ボディ剛性ってなぜ重要なの?車と剛性の関係性を解説します! | CARTUNEマガジン
ボディ剛性ってなぜ重要なの?車と剛性の関係性を解説します!

2019年01月23日 (更新:2020年07月20日)

ボディ剛性ってなぜ重要なの?車と剛性の関係性を解説します!

ボディ剛性について熱く語る、車に詳しい方を見たことがあるでしょう。しかし、一般的に車の剛性と聞いても、どこにどのような剛性の高さがあるのか、ピンとこない人が大半ではないでしょうか。そこで、車における剛性の重要性とその関係性、そして車の剛性を上げる方法の3点について詳しく解説していきます。

ボディ剛性ってなに?

たけちゃんマンさんのインプレッサ WRX STIGDBの画像
たけちゃんマンさんのインプレッサ WRX STIGDBの画像

ボディ剛性という言葉は、車好きであればよく使う言葉です。ボディ剛性と言う言葉からなんとなくイメージできる人も多いと思いますが、つまるところ、車の剛性=車のボディの硬さということ。一般的な車のボディは、薄い鉄板を溶接や接着剤でつなぎ合わせて箱型にしたモノコックボディを採用しています。その溶接方法や、鉄板の厚みや繋ぎ合わせ方でボディの剛性が変わってくるのです。

ボディは意外と柔らかい

走行中にタイヤから受けた衝撃は、サスペンションを通してボディに伝わっていきます。路面からの衝撃がボディに伝わった時、ボディがねじれたり、曲がったりする量が少ないほどボディ剛性が高いということになります。しかし、一般のドライバーでボディがねじれたり曲がってしまうような感覚がわかる人はほとんどいないでしょう。

近年、ボディ剛性は格段に向上している

昔の車は、ジャッキアップするとドアの開閉が悪くなることが多くありました。この現象は、ボディ剛性が低いことに起因していて、ジャッキアップによりボディが曲がってしまうためにドアの開閉に問題が起ていたのです。

このほかにも、ハードにサーキット走行するとCピラーにシワが入る車種もあり、当時はそういった車のボディ剛性を上げるための工夫をするボディチューニングも盛んに行われていました。なお、現在の車ではジャッキアップやハードなサーキット走行による影響は見られなくなり、ボディ剛性は過去の車より格段に上がっています。

ボディ剛性の高さは車にとって必要不可欠

黒秋刀魚さんのフェアレディZの画像
黒秋刀魚さんのフェアレディZの画像

ボディ剛性が低いと、走行中にボディから軋み音が聞こえたりすることがあります。

実はこれ、単に音が出ているのではなく、操縦性能にも大きな影響があるのです。車にはエンジンやミッションといった重量物が積まれていますが、車を走行させてコーナーを曲がるときに、エンジンやミッションの重みで車のボディがねじれたり曲がったりしています。この動きが大きくなると、ハンドリングにボディの動きがダイレクトに伝わってきて安心して運転することができません。

また、エンジンやミッションが動いてしまうようなボディ剛性では、エンジンの出力を駆動輪に上手く伝えられないためにレスポンスが悪化したり、ミッションが安定しないことでギアの入りが悪く、ギア抜けが発生することもあります。

事故発生時にも重要

事故が起きてしまった時に、乗員を守るためのボディ剛性も必要です。昔の車では、オフセット衝突という衝突実験を行うと、Aピラーがひしゃげて車内の空間が簡単につぶれてしまうような貧弱なボディ剛性でした。しかし最近の車では、効率よく力を分散させながらあえて強度を落としたクラッシャブルゾーンを設けることで、安全性と絶対的な強度を兼ね備えたボディ剛性を持っています。

このようにボディ剛性の高さは、乗員の保護や走行性能、操縦性に関わる必要不可欠なもの。そのため、各自動車メーカーでは、ボディ剛性を上げて操縦性能をよくする工夫をしているのです。

ボディ剛性をあげるには?

ぐっさん LOOPさんのシルビアS15の画像
ぐっさん LOOPさんのシルビアS15の画像

サーキットを走行するような場合、ボディのねじれが気になり、思うようにコーナーを攻め切れないことがあります。

タワーバーをつける

KoffeさんのセルシオUCF31タワーバーの画像
KoffeさんのセルシオUCF31タワーバーの画像

タワーバーは、ボディの左右を繋ぐ棒のことで、サスペンション付近に装着します。ここを補強することでエンジンルーム周りの歪みが減り、サスペンションが正確に作動するようになるほか、ステアリングレスポンスも向上します。リアに装着する場合もあります。

強化マウントはダメ

エンジンマウントやミッションマウントを強化品にすると、エンジンのフィーリングや、ハンドリングが良くなり、サーキット走行などでその違いを体感できます。しかし、強化マウントは純正マウントで力を逃がしていた部分をボディとダイレクトにつなぐので、ボディへのダメージが大きくなります。そのため、この方法はボディ剛性を上げて体感できる方向性と似ていますが、ボディ剛性を無視した方法となります。本来は、ボディ剛性を上げた後に行います。

本格的にボディ剛性を上げるには?

ボディ剛性を上げるということは、ボディのねじれや曲がりを抑える工夫をする、ということです。いくつか方法をご紹介します。

ロールバー

簡単にボディ剛性を上げることのできる方法としては、ロールバーが一般的です。

取り付けに際し、ロールバーとボディを繋ぐため車体にボルトを通す穴をあける、もしくは溶接する必要があります。重量が増すことや乗り降りが不自由になることがデメリットに挙げられますが、車の安定性が体感できる、効果の高い方法です。

スポット溶接

さらに本格的にボディ剛性を上げたい場合は、スポット増しという方法があります。一般的に、車のボディは鉄板を点溶接でくっつけています。鉄板同士を圧着して1秒前後の時間で高電圧を流し、鉄板を溶解して密着させる溶接方法です。この溶接方法はスポット溶接と呼ばれ、この溶接を増やすのがスポット増しです。

スポット溶接は、スポットとスポットの間の距離が短いと、電気が隣のスポット痕に流れて、必要な強度に溶接することができません。また、古いスポット溶接機では溶接強度が足りず、逆にボディ剛性を落とすことにもなりますので、確かな技術をもった自動車鈑金工場にスポット増しを依頼するのが良いでしょう。

ボディ剛性を上げるためのスポット増しは、主にストラットの取り付け部分と車の開口部を重点的に行うのが効果的です。特にサイドシルやピラーと屋根を繋ぐ部分にスポット増しをすると、開口部のねじれがなくなってボディ剛性が高まるので、シャキッとした動きになります。

やみくもに剛性を上げるのはダメ

スポット溶接やロールバーはボディ剛性を上げることができますが、やみくもにボディ剛性を上げるのは危険です。ボディ剛性が高すぎると、衝突時にぶつかった場所からかけ離れたところまで損傷が波及し、修復不可能となってしまいます。また、クラッシャブルゾーンもないような剛性にしてしまうと、事故の際に衝撃が強くなりすぎ、危険な車となってしまうので注意が必要です。

まとめ

ポカちゃんさんのシビックタイプREK9の画像
ポカちゃんさんのシビックタイプREK9の画像

ボディ剛性がどの程度あるのか体感するのは困難であり、車を乗り比べてその違いに気が付く人はごくわずかです。ですが、車の根幹にかかわる非常に重要な要素なのです。車に詳しい人がボディ剛性について熱く語っているのも納得ですね。

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