車の「S」ギアってなに?いつ使うの?

2018年12月01日 (更新:2018年12月05日)

車の「S」ギアってなに?いつ使うの?

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いつからかシフトパターンに馴染んでいる「S」ギア。Sギアとは何なのか?いつ使えばいいのか?意外と知らない人も多いのではないでしょうか?そんな「S」ギアに関する疑問を解決します!

「S」ギアとは?

ここ10数年の間に、車のトランスミッションはCVTが主流となりました。今までAT車やMT車に乗っていた方は見慣れない表示だと感じた方もいらっしゃるでしょう。Sギアの大意は「ギアを下げる」です。ギアを下げると得られる効果は「パワフルな加速」と「エンジンブレーキ」と2つ。このことから、「S」レンジはスポーツモードとしての意味合いの他、ATで言う「D2レンジ」と同じ働きをします。MTやATの仕組みと合わせて解説していきましょう。

MTのギアチェンジ

これからAT、CVTの項目で出てくる「D2」や「L」、「S」や「B」というのはこのMTのギアチェンジを基本にご説明していきます。MTの主流は5速と6速です。1速は速度が遅くパワーが大きいので発進に適し、5~6速は速度は速くパワーがないので巡航に適しています。1速から発進し、徐々にギアを上げて走行していきますよね。そして減速したい時にはそのままブレーキを踏みながらクラッチを切っていくか、シフトダウンをしてギアを下げていきます。

毎回ブレーキのみで減速・停止を繰り返すと、ブレーキに負担がかかったり、ブレーキパッドの消費が速くなったり、ブレーキによって車の荷重が前に集中するため綺麗なコーナリングが出来なかったりと整備面や走行面で不利になります。この時に活用されるのがエンジンブレーキです。

順調に5速で走行している時に3速にシフトダウンした時、エンジンの回転数が上がり、車の速度が落ちます。これがエンジンブレーキといわれる現象です。エンジンブレーキを使うことでブレーキの消耗を抑えられます。また、ブレーキを使うよりも車の姿勢が保たれたまま速度が下がるので、安定したコーナリングにも繋がります。

シフトダウンにはエンジンブレーキをかける他、加速性能をあげる効果もあります。ギアは下がるほどに速度は遅くパワーは強くなりますので、6速のままアクセルを踏み込んでも出せるスピードに余力はありますが自力で加速できるだけのパワーがありません。そこを4~5速に下げることによってパワーをプラスしてあげるとさらに加速させることができます。ではエンジンブレーキやシフトダウンしての加速をATやCVTに当てはめるとどうなるのでしょうか。

ATとCVTのギアチェンジ

AT・CVTの違い

AT車の場合は、P(パーキング)、R(バック)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)、D2(ドライブ2)、L(ロー)のようになっています。CVTの場合は、P(パーキング)、R(バック)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)、S(スポーツ)、B(ブレーキ)と表示がされていると思います。

ATやCVTの場合は「D」レンジに入れておけば速度やエンジンの回転数に応じて自動で1速→2速と順にギアを変えてくれます。CVTも同様ですが、ATよりもギアが細かくベルトやチェーンで変速しているのでよりスムーズでなめらかな変速をします。

ATやCVTは、強いアクセル操作などを感知して変速する機能を持っています。例えば、高速道路で追い越しをかけようとアクセルを踏み込むとエンジンの回転数が上がり、うなったような音を出している時がそれに当たります。これはMTのシフトダウンをして加速をするのと同じことが起きています。

「D」レンジのまま走行していると、AT、CVT車では下り坂でブレーキを使わないとどんどん加速してしまいますよね。車側も、勝手に速度が上がることから下り坂であることを察知して自動でギアを下げるように設定はされています。ただし、長い下り坂や途中で平坦になってまたすぐ下るような道では車だけの判断では追いつかないこともあります。

長い下り坂のシチュエーション

長い下り坂の場合、ブレーキだけで速度を調節し続けるとブレーキが高熱になり、最悪の場合ブレーキの故障により制御不能に陥ってしまいます。そのようなブレーキへの負荷を抑える役割を果たすのが「D2」レンジ「S」ギアです。自動で変速されてしまうAT車でエンジンブレーキを使うには、ギアを固定する必要が出てきます。そのために「D2」レンジが設定されています。これはMTで言うエンジンブレーキを使うためのシフトダウンど同義です。

「D2」レンジ、「S」ギアはエンジンブレーキの時だけでなく、重い荷物を積んだまま坂を登る時などにも使えます。また、雪道やぬかるみでの発進など、パワーを使わないと進めないような状況に陥ってしまった場合や、「D2」「S」ではエンジンブレーキが弱いという時、は低速ギアに値する「L」「B」レンジを使います。CVT車での「S」レンジは、エンジン回転数を上げて加速性能を楽しむ「スポーツモード」としての意味合いの他、エンジンブレーキを使いたい時、加速したい時に積極的に使ってみましょう。

「S」ギアが装着されている車!

CVTを搭載している車全てに「S」ギアがある訳ではありません。「S」ギアのみがあるもの、「S」ギアと「B」ギアがあるもの、「B」ギアのみがあるものなど様々です。例えば、トヨタ プリウスには「S」ギアはなく、「B」ギアがついています。また、「S」や「B」ではなく「M」と表記している車種も多いです。

「マニュアルモード」の意味で、シフトノブを前後させてシフトアップ・シフトダウン出来るものや、パドルシフトがついておりステアリングに装着されたパドルで変速操作ができるものです。スポーティさを売りにしているメーカー・車種ではこの「M」がメインとなっています。では、「S」ギアを搭載した代表的な車種をいくつかご紹介しましょう。

トヨタ ヴィッツ

ヴィッツの場合は、年式・型式によって表記が異なります。「D」の隣に「S」と書いてある場合と「M」と書いてある場合とがあり、いずれも「スポーツモード」「マニュアルモード」の意であることには変わりありません。トヨタ車では、アルファードなども年式によって「S」もしくは「M」の表記となっています。

ダイハツ ムーヴ

ムーヴの場合はDレンジの下にSレンジが設けられています。ガコっとシフトノブを下げるだけで「S」ギアを使うことが出来ます。

ホンダ フィット

フィットもムーヴ同様にDレンジの次が「S」ギアです。ホンダでは「S」ギアの使いこなし方について解説したページも公開しています。

ホンダ・ワンポイントアドバイス

AT車・CVT車でも「D」レンジに頼り過ぎない運転をすることが、運転を楽しむ秘訣です。参考にしてみてくださいね。

まとめ

CVT車の「S」ギアについて解説してきました。最後に「S」ギアの特徴をまとめておきましょう。

  • 「S」ギアはスポーツモードと解釈されることが多い
  • 「S」ギアはエンジンブレーキを使った減速時や上り坂・追い越し時の加速に使用すると良い
  • 「S」ギアは全ての車種に設定されている訳では無い
  • 「S」ギアは高い回転数まで同じギアを維持出来るためキレのある加速やスポーティな走り・音を楽しめる
  • 「S」ギアがない場合は「B」ギアや「M」モードでシフトダウンして代用する

「S」ギアを日々の運転に取り入れることで、ブレーキなどの消耗品の劣化を抑えたり、パワーが必要な場面で力強く走ることが出来たりします。今までDレンジに任せきりだったという方は下り坂での「S」ギアの活用から始めてみましょう。