いまさら聞けない整備入門〜エンジンオイル編〜 | CARTUNEマガジン
いまさら聞けない整備入門〜エンジンオイル編〜

2019年01月22日 (更新:2020年08月24日)

いまさら聞けない整備入門〜エンジンオイル編〜

車を維持するうえで、こまめに変えておきたいのがエンジンオイル。高速道路や峠道を走ることの多い人、サーキットで走行会などに参加される方は特に気にしたいところです。今回は、そんなエンジンオイルの役割から種類、交換の手順に至るまでキッチリ解説したいと思います。

エンジンオイル、その役割とは?

まずは役割を抑えておきましょう。エンジンオイルには主に5つの役割があります。

潤滑

エンジンの内部では様々な金属部品が一分間に数百~数千回転という高速運動をしています。その際、エンジンオイルには、金属同士がこすれて摩耗や焼き付きが起きないように潤滑する役割があります。

密封

エンジン内でガソリンと空気の混合気が送られ爆発が起きるシリンダーとそのパワーをクランクシャフトに伝えるピストンとの間には僅かな隙間があります。この隙間を埋めているのがエンジンオイルです。密封がうまくされないとパワーが逃げてしまうだけでなく、油膜が途切れ、金属同士が直接擦れてしまう「焼き付き」の原因となってしまいます。

冷却

燃焼や摩擦により生じた熱を冷却します。熱を持ったオイルはエンジン下部の「オイルパン」という部分に溜まって冷却されます。

高回転での運転を繰り返すレーシングカー等の場合、この冷却が追いつかず油温が上昇してしまうため、オイルクーラーという冷却装置を装着することもあります。

洗浄

燃焼や回転運動によりエンジン内部では様々な汚れが発生します。これをスラッジといい、エンジンオイルにはスラッジを吸着したり特定の場所に固まらないよう分散させる作用があります。エンジンオイルが使用とともに黒ずんでいくのはこのためです。

防錆

エンジン内部は燃焼の熱により高温になります。そのため外気温との差が大きいため結露等の水分が発生しやすい環境です。水分による内部のサビを予防する目的もエンジンオイルは果たしています。

エンジンオイルを交換するタイミングは?

エンジンオイルの交換は車検ごとくらいでいいと考えている方はいませんか?JAF(日本自動車連盟)によれば、通常の使用環境下であれば、1万5000kmもしくは1年のどちらか早い方が交換時期とされています。車検は新車なら3年、それ以降は2年ごとに行うものですので車検ごと・・・という考え方では理想の交換時期を過ぎてしまいます!

また、ターボエンジンを搭載している車ではオイルの晒される環境がより厳しくなるため5000kmもしくは半年という早めのスパンでの交換がベストです。同様に、高速道路や峠道を走ることの多い場合も通常よりエンジンの高回転域を使用することが多くなるので早めに交換をするようにしましょう。いわゆる「旧車」に乗られている方はさらにオイル管理を徹底してあげてください。

オイルは使っていくうちに確実に劣化していきます。交換時期を守ることはもちろん、状況によっては早めの交換を考えましょう。

オイルの状態を見るのに便利なのが「レベルゲージ」です。一度抜いてから先端を拭い去り、再度奥まで差し込んでからチェックします。量が減っていないか、色が黒ずんで来ていないか、こまめに確認する癖を付けましょう。

エンジンオイルの数字の意味は?

エンジンオイルには、「5W-30」や「0W-20」などど数字が表示されています。この数字は、エンジンオイルの粘性を示しています。5WのWはウインター(冬)を表しこちらの数字は低温時の粘度を示します。ハイフンの後の数字は高温時の粘度です。0W、5W、10W・・・と粘性が高い、つまり「硬い」オイルになります。

例えば、近年のエコカーには粘性が低くエンジン回転時に抵抗になりにくい=燃費が向上する0W-20のオイルが主に使われています。逆にターボエンジン搭載の車には粘性の高く高回転でも油膜が途切れにくい5W-30が標準とされる事が多々あります。

また、オイルを構成する成分によっても分類があります。化学合成・部分合成・鉱物油とあり、化学合成100%のものは不純物のほとんどない上質なオイルとされ始動性や耐熱性に優れ、その分値段も高価になります。不純物がなく粒子が細かい化学合成油は逆にオイル漏れなどのトラブルを引き起こすこともあるので、オイルシールなどが劣化している旧車などに鉱物油を選んだほうが良いこともあります。

エンジンオイルの交換方法は?

最近では、エンジンオイルを購入すると交換をサービスでやってくれるカー用品店もありますが、自分の車をいじる初歩としてDIYでやってみてもよいかと思います。やり方は2種類あります。

上抜きでエンジンオイルを交換

上抜き交換用のオイルチェンジャーが必要です。(カー用品店等で取り扱っています)

エンジンオイルのレベルゲージが入っている穴にオイルチェンジャーのチューブを差し込みポンプを使って抜きます。ジャッキアップは不要です。

新しいオイルはエンジン上部の「フィラーキャップ」を外して入れます。車の説明書に必要なオイル量の記載がありますので、それよりも若干少ない量を目安に入れ、最後はレベルゲージを確認しながら上限のレベルに達するまで入れます。フィラーキャップを確実に締め、レベルゲージを元にに戻せば作業終了です!

下抜きでエンジンオイルを交換

車をジャッキアップし、オイルパン下部についている「ドレンボルト」を外してオイルを抜きます。

特に特殊なツールは必要なく単純な作業ですが、ジャッキアップをしなければならないこと、ドレンボルトの位置の関係上完全には古いエンジンオイルを抜けないことがデメリットです。

だいたいの量が抜けたらドレンボルトを締め新しいオイルを入れます。入れ方は上抜きと変わりません。ドレンボルトにはエンジンオイル漏れ防止のワッシャーが付いているので締め付けて変形させないように注意してください。できればワッシャーもエンジンオイル交換ごとに変えると良いでしょう。

交換で出た廃油は必ず各自治体の処分方法に従い処分してください。近所のガソリンスタンドに持っていくか、市販されている吸着剤の入った廃油処理箱を利用しましょう。

終わりに

たいくんRさんのシビックFD2オイルの画像
たいくんRさんのシビックFD2オイルの画像

エンジンオイルの交換はメンテナンスの基本とも言うべきところですが、それゆえにきちんとやっているか否かで車の調子が全く違ってくるものです。エンジンオイルの状態の点検から愛車の不具合が判明することもあります。車にとってエンジンオイルは血液のようなもの。愛車の健康のためにも定期的な交換を心がけましょう。

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