マツダ 787Bを解説!伝説と言われるそのストーリーとは?

2019年09月10日 (更新:2019年09月10日)

マツダ 787Bを解説!伝説と言われるそのストーリーとは?

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オレンジとグリーンのカラフルなカラーで知られているレーシングカー、マツダ787Bは今や「伝説」といわれるマシン。一体なぜ「伝説」とまで言われるようになったのか、その活躍の歴史を解説していきます!

ル・マン24時間を日本メーカーで初めて制覇

ル・マン24時間は、F1モナコGPやインディ500と並んで、世界三大レースのひとつに数えられる伝統あるレース。

完走するだけでも困難というル・マン24時間での勝利は、メーカーへの信頼や知名度向上にも繋がりました。そのため、日本の各自動車メーカーも揃って参戦していきましたが、経験と豊富な資金源を持つ欧州メーカーの前では、なかなか勝つことはできませんでした。

そんな中、1991年に日本車として初めてレースを制覇し、その名を世界に知らしめたのがマツダ787Bです。マツダは、日本企業として唯一長年ル・マンに参戦し続けてきたメーカー。そんなマツダの総合優勝は、世界中のモータースポーツファンやライバルチームからも賞賛を浴びることになったのです。

787Bとは

787Bは1990年にデビューしたマシン「787」をベースに、新開発された700馬力の4ローター自然吸気エンジン「R26B型」エンジンを搭載したレース専用車両。

マシン全体の大幅な改良は、運動性能の向上だけではなく、ドライバーへの負担も軽減することにも繋がっています。

787Bといえば、あの特徴的なオレンジとグリーンの鮮烈なカラーリングを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。あのデザインは、マツダのメインスポンサーだったアパレル企業のレナウンが考案したもの。同企業のブランドである「チャージ」という文字がリアウィングなどに大きく記されたことから、「チャージ・マツダ」とも呼ばれました。

主なスペック

  • 全長:4,782mm
  • 全幅:1,994mm
  • 全高:1,003mm
  • トレッド:1,530/1,450mm (787)、1,534/1,504mm (787B)
  • ホイールベース:2,640mm (787)2,662mm (787B)
  • エンジン:マツダ R26B 2,616cc 4ローター 自然吸気、縦置きミッドシップ
  • トランスミッション:ポルシェ(962C流用・装着変更)5速 マニュアル
  • ブレーキローター : スチール(787)、カーボン(787B)
  • ホイールサイズ : 17inch(787)、 18inch(787B)
  • 重量:830 kg (1831 lb)

エンジン

787、787Bに搭載された4ローターR26B型ロータリーエンジンは、レシプロエンジン勢のハイパワーに対抗するため、630psのマツダ767Bの最終型エンジンをベースに700psまで出力アップされました。また、レーシングエンジンではこれまで採用の無かった可変吸気システムを採用するなど、トルクや燃費の向上も実現しています。

コーナリングマシン

787Bは、787が最高速優先だったのに対し、コーナリング重視のマシンコンセプトに変更。これはルマンのコースに新設されたシケインに対応するためでした。

787に対しトレッドの拡大、18インチホイールの採用やサスペンション形状の変更などを行いコーナリング性能の向上を追求しました。また、リアカウルの変更などボディ各所において空気抵抗の低減を図り、車両の安定性向上もなされました。

787Bが伝説と言われる所以

では、787Bが「伝説」と呼ばれるようになった理由はいったい何なのでしょうか。

最も注目すべき点は、ハイパワーなレシプロエンジン勢を相手に、唯一のロータリーエンジン搭載マシン787Bが劇的なレース展開を繰り広げ、勝利を手にした、ということです。

唯一のロータリーエンジンマシン

ライバル車が採用するのはレシプロエンジンにターボを搭載したハイパワーエンジン。マツダが採用した4ローターのロータリーエンジンと比べ100馬力以上のパワーがありました。冷静に考えれば、余りにも不利な状況です。

しかし、マツダはロータリーエンジンのポリシーを曲げませんでした。

ロータリーエンジンの特徴である軽量、耐久性の高さに着目し、その利点を生かす戦略を組み立てていきます。マツダはロータリーエンジンの利点を最大限生かすことができたからこそ、ル・マンを制覇できたのです。

ル・マン24時間レースの歴史上、レシプロエンジン車以外のマシンがレースを制したのは、現時点では787Bが唯一の存在です。

劇的なレース展開

マツダ787Bが優勝した1991年の ル・マン24時間レースでは、当初優勝候補であったメルセデスベンツC11 と ジャガーXJR12の対決に世界が注目しており、マツダ787Bへの注目は少ないものでした。ドライバーはF1で優勝経験のあるジョニー・ハーバートを筆頭に、フォルカー・バイドラー、ベルトラン・ガショーのF1経験者3名。

ライバル車がリタイアする中、787Bは安定した走りでじわじわと順位を詰めていきます。

トップ走行中だったメルセデスベンツは787Bのプレッシャーからペースアップを余儀なくされ、そのペースアップが原因と思わしきトラブルが発生。レース終了の3時間前にリタイアとなりました。首位に立った787Bはそのまま24時間を走りきり、日本車として初めての優勝を果たします。

まとめ

マツダは世界で唯一ロータリーエンジンの量産化に成功した自動車メーカーとして、モータースポーツ分野でもその技術力の高さを見せつけました。日本車メーカーとして初めてのル・マン制覇という偉業は、今なお自動車ファンの間で語り継がれています。

現在、787Bはマツダ本社内にあるマツダミュージアムで動態保存がされており、見学も可能です。また、サーキットなどで開催されるイベントにてデモ走行が行われることもあり、イベントに足を運べば、現在でも迫力の4ローターエンジンのサウンドを聞くことができます。伝説と言われた787Bを是非一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?