2019年04月26日 (更新:2024年08月22日)
ラジエーターの交換について徹底解説!DIYでの交換方法も紹介!
車のエンジンを冷却させるために必ず装着されているラジエーター。走行中のエンジンは大量の熱を発生させるため、冷却しないまま走行を続けるとオーバーヒートを起こしてしまいます。オーバーヒートを起こしてしまうとエンジン内の部品が損傷し、最悪の場合、焼き付きが起こってしまうので、絶対に必要な部品となっています。今回はそんなラジエーターを交換する際に知っておいて損はない情報を惜しみなくお伝えしていきたいと思います。
ラジエーターを交換するタイミング
ラジエーターの冷却水を交換することはメンテナンスとしてもよくあることなのですが、ラジエーター本体を交換したことがあるユーザーさんは数少ないのではないでしょうか?
ラジエーターには必ずクーラントと呼ばれている冷却水が入っており、クーラントがエンジン内部・ラジエーターホース・ラジエーター本体を巡回、内部圧力次第ではラジエーターキャップ部からリザーバータンクへと巡回していきます。このように「水分」がいつも隣り合わせになっており、時には熱で発生したキャビテーション(気泡)が混ざることで酸化を起こし腐食してしまう事もあります。
なぜ冷却専用のクーラントなのに腐食を起こしてしまうのでしょうか?クーラントには主成分としてエチレングリコールという凍結を防ぐための不凍液や、エンジンを傷つけないための防錆剤などが添加されたものが使われています。冷却水は時間の経過により腐食性が出てきますので、定期交換していない車両はラジエーター本体にダメージが与えられている可能性があります。
また、ラジエーター本体には「銅」「黄銅(真鍮)」「アルミニウム」等の他に「プラスチック」が使われており、周辺部品にも「耐圧ゴム」などが使われています。一度ラジエーター本体やゴム部品が劣化してくるとその部分を中心にどんどん傷が大きくなっていきます。
劣化や傷の原因としては経年劣化、クーラントの防錆性能低下やクーラントを希釈するための水が多くてサビが出てくる等、様々なものが要因となります。経年劣化したクーラントは変質を起こし、錆と混ざって水路に凝着してしまう事もあります。人体でも起こりうる動脈瘤のように、ホースごと破裂してしまうと愛車の命も危ぶまれてしまいます。
10年前後が交換するタイミング
以上の事を踏まえて「ラジエーターを交換するタイミング」をお伝えするのであれば、最も正常なメンテナンスを行っていた場合でも使用状況(熱を持ちやすい走行状況、走行中の飛び石等による外傷、雨水・風・日光による劣化などを考慮)によりラジエーター本体の劣化具合は変わってきますので普通自動車で遅くて10年に1回、軽自動車では遅くて8年を目安にしておくとトラブルに遭う可能性は少なくなってきます。
ラジエーターを破損した時
誰しもが起こしたくない交通事故。いかなる事故でも、万が一起きてしまった時にはラジエーターを破損していることは大いに考えられます。設置されている部分へのダメージも勿論ありますが、車自体が事故の影響で捻じれてしまい、ラジエーター本体だけでなく周辺部品の角度までもが変わって曲がり、曲がった部分に負荷がかかって破損なんてことも多々あります。
熱を持ち循環しているクーラントの圧力はとても高いので、圧力に耐えられなくなってしまった場所はダムが決壊したかのようにクーラントが噴き出てしまいます。小さな破損だと感じても、車の心臓部を守るための重要なパーツなので必ず気付いた時には交換をしてください。
ラジエーターの交換に掛かる費用
ラジエーターは車の中でも重要な部品で、複雑な構造をしていることから交換費用は割と高いとイメージされている方が多いのですが、実際にはどのくらいの金額が掛かってくるのでしょうか。
修理に関しては、部分的な補修を行ったとしても他の部分の劣化が進んでいたりしてすぐに穴が開いてしまうなどもあるので、ラジエーター修理についてはこの場で取り上げない事にしておきます。
部品代
ラジエーター交換は車種やどこまでの部品を交換するかによって金額が変わってきますが、純正同等ラジエーター本体は¥9,000~¥60,000程度、軽自動車は高くても¥15,000程度で済み、国産乗用車は高くて¥25,000程度。一部の国産高ランク車や外車では価格が上がってくる傾向があります。
ラジエーターの周辺パーツであるアッパーホースやロアホースは高くても¥3,000程度、ホースとエンジンやラジエーター本体を留めるためのクランプは1カ所あたり¥500程度となっています。ラジエーターキャップはカー用品店でも販売していることが多いのですが、よほどの物でない限り¥2,000程度で購入することが可能です。クーラントに関してはホームセンターでも購入可能で、2Lあたり¥800程度の物が多いです。
※クーラントを購入の際は、緑や赤などの派手な色が付いていますので間違えないように購入してください。また、希釈タイプの場合は必ず説明書を読み、正しい希釈率でご使用ください。
スポーツ走行を楽しむ方の中には社外ラジエーターや社外の高耐圧ホース、高性能クーラントを使用する方もいます。純正品よりも安く社外品が購入できるのであれば、そちらを使う事で節約にもなります。
工賃
後に自分で交換する方法をお伝えしていくのですが、そんなに大切な部品なら交換するのはちょっと…という人は必ずプロの方にお任せしましょう。今は部品持ち込みができる整備工場も少しずつ増えてきていますので、しっかりと相談してみてください。
ラジエーター交換で最も費用が掛かってしまうのはやはり本体の交換です。国産車の相場は¥12,000~¥15,000程度、ホースの同時交換は良心的なお店はお値段据え置きで交換してくれる事もあります。クーラントはラジエーター交換時に全て抜かれる(嫌でも全て流れ出てしまう)ので、基本的にはクーラント代も込みとなっている所が多いです。
社外品ラジエーターについて
ラジエーターにはチューニングパーツとして、アフターパーツ各メーカーから販売されています。エンジンのパワーアップが行われている車両に対して交換される事が多いです。交換後、車の外観上では目立たなくなってしまうのですが、大切なエンジンも守ってくれる縁の下の力持ち的なパーツです。
社外品ラジエーターの特長
社外品の特徴は、なんといっても冷却能力の高さです。純正品と比較して厚みが増されて容量アップがされていたり、ラジエーター内部の冷却水経路を工夫されており、より冷却性能の向上が図られています。
パワーアップをされて発生する熱が増大したエンジンでも、しっかり冷却できる設計がされいて、オーバーヒートから守ってくれます。アルミ製の物は軽量であり、やはりモータースポーツには有利である様に作られています。
価格帯
求める性能によって非常に幅広いですが、リーズナブルな物であれば30,000円~。より高性能な物であれば150,000円以上する物も!
これに交換工賃、冷却水代等が追加して必要です。車種や製品により値幅がありますが、コスト面は財布と相談しながら、性能面ではプロショップへ相談しながら決める必要があります!
ラジエーターの交換方法
一口にラジエーターを交換すると言っても、必ず用意しないといけない部品や工具が出てくるのが整備やカスタムの常です。工具は車種によって変わってきますので一概には言えませんが、あれば便利な物としてウォーターポンププライヤー、ホースプラッカー、そして潤滑剤の3種類をお勧めします。これはホース関連の作業で重宝してくれますが、後程お伝えします。
交換時に必要な部品はラジエーター本体とクーラントが基本的なものになりますが、クーラントは普通車で4~6L、軽自動車で3~5L必要になります。希釈タイプの場合は水を使われますので、量を計算して準備しておくと良いでしょう。ホースがあまりにも硬い場合や、少しでも亀裂が入っている場合はラジエーターホースも必要となります。それでは実際の交換手順を見ていきましょう。
※希釈するための水には、蒸留水がいいとの話もあるのですが、水道水でも大丈夫です。こだわる方は蒸留水を使うこともありますが、防腐剤なども入っていますので一般的には水道水が多いです。が、井戸水とミネラルウォーターだけはカルシウムやマグネシウムが水路内で結晶化してしまい水路を塞いでしまいますので、絶対に使用してはいけません!
※AT車でラジエーター本体のロアタンクがATFクーラーを兼ねている場合、ATFの油量調整が必要になりますので、必ずプロのお店に作業をお願いしてください。
冷却水を抜く
ラジエーターの最下部には冷却水を抜くためのドレンプラグが必ず用意されています。ドレンプラグは蝶ネジになっていたりネジ頭が+ドライバー用になっていたり種類があります。リフトアップしていないととても狭く作業に一苦労するのですが、ここが一番簡単に冷却水を抜けるポイントです。冷却水は有害な物質が含まれていますので、必ず受け皿で受け取るようにしましょう。ロワホースから一気に冷却水を流し出すことはしないでください。
水の抜けが悪くなってきたら、ラジエーター上部についているラジエーターキャップをゆっくり回すとドレンから出てくる水の勢いが少し増します。一気に回してキャップを外すとかなりの勢いで水が出てきますので注意してください。
※ラジエーターの下部作業は狭いのでフロントだけでもジャッキアップしたくなりますが、エンジン内に古い冷却水が残りますので、できればジャッキアップする場合は必ずウマをかけるなどして前後同じ高さにしてください。
ラジエーターを取り外す
この作業は車種により変わるのですが、冷却水が十分に抜けたらラジエーターホース2ヵ所とラジエーター本体を切り離してください。クランプはウォーターポンププライヤーで摘んでホース側へよけてあげましょう。固着してない限りは手でホースが抜けてくれるのですが、もし固着していた場合は無理やり外さないでください。
ホースの入り口にホースプラッカーをゆっくし差し込み潤滑剤を少しだけ流し入れ固着を外します。下手にこじったりするとホースに傷が入ってしまい再利用ができなくなってしまいますので、力をかける方向やホースプラッカーの使用方法には十分注意してください。
※ホース内にクーラントが残ってしまっている場合もあるので、注意しながら外してください。
ホースが無事に外れたら、ラジエーターマウント・ブッシュ、ラジエーターに付属しているシュラウドや電動ファンのコネクター等、部品がたくさんある車種もありますのでラジエーター本体を取りやすくできるまで周辺パーツを外してしまうのも方法の一つです。
※外した部品が分からなくならないように携帯のカメラで撮影しながら作業を行うと復元する時の組み込みが楽になり、投稿ネタとしても一役買ってくれます。
周辺部品を外しラジエーター本体を上側にゆっくり持ち上げると、古いラジエーターが外れてくれます。もし外れない場合はラジエーター本体がどことつながっているかを確認し、必ず元の位置に戻してから再び取り外し作業を行ってください。余裕がある時にはリザーバータンクも取り外しタンク内を洗浄してあげましょう。ここには意外と汚れが溜まっていることがあるので、ブラシなどで磨いてあげるのも良い方法です。
新しいラジエーターを取り付ける
新しいラジエーターの取り付けは取り外しと逆の手順で行っていきますが、新しいラジエーター本体にドレンプラグやマウントブッシュ等が付いているかどうかを必ず確認してください。付いていればそのまま作業を進めてください。付いていないようでしたら部品を再利用しても構いません。取り付けの際はボルト等を締めすぎないよう注意し、付属品も取り付け忘れが無いようにしっかりと戻していきましょう。
※ゴム部品に亀裂などが入っている場合は「とりあえず」装着し、後日必ず新品に交換しましょう。
冷却水を新たに入れる
ラジエーター本体や周辺部品を元に戻したら、ラジエーター上部のキャップ装着口から適正濃度に合わせたクーラントを入れていきましょう。
少々溢れるくらいまで入れるのですが、どうしてもエアが噛んでしまうので、ホースを握って離しを繰り返して少しでもエアを水路から出してあげましょう。
エアが多少抜けてキャップ部からクーラントが溢れるようになったらクーラントファンネルを用意し取り付けましょう。ペットボトルを半分に切り、飲み口にビニールテープを巻いたものを差し込む方法もありますが、漏れの可能性がありおすすめできません。
ここまでの準備ができたら車のエンジンをかけます。サーモスタットが開きファンが回るまでゆっくりと暖気するのですが、急激なアクセル操作だけはしないでください。吹き戻しでクーラントが飛び散ってしまう事があります。少し暖気できた時点でヒーターをONにしてサーモスタットを開かせても良いです。暖気が進むにつれてペットボトル部へポコポコと空気が出てきます。
※スロットル操作は絶対に車内で行わないでください。水量が見えず、思わぬ場所の破損等につながることもあります。
空気が排出されるとクーラントが水路へ取り込まれて行きますので、クーラントを少し補充しながら空気が抜けていくのを待ちます。この時にリザーバータンクの量も確認しながら補充してください、リザーバータンク内の量はFULLまで入っていれば十分です。エンジンを回しながらこれ以上入らないという状態になれば、やけどに気を付けながらペットボトルを外しラジエーターキャップをします。
※空気がどうしても気になる場合はアッパーホース、ロアホースをクーラントがこぼれない程度に握っては離しを繰り返しても構いません。ホースはとても高熱になりますので必ず軍手などをしておきましょう。そしてベルトなどの駆動部に巻き込まれないよう周囲には十分気付けてください。
ここまでで交換作業とクーラントのエア抜き自体は完了なのですが、実際に走行した場合の負荷でクーラント量が減っていることがあります(というよりほぼ確実に減っています)ので、1週間を目安に必ずクーラント量を再チェックをして補充してあげてください。
ラジエーター交換はDIYでもできる
今回はラジエーターの交換にまつわるお話でしたが、いかがだったでしょうか? クーラントの交換は車検毎に行われているのですが、ラジエーター本体も漏れが起きれば交換が必要です。
大切な愛車をしっかりメンテナンスして、楽しいカーライフを送りましょう!