2019年04月16日 (更新:2021年05月11日)
保険を使うと等級が下がる!?自動車保険のカラクリを解説します!
自動車保険で必ず理解しなければならないのが等級です。保険を使うと等級が下がると言いますが、それはどういう意味なのでしょうか。今回は自動車保険のカラクリについて詳しく解説します。
自動車保険の等級って?
自動車保険に加入する際に必ず理解する必要のあるものが等級です。等級とはどのようなものなのでしょうか。
自動車保険で使われる区分
自動車保険の等級とは、自動車保険において用いられる区分のことです。この区分は1から20までの20個の区分によって構成されています。
この区分が示すものは、車ごとに決められている保険料に対して、加入者にどれくらいの割引率を定めているのかということです。
世の中には様々な車種が存在していますが、それぞれ1つ1つに車両・対人・対物・傷害の4つクラスが設けられていて、保険適応の年齢条件などと合わせて、そのクラスに応じた保険料が決められます。
このベースとなる保険料から割引分の保険料を差し引いた金額が実際にユーザーの支払う自動車保険料金となるのです。
最初に加入するのは6等級
自動車を購入して新規で自動車保険に加入することとなった場合の等級は6等級です。老若男女関係なく、新規で自動車保険に加入すると6等級から始まります。
自動車保険は1年単位で契約を更新する仕組みとなっていて、その1年間でその自動車保険を使用することなく契約更新すると等級が1つ高くなります。
例えば、2019年の2月22日に自動車保険に加入し、自動車保険を使うことなく無事に過ごして、2020年の同日に引き続きその自動車保険を契約することで、6等級から7等級へ等級が上がります。
等級ごとの保険料割引率
それぞれの等級によってどれくらいの保険料が割引されているのかを表にまとめました。なお、これは保険会社によって差がありますので、参考程度にしてください。
あいおいニッセイ同和損保の等級別割増引率表を基に作成
等級 | 事故無し | 事故有り |
---|---|---|
20等級 | 63%割引 | 44%割引 |
19等級 | 55%割引 | 42%割引 |
18等級 | 54%割引 | 40%割引 |
17等級 | 53%割引 | 38%割引 |
16等級 | 52%割引 | 36%割引 |
15等級 | 51%割引 | 33%割引 |
14等級 | 50%割引 | 31%割引 |
13等級 | 49%割引 | 29%割引 |
12等級 | 48%割引 | 27%割引 |
11等級 | 47%割引 | 25%割引 |
10等級 | 45%割引 | 23%割引 |
9等級 | 43%割引 | 22%割引 |
8等級 | 40%割引 | 21%割引 |
7等級 | 30%割引 | 20%割引 |
6等級 | 19%割引 | |
5等級 | 13%割引 | |
4等級 | 2%割引 | |
3等級 | 12%割増 | |
2等級 | 28%割増 | |
1等級 | 64%割増 |
新規で自動車保険に加入すると、まずは6等級となりますので保険料の割引率は19%です。それに対して、最上級の等級である20等級の事故無しの場合では63%の割引を付けることができるようになっています。
しかし、新規で自動車保険に加入してから20等級になるまでには最短で14年かかる計算となっているのです。
例えば、20等級事故無しの場合の保険料が年間60,000円の場合を考えてみると、63%割引でこの保険料となっているので、割引が全くない場合の保険料は、60,000÷0.37=162,162円くらいになります。
計算しやすいように少し高めに見積もって163,000円とすると、新規で保険に加入した場合には163,000 x 0.81=132,030円/年の保険料が必要になります。
事故をすると等級が下がるわけではない!
自動車保険の等級が下がる原因として取り上げられるのは、交通事故を起こしてしまったことです。
自動車保険の等級が下がるキッカケとなることに交通事故があることは間違いありませんが、等級が下がる根本的な原因は、その自動車保険の補償を使用することにあります。
自動車保険で使用することのできる補償を使用した場合、次年度の等級は下がって「事故有り等級」になり、1等級または3等級下がってしまいます。
上記の表の通り、事故有り等級では保険料が割増になります。
3等級下がるケース
このケースに該当するのは対人/対物/車両に関する保険を使用した場合となります。
単独で交通事故を起こして車両保険を使用した場合や、他車と衝突する事故で相手の治療費補償や修理費用補償および自分の車の修理補償をした場合などです。
1等級下がるケース
1等級のみ下がるケースは車上荒らし(盗難)や自然災害及び飛び石によるガラスの破損といった、自分ではどうしようもない(過失の無い)事故に対して補償を使用した場合です。
事故あり等級は3年間続く
事故によって等級が下がる場合、次年度の自動車保険更新から3年後まで、事故有り等級として扱われることとなります。
等級が下がってもその年に自動車保険を使わなければ保険の更新するについて1等級ずつ上がるのですが、事故有り等級は3年間続きます。
例えば、13等級だった人が2010年1月に3等級下がる補償を使用して、2010年6月に保険の更新手続きをすると事故有りの10等級になります。
2011年6月まで補償を使わなかった場合には11等級に上がりますが、まだ事故有り等級のままです。2013年6月の更新時まで再度保険を使うことがなければ、13等級事故無しとなります。
保険を使わずに修理したほうがいいケースも
交通事故を起こしてしまったり不運にもいたずら飛び石などで修理が必要となった場合に使用する自動車保険ですが、このような場合全てに保険を使えばよいというわけではありません。
本当に保険を使う必要があるのかを判断する必要がある
そもそも自動車保険とは自身に対人・対物事故によって賠償責任が自身に発生する場合や、自身の車を修理するための費用を自分一人では支払うことができない場合に保険会社が補償をするものです。
修理の場合を当てはめて考えると、自分で支払うことのできる範囲であれば、自動車保険の補償を受けることなく実費で修理日を支払うこともできます。
保険を使わずに自分でお金を払う場合の金額と、加入している自動車保険を使う場合に上がった保険料の金額を比較して、自身にとって負担額の少ないほうを選ぶことは当然でしょう。この点を考慮して保険を使って修理するかどうかを決定するのです。
概算を出してみる
事故を起こして等級が下がってしまった場合の概算保険料の計算を行うフォームがソニー損保のwebページにありますので、それを用いて少し詳しく説明をしてみます。
条件設定としては、現在の保険料が10万円で等級は10等級という状況で3等級ダウンとなる自動車保険補償を使用した場合です。
年 | 等級 | 保険料 |
---|---|---|
次年度 | 事故あり7等級 | 131,000円 |
2年後 | 事故あり8等級 | 129,000円 |
3年後 | 事故あり9等級 | 128,000円 |
無事故10等級では保険料が100,000円となっていたにもかかわらず、3等級ダウンで事故有りの等級となったことによって、割引率が低くなり、30,000円ほど高くなっていることがわかります。
3年間で支払う保険料の合計金額は388,000円です。
無事故10等級の保険料が100,000円の状態で自動車保険を使うことなく自動車保険を継続した場合の保険料もチェックしてみましょう。
年 | 等級 | 保険料 |
---|---|---|
次年度 | 無事故11等級 | 87,000円 |
2年後 | 無事故12等級 | 85,000円 |
3年後 | 無事故13等級 | 83,000円 |
自動車保険を使うことなく継続することとなるので等級が1年ごとに1つずつ高くなっています。
無事故かつ等級が上がっていくため、割引率は上がっていきます。3年間で255,000円の保険料となります。
これら2つの保険料はあくまでも概算ですが、等級の高さと事故等級の有無によって、133,000円もの保険料の違いが発生することとになるのです。
このようなケースでは、車の修理費用が133,000円よりも高ければ保険を使用し、それ以下であれば実費で支払ったほうが出費を減らすことができるという計算になります。
保険を使うと損する場合もある
今回は自動車保険(任意保険)について、等級が自動車保険の保険料に与える影響や、等級が高くなったり低くなる場合について紹介しました。
等級の下がる補償を使ってしまうと等級が下がって事故歴が付き保険料が高くなるという悪循環に陥りやすい自動車保険。1等級ダウンのような致し方ない事故もありますが、日ごろから事故を起こさない・遭わないように意識して運転を行うことは、車に掛かる費用削減にもつながるということを覚えておきましょう。保険を使える場合でも、その後の保険費用の値上がり分などを考慮して本当に保険を使うのかを検討したほうが良いことも覚えておいてください。