軽トラにターボはもう古い!?スズキ キャリイからターボモデルがなくなった理由を徹底解説! | CARTUNEマガジン
軽トラにターボはもう古い!?スズキ キャリイからターボモデルがなくなった理由を徹底解説!

2019年04月25日 (更新:2022年10月28日)

軽トラにターボはもう古い!?スズキ キャリイからターボモデルがなくなった理由を徹底解説!

ミニバン、セダン、ワゴン、そして軽、どんなジャンルにもターボモデルは存在します。しかし、現行ラインナップで軽トラだけはターボモデルはありません。それどころか、歴史を振り返ってみても、過給機付きのモデルは数えるほどしかないのです。しかし、スズキ キャリイは歴史上唯一純正でターボモデルの設定がありました。ではなぜ唯一軽トラでターボ設定のあったスズキ キャリイからターボモデルがなくなってしまったのでしょうか?今回は、スズキキャリイからターボモデルがなくなった理由を解説していきます。

スズキ キャリイはこんな車!

kota さんのキャリイの画像
kota さんのキャリイの画像
引用元:kota さんの投稿

軽トラといえば「スズキ キャリイ」、多くの人が口をそろえてそう答えるほどスズキ キャリイは有名です。このスズキ キャリイは、荒れた道でもガツガツ走り、それでいて荷物もたくさん積める、まさに働くクルマとして非常に人気で、特に農業や林業、土木建築業界などから支持を得ています。

そんなスズキ キャリイですが、はじめて初代が発売されたのは今から58年前の1961年。このころはスズキ キャリイという名称ではなく、「スズライトキャリイ」という名称でデビューしました。

そんな初代スズライトキャリイは、2サイクルエンジンに当時軽自動車での規格最大の排気量となる360ccを搭載。こうした質実剛健な信頼性の高い作り込みと、加えて車両価格が30万円前後と非常に低価格であったことから、たちまち人気を集め、スズキの商用軽自動車市場において見事に成功を収め、その地位を確固たるものにしたのです。

また、このスズキ キャリイは1971年~2009年という長期間、国内トラック部門で車名別年間販売台数1位を獲得し続けたという実績を誇っており、さらに2010年1月の時点で累計販売台数400万台を優に超す、スズキの大ヒット車です。

発売開始から58年が経ち、現行モデルとなる12代目となった現在においてもなお、スズキ キャリイの人気は継続されています。

ターボって必要?

ゆーちゃんさんの86の画像
ゆーちゃんさんの86の画像
引用元:ゆーちゃんさんの投稿

普通乗用車、軽自動車を含め、現在ではさまざまな車種においてターボモデルの設定があります。また、ターボのことを詳しく知らない人であっても、ターボ車と聞くと「何か早いクルマ」とイメージされる方も多いかと思います。

そんな、「ターボ車=早いクルマ」という考えは、あらかた間違いではありませんが、厳密にいうと「パワーのあるクルマ」という方が正しいです。

そもそもエンジンというのは、エネルギーを発生させるためにはエンジン内部で燃料を燃焼させなければならず、燃料を燃焼させるためには空気が必要となります。この時、エンジン内により多くの空気を取り込むことで、より大きなパワーが得られる仕組みになっているのです。

ターボは、より多くの空気をエンジン内に取り込むため、排気ガスのエネルギーを利用してタービンを回転させ、同時にコンプレッサーで空気を圧縮してエンジン内部に多くの空気を送り込む役割を担っています。

つまりターボ車は、通常のエンジン(NA車)よりもエンジン内部へ送り込む空気の量が多くなるため、排気量以上のパワーを引き出せるようになるのです。

ターボのメリット

ターボ車においての最大のメリットは、通常エンジン(NA車)よりも、遥かにパワフルな走りが可能であるということです。

たとえ同じ排気量のエンジンだったとしても、ターボ車であればワンランク上のエンジンと同等のパワーを発揮してくれるので、特に軽自動車などパワー不足が感じられるクルマには大きなメリットになります。

また、ターボを搭載することで同サイズでも排気量を小さくすることができますので、自動車税など税金面で若干安くなるといったメリットもあります。

ターボのデメリット

一方、ターボのデメリットとしては、まず燃費の悪さが挙げられます。前述のとおり、ターボはタービンを使用し、エンジンンに対してより多くの空気と燃料を送り込むため、NA車と比較すると若干燃費効率は悪くなる傾向にあります。ただし、最近では開発技術も向上しているので驚くほど燃費の差はありません。

次に、NA車に比べてターボは故障しやすいといったことが良く言われています。

その要因は、NAエンジンに比べてターボエンジンは非常に多くの部品を使っているというところにあります。多くの部品を使うということは、それだけ部品故障のリクスも高まります。

とはいえども、オイル交換やオイルフィルターなど、しっかりと定期的なメンテナンスを心がければ、故障リスクも大幅に軽減されます。

キャリイからターボがなくなった理由

すけやんさんのキャリイトラックの画像
すけやんさんのキャリイトラックの画像
引用元:すけやんさんの投稿

冒頭でも記述したとおり、1999年頃から軽トラであるスズキ キャリイにもターボモデルが販売されるようになりました。しかし、現在ではターボモデルが廃止されてしまい、残念ながら新車でキャリイのターボモデルを購入することはできません。

では、なぜキャリイからターボモデルがなくなったのでしょうか?その理由として、以下の3点が挙げられます。

軽トラとしての実用性

軽トラがもっとも多く使用されているのは農業や林業です。農業や林業などでは比較的狭い道や、舗装されていない悪路を主に走行しますので、ターボのような走りは全く必要ありません。

むしろ、ターボを搭載しているとパワーがあり過ぎて積荷が崩れたりスリップしたりなど、思わぬ事故に繋がる可能性もあります。軽トラは、たくさん荷物が積めて、細くて凸凹な道でもしっかり走ってくれれば良いのです。

車両価格が高く維持も大変

一般的にNAエンジンに比べてターボエンジンの場合、車両本体価格でおよそ10万円程度高くなります。また、それに加えて頻繁にオイルやオイルフィルターの交換や、エンジンの冷却水の量のチェック、さらにタービンのオーバーホールなど、さまざまなメンテナンスが必要となるため、維持していくにも大変です。

軽トラは高齢者も広く利用するため、そういった多くのメンテナンスが必要となるターボ車は選ばれないのです。

NAエンジンの進化

かつての軽自動車ではどうしてもパワー不足を感じる部分がありましたが、現在では技術も向上しているため、NAエンジンでもパワー不足を感じることが大幅に減りました。

特に軽トラはボディそのものが軽いため、ターボが必要なほど加速も悪くありません。むしろ、NAエンジンの方が、経済性や耐久性など、使いやすさにおいては優れているのです。

まとめ

かつくんさんのキャリイトラックエアロの画像
かつくんさんのキャリイトラックエアロの画像
引用元:かつくんさんの投稿

今回は、スズキ キャリイからターボモデルがなくなった理由を中心に、ターボ車について解説してきました。

ここで紹介してきたとおり、軽トラではキャリイが唯一のターボモデルが存在した車種でありましたが、現在では販売されておりません。その理由は、軽トラを使用する用途のほとんどは農業や林業など第一次産業だということ。こうした第一次産業で軽トラを使用する場合、ターボエンジンのような加速は必要なく、むしろ不向きであると考えられているのです。

しかし、ターボモデルがなくなった現在でもキャリイの信頼性や人気は衰えてはおりませんので、この先もビジネスパートナーとして、大きく活躍してくれることでしょう。

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