20世紀のワゴン 日産アべニールを振り返ろう

2019年04月25日

20世紀のワゴン 日産アべニールを振り返ろう

labelアベニール

日産自動車より販売されていたステーションワゴン型の乗用車「アベニール」。皆さんはこの車をご存知ですか?1990年に発売開始された初代のW10型アベニールは、スカイラインワゴン(R31型)/スカイラインバン(R30型)/ブルーバードワゴン/バン(U11型)を統合させたステーションワゴン/ライトバンなのですが、実はかのBTCC(ブリティッシュツーリングカー選手権)やJTCC(全日本ツーリングカー選手権)で大活躍したプリメーラ(P10型)のワゴン版としての位置付けで登場しました。

アべニールの歴史

初代アベニール

初代アベニールは乗用モデルのワゴンと商用モデルのカーゴが存在します。ワゴンに用意されたグレードは「ei(エイ)」「bi:(ビー)」「si:(シー)」の3種類、カーゴにはグレードが用意されていませんでした。

アベニールのワゴン用エンジンはC23型、C24型セレナやS13型後期以降のシルビアNAモデル(180SX後期のNAモデル)等に搭載されていた名機SR20DEや排気量を下げたSR18Diというインジェクションモデルの2種類を搭載、カーゴにおいてはGA16DSという1,600ccのキャブレターモデルと、CD20というディーゼルエンジンの2種類が用意されていました。

販売当初は前輪駆動のみのラインナップでしたが、販売開始からわずか半年後の1990年10月、ワゴン/カーゴ共に4輪駆動車が追加されました。ワゴンはビスカスカップリング付きセンターデフ方式を採用したアテーサシステムのフルタイム4WDで2.0Lのみの設定、カーゴにおいてはガソリン車にのみ設定されこちらはパートタイム4WDでした。

1993年には初のマイナーチェンジが行われグリルなどが変更、ワゴンに搭載されていたSR18DiエンジンはシングルポイントインジェクションからマルチポイントインジェクションのSR18DEへ変更されました。さらに、ワゴンにCD20Tというディーゼルターボエンジンを搭載させた4速AT限定のモデルと、本革シートを装備した最上位グレード「ef(エフ)」を追加しています。

1995年にはワゴンを大幅にマイナーチェンジ、全てのグレード名に「サリュー」を冠した事から、営業車の車名を「アベニール サリュー」に変更した(正式な車名はアベニールのままなのですが…)このサリューというグレードは1993年に追加されていたのですが、タイプ2.0Siアテーサというベース車からフロントスポイラー・マットガード・リアセンターアームレスト・アルミホイール等を簡略化したモデルでした。

実質この段階で「ei」「bi:」「si:」「ef」グレードは廃止、1995年以降アベニールのグレードは「サリューB」「サリューX」「サリューGTターボ」と特別仕様車の「サリューG」へと変更を余儀なくされました。

アベニールは当時ヒットしていたレガシィをターゲットとし、外観を中心に手直しを行いリアオーバーハングを延長した上でリアコンビネーションランプを大型の物に変更、新たにガラスハッチを採用し、エンジンフード・フロントバンパー・ラジエーターグリルも変更しています。結果として初期からのスタイルを引き継いだのはアベニールカーゴのみとなってしまいました。

しかし、内装やエンジンにも手を入れていた日産自動車、インパネをP10プリメーラと共通化させたかと思っていたら4WDには今も人気が高いSR20DET型ターボエンジンを搭載モデルを設定していたのです。「サリューGTターボ」というグレードのインタークーラーは当時のシルビア/180SXの物より大きなサイズの物が設置され、馬力も210PSとS13系の物より5PSも高い設定でした。

W10型アベニールは1994年~1997年にオーテックジャパンよりリゾートエクスプレスやエアロエクスプレスなどの特別限定車も販売されていました。リゾートエクスプレスは水を弾く撥水加工を施した専用シートとガードバー付きバンパーオーバーライダーとフォグランプの採用、エアロエクスプレスは同じく撥水加工シートに加え専用のボディカラーに専用フルエアロの採用、どちらもレジャーユースのニーズに応えたものでした。

二代目アベニール

1998年8月、W11型にモデルチェンジし営業車の名前は再び「アベニール」に戻されました。グレードは2系統存在し「GT4」シリーズと「サリュー」シリーズ。パワートレインとサスペンションはM12型プレーリーリバティーと共用。エンジンは全て横置き直列4気筒、SR20DET/SR20DE/QG18DEガソリンエンジン3基とCD20ETディーゼルターボ1基の全4種類。SR20DE搭載のFF車のみHyperCVT M6が組み合わされました。

1999年6月には商用モデルのアベニールが「エキスパート」という車名に変更され独立。アベニールは実質5ナンバーワゴンのモデルのみになってしまいます。

※エキスパートはアベニールカーゴ/セドリックバン/グロリアバンの後継車としての意味を兼ねていますが、基本設計はアベニールと同一になっています。

2000年にアベニールはマイナーチェンジ。フロント周りをGT4シリーズのデザインと統一し、P11プリメーラと酷似していたインパネを専用品に変更、SR20DEエンジンは出力を向上させ、CD20ET搭載車とサリューX/サリューJに設定があった5MTモデルを廃止、パーキングブレーキは全て足踏み式に、SR20DEを搭載していた4WD車のシステムはアテーサからオートコントロール4WDになり、ミッションは4ATからHyperCVT M6に変更した。

2002年にはW11型で2度目のマイナーチェンジを迎える事になりますが、4WD車のミッションは全車4ATに戻されてしまいます。SR20DETエンジンを搭載したGT系グレードやSUVテイストとして販売されていたブラスターグレードを廃止、SR20DEエンジン搭載モデルもQR20DEエンジンに替えられてしまうことになってしまったのです。

また、この時に車名ロゴは「AVENIr」からNE-01書体を使った「AVENIR」に変更され、ラジエターグリルに装着されていた逆三角形のアベニールエンブレムをは日産CIエンブレムに変更されています。

2005年にステーションワゴンの需要低迷によりアベニールの生産が終了、後継モデルとしての役割はY12型の3代目ウィングロードに託されることとなりました。

特長・魅力

とても長い時間アベニールの歴史を見ていただきましたが、アベニールの一番の特徴は「スポーツ走行もこなせる5ナンバーサイズのステーションワゴン」であり、魅力としては「足回りだけでなくエンジン回りのパーツも豊富で非常にカスタムのやりがいがある」という部分に尽きると思います。

モデル数やスペック

アベニールにはサリューやGT4、ei、bi:、si:、ef等様々なグレードがありました、ここでは要点だけを抑えたガソリン車のグレード・搭載エンジン・ミッション・駆動方式を表にしたので見ていきましょう。

W10型アベニール

グレード 搭載エンジン ミッション 駆動方式
タイプei、bi:、si: SR18Di 4AT/5MT FF
タイプei、bi:、si:1993年以降 SR18DE 4AT/5MT FF
タイプ2.0si: SR20DE 4AT/5MT FF
タイプ2.0si:アテーサ SR20DE 4AT 4WD
サリュー! SR20DE 4AT FF/4WD
サリュー!GTパック SR20DE 4AT FF/4WD
リゾートエクスプレス SR20DE 4AT 4WD
リゾートE2.0si: SR20DE 4AT/5MT FF
リゾートE2.0アテーサ SR20DE 4AT 4WD

このように下位グレードには1.8Lエンジンが搭載されています。アテーサシリーズは必ずフルタイム4WD、2.0シリーズ・サリューシリーズ・リゾートエクスプレスシリーズは必ずSR20DE、更にサリューシリーズに5MTは存在しておらず、4WD車は全て4ATになっています。また、初期リゾートエクスプレスのアテーサ表記無し4WDは非常に珍しいものとなっています。

W10型アベニールサリュー

グレード 搭載エンジン ミッション 駆動方式
サリューB SR18DE 4AT/5MT FF
サリューX SR18/20DE 4AT/5MT FF/4WD
サリュー! SR20DE 4AT FF/4WD
サリューG SR20DE 4AT FF/4WD
サリューG GTターボ SR20DET 4AT 4WD
サリュー!リゾートE SR20DE 4AT FF/4WD
サリューG GTターボリゾートエクスプレス SR20DE 4AT 4WD
サリューGエアロエクスプレス SR20DE 4AT FF/4WD
サリューG GTターボエアロエクスプレス SR20DET 4AT 4WD

こちらも下位グレードには1.8Lエンジンが搭載されており、5MTの設定はサリューBとサリューXのみ・サリューXは1.8Lと2.0Lエンジンの2種類が用意さてています。アテーサの名前は付かなくなりサリューB以外はフルタイム4WD有り、GTターボシリーズのみSR20DET搭載ですが、全て4ATの4WD車となっています。

W11型アベニール

グレード 搭載エンジン ミッション 駆動方式
サリューJ QG18DE/SR20DE 4AT/5MT FF/4WD
サリューX QG18DE/SR20DE 4AT/CVT/5MT FF/4WD
サリューZ QG18DE/SR20DE 4AT/CVT/5MT FF/4WD
サリューSi QG18DE(NEO)/SR20DE 4AT/CVT FF/4WD
GT4-S SR20DET 4AT 4WD
GT4-Si SR20DET 4AT 4WD
GT4-V SR20DET 4AT 4WD
GT4-Z SR20DET 4AT 4WD
ブラスター QR20DE(NEO)/SR20DE 4AT/CVT FF/4WD
Kid’sバージョン SR20DE CVT FF/4WD
ライダー SR20DE(T) 4AT 4WD

W11型はサリューシリーズに対して1.8Lエンジンが2種類・2.0Lエンジンが1種類の計3種、サリューJはCVT無し、サリューSiは5MT無し、駆動方式はFF・4WD設定ありとなっています。GT-4シリーズは全てターボエンジン、4ATの4WD。ブラスターは2.0Lエンジンが2種類、FF・4WD設定あり、年式により4ATとCVTが切り替わる。Kid’sバージョンは駆動方式のみ選択可能。ライターはエンジンのみ選択可能となっています。

スペック

現在日産自動車ではW10型アベニールの主要諸元表がwebカタログでは見れなくなていますので、簡易的なものですがスペック表を見ていきましょう。

W10型の簡易スペック表

販売期間 1990年~1999年
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドアステーションワゴン/ライトバン
エンジン 直列4気筒 2.0L SR20DE(T)直列4気筒 1.8L SR18DE(Di)直列4気筒 1.6L GA16DS直列4気筒 2.0L CD20(T)ディーゼル
駆動方式 FF/4WD
変速機 4AT/5MT
サスペンション 前:マクファーソンストラット式コイルスプリング後:トーションビーム式コイルスプリング(2WD)後:5リンク式サスペンション(4WD)
全長 4,460mm
全幅 1,695mm
全高 1,460-1,490mm
ホイールベース 2,550mm
車両重量 1,100-1,410kg

W11型アベニールは日産自動車よりwebカタログにて正確な主要諸元が公表されていますので、こちらをご覧ください。

日産自動車 アベニール主要諸元表

日産自動車 アベニールエンジン主要諸元表

アべニールの中古車市場価格

気になるアベニールの中古相市場価格ですが、現在は非常に残念なことにW10型の中古販売は車両自体が無く壊滅的な状態。W11型に関しても発見できたのは全国で6台程、すでに絶滅への一途を辿っています。個人の車屋さんや、全国掲載していない車屋さんでは在庫を持っている可能性がありますが、探すのには労力を伴うことになりそうです。

現在確認できるW11型アベニールの車両本体価格は最安値が2004年式、走行10万kmのアベニールサリューSi CVTモデルで14万円。最高値は2001年式、走行3.2万kmのアベニールGT-4V 4ATターボモデルが79万円となっています。

アベニールのカスタムパーツ

スポーツ走行ができ、エンジンの種類によっては更に幅を広げられるアベニール。販売当初からカスタムユーザーに人気がありましたが、一体どんなカスタムパーツがあるのでしょうか。ここからはアベニールのカスタムパーツをいくつか紹介して行きたいと思います。

外装部品

排気効率を上げ、車のリアビューを変更することができるマフラー。FUJITUBOのワゴリスマフラーとレガリスRマフラーは現在両種類とも受注生産となってしまっていますが、現在SR20エンジン用の新品を買えるのはFUJITUBOしかありません。

藤壷技研工業 レガリスR ホームページ

藤壷技研工業 ワゴリス ホームページ

※受注生産品のため、仕様を確認する際はHP右下の製品検索からフリーワードで「アベニール」と条件指定をする必要があります。

車の外観を変更するのに絶大な効果を発揮してくれるアルミホイール。W11型はP.C.Dが114.3の5穴なのでホイール選びに困ることはまずありませんが、W10型はP.C.D114.3の4穴なので意外とホイール選びに悩むことが多いようです。現在はカスタムオーダーを行ってくれるホイールメーカーさんが増えていますので、一度相談してみるのもカスタム方法の一つです。

株式会社WORK ホームページ

アベニール現役時代にはエアロパーツもKEN STYLE・ドルフィン・AERO PALACEなど、たくさんのメーカーから販売されていましたが、現在では新品エアロを購入できるチャンスはほぼありません。もしアベニールユーザーさんがエアロに出会うことがあれば即買いしても損はないかもしれません。

足回り

アベニール用のダウンサスや車高調はまだ販売しているメーカーさんが多いです。W10型はダウンサスがメインとなっていますが、W11型には車高調、ショックKITも販売されています。amazonで購入することができる商品もありますのでぜひチェックしてみてください。

まとめ

滅多に姿を見ることができなくなってしまったアベニール、平成初期から中期にかけて沢山のカスタムカーが走っていたのもいい思い出で、車両としては非常に珍しい部類になりつつあります。今アベニールをお持ちの方は大切に乗っていただくとともに、ぜひ楽しいカスタムライフを過ごしてください。

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