2021年10月28日 (更新:2024年02月22日)
シリコン洗車とは?メリットやデメリットをプロが徹底解説
最近話題のシリコン洗車。多くの人が試しているシリコン洗車のやり方や、メリットとデメリット、コーティングとの違いまで徹底解説します!
シリコン洗車とは
シリコン洗車とは、シリコーンオイルやシリコーングリスをワックスのようにボディに薄く塗布する洗車方法です。お手軽かつ安価に美しいツヤを手に入れられるとあって、最近YouTubeを中心に話題になっています。
シリコン洗車のやり方
シリコン洗車にはさまざまなやり方があるようですが、以下のような手順が多く行われているようです。
- シャンプーを使用して入念に手洗い
- 水分を拭き取らず、シリコーンオイルを布に適量とる
- 布を使ってボディ全体にやさしく塗り伸ばす
- 乾いた布で水分と余分なシリコーンオイルを拭き取る
- ムラがなくなるまで拭き取ったら完成
シリコーンの塗布については、直接シリコーンオイルを塗るのではなく、水とシリコンオイルを入れた霧吹きボトルを使用するなどの手法がとられています。
中には、シリコーンオイルを多めに塗布し数日〜数週間放置することでシリコーンの油膜を定着させる、「ドブ漬け」という方法も存在します。
シリコン洗車のメリット
話題のシリコン洗車には次のようなメリットがあります。
- 安価にツヤが手に入る
- はっ水効果が高い
- 細かな傷が一時的に消える
- こまめに洗車できる
- プラパーツの手入れができる
- イオンデポジットを抑えることができる
- ウォータースポットを抑えることができる
鋭いツヤを安価で実現できる
シリコン洗車は通常のカーワックスやコーティング剤よりも経済的で十分なツヤが得られます。シリコン洗車に使用されているシリコーンオイルの価格は1L¥2,000ほど。よく伸びるため、こまめに洗車を行っても半年〜1年程度は買い足す必要がありません。また、ボディを油分でコーティングすることになるためツヤも上々です。
はっ水効果が高い
シリコン洗車ではボディに油分を直接塗布しているため、強いはっ水効果が得られます。洗車のたびにはっ水効果を実感でき、楽しみながら作業できるのもメリットです。
細かな傷が一時的に消える
シリコン洗車で塗布するシリコーンオイルは、ボディのクリア塗装上に存在する洗車傷などの細かな傷に入り込み、傷を目立たなくします。シリコーンオイルが流れてしまうと傷は再び浮き上がってきますが、手軽に愛車を綺麗にするという点ではメリットといえます。
こまめに洗車できる
シリコン洗車は簡単に施工できるのも魅力。水洗い後のワックスがけがおっくうで洗車を後回しにしてしまう人にとっては、気張らずにできるお手軽な洗車方法といえます。万が一失敗しても、シャンプーでシリコンの油膜を洗い落とせば再度トライ可能です。
プラパーツの手入れができる
シリコーンは、プラパーツの光沢を復活させるお手軽メンテとしてたびたび使用されます。ボディに塗布するついでにバンパーやピラーなどの未塗装樹脂に塗布することで、色ツヤが復活しメリハリのあるルックスに仕上がります。
プラ部品へのシリコンの塗布に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
イオンデポジットの付着を抑えることができる
イオンデポジットとは、水道水に含まれるカルキやマグネシウム、カルシウムなどがボディ上で白く固まったものです。雨水に含まれる花粉や黄砂なども原因となります。
シリコン洗車はボディ上に薄いシリコンの油膜をのせるため、イオンデポジットの発生原因となる成分はこの油膜上に留まりボディまで到達しません。これにより、ボディに直接イオンデポジットが発生するのを抑えられる可能性があります。
ウォータースポットを抑えることができる
ウォータースポットは、イオンデポジットがさらに進行して白い水滴模様のシミになったものです。先述のとおりシリコン洗車ではイオンデポジットが抑えられるため、ウォータースポットの発生も防ぐことができ場合があります。
シリコン洗車のデメリット
このようにメリットの多いシリコン洗車ですが、デメリットも存在します。デメリットには次のようなものがあります。
- ボディが短時間で汚れやすい
- 毎度確実に洗い流す必要がある
- 塗っている最中に傷をつけてしまう可能性が高い
- ツヤや撥水効果があまり長続きしない
- 摩擦などへの耐性はない
- 傷を埋めたり消す効果はない
- ステッカーが剥がれる可能性がある
- 板金塗装を断られる可能性がある
- コーティングを断られる可能性がある
ボディが短時間で汚れやすい
シリコンの油膜には粘着力があるため、薄く塗布しても空気中のホコリを吸着しやすくなります。そのためシリコーンを塗布した直後のボディはツヤが出て綺麗ですが、ホコリを吸着しやすく短時間で汚れやすいボディになるといえます。
毎度確実に洗い流す必要がある
ボディ上のシリコンオイルの油膜には空気中のゴミや汚れが付着するわけですが、シリコンの油膜はゴミや汚れに浸透し、それらを油膜内側へと取り込んでしまいます。油汚れの場合はさらに厄介で、シリコンの油膜に付着すると馴染んで内側へと広がっていきます。
シリコンを塗布してしばらく走行すると油膜自体が汚れてしまうため、洗車時にはシャンプーを使用して綺麗サッパリ洗い落とす必要があります。シリコンの油膜はある程度水で流すことができますが、中途半端な洗い方をすると油膜内に溜まっているゴミで洗車傷をつけたり、汚れを引き伸ばしてしまうことになりかねません。
塗っている最中に傷をつけてしまう可能性が高い
シリコンを塗装面に塗布するとムラが発生するため、シリコンを塗布した後は一度乾拭きして余った油分を拭き取る必要があります。しかし、シリコンを塗布してから乾拭きまでの間に埃や砂塵が付着してしまう可能性が高く、そのまま乾拭きを行うとボディに傷を入れてしまうことになります。
塗布中に風が吹いて砂などが付着した場合、一度シリコンを洗い流して再度塗布し直す必要があるため、あまり効率の良い洗車方法とは言えません。
ツヤや撥水効果があまり長続きしない
シリコンは油分のため、塗布するとツヤや撥水といった効果が見込めます。しかし、ゴミを吸着しやすいためツヤは持続しにくく、撥水効果もすぐに薄れてしまいます。ボディ全体に注意深く塗布して磨き上げたとしても、持続力がないため労力に見合わない結果となりがちです。
摩擦などへの耐性はない
シリコンの油膜は非常に柔らかいため、耐摩擦性や耐衝撃性はありません。摩擦や飛び石などによる細かな傷を防ぎたい場合は、シリコンではなくしっかりと硬化するコーティングを施工する必要があります。
傷を埋めたり消す効果はない
シリコンオイルには研磨剤が一切入っていないため、コンパウンド入りのワックスのように傷が消えることはありません。また、傷に入り込んで硬化する成分なども配合されていないため傷を埋める効果はありません。
ただし、シリコンが傷に入り込むことで平滑化され、傷がなくなったように感じられる場合があります。
ステッカーが剥がれる可能性がある
ボディに貼ってあるステッカーのふちにシリコーンが付着すると、シリコーンが接着面に浸透してステッカーやラッピングシートが剥がれてくる可能性があります。
万が一ナンバープレートに貼り付けられている検査標章が剥がれると公道走行ができなくなるため注意が必要です。
板金塗装を断られる可能性がある
油分が塗布されているボディを板金塗装しようとした場合、断られる可能性があります。
何度もシリコンオイルを塗布していると、ボディの微細な傷に油分が浸透していくため洗い落とすのが難しくなっていきます。油分が染み込んだボディはパテや塗料がのりにくく、作業が困難になってしまうようです。
コーティングを断られる可能性がある
油分が塗布されているボディへのコーティングも断られる場合があります。
コーティングはボディー表面に硬い膜を形成するものですが、ボディとコーティング剤の間に油膜があってはコーティングが安定しません。もちろん施工前にはボディの下地処理を行いますが、下地の段階で油膜が取りきれないなどの問題が発生する可能性は高くなります。
ボディを保護するなら専用のコーティングがベスト
シリコン塗布による効果は一時的なツヤや撥水程度に留まり、ボディの傷を防ぐこともできません。ボディを保護し長期的に美しく保ちたい場合は、クルマ専用のコーティングを施工するのがよいでしょう。
硬化するコーティングとシリコン油膜塗布の最大の違い
施工後に硬化するコーティングとシリコンオイルの塗布との最大の違いは、ボディ上に強度のある膜を形成するかどうかという点にあります。
硬化するコーティングの場合
専用のコーティングはボディ表面に硬い膜を形成するため、少々の摩擦による傷や走行中に付着する汚れはコーティングの表面で留まります。洗車時にも地のボディは常にコーティングで保護され表面に出てこないため、塗装面に傷をつけるリスクが減り美しく保たれます。
さらに、何度も施工することでコーティング層が厚くなり、保護性がより高まっていきます。
シリコン油膜の場合
シリコン油膜の場合、摩擦による傷は防げないうえ走行中に付着する汚れは油膜内部へと取り込まれます。この汚れを含んだシリコンの油膜はシャンプー洗車で洗い落としますが、これにより地のボディが現れます。シリコンは毎度この地のボディへ塗布するため、傷を入れるリスクは拭いきれません。
このように、長期的に見ると自動車専用のコーティングを施したほうがボディの保護につながるといえます。
洗車を頻繁に行うという点ではプラス
車を綺麗に保つためには、適切な頻度のメンテナンスがなによりも大切。特に洗車は、車の外装コンディションを把握するチャンスでもあります。シリコン洗車は、何もしない状態と比較すると遥かに綺麗に保つことができますが自己責任となります。メリットデメリットをしっかりと把握して行ってください。
また、ボディの確実な保護性能を求める場合はクルマ専用のコーティングを検討しましょう。