2019年01月16日 (更新:2020年07月28日)
燃費に影響する?ハイオク燃料について説明します!
車の燃料の中でも色々と頭一つ出ているのがハイオクです。ガソリンスタンドで見かけることは良くあると思いますが、今回はこのハイオクとはどのような燃料であるのかということを、燃料の基本事項と合わせて紹介します。
必ず知っておきたい燃料の基本
ハイオク燃料に関する知識を深めると同時に、そもそも石油は如何にして燃料となるのかについても学びましょう。
燃料が作られる行程
ハイオクガソリンやレギュラーガソリンは石油製品の一種です。石油製品とは原油から生み出された製品になりますから、ハイオクガソリンもレギュラーガソリンも、原油から生まれたものとなります。
そこで気になるのが原油から如何にしてハイオクガソリンやレギュラーガソリンが生み出されるのかということです。端的に言えば、原油を決められた温度で加熱して蒸気にしてしまい、その蒸気に二次処理を行ってその品質を確認してから製品になる、という感じです。これをもう少し掘り下げて以下で説明します。
加熱された原油の蒸気(石油蒸気と呼ばれます)は蒸留塔と呼ばれる容器の中へ送られます。実は蒸留塔の内部は仕切りで分けられているのです。さらに、蒸留塔は上に行けばいくほど内部の温度が低くなるように作られています。
つまり沸点の低いものが蒸留塔の上部から溜められていくということです。軽油や灯油と比べるとガソリンの沸点は低いので(摂氏30℃から180℃・220℃くらいと言われているようです)、蒸留塔ではそれらよりも上段に集まることとなります。
ハイオクとは
ガソリンが作られる行程は上記で紹介したとおりです。ここでは当記事のテーマであるハイオクについて、どのような燃料であるのかを説明します。
燃料の一種
今日の自動車の主要燃料の1つとして存在しているのがハイオクです。高オクタン価ガソリンと呼ばれたり、無鉛プレミアムガソリン(または単にプレミアムガソリン)などとも呼ばれています。ガソリンスタンドに行くと黄色のステッカーで示されている給油ノズルを見かけると思います、それはハイオク専用のノズルです(レギュラーガソリンは赤色)。
ハイオクの性質
ハイオクの性質として必ず押さえておきたいことは、オクタン価についてです。オクタン価とは自己着火率のしにくさを示すもので、オクタン価が高ければ高いほど自己着火がしにくい、つまりノッキング(異常燃焼によって発せられる金属の音や振動など)が起きにくくなります。
上述したとおりハイオクのオクタン価は高く、JISにおけるハイオクのオクタン価は96以上です。この数値だけ見るとオクタン価が高いかどうかはわかりませんが、レギュラーガソリンのオクタン価がJISで89以上と定義されているので、レギュラーガソリンよりは高オクタン価ということがわかります。
ハイオクは高オクタン価ですから、ノッキング対策に効果的です。ちなみに、このノッキングの原因には圧縮の高さや点火時期のタイミングなど諸要因が合わさっていますので、スポーツカーやスーパーカーの燃料にハイオクが選ばれているのはこれも関係しています。余談ですが、一時期(昔という意味)のホンダが作っていた自然吸気のVTECエンジンにもハイオク仕様のものがありました(例えばEF9のグランドシビック)。
レギュラーガソリンとの違い
ハイオクとレギュラーガソリンの違いはそれらのオクタン価の高さです。ハイオクのオクタン価は高めに作られていますが、レギュラーガソリンのオクタン価は低めです。
オクタン価が違いますので、ノッキング対策の意味を込めて給油するのであればハイオクを選択することが効果的となります。とは言うものの、それぞれのエンジンは使用する燃料を想定して作られていますので、メーカーが指定している燃料を給油しておくことが確実です。
リッターあたりの単価も違います。ガソリンスタンドに足を運んで値段を見るとわかりますが、大体ハイオクのほうがレギュラーガソリンよりもリッターあたり10円ほど高いです。
ハイオクと燃費の関係
ハイオク燃料を使用すると燃費が良くなると言われています。ハイオク仕様車であればそれがデフォルトとなるので比較することは不可能ですが、レギュラーガソリン仕様車であればその比較は可能です。果たしてそれは本当なのでしょうか。合わせて、レギュラーガソリン車にハイオクを使用した場合と、ハイオクガソリン車にレギュラーガソリンを使用した場合のケースについても説明します。
レギュラーガソリン仕様車にハイオク燃料を使うと燃費は良くなるのか
レギュラーガソリン仕様車にハイオクを使用することで燃費が向上する、それは正しいとも言えますが正しくないとも言えます。この違いは、燃費が向上したというのをどの数値を基準にするかによって決定されるのです。
昭和シェル石油のハイオクガソリンであるShell V-Powerに関するページを見てみると、燃費が良くなるのかどうかというQ&Aがあります。曰く、「エンジン内部に堆積した汚れ(付着物)によって燃費が低下している場合、Shell V-Powerの洗浄性能によって燃費回復が期待されます」とのこと。
つまり、エンジン内部の洗浄効果を備えたハイオクであれば、使用することでエンジン内部が洗浄されることで低下していた燃費性能が本来の性能へ戻るということです。低下している状態から標準の状態に戻れば燃費が高くなったということができます。ただし、そのエンジンが本来持っている燃費性能そのものを高めるというわけではありません。
レギュラーガソリン仕様車にハイオクを使った場合
使用して良いのか否かということを考えると、レギュラーガソリン仕様車に現代のハイオクを燃料として使用した場合には特に何の問題もありません。特に問題はないのでハイオクガソリンを給油しても良いのですが、そもそもレギュラーガソリンを使う前提で設計されているエンジンにハイオクを使用することは有益なのかどうかと考える必要があります。
シェルやコスモなどのハイオクに関する説明を参考にすれば、エンジン内部の洗浄に貢献するとされています。これはすでに説明したおりですので、エンジンを洗浄するという目的でShell V-Powerのようなハイオクを使用するのは良いです。結果、ハイオクにすることで高出力を狙う・燃費向上を狙うという効果は期待できないという意見がほとんどです。
ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを使った場合
上記とは逆のケースで、ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを使用するのはNGです。ハイオク仕様車のエンジンはハイオクガソリンを燃料として動くように設計されています。緊急時の備えてレギュラーガソリンでも動くように作られてはますが、緊急時以外はやめましょう。ノッキングが多発して、エンジンが故障してしまいます。
性能的側面では、ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを使用するとエンジンのパフォーマンスが低下します。パフォーマンスつまりエンジンの出力と燃費性能の低下です。出力と燃費が本来の性能を発揮できなくなれば、加速したときのもたつきやリッターあたりの走行量が減るということになります。加えて、ノッキングも発生しやすくなりますので、よほどの緊急事態でなければハイオク仕様車にレギュラーガソリンを給油するのは控えてください。
まとめ
今回はハイオクガソリンをテーマに燃料の作られる過程やハイオクの性質、レギュラーガソリンとの違い、ハイオクと燃費の関係などを紹介しました。
レギュラー仕様車にはレギュラーエンジンとハイオクのどちらを給油しても問題はありませんが、ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを給油するとエンジンにもお財布にも良いことはありません。自分の車のエンジンにはどの燃料を給油するべきかを確実に理解しておきましょう。