2019年08月01日 (更新:2020年07月28日)
自衛隊の車はジープじゃないの!?ベースとなっている車種は?
軍用車両といえば大勢の人がジープを連想しますが、自衛隊は軍用車両としてジープを用いていません。自衛隊はどんな車種を軍用車両に用いているのでしょうか。今回は自衛隊が配備している73式小型トラックの豆知識をご紹介します。
自衛隊の愛車「73式小型トラック」
軍用車両の代名詞といえば、ジープが頭に思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。たしかに世界に目を向けると、ジープを軍用車両として扱っている国は少なくありません。日本国内の安全を保つために活動している自衛隊も1997年以前はジープを配備していました。
1970年代、ジープのライセンス生産を手掛けていた三菱。その当時販売していたJ-24型ジープを改良して新たに開発した車両が73式小型トラックです。無反動砲や対戦車誘導弾を搭載した武装車両や警務隊用車両などが日本全国に配備されていました。
しかし、1997年の三菱ジープ生産終了に伴い、73式小型トラックもフルモデルチェンジすることになります。2019年現在も現役の73式小型トラックが存在していますが、耐用年数が規定に達した車両は廃車となり、新型車への移行が進んでいるようです。
2代目73式小型トラックのベース「パジェロ」
1996年、2代目モデルとして2代目73式小型トラックが登場します。経年劣化や部品供給に関して問題を抱える三菱ジープに代わり、2代目73式小型トラックは三菱のクロスカントリーSUVであるパジェロがベースとなりました。
現行モデルである4代目パジェロではなく、1996年時点で販売されていた2代目パジェロがベースとなっています。2代目パジェロは初代パジェロと比べて、居住性の向上など大幅な進化を遂げました。もちろん、悪路走破性に関しても大きく向上しています。
スーパーセレクト4WDやマルチモードABSなど、当時最先端の技術をふんだんに投入したことで高く評価されました。性能や信頼性が優れていたことから、発売から23年が経過した現在でも2代目73式小型トラックは現役で配備されているのです。
2代目73式小型トラックのスペック
2代目73式小型トラックのスペックについて、簡単にご紹介します。ボディタイプは2代目パジェロと共通の2ドアソフトトップを採用。2ドアソフトトップの2代目パジェロは4人乗りですが、2代目73式小型トラックは6人乗りとなっているそうです。
搭載するエンジンは2.8L直列4気筒SOHC・ディーゼルターボエンジン。2014年以降のモデルは2.4L直列4気筒DOHC・ディーゼルターボエンジンが搭載されています。駆動方式は2代目パジェロにも採用されていたスーパーセレクト4WDです。
これにより、初代73式小型トラックと比較しても遜色ない悪路走破性を実現しています。まあた、フロントサスペンションがリジットアクスル式から独立懸架式に変更されたことで、操縦安定性自体は大きく向上しているそうです。
2代目73式小型トラックの魅力
前述したように、2代目73式小型トラックは6名乗車となっています。ベースとなった2代目パジェロ・Jトップは4人乗りを採用していましたが、なぜ2代目73式小型トラックはショートボディであるにもかかわらず、6名乗車を可能にしているのでしょう。
2代目73式小型トラックが6名乗車の理由は、荷台スペースを乗員席として確保しているからです。荷台スペースに対面式のシートを採用することで、窮屈なスペースでも2名乗車を実現しました。幌や乗員席を取り外すことで、機銃を搭載することも可能です。
これにより、2代目73式小型トラックは少人数での人員輸送や演習で大活躍しているのだとか。また、初代73式小型トラックのトランスミッションは4MTでしたが、2代目73式小型トラックは4ATを採用。随分と使い勝手の良い軍用車両に仕上がっているようです。
まとめ
今回は自衛隊が軍用車両として活用している、73式小型トラックの豆知識をご紹介しました。自衛隊もかつてはジープを配備していましたが、現在は三菱の代表的存在であるパジェロをベースにした軍用車両を配備していることがわかりましたね。
また、日本全国に配備中の2代目73式小型トラックが、実用性や自衛隊員の快適性が考慮していることは意外でした。手袋を着用した状態でも操作しやすいスイッチや乗降性を高めるサイドステップを採用するなど、自衛隊のために最適化されていることがわかります。
2代目73式小型トラックは現在では1/2tトラックという名称に変更されているようです。2代目パジェロの販売終了から20年、そして2019年9月には現行パジェロも販売終了となります。次はどんな73式小型トラック(1/2tトラック)が登場するのか楽しみですね。