2019年01月14日 (更新:2024年07月22日)
タイヤの空気圧を正しく理解。空気圧表示の見方から点検方法までを解説!
ついつい忘れがちなタイヤの空気圧チェックですが、正しい空気圧を確保することで安全性の向上、燃費の向上に繋がるのです。今回は、愛車のタイヤの適正空気圧を調べる方法から、空気圧の調整方法をご紹介いたします。
タイヤの空気圧チェックの必要性
まずはタイヤの空気圧をチェックする必要性についてご紹介します。タイヤは直接路面に当たる部分のため、空気圧一つでドライビング性能が激変します。
空気圧は高すぎても低すぎても性能を発揮できなくなります。では、具体的にどのような現象が起こるのかを見ていきましょう。空気圧が適正ではないため、燃費が悪くなっていたり危険な状況で運転しているかもしれません。
空気圧低下による燃費の低下
タイヤの空気圧が少ない場合、燃費は悪くなります。自転車に乗ったことのある方なら、空気を入れると漕ぎやすくなった経験があると思います。
自転車で漕ぎやすくなったということは、少ない力で前に進めるようになったということです。車にも同じことが言えます。エンジンの力によって動かしているタイヤですから、エンジンが少ない力で車が進みやすくなるということは、それだけ燃費が良くなるということなのです。
この原因ですが、適正な空気圧よりも少ない空気で走っていると、タイヤがうまく回転してくれません。空気圧によって内部から押されているタイヤですが、この空気圧が少ないと路面の力に負けてしまいます。
タイヤは円形で回転していますが、空気圧が少ないと円形ではなく接地面が大きくなってうまく回らなくなってしまいます。物理の世界で慣性の法則というものがありますが、動いているものはそのまま動き続けようという力が働きます。
しかし、タイヤの空気圧が少ないことにより、少しブレーキがかかった状態になるのです。アクセルを開けて走っていても、タイヤの形状が変化して常にブレーキをかけられていては無駄な力がかかっている状態になるのです。
このため、少ない空気圧で走行するということは、大きなパワーロスということになります。車種にもよりますが、適正な空気圧にしたところ燃費が2km/Lも向上したという例もあることから、侮ることはできません!
空気圧過多によるグリップ力の減少
それでは、燃費を向上させるために空気圧が多ければ良いのかというと、そんなことはありません。タイヤの性能を発揮するためには、多すぎることによりタワミが少なくなりすぎてグリップ力が低下してしまうのです。
停車している車を見ていただくとおわかりいただけますが、路面に接地している部分が平らに変形しているのがわかります。空気圧を高くしていくと、変形して路面に接している部分がどんどん少なくなっていくのが見ていてもわかると思います。
つまり、空気圧が高すぎると路面の接地面が少なくなり、グリップが落ちてしまう現象が起こるのです。さらに、空気圧が高すぎるとコーナリングでのグリップも低下してしまうので注意が必要です。
1トン以上もある車が曲がるのを可能にしているのがタイヤです。つまり、タイヤのグリップによって曲がることを可能にしているのです。車はまっすぐ進もうという力が働いていますが、タイヤがグリップを効かせて横へ曲がる力へと変えているのです。
氷の上を運転したことのある方は体験したことがあると思いますが、グリップの効かない路面ではハンドルをどう操作しようと車はまっすぐ進みます。つまり、1トンを越える車の動きを変えるほどの力がタイヤにはかかっているのです。
ゴムであるタイヤは、力がかかるとたわみます。このたわみによって、路面からズレることなく常に一定の面積を保ってグリップ力を働かせ、コーナリングを可能にしているのです。
逆に言えば、空気圧を高くしてたわみを少なくしてしまうとそれだけ滑り出しが早くなってしまうのです。コーナリングのたびにタイヤが鳴ったり、場合によっては大きな事故に繋がる可能性もありますので、入れすぎには注意してください。
タイヤの寿命
空気圧は、タイヤの寿命にも影響を及ぼします。前述したように空気圧が少なく、常にブレーキがかかっている状態であればタイヤの減りも早くなります。さらに、想定以上のたわみが発生することで、通常考えられていないタイヤの減り方が起こって寿命が早く終わる場合もあります。
また、空気圧を高くしていても、グリップせずに流れてしまいますので滑る機会が多くなり、減りが早くなります。走行しているたびにアスファルトにブラックマークをつけていては、減りも早くなってしまいますよね。消しゴムと同じ原理です。
タイヤの寿命にも密接に関係している空気圧ですので、侮ることはできません。
適正空気圧ではない場合、バーストの原因に
最も恐れなければならないのは、タイヤのバーストです。パンクであれば、ホイールにタイヤが巻きついている状態なのでコントロールを失うかもしれませんが、タイヤが転がっているだけ立て直しはしやすいです。
しかし、バーストしてしまうとホイールがむき出しになり、グリップがゼロになるので非常に危険です。タイヤトラブルで一番避けたい事案になります。この原因が、空気圧が大きく関係していることはご存知でしょうか。
近年、タイヤ性能の向上によってバーストするタイヤは少なくなりましたが、適正な空気圧が入っていない場合はバーストが起こりやすくなります。
空気圧が高い場合も低い場合も、バーストの原因はタイヤの変化によるものです。高速走行をしている場合、空気圧が少ないとタイヤがたわみ、波を打ったように変形してしまいます。これを、スタンディングウェーブ現象と言います。
スタンディングウェーブ現象は、空気圧を高く保てば良いというわけではありません。高い場合にも起こる場合があるのです。実は、タイヤにかかる摩擦熱によって運転中は空気圧が高くなります。
新しいタイヤであれば問題ありませんが、古いタイヤの場合は伸縮性が失われます。高い空気圧で走行し、さらに熱によって膨張したタイヤ内の空気がタイヤを変形させることもあるのです。
そうすると、タイヤ内の空間が広がったままになってしまうので空気圧は下がります。このことにより、スタンディングウェーブ現象が起こることもあるのです。大切なのは、適正な空気圧で運転することですね。
車の指定空気圧表示を確認
それでは、愛車のタイヤの適正空気圧を調べましょう。まず、運転席のドアを開けてみてください。ドアとボディーの間に記載されている数値が適正空気圧です。年式によっては、一般道と高速道路で数値が違う場合があります。
この場合、一般道を優先して入れてください。先ほどもご紹介した通り、最近はタイヤの性能が向上しているため、スタンディングウェーブ現象が起こりにくくなっています。少し空気圧を高めにしても良いのですが、新しいタイヤであれば心配ない構造になっています。
もし、適正空気圧を確認しようと思っても、ステッカーが擦れて確認できない場合があります。その場合は、車に搭載されている説明書やサービスマニュアルに記載されていますので、少し手間がかかりますが確認してみてください。
安全に走行するためにも、愛車の適正空気圧を知ることはとても大切なことです。そして、こまめに空気圧を確認し、安全なドライブを楽しみましょう!
空気圧のチェックに必要な道具と方法
では、いよいよ空気圧をチェックしましょう。ガソリンスタンドでもチェックや補充を行うことは可能ですが、混んでいる場合などは時間をかけてチェックするのも気が引けてしまいますね。
出発前にチェックすることができれば、時間を気にせず空気圧がチェックできますので気も楽です。これさえあれば、いつでも適正な空気圧にすることが可能です。快適で安全なドライブを行うためにも、常備しておくと良いですね。
空気圧を計測するエアゲージ
車やバイクのタイヤ空気圧を測定するための専用ツールです。タイヤの空気圧調整を自分でされない方には縁遠いツールなのですが、本来は日常のメンテナンスの一環で必ず必要になるものです。エアゲージを持っているといつでも簡単に空気圧の点検をすることができますので購入を検討されてもいいかもしれません。
タイヤが熱を持っていると空気の粒子が熱で膨張し空気圧が高くなってしまっているので、空気圧を測定する時はタイヤが冷えている走行前の状態で測定してください。
空気を充填できるエアコンプレッサー
車で最も簡単に電源が取れる、シガーソケットを利用してエアコンプレッサーを動かします。また、設定した空気圧になると自動で止まる機能がついているので、適正な空気圧にすることも簡単にできます。
タイヤの空気だけではなく、ボールや自転車のタイヤにも空気を入れることができるため、用途の幅が広がりますね!
空気の入れ方
ガソリンスタンドで空気を入れる場合
自宅にエアコンプレッサーがない場合は、ガソリンスタンドで入れましょう!店員の方が行なってくれる場合は空気圧を伝えればいれてくれますが、セルフスタンドの場合は自分で入れることになります。そのような場合は上記の動画でも確認できますので、ガソリンスタンドのエアコンプレッサーの使い方を確認しておきましょう!
エアコンプレッサーを使用する場合
道具を揃えたら、今度は空気圧を調整していきましょう。調整方法は自転車と変わりません。まずはホイールに出ているエアバルブを探してください。金属製と樹脂製のものがありますが、ホイールから突起している部分です。
この突起している部分の先を捻ると、キャップが外れます。外したキャップは無くさないようにわかりやすい場所に置いてくださいね。キャップを外したエアバルブの先に、エアコンプレッサーのポンプヘッドを装着すれば、現在の空気圧が表示され、空気を入れることも抜くことも可能になります。
ここで調整することにより、快適なドライブができる準備ができるのです。気温変化などによって空気圧は変化します。できれば月に1度くらいの頻度で行なってください。また、しばらく駐車しているとタイヤ内の温度が下がり、空気圧は低下します。
逆に、スポーツ走行を行なった場合などはタイヤ内の温度が向上し、空気圧が自然と高くなります。ここで、どちらの状態で空気圧を確かめれば良いのかということです。基本的に一般走行であればタイヤの温度が低い状態で空気圧を測って大丈夫です。
これは、走るうちにタイヤ内が高温になりますが、冷えた状態での走行も視野に入れなければならないためです。また、一般道を走行する場合、信号待ちなどでタイヤ内の空気が冷やされることも考えられます。このことから、一般的に使用するのであれば常温で空気圧を合わせれば良いということです。
しかし、サーキットなどでのスポーツ走行を行う際は、タイヤが温まった状態での空気圧で走行してください。摩擦によって暖められたタイヤは、空気圧もどんどん高くなります。そうすると、タイヤのたわみがなくなり、うまくグリップしてくれなくなるのです。
日常的には少ないと思いますが、もしもスポーツ走行を楽しまれる方がいらっしゃれば参考にしてみてください。
タイヤサイズ変更時の空気圧
車好きの方で多数カスタムされているのがインチアップホイール&タイヤの取り付けですが、タイヤのサイズ自体が変わってしまった時の空気圧はどうすればよいのでしょうか?
ブリヂストンタイヤやヨコハマタイヤのサイト内に記載されている推奨空気圧検索システムを使って調べるのが確実です。
どちらも純正装着時の下記の項目とサイズ変更後の各項目を記入するだけで変更後のタイヤ用空気圧を教えてくれる便利なサイトになっています。
(例:①205/②55③R④16 ⑤91⑥V)
タイヤ幅 | 205 |
---|---|
扁平率 | 55 |
ラジアル構造 | R |
インチ | 16 |
ロードインデックス | 91 |
速度記号 | V |
タイヤに記載されているサイズなどの見方
実はタイヤによって、適正空気圧が変わることをご存知でしょうか。車が重い場合や、インチアップで扁平率が低くなっている場合、より高い負荷に耐えられる構造になっているタイヤがあるのです。
大きく分けるとJATMA規格とETRTO規格に分けることができます。国産タイヤであればJATMAとなりますが、エクストラロード規格というタイヤであれば、国内タイヤでも空気圧は変わります。
具体的には何が違うのか、一つずつ確認していきましょう。正しい知識は安全なドライブにつながります。装着しているタイヤがJATMA規格とETRTO規格とでも、入れる空気圧の量が違います。愛車のタイヤの負荷対応量を確認することが大切です。ここで、タイヤについての情報を確認する方法をご紹介します。
タイヤに書かれている情報
タイヤの製造年月日が記載されていることをご存知でしょうか。古くなると性能も劣化してくるため、確認することをお勧めします。しかし、メーカーによって表記の方法が違うため、各タイヤメーカーのホームページを確認してみてください。
記載されているのは製造年月日だけではなく、サイズや性能の表記もあります。こちらは、全てのメーカーが同じ表記方法です。各社メーカーは、下記のような方法で情報を記載しています。
- タイヤの幅(mm)/扁平率(%)
- ラジアル構造
- 対応ホイールインチ
- ロードインデックス
- 速度記号
ここで、ロードインデックスというのが、負荷対応量となります。高ければ高いほど、負荷対応が高いということになります。しかし、必要な空気圧の量も高くなるのです。ご自分のタイヤを確認し、どの空気圧が適正なのかを確認してください。メーカーホームページに対応表がございます。
また、忘れがちなのが速度記号です。タイヤによって、対応できる速度が違うことをご存知だったでしょうか。ここで、表記されているアルファベットと対応速度を記載しますので、参考にしてください。
速度記号 | 最高速度(km/h) |
---|---|
L | 120 |
N | 140 |
S | 180 |
T | 190 |
H | 210 |
V | 240 |
W | 270 |
Y | 300 |
ZR | 240超 |
(Y) | 300超 |
このように、タイヤの空気圧に注意を払うことも大切ですが、対応する速度に関しても注目しなければなりません。日本国内の公道では、最高速が120km/hなのでサーキットを走るスポーツタイヤ以外はあまり速度を出すことを想定していません。
しかし、ドイツのアウトバーンのような速度無制限区域のあるような高速道路を所有している場合は、速い速度に対応したタイヤを普及させなければなりません。このように、お国柄が分かれるので、自分のタイヤがどれほど対応できるかを確認することも必要です。
公道では制限速度を守りますが、もしサーキットなどの日常以上の速度を出す場合には、絶対に確認してください。大事故に繋がるケースもあります。
まとめ
タイヤの空気圧は燃費に関わること以上に、安全性にも関係してくるのです。車の調整で最も簡単で、最も重要な空気圧です。これを機に、タイヤの空気圧を気にかけていただけたら幸いです。
安全なドライブを行うため、タイヤと車の性能を引き出すためにも、タイヤの空気圧を調べてからドライブへ出かけましょう!