2018年12月01日 (更新:2024年08月29日)
車の「S」ギアってなに?いつ使うの?
いつからかシフトパターンに馴染んでいる「S」ギヤ。Sギアとは何なのか?いつ使えばいいのか?意外と知らない人も多いのではないでしょうか?そんな「S」ギヤに関する疑問を解決します!
「S」ギヤとは?
主にCVTを搭載した車のシフトレンジにみられるのがSレンジ。このSレンジの大意はギヤを下げるというもので、ATでいうD2レンジや2レンジと同じ働きをします。
ギヤを下げることでエンジンの高回転を多用するようになりトルクフルな加速とエンジンブレーキの2つの効果が得られます。
Sレンジはスポーツが由来といわれていますが、車の取扱説明書などには明記されていません。しかし高回転域を多用するレンジのため、スポーツモードという認識を持っていて問題はないでしょう。
エンジン回転数とギヤの関係性
Sギヤの理解の前に、簡単にギヤとは何なのかを整理しておきましょう。
ギヤが3段ある自転車に乗るとき、1のギヤはペダルをたくさん回せば強く加速できるが、出せる速度は低い、3のギヤはペダルはゆっくりとしか回せないしあまり加速しないが、かなりのスピードを出せるという経験が誰しもあると思います。
このようにギヤとは、ペダルの回転数(エンジン回転数)とタイヤの回転数(スピード)の関係性を変更することができます。加速力とスピードのバランスを調整できるのです。
- 下のギヤ:エンジンが高回転まで回り、加速力は大きいがスピードは出ない
- 上のギヤ:エンジンの回転数は低く、加速力は小さいがスピードは出る
Sレンジで加速力が上がる
CVTのシフトレバーをSレンジに動かしてアクセルを踏み込むと、加速力が上がり一気に速度が上がります。これはギヤ比が変わるからです。
CVTのDレンジで一定の速度で走っている時、ギヤ比は燃費を伸ばすため自転車でいうところの3のギヤあたりで走行しています。ここでSレンジにシフトチェンジすると、CVTはギヤ比を1のギヤあたりに変更。すると、エンジンの高い回転数域を使うこととなり、同時に強い加速力が生み出されます。
このSレンジの強い加速力をうまく活用することで、バイパス道路への合流時などで、素早く加速し流れに乗ることができるようになります。
Sレンジでエンジンブレーキを使う
エンジンブレーキとは?
そもそもエンジンブレーキとは、アクセルを踏んでいない時のエンジンの回転抵抗を利用して減速するというものです。エンジンブレーキを使用することで通常のブレーキの発熱と摩耗をおさえることができ、下り坂で使用するとブレーキ過熱による制動力の低下を防ぐことができます。
Sレンジのほうがエンジンブレーキが強い
CVTのDレンジで一定の速度で走っている時、ギヤ比は燃費を伸ばすため自転車でいうところの3のギヤあたりで走行しています。アクセルを離すとエンジンブレーキが効きますが、3のギヤで走行している時はそもそもエンジン回転数が低いため、エンジンブレーキの効きは弱いものです。
しかし、ここでSレンジへ切り替えるとどうでしょう。Sレンジは自転車でいうところの1のギヤであり、3のギヤで出していた速度を1のギヤで出すには高いエンジン回転数が必要です。
そのためSレンジに切り替えた直後にエンジン回転数は跳ね上がり、同時に強いエンジンブレーキがかかります。エンジンブレーキは、強い加速ができるギヤ比であればあるほど強くなるのです。
Sレンジの他にBやMレンジがある
CVTを搭載している車の全てにSレンジがある訳ではありません。例えばトヨタプリウスには、機能的にはSレンジと同様のBレンジが設定されています。
「マニュアルモード」の意味で、シフトノブやパドルシフトを操作してギヤ比を任意に変更できるMレンジを用意している車種も存在します。
ブレーキ保護のためにも積極的に使用したい
CVT車のSレンジを日々の運転に取り入れると、パワーが必要な場面で力強く走れたり、エンジンブレーキでの減速によってブレーキパッドやブレーキローターの消耗を抑えることができます。今までDレンジに任せきりだったという方は、まず下り坂でのSレンジの活用からはじめてみましょう。