2019年05月12日 (更新:2020年07月13日)
古さも魅力!ジムニーの歴史とレストア&修理も請け負う専門ショップも紹介!
車種としては、相当古くなってきたジムニー。だからこそ、ジムニストからの人気も高く、そして深い愛着も湧く車でしょう。こんなモデルもあったねと思い出してもらえるよう、初代を始め、1998年から2018年までモデルチェンジを行わなかったロングセラーモデル、ちょっと変わり種なども含め、ジムニーの過去を振り返ってみます。そして、ジムニーのレストア、修理などを請け負うジムニー専門店の紹介まで、盛りだくさんにお届けします。
ジムニーの歴史
まずはジムニー誕生の経緯からみていきましょう。「ホープスターON型4WD」をご存知でしょうか?これは軽自動車規格での四輪駆動不整地用万能車として開発した、いわばジムニーのベース車両。
これを手がけた小野定良は1951年に個人で創業し、1953年に軽自動車三輪ホープスターを発売しています。一時は軽オート三輪分野でダイハツやマツダと肩を並べていたほどの売れ行きでした。
しかし、エンジン生産を他社に頼り問題を起こしたことから1965年に自動車の生産から撤退しています。その後事業の縮小などを経て立て直しに成功すると、「ホープスターON型4WD」の開発を進め100台ほどを生産し販売しますが、結果は思わしくない状態に。
ホープは自動車生産から完全に手を引くこととなります。小野はこの「ホープスターON型4WD」の製造権を「三菱重工」へ譲る打診をしますが、断られます。小野と親交のあった後のスズキ会長鈴木修がこれに興味を示し、設計開発をすすめ1970年に誕生したのがジムニーなのです。
ジムニー名前の由来
小さなジープのイメージから「Jeep」、「Mini」、「Tiny」からの造語といわれていますが、スズキ公式ホームページには発音のしやすさ、覚えやすさから作ったものとされています。
1970年 LJ10ジムニー FB型空冷2サイクル直列2気筒
シンプルだったホープスターONをスタイリッシュに仕上げていますが、オールホロ車なのはONの良さを取り入れたもの。悪路走破を高めるラダーフレームの採用も大きな話題となりました。
フレームにはフレーム型とモノコック型の2種類があります。ラダーフレームはフレーム型に含まれ、名前通りフレームを持ちます。ちなみにモノコック型はフレームを持たず、ボディそのものが骨格となり強度を持たせたもの。
ラダーフレームははしご(ladder)からきておりH型フレームと呼ばれることもあります。エンジンやサスペンションなど車の走行に必要な要素はフレーム部分に搭載されているため、岩場や荒れ地などのオフロード走行には相性が良いものです。世界中の軍隊使用されている軍用車は、そのほとんどにラダーフレームが採用されています。
1972年 LJ20ジムニー L50型水冷2サイクル直列2気筒
空冷エンジンから水冷エンジンへの転換で中低速のトルクがアップし、登坂力35°の獲得に成功。「メキシカン1000」レースで軽でありながら34時間で完走するなど、日本車の存在を世界にアピールしました。
またこの年には、ビデオジムニーも発売しています。ソニーとの共同開発によってジムニーの動力を発電に利用し、野外でビデオを見ることができるという珍しさでしたが、少し時代を先取りしすぎてしまい、残念ながら売れなかったようです。
1976年ジムニー55 SJ10 LJ50型水冷2サイクル直列3気筒
この年、軽自動車の規格改正があり排気量がアップしています。SJ10は「ジムニー55」の愛称で親しまれ、人気のあったモデルです。登坂力もさらに増し、39.7°をマークしています。
1977年ジムニー8 SJ20 F8 A型水冷式4サイクル直列4気筒
ジムニー8はスズキ初の水冷4サイクル4気筒。0.8Lエンジンを搭載し世界市場へと参入を果たしました。4輪メーカー「スズキ」の名を世界に広く知らしめるきっかけとなった一台です。
2代目
ジムニー誕生以来、初めてのフルモデルチェンジとなりました。フロントフェンダーの独立した車体にリブが入っていることからも、プロの道具感にあふれた初代からボクシーなスタイルへと様変わりしています。実用車としても、オフロードの走破も可能にする小さな体に秘めた大きな力が、それまで以上の人気に繋がりました。
1981年ジムニーSJ30 LJ50型水冷2サイクル直列3気筒
2ストモデルの最後の一台を飾ることに。また軽自動車規格フルサイズのキャビンが話題を呼び販売台数が躍進した一台でもあります。
1982年ジムニー1000 SJ40 F10A型水冷4サイクル直列4気筒
水冷4サイクル1Lエンジンを搭載。海外への輸出モデルを国内で発売したものです。オフロード走破性が、広く世界で認められることになりました。
1984年ジムニー1300 JA51 G13 A型4サイクル直列4気筒
ジムニーシリーズ最大の排気量1.3Lを搭載したモデルです。
1986年ジムニー JA71 F5A型水冷4サイクル直列3気筒ターボ
ジムニー初めてとなるターボ搭載車。新開発の電子制御燃料噴射装置EPIと4サイクルターボエンジンが、オン、オフ問わず鋭い加速力をもたらしました。
1990年 ジムニー JA11 F6A型水冷4サイクル直列3気筒
オートマチック、パワーステアリングなどの装備も充実を見せ、今まで以上に幅広いジムニストの獲得に成功。軽自動車の規格変更があり、さらなるパワーとトルクアップが図られることに。
1993年ジムニー1300 シエラ JB31 水冷直列4サイクル
ジムニーとの差別化を図るためオーストラリア向けに輸出していたSIERRA(シエラ)をサブネームにして誕生しました。骨太のフロントグリルガードやフォグランプの存在感を感じることのできる一台に仕上がっています。
1995年ジムニー JA12/22 水冷直列3気筒DOHCインタークーラーターボ
オールアルミ製のツインカムターボを搭載し、車両を軽くし、走破能力のポテンシャル向上を果たしています。また、ジムニー史上初となるサスペンションに3リンクコイルリジッドアクスル式コイルスプリングを採用しました。
これは馬車にも使われていた構造で1本の車軸に左右輪が連結したサスペンションでスプリング、ショックアブソーバー、ブッシュといったパーツによって路面からの衝撃を和らげるというもの。操縦安定性や快適性を重視しての変更となりました。
3代目ジムニー
20年のロングセラーモデル。自動車部品は頻繁に設計変更が行われますが、品番や製造番号につけられるサフィックスナンバーがジムニー三代目では「JB23-10 」となっています。10型まで附番されるほど、長きにわたる生産期間を物語っているようです。
1998年ジムニーJB23 水冷直列3気筒DOHCインタークーラーターボ
「リアル4×4スポーツ」のキャッチコピーにオフロード~アウトドアスポーツまで幅広い用途性を備えたことで高い人気を集め、2001年にジムニーは全世界販売台数200万台を突破。このモデルで新開発されたのは軽量衝撃吸収ボディの『TECT』。衝撃を分散させるために高張力の銅板を使用した構造分析により、高い安全性を目指しています。
2001年2月には2WDの派生モデル「ジムニーL」の後継車として「J2」も新たにラインアップされています。
2017年4代目ジムニーJB64 R60A型660エンジン
R60Aエンジンは現行のワゴンRに搭載されているもの。軽量小型で低燃費性を高めています。マイルドハイブリッドモデルには「エネチャージ」が採用され、時代の流れを感じますね。
駆動方式はセンターデフではなく手動で2WDとパートタイム4WDを切り替えるパートタイム4WDを採用。これにより低燃費の実現と、高速走行による摩擦が引き起こす駆動系の故障を解決し、オフロード、オンロードに対応することができます。
フレームは変わらずラダーフレーム、サスペンションもリジッドアクスル式を採用し、新型であってもジムニーらしさは健在です。最も進化した点は安全装備でしょう。20年前とは比べ物にならない現在の安全性能の向上に伴い、スズキが導入している「デュアルセンサーブレーキサポート」を搭載しました。
最新装備を備えた4代目となりましたが、ジムニーのコンセプトは初代登場から一貫して変わることはありません。
ジムニー専門店の紹介
ジムニストの間では2代目以前のモデルを求める傾向が強いという話も聞こえてきます。しかし、旧モデルになればなるほど、信頼できるレストアショップを知っておくことも重要になるでしょう。全国にあるジムニー専門店の中からご紹介していきます。
APIO
神奈川県綾瀬市の老舗ジムニーパーツメーカー。コンプリートカーから各種パーツまで幅広い品揃えで、店内には最新のジムニーパーツが並び、ジムニストにはたまらないスポット。また、RECARO正規販売店でもあるので、ジムニーにおすすめのレカロシートも販売しています。
こちらのオーナー尾上茂さんは有名なジムニーフリーク。ジムニーが好きすぎて私設で「尾上茂のジムニー歴史館」を神奈川県藤沢市に2018年8月オープンさせました。1階には初期のジムニーを中心に、「ホープスターON型4WD」をコレクターから借り受け展示しています。
実物が見られるなんて貴重な体験ができそう。2階には2000年以降のジムニーを展示。サスペンションやアルミホイールなどはAPIO製なので、今後のレストアの参考になりそうです。
JIMKEN TAC
大阪府羽曳野市にあるジムニーのカスタムをいろいろなかたちで提案してくれるショップです。パーツ販売、取り付けはもちろん新車、中古車のカスタム、車検や修理など幅広く対応してくれます。
さまざまなメンテナンスノウハウを蓄積しているので、スタッフから的確なアドバイスを貰えるかもしれません。一番心配な故障に対しても365日対応してくれるのは、心強いですね。
エンカーズ札幌
自然豊かなフィールドを持つ北海道にあるジムニー専門店です。山菜取りや釣り、大雪にも活躍できるカッコよくてしっかり走るジムニーを創ることをコンセプトにしています。例えば、JA系ジムニーは消耗品の品ぞろえが豊富。整備にも力を入れ「中古車と思わせたら終わり!」という考え方には魅力を感じませんか?
SCM EXPERIENCE
静岡県富士市にあるジムニーコンプリート&アメリカンスタイルカスタム専門店です。SCN EXPERIENCE独自のこだわりで、ジムニーのコンプリートフル・オーダー制作を専門の技術者が請け負っています。
ベース車両から自社フルオーバーコンプリートエンジン、オリジナルカスタムパーツまで幅広い対応。外観のこだわりはもちろんのこと、安全性に至るまで一切手抜きのないプロの仕上げに期待が高まります。
まとめ
軽自動車をベースに本格的なクロカン装備を施したジムニーは世界中で大ヒットしています。生活を支える四駆としての魅力に加え、ジムニストにとっての価値がロングセラーを支えているようです。自分だけのこだわりあるチューンを加えた個性豊かなジムニーは、何にも代えがたい特別な車になっていくのかもしれません。