2018年08月17日 (更新:2020年07月09日)
キャンバーをつけるために必要!?ロアアーム交換をする真の理由とは?
キャンバー角をつけるためには、調整式ピロアッパーマウントやキャンバーボルトを装着したり、ロアアームを交換したりすることがあります。そのため、「ロアアームを交換するとキャンバーがつく」と思われがちですが、実は違うのでご説明します。
そもそもロアアームとは
ロアアームは、マクファーソンストラット式やダブルウィッシュボーン式などのサスペンションで使われている部品で、ストラットやステアリングナックルなどを支えながら、サスペンションを動かす重要な役割を担っています。
例えば、あるマクファーソンストラット式(前)サスペンションを採用した車両の場合、ロアアームの内側はゴム製のブッシュを介してボディーなどに固定、外側はボールジョイントを介してハウジングに固定することで、サスペンションがスムーズに動くことが可能となります。
また、ゴム製ブッシュの硬度を変更することで、サスペンションの動きをコントロールできます。ロアアーム本体は強度を高めるために鋳造製にしたり、軽量化のためにアルミ素材を使ったりすることがあります。
ロアアームは、いわゆるばね下を構成する部品なので、高強度で軽い方が俊敏な走りが実現できます。このように、ロアアームは重要な役割がある部品なのです。
キャンバー角を付けるには?
キャンバー角をつけるために、調整式ピロアッパーマウント、キャンバーボルトに交換することがあります。これらの部品交換によってサスペンションを内側に倒したり、車軸を傾けることで、キャンバー角をつけます。
調整式ピロアッパーマウントの場合
調整式ピロアッパーマウントは、ストラット(サスペンション)上部のアッパーマウントの部分が可動式になっており、ストラットの取り付け位置をずらすことで直接ストラットを傾け、キャンバー角をつけます。
キャンバーボルトの場合
一方、キャンバーボルトの場合は、ストラットとステアリングナックルを固定している上下2本のボルトの上側のボルトをキャンバーボルトに交換することで、ストラットとナックルの位置関係をズラし、車軸のみを傾けてキャンバー角をつけます。
ロアアームを交換する理由
上記のような部品を装着すると、ステアリングナックルが内側に倒れるため、ホイールが車体側へ近づき、ドライブシャフトが突っ張り棒のようになってしまいます。ドライブシャフトにこのような力がかかると、動きが鈍くなったり、ジョイント部が破損してしまったりといったトラブルが発生します。
ここで、少し長いロアアームに交換します。内側に倒れて車体側に近づいてしまったナックルを外方向に逃がすことで、ドライブシャフトの負担を軽減することができます。
一方、車高を下げた車両の中には、ハンドルをある程度大きく切るとタイヤがフェンダーに当たってしまう問題が発生します。こういった問題にも、より長いロアアームに交換することで対応できることがあります。
ロアアームを交換するのは、キャンバーをつけるためではなく、キャンバーや車高調整によって発生する問題を解決するためなのです。
ロアアーム交換は注意して行う
キャンバーをつけるからといって、調整式ピロアッパーマウントやキャンバーボルトを装着せずにロアアームだけを交換すると、想定外のトラブルが発生する可能性があります。
ステアリングナックルが通常の位置から外側方向に移動することで、ドライブシャフトも外側方向に引っ張られるため、ミッションやデフからシャフトが抜けやすくなってしまいます。最悪トランスミッションからドライブシャフトが抜けてしまう可能もあり、オイル漏れや走行不能に陥る原因となります。
まとめ
今回はロアアームを交換する理由を紹介しました。より長いロアアームに交換することで、キャンバーをつけたことによるドライブシャフトの問題や、車高を低くしたことによって舵角が狭まってしまう問題に対応することが可能です。
起こり得るトラブルを熟知した上で、どういったカスタムを行いたいのかしっかり検討しましょう。