積を占めるほど価格が高くなる傾向にあり、使用される材質でも価格は上下します。
フロントバンパースポイラー
フロントバンパーと一体式のスポイラーを、フロントバンパースポイラーといいます。バンパー全体のデザインを大きく変更できるため、機能性・デザイン性ともに高い設計自由度で製作できるのが特徴。見た目の印象が大幅に変わるため、ドレスアップパーツとしても高い効果を発揮しますが、価格は高くなりがちです。
フロントアンダースポイラー
現在ついているバンパー先端下部に追加して取りつけるタイプのものはフロントアンダースポイラー、あるいはリップスポイラーとも呼ばれます。簡易的な装備であるため、価格は安価であるものの、ドレスアップ要素はフロントバンパースポイラーに比べて低い傾向にあります。
ハーフスポイラー
現在ついているバンパーの下半分を覆うかたちで取り付けられるのがハーフスポイラーです。フロントバンパースポイラーとフロントアンダースポイラーの中間的な要素をもち、価格と性能・デザインのバランスが取りやすい特徴があります。
フロントスポイラーを装着するメリット
見た目が変わる
もっとも分かりやすいメリットは見た目の印象が変わること。車のもっとも目立つ場所であるフロントフェイスに、スポイラーを加えることで車の印象を大きく変えることができます。鋭角的なデザインならスポーティな印象に。流線型ならラグジュアリーな印象へと好み応じて印象を調整することが可能です。
空力的効果
空気抵抗によりフロント周りのダウンフォースが増えたことで、高速域でのステアリング応答性や回頭性の向上が見込めます。また、フロントスポイラー形状に合わせて車体下やサイドスカート、リアバンパーの形状を整えることで、車体下を流れる空気の流速を高め、車全体の挙動を安定させることも可能です。
フロントスポイラーを装着するデメリット
最低地上高が下がる
フロント下部にスポイラーを取り付けることで、最低地上高が下がってしまうのがもっとも大きなデメリット。駐車場の輪留や、路面の段差などにヒットして割れたり、擦ったりする確率が増えます。そのため、運転中は常に路面の状態に気を配らなくてはいけなくなります。
燃費が悪くなる
フロントスポイラーは空気抵抗になります。空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなり、前面投影面積が大きいほど空気抵抗の影響を受けやすくなるため、大きなスポイラーほど高速域での燃費が悪化します。
フロントスポイラーと車検の関係
フロントスポイラーが付いているため車検に通らないということはありませんが、正しい取り付け規準を満たしていなければ、車検不適合となってしまいます。
- 車体全長・全幅よりもはみ出していないこと。
- フロントスポイラーが車体最前端からはみ出していないこと。
- スポイラー最下端が、地上から90mm以上であること。
- スポイラーの材質、取り付け方法が走行に耐えられること。
- 鋭利な突起がないこと。
スポイラーの寸法に関しては、検査官の目視による確認であるため、グレーゾーンとなっているのが実情です。しかし、最低地上高90mmが確保できていない場合は確実に車検には通りません。
また、高い風圧のかかるフロントスポイラーの取り付けは、リベットまたはボルト数点で確実に留めなければ走行風で歪んたり、外れてしまう怖れがあるため、しっかりと取り付けましょう。
まとめ
フロントスポイラーを取り付けるメリットは、ドレスアップとフロント周りの空力性能の向上です。デメリットは最低地上高が下がることと、燃費が悪くなることです。しかし、スポイラー類が本格的に影響するのは、およそ60km/h以上。それ以下のスピードでは、ほとんど影響が出ないため、一般道では純粋なドレスアップパーツと考えても差し支えがないでしょう。
ただし、速度域が高まるほど大きな影響が出るため、フロントスポイラーだけを装着した状態での高速走行は注意が必要です。フロントスポイラーによって、フロントは地面に抑えつけられているのに対してリアが浮き気味になり、高速走行時に不安定な挙動が発生する場合があります。エアロパーツは車全体のバランスを考慮して取り付ける必要があります。