2019年05月03日 (更新:2024年08月22日)
ラジエーターから水漏れ?その原因と修理の必要性や対処法を解説
車の真下が濡れている、という事は有りませんか?もしかするとそれはラジエーターからの漏れかもしれません。ラジエーターの水漏れが発生する理由、そして水漏れした際の応急処置や対処法について説明していきます。
ラジエーターの部品の種類
ラジエーターの水漏れをチェックするにあたり、ラジエーターを構成する部品について知っておきましょう。ラジエーターは、大きく分けると次の4つの部品で構成されています。
ラジエーターキャップ
ラジエーターキャップは、ラジエーターの最上部、アッパータンクに取り付けられている金属製のキャップです。冷却水の圧力を管理しています。
アッパータンク
アッパータンクは、ラジエーターのコア上部を覆うように装着されているプラスチック製の部品です。冷却水が通る太いアッパーホースが接続されており、ラジエーターキャップが装着されています。
コア
コアは、細かなフィンがついている銀色の金属部分です。フィンの支柱部分を冷却水が通っており、フィン部分に風を通すことで冷却水を冷やしています。
ロアータンク
ロアータンクは、ラジエーターのコア下部を覆うように装着されているプラスチック製の部品です。冷却水が通る太いロアホースが接続されています。
ラジエーターホース
アッパータンクとロアータンクに接続されている大きなホースがラジエーターホースです。それぞれアッパーホース、ロアーホースと呼びます。
リザーバータンク
冷却水が入っている予備のタンクをリザーバータンクといいます。リザーバータンクはラジエーター付近に取り付いている白いタンクで、エンジンがあたたまったときに膨張して行き場を失った冷却水がここに溜まります。
ラジエーターの水漏れの原因
ラジエーターまわりからの水漏れの原因には次のようなものがあります。
ラジエーターキャップの劣化
ラジエーターの最上部にはラジエーターキャップが装着されており、このラジエーターキャップの劣化によってキャップの周囲から冷却水が漏れていることがあります。ラジエーターキャップは2年に1度の定期交換が推奨されています。
ラジエーターホースの劣化
冷却水が通るゴム製のラジエーターホースは、元々耐久性の高い合成ゴムで出来ており10万キロ前後まで使用可能ですが、長期間使用し続けるとなると劣化が起こり、ホースが破れたり亀裂が入って水漏れを起こします。また、アッパータンクやロアータンクのホース接続部分を見たり触れたりして、冷却水が漏れている場合はホースの交換が必要です。
ラジエーター本体のプラ部品の劣化
プラスチック製のアッパータンクやロアータンクと金属製のコアは、コアの端を変形させ、カシメることで接合してあります。タンクやその間に挟んであるガスケット(パッキン)が劣化すると、このカシメ部分の周囲に冷却水が溜まります。このトラブルの場合、ラジエーター本体の交換が必要です。
ラジエーター本体の金属部品の劣化
熱による膨張と収縮を繰り返し、金属疲労によってラジエーターのコアに割れが生じて漏れるケースもあります。修理にはその部分だけを溶接するという方法もありますが、基本的にはラジエーター本体を丸ごと交換します。
飛び石によるラジエーターの破損
ごくまれに、走行中に飛んできた石がラジエーターに当たり、ラジエーターコアに穴を開けるというトラブルもあります。スポーツ走行時に発生しやすいトラブルでもあります。
ラジエーターから漏れていたらどうしたらいい?
いまの状況を把握する
冷却水がラジエーターのあたりから漏れているのを見つけたら、まず今の状況を把握しましょう。
- ほんとうに冷却水なのか
- どこから漏れているのか
- 冷却水の温度はどれくらいなのか
- リザーバータンクに冷却水は入っているか
ほんとうに冷却水なのか
漏れていると思っている液体がほんとうに冷却水なのかを確認しましょう。冷却水には赤、ピンク、緑、青などの色がついています。
透明な水のようなものが滴下している場合、エアコンで発生する水の可能性があります。直前にエアコンをつけていたかを思い出してみましょう。もしエアコンの水なら故障ではありません。
どこから漏れているのか
どこからどれくらい漏れているのか、下を覗き込んだりして確認します。にじむ程度なのか、水滴となって垂れてきているのかをよく観察しましょう。
冷却水の温度を把握する
冷却水の温度は、メーター内にある水温計で把握できます。キーを回してメーターに電源を入れ、水温計の針がどこを指しているかを見ましょう。
リザーバータンクに冷却水は入っているか
リザーバータンク内の冷却水を確認し、冷却水がFULL付近まで入っているか確認しましょう。エンジンがあたたまっている場合はFULLを超えていることもあります(正常時)。
その状態で走らせても問題ないかどうかを判断する
冷却水が水滴となってポタポタ垂れている、水温計が半分より上を指している、リザーバータンク内の冷却水の量がLOWを下回っている、このような場合は走行できません。エンジンを止めて保険会社やJAFへ連絡しレッカーを呼びましょう。
車は水漏れが発生していても走れてしまうため、上記の確認方法がいまいちわからないという方は念のため走行しないようにしましょう。保険会社やJAF、お世話になっている車屋さんへ連絡すれば詳しい状況確認を行ってもらえます。
ラジエーターから水漏れの場合の対処法
もしラジエーターからの水漏れがにじむ程度なら、カー用品店等で売られている水漏れ防止剤が有効です。しかし、これは一時的な応急処置であることを覚えておきましょう。
業者に修理を依頼する
ラジエーターのどこから水漏れが発生しているか、または車が国産車か輸入車か、ディーラーか修理工場で修理するかによって修理費用は変わってきますが、一般的には工賃が1~2万円、ラジエーターの部品代が2万~6万円、合計で3万~8万円程の修理費がかかる見込みです。
修理する際の交換は、冷却水を抜き、交換を終えた後冷却水を補充する。といった手順を踏まなければなりません。また、ラジエーターはエンジンルーム前部に配置されるのが一般的であり、脱着にあたって周辺の部品も外さなければならない場合がほとんどです。バンパーやアンダーパネル等を外さなければならないこともあり、車種によっては作業に多くの時間がかかってしまいます。
普通車なら8~12年、軽自動車なら6~10年に定期交換していれば、突発的な故障が回避できる確率は高くなると考えられています。
自分で修理する
水漏れの原因がラジエーターホースの小さな穴の場合は、前述の水漏れ防止剤やパテで修理が可能で、多少の工具が有れば部品代と新品のクーラント代だけの費用に抑えることができます。しかし、ラジエーターの修理は難しい為、あくまで応急処置という程度に留めておくのが妥当とも言えます。
またラジエーターの交換は構造を理解していてDIYに慣れている人にとっては比較的難しくはないですが、そうでない人はプロにお願いした方が賢明であると思います。特に、冷却水を充填する時に「エア抜き」という作業を行わなければならないのですが、不十分だと冷却が十分に行われず、エンジンを壊してしまう危険性もあります。
一歩間違えると大切なエンジン本体を損傷させてしまい本末転倒となってしまうので、DIYで作業する場合は十分な知識と下調べが必要な点に注意して行ってください。
基本的にはすぐに修理すべき
ラジエーターからの水漏れが発生した際の対処法等をまとめてみました。
長期間車を使用している方は、ラジエーターとその周辺のホース等に異常はないか、適宜点検することを心がけましょう。