2019年07月21日 (更新:2021年03月15日)
カッコいいセダン15選、時代を彩る美しいセダンたち
古今東西、名車と呼ばれるセダンは数多く存在します。メーカーの一時代を築いたモデルや、自動車業界の常識を変えたモデルなど、いつだってセダンが歴史を作ってきたのです。そこで今回は、新旧入り乱れたセダンの名車TOP15を独断と偏見でピックアップしてご紹介します。
車の基本、伝統を体現するセダンの魅力とは?
そもそもセダンとは、ボンネットと車室、そしてトランクを備えたクルマ。現代の自動車業界の基盤を築いたカテゴリであることは間違いありません。
しかし、昨今はSUV人気に押され、セダンはその陰に隠れてしまっていますが、それでもセダンこそクルマ本来の姿でしょう。
低重心・高剛性のボディは静粛性や乗り心地に優れ、内装の質感では他ジャンルのクルマなど足元にも及びません。ほとんどのメーカーも、セダンをフラッグシップモデルと位置づけており、最新技術や先進装備は真っ先に搭載されます。だからこそ、新型のセダンは世界中に注目され、その高い品質は賞賛を浴びることになるのです。
また、新型だけではなく過去の名車も多く存在します。都会的に洗練されたデザインのクルマだけが名車ではありません。時代を作り、伝統を体現する…そんな魅力がセダンには溢れているのです。
メルセデスベンツ・W140型Sクラス
特徴
メルセデスベンツのSクラスは、いつの時代もプレミアムサルーンのベンチマークとして、いつも時代の先端にあります。そのなかでも、「至高のSクラス」として歴史に名を刻むのが3代目にあたるW140型。メルセデス・ベンツの哲学である「最善か、無か」をそのまま体現したモデルであり、メルセデス・ベンツが妥協なき車造りの理念に基づいて車造をしていた最後の車であるとも評されています。
そんな評価とは逆に、本国や欧州では巨大なボディや押し出し感の強いデザイン、結果として高額になった価格で「環境破壊車」とまで呼ばれて、販売は伸び悩みます。しかし、当時の日本はバブル経済の末期、消費動向にベストマッチするクルマだったため、1991年に日本に上陸したW140は一躍人気モデルとなりました。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 5,120mm/1,885mm/1,500mm |
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車両重量 | 2,040kg |
乗員定員 | 4-5人 |
エンジン種類 | 直列6気筒 DOHC24バルブ |
エンジン最高出力 | 235ps(173kW)/5,800rpm |
エンジン最大トルク | 32.3kg・m(316.8N・m)/4,100rpm |
総排気量 | 3,199 cc |
トランスミッション | 4AT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
燃費 | 5.9km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★☆☆☆
エンジンパワーはもちろんですが、W140型で注目すべきはやはり快適装備です。複層ドアガラスにより車内は静粛性が格段に向上しており、シフトを「R」に入れると駐車時の指標になるリアフェンダーのリアガイドロッド、電動ルームミラーなど快適性とボディサイズが拡大したことによる居住性の高さは、「オーバークオリティモデル」と評されるほど。圧倒的な乗り心地と、贅を極めた空間を味わうことが出来ます。
日産・FY31型シーマ
特徴
1980年代後半から始まったバブル経済は、日本の自動車業界にも大きな影響を与えました。その象徴ともいえるのが〝シーマ現象〟です。この現象を引き起こしたのが、日産のセド/グロの上級モデルとして登場した初代FY31型シーマでした。デビューした1988年だけで36400台が販売され、初代モデルだけで12万9000台も売り上げた伝説を持っています。
日産最上級オーナーカーとして3ナンバー専用のボディが与えられ、日本車らしからぬデザインと、高級感に溢れた内装。また、発進時にリアを大きく沈み込ませながら発進する姿で、当時の中高年から羨望を集めるモデルとなり、人気が爆発したのです。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 4,930mm/1,780mm/1,420mm |
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車両重量 | 1,830kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | V型8気筒DOHC32バルブ |
最高出力 | 199kW(270ps)/6,000rpm |
最大トルク | 371N・m(37.8kg・m)/4,400rpm |
総排気量 | 2,960cc |
トランスミッション | フルレンジ電子制御オートマチック(E-AT) |
駆動方式 | 後輪駆動 |
燃費 | 6.0km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★★★
スペイン語で、「頂上・完成」を意味する車名を冠したシーマ。そのスタイリングは、今見ても全く廃れることがないスタイリッシュさに溢れています。新世代のプレミアムセダンとして誕生した初代シーマは、日本の高級車とうカテゴリを切り開いた、紛れもない名車の一台でしょう。
トヨタ・20系セルシオ C
特徴
1994年、先代よりフルモデルチェンジにて誕生した2代目2セルシオ。俗に、20系セルシオと呼称されるモデルです。「変化を求めず、深化を目指す」というキャッチコピー通り、エクステリアデザインはキープコンセプトとしながらも、プラットフォームを見直すことで、課題だった後席の居住性が確保されています。
また、同時にボディの軽量化にも成功しており、先代に比べればマイナス110kgもの重量削減に成功しています。それにより、ハンドリングを含めた動力性能が格段に向上しました。後期型へ移行したマイナーチェンジでは、ほぼ別のクルマに見えるほどエクステリアデザインを刷新。エンジン出力、環境性能も向上しましたが、特に安全装備が更に充実したものになり、より安全なクルマへと生まれ変わっています。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 4,995mm/1,830mm/1,415mm |
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車両重量 | 1,680kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | V型8気筒DOHC32バルブ |
最高出力 | 265ps(195kW)/5,400rpm |
最大トルク | 37.0kg・m(362.8N・m)/4,600rpm |
総排気量 | 3,968cc |
トランスミッション | 4AT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
燃費 | 8.0km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★☆☆
今でこそ、フラッグシップの座はクラウンマジェスタに譲り渡しているものの、「トヨタの高級車セダンといえばセルシオ」というイメージは、根強く浸透しています。ウッドパネルや、標準装備されている本革巻きステアリングなど、内装も豪華そのもの。〝高級車〟という概念自体があいまいになってきている現代において、これほど高級車という言葉が似合うモデルも少ないのではないでしょうか。
日産・S20エンジン系スカイラインGT-R
特徴
この「GT-R」の名前を持って生まれたモデルは、モデルチェンジをするたびに大きな注目を集めます。このS20エンジン系スカイラインはその源流とも呼べる、初代スカイラインGT-Rです。
通称〝ハコスカ〟とも呼ばれるこのモデルは、1964年に開催された第2回日本グランプリにおいて、当時敵なしだったポルシェカレラ904GTSに一周のみとは言えリードしたプリンス・スカイラインのエンジンを基に設計されたエンジンを搭載していました。
このことから、大人しいボディにどう猛なエンジンを搭載しているという意味で、「羊の皮を被った狼」というキャッチコピーで宣伝されます。生産台数は全期間合わせても約2000台であり、流麗なスタイリング、極めて機能的な内装・装備を含めてファン垂涎の的となっているクルマです。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 4,330mm/1,660cm/1,370cm |
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車両重量 | 1,100kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | 水冷直列6気筒DOHC24バルブ |
最高出力 | 117kw(160ps)/7,000rpm |
最大トルク | 176.4nm(18kgm)/5,600rpm |
総排気量 | 1,989cc |
トランスミッション | 5MT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★★☆
日産が製造したモデルの中でも、かなり希少価値が高いモデル。すでに旧車のカテゴリに入っているため、購入するのであれば修理を含めて維持を考えなければなりません。しかし、それでも自動車史に残る名車であることは間違いないクルマ。クルマ好きなら、一度は乗ってみたいと考えたことがあるのではないでしょうか。
マツダ・MAZDA3
特徴
アクセラの後継モデルとして、2018年のロサンゼルスショーでワールドプレミアされたMAZDA3は、その車名とデザインの美しさで話題となりました。
ボディ前端からリアに向かって跳ね上がるようなラインで、4ドアクーペのように見せたがるモデルが多い中、しっかりとトランクまで見せる伝統的な手法に則ってデザインされたMAZDA3は、より鮮烈に美しくマツダの深化した魂動デザインを主張してきます。埋没しない個性をもったマツダ会心の作がMAZDA3なのです。
注目なのは、マツダが新開発したエンジンシステム「SKYACTIV-X」でしょう。現状ではガソリンorディーゼルの選択肢になりますが、この2つのエンジンのいいとこどりをしたような特性をもつ「SKYACTIV-X」は、2019年10月の販売が予定されています。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 4,660mm/1,795mm/ 1,445mm |
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車両重量 | 1,350kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC(SKYACTIV-G 2.0) |
最高出力 | 115kW(156PS)/6,000rpm |
最大トルク | 199N・m(20.3kgf・m)/4,000rpm |
総排気量 | 1,997cc |
トランスミッション | 6速AT |
駆動方式 | FF |
燃費 | 15.6km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★★★
現状購入出来る1.5Lガソリンと、1.8Lディーゼルターボでも十分に高いパフォーマンスを発揮するMAZDA3ですが、やはり本命は「SKYACTIV-X」でしょう。24Vのマイルドハイブリッドも搭載しながら、新車価格が314万円~とリーズナブルな設定。高い質感、優れたデザイン。MAZDA3は、かなり魅力的なモデルではないでしょうか。
日産・G50プレジデント ソブリン
特徴
プレジデントは、日産が製造・販売をしていた同ブランドのフラッグシップに位置付けられるモデルです。1965年に初代モデルが販売され、以降44年の長きに渡り法人・要人向けの最上級車に君臨していました。G50型は、その3代目にあたります。
油圧アクティブサスペンションを装備した「V」仕様、マルチリンクサスペンションの「D」仕様からスタートし、購買者層へ向けて短いホイールベースを持つ「JS」が登場。1993年には、オーテックジャパンが手掛けるスペシャルモデル「オーテックリムジン」が追加。その翌年のモデルチェンジでは、最上級グレードである「ソブリン」が復活しました。
フラッグシップとしての地位を現行シーマに明け渡した後も、G50型プレジデントこそ、日産セダンの最高峰だと称える声も少なくありません。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 5,225mm/1,830mm/1,425mm |
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車両重量 | 1,960kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | V型8気筒DOHC32バルブ |
最高出力 | 270ps(199kW)/5,600rpm |
最大トルクN・mkgf·m | 40.2kg・m(394.2N・m)/4,000rpm |
総排気量 | 4,494cc |
トランスミッション | 4AT |
駆動方式 | FR |
燃費 | 6.4km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★★☆
威厳ある堂々としたスタイリングは、現行モデルの洗練されたスタイリッシュさとは真逆。だからこそ、G50プレジデントは〝これが高級セダンだ〟と言わんばかりの威厳に満ち溢れています。よもすれば威圧的とも取られかねないスタイルは、世の中に溢れかえっている「ありきたり」なデザインに飽きてしまったドライバーに、是非触れてみて欲しいモデルです。
ポルシェ・現行型パナメーラ
特徴
パナメーラは、ポルシェのモデルとして相応しい運動性能とプレステージ性を持つ、同ブランド唯一の4シーターサルーンです。
2016年、2代目へとフルモデルチェンジされたパナメーラは、高いボディー剛性とエアサスペンションを組み合わせた究極の乗り心地が持ち味。ハンドルを通して路面の状況を一つ一つドライバーに伝える乗り味は、フィット感抜群のシートに座っていてもなおポルシェらしさを威厳たっぷりに主張します。
また、インテリアのタッチセンサーはガラスルックになっており、〝今風〟さもたっぷり。荷室容量も495リッターから、最大1304リッターまで拡大可能。パナメーラは、世界中のエグゼクティブから絶えず熱い視線を送り続けられています。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 5,050mm/1,425mm/1,935mm |
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車両重量 | 1,815kg |
乗員定員 | 4人 |
エンジン種類 | V型6気筒ツインターボ |
最高出力 | 243kW(330PS)/5,400-6,400 r/min |
最大トルク | 450N・m/1,340-4,900 r/min |
総排気量 | 2,995cc |
トランスミッション | 8AT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
燃費 | 12.4 km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★☆☆
世界最高のスポーツセダン。パナメーラを形容するならば、そう言わざるを得ないのではないでしょうか。ベンツのSクラスのような優雅さ・社交性を持ちつつも、高い動力性能からくるドライバーズカーとしての魅力も感じていたい…そんな欲張りなドライバーには最高の相棒になりえるクルマが、ポルシェ・パナメーラなのです。
BMW・E30型3シリーズ 325i
特徴
〝六本木カローラ〟という言葉は、今の若いドライバーは聞いたことがないでしょう。バブル景気に日本が湧いた世代。繁華街には国産車のトヨタ・カローラよりも、BMWが溢れかえっている時代がありました。そして、そこで最もポピュラーだったのが、BMW2代目3シリーズ『E30型』なのです。
1982年から1994年まで製造されたセダンであり、当時のBMWの主軸だったモデル。5ナンバーで収まるコンパクトボディと力強いエンジン。BMWならではのボディ剛性で実現したハンドリング性能の高さは一級品とも呼べるパフォーマンスで、世界的に人気を博したモデルです。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 4,325mm/1,645mm/1,380mm |
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車両重量 | 1,260kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | 水冷直列6気筒SOHC |
最高出力 | 170ps(125kW)/5,800rpm |
最大トルク | 22.6kg・m(221.6N・m)/4,300rpm |
総排気量 | 2,493cc |
トランスミッション | 4AT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★★★
すでに「絶版名車」として、価格が高騰しつつあるE30型3シリーズ325iは、BMWの現行モデルしか知らない世代にとっては異様なスタイリングをしたクルマに見えるでしょう。しかし、大型で高出力・高性能なエンジンを搭載するモデルだらけになってしまっている今の自動車業界において、軽量かつ俊敏、独特なスタイリングを持つこのクルマは絶妙で希少な存在感を放つことができます。まさに、今だからこそ注目したい一台なのです。
トヨタ・12代目クラウン ロイヤルサルーン
特徴
トヨタのラインアップの中でも高級セダンの筆頭として、いつの時代も日本人の憧れであり続けた伝統あるモデルであるクラウン。歴史のあるモデルは、その〝らしさ〟を引き継ぐことこそ至上としながらも、時に革新的ともいえる挑戦的なモデルが生み出されることがあります。2003年のデビューした12代目クラウンも、そんなクルマでした。
プラットフォームより新設計されたボディにV型6気筒エンジンを搭載し、シーケンシャルシフト付き6速ATを採用。また、歴代初となる電動パワステを採用。安全性能と環境性能も世界トップクラスの水準にまで引き上げられ、ボディ各部にアルミ素材を使うことで軽量化も徹底されています。原点に戻る、という意味で付けられた「ゼロ・クラウン」のキャッチコピーは、クラウンの歴史を換えた一台になったのです。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 4,840mm/1,780mm/1,470mm |
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車両重量 | 1,550kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | V型6気筒DOHC |
最高出力 | 256ps(188kW)/6,200rpm |
最大トルク | 32.0kg・m(314N・m)/3,600rpm |
総排気量 | 2,994cc |
トランスミッション | 6AT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★★☆
クラウンという「ブランド」のユーザー年齢層の若返りを図る目的でも、乗り心地やスタイリングをスポーティに変えられたゼロクラウン。このモデルに使われたプラットフォームは、130系マークXにまで使用されており、現代トヨタセダンの基盤を作ったモデルともなっています。さまざまなメーカーからエアロパーツが販売されているため、カスタムベースとして今選択するのもアリではないでしょうか。
メルセデスベンツ・W124型 E500
特徴
「最善か無か」。メルセデス・ベンツの哲学から生まれた最上のモデルだと、W140型Sクラスをとりあげたばかりですが、初代Eクラスに当たるW124型もまたファンを魅了して止まないモデルの一つです。1984年にスペインでワールドプレミアを果たしたW124型は「ミディアムクラス」と呼称されており、すでに市場に投入されていたW201型と共通コンセプト・デザインを持ちながらもベンチマークとしての機能性は申し分なかったのです。
中でも1990年に発表された500Eは中期のバリエーションモデルにあたり、当時の500SLより受け継いだ5LV型8気筒DOHCエンジンを搭載。この〝怪物〟とも呼ばれるモデルは、ポルシェに生産が委託されたことも話題になりました。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 4,755mm/1,795mm/2,800mm |
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車両重量 | 1,700kg |
乗員定員 | 4人 |
エンジン種類 | V型8気筒DOHC |
最高出力 | 330PS/5,600rpm |
最大トルク | 50.0kg-m/3,900rpm |
総排気量 | 4,973cc |
トランスミッション | 4速AT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
燃費 | 5.4~6.2 km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★☆☆☆
総生産台数は10479台で、日本への輸入は1184台とそもそものタマ数が少なく、完全オリジナルで程度の良い個体が少ないのが現状です。しかし、巨大とは言い難いサイズのボディを大排気量のエンジンとレンジの長い変速機で加速させていくフィーリングは独特なもの。
古いモデルでも、部品の供給を行うことでも知られているメルセデス・ベンツですが、経営事情などから欠品部品も増えてきてはいます。そういった事情を考慮しても、一度はハンドルを握ってみる価値があるクルマではないでしょうか。現行のハイパフォーマンスモデルには遠く及ばないスペックながら、根強いファンによって支えられているW124型500E。「ポルシェが造ったベンツ」の個性を是非体感してみてください。
レクサス・初代IS F
特徴
トヨタの世界戦略の一つとして立ち上げられたレクサスブランド。そのプレミアムブランド戦略としてラインアップしたのが、トヨタではアルテッツァとして販売されていたモデルを進化させたISシリーズです。とはいえ、アルテッツァの名前を変えただけではありません。
ボディサイズ、デザイン、インテリア、走行性能…あらゆる部分にテコ入れを施し、車内も快適な空間造りを追求されています。特に、フラッグシップグレード「IS F」には専用設計のV8エンジンを搭載し、アルテッツァより受け継いだスポーツセダンというコンセプトを更に磨きこんだプレミアムスポーツとしての動力性能を有しています。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 4660mm/1815mm/1415mm |
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車両重量 | 1690kg |
乗員定員 | 4人 |
エンジン種類 | V型8気筒DOHC |
最高出力 | 423ps(311kW)/6600rpm |
最大トルク | 51.5kg・m(505N・m)/5200rpm |
総排気量 | 4968cc |
トランスミッション | 8AT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
燃費 | 8.2km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★★★
割安なモデルということは、ユーザーに寄り添ったモデルでると言い換えることができます。レクサスブランドの中でも身近な存在であるISには、先代にあたるアルテッツァよりも、更にドライバビリティが高められたスポーツセダンというキャラクターが与えられています。走行性能と快適性、どちらを犠牲にすることなく高められたクオリティで、スポーツセダンのイメージを変えた一台と言えるのではないでしょうか。
アルファロメオ・現行型ジュリア
特徴
イタリアのアルファロメオが、ジュリエッタの後継として1962年に生み出した初代ジュリア。柄なボディにスポーツカーにも劣らない高性能なDOHCエンジンを搭載して、人気を博したました。その〝リバイバルモデル〟とも呼べるのが現行ジュリアです。
現行ジュリアは、アルファロメオのラインアップとしては1992年に販売を終了した「75」以来となるFRモデルであり、アルファロメオらしい妖艶なシルエットで、まさに〝ドライバーの感情に訴えかけるマシン〟として甦りました。ベースグレードの他に上級グレードにあたる「スーパー」とスポーツグレードの「ベローチェ」、トップグレードの「クアドリフォリオ」がラインアップ。
優れたパワーウエイトレシオ、独創的なソリューション、洗練されたイタリアンデザインで新次元のドライビングエクスペリエンスをもたらしてくれるモデルとなっています。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 4,645mm/1,865mm/1,435mm |
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車両重量 | 1,590kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | 直列4気筒 マルチエア 16バルブ インタークーラー付ツインスクロールターボ |
最高出力 | 147kW(200PS) / 4,500rpm |
最大トルク | 330Nm(33.7kgf) / 1,750rpm |
総排気量 | 1,995cc |
トランスミッション | 8AT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
燃費 | 14.1km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★☆☆
充実した快適装備や、自動緊急ブレーキなど安全システムも多数搭載する現行型ジュリア。メルセデス・ベンツのCクラスやBMW 3シリーズなど、スポーツセダンはドイツ車を筆頭に群雄割拠です。中でも、ジュリアはアルファロメオの新たな時代を象徴する、印象的なモデルでしょう。4グレード構成で、ユーザーの好みにも応えやすくなっています。フロントグリルのトライローブ(三つ葉)デザインなど、一目でそれだと分かる流麗なシルエットは、他との違いを出したいドライバーにうってつけではないでしょうか。
ジャガー・XJ X350系
特徴
ジャガーは、英国の魂とも評されるモデル。特に、2003年に登場したX350系は1986年以来のフルモデルチェンジでした。1968年から始まったフラッグシップサルーン『XJ』の歴史でも、かなり革新的なモデルだったのです。
フルアルミニウムボディが採用され、車両重量は先代より100kg近く削減しながらも室内の拡充に成功。当時のロールス・ロイスをしのぐ快適性や動力性能は高く評価され、特徴的な丸目4灯で、ジャガーといえばXJというイメージを広めました。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 5,090mm/1,900mm/1,450mm |
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車両重量 | 1,680kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | 水冷V型8気筒DOHC |
最高出力 | 267ps(196kW)/6,250rpm |
最大トルク | 34.6kg・m(339N・m)/4,200rpm |
総排気量 | 3,554cc |
トランスミッション | 6AT |
駆動方式 | 後輪駆動 |
燃費 | 7.1km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★☆☆☆
2009年はX351系にフルモデルチェンジし、現行の型になったジャガー・XJですが、販売台数が伸び悩んでいるため今年の7月には生産終了となるウワサや、後継となるEV搭載モデルの開発が進んでいるという情報もあります。
しかし、ジャガーのフラッグシップサルーンとしての魅力を味わい尽くすなら、薄くシャープなヘッドライトにスポーティなグリルを採用する現行型より、350X系ジャガーを推します。より、ジャガー〝らしさ〟を感じることが出来るはずです。
トヨタ・現行型センチュリー
特徴
トヨタの最高峰セダン・センチュリー。皇室専用車としても採用されるこのモデルは、2017年に開催された東京モーターショーで公式に発表されました。先代より、実に21年ぶりというフルモデルチェンジでは、キープコンセプトながらボディサイズや内外装デザインが刷新され、ハイブリッドシステムを搭載しています。
「几帳面」と呼称されるキャラクターデザインは、最終的に職人による手作業により表現されており、一目でセンチュリーだと分かるようになっています。新型ではあるものの、「センチュリーは何があっても絶対に壊れてはいけない」という信念のもと、パワートレインとプラットフォームに新技術は投入されておらず、継承と進化というテーマ通り、細部にまでこだわった究極のショーファードリヴンに仕上がっています。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 5,335mm/1,930mm/1,505mm |
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車両重量 | 2,370kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | V型8気筒 直噴DOHC |
最高出力 | エンジン:280kW (381PS)/6,200rpmモーター:165kW (224PS) |
最大トルク | エンジン:510N·m (52.0kgf·m)/4,000rpmモーター:300N·m (30.6kgf·m) |
総排気量 | 4,968cc |
トランスミッション | CVT |
駆動方式 | 2WD |
燃費 | 13.6km/L |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★☆☆☆
先代より約2倍になった燃費性能や、同シリーズでは初となる安全装備「Toyota Safety Sense」を採用。モデルチェンジにて、センチュリーは最先端のクルマへと生まれ変わりました。ライン生産ではなく、組み立てから職人の手で行われる高品質なこのサルーンは新車販売価格1960万円と高額ながら、「クルマ」としての所有欲を満たしてくれる芸術品であることは疑いようもありません。
また、運転してもらうクルマというイメージが強い現行センチュリーにはGRMN仕様も存在。こちらは市販の予定がないながら、豊田章男社長自らこれを運転。センチュリーの新たな可能性を示したコンセプトカーでした。イメージカラーや内装にも和名を使用するセンチュリーこそ、今の日本を代表するセダンではないでしょうか。
マセラティ・現行型クアトロポルテ
特徴
イタリアのマセラティが生産する、ラグジュアリーサルーン・クアトロポルテ。イタリア語で「4」を意味する〝Quattro(クアトロ)〟と、「扉」を意味する〝Porte(ポルテ)〟を合わせた「4ドア」という意味の車名を持ちます。
現行型となるのは6代目であり、デビューは2013年でした。スポーツ走行性能と快適性を両立させた、マセラティのフラッグシップモデルは、ーシング技術をベースにしたラグジュアリーセダン「グランルッソ」、スポーツ性とアグレッシブな魅力を引き立てる「グランスポーツ」という2つのトリムラインから選択することができます。
メルセデス・ベンツのSクラスを上回るボディサイズながら、引き締まったエクステリアとタイトなコクピットの組み合わせで、体格を意識させないドライバビリティを発揮します。
基本スペック
ボディサイズ(全長/全幅/全高) | 5,270mm/1,950mm/1,470mm |
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車両重量 | 2,000kg |
乗員定員 | 5人 |
エンジン種類 | 60°V型6気筒ツインターボ |
最高出力 | 257kW(350PS) / 4,750rpm |
最大トルク | 500N・m(51.0kg・m)/1,600~4,500rpm |
総排気量 | 2979cc |
トランスミッション | ZF製8速オートマチック |
駆動方式 | 後輪駆動 |
燃費 | 11.2-11.2 L/100 km |
独断と偏見!?おススメ度は?
おススメ度:★★★★☆
マセラティとフェラーリが共同開発したというV6ツインターボエンジンは、飾りではありません。低速でも最適で重厚なトルクと、ZF製オートマチックの乗り心地は市街地走行では大人しいものの、アクセルを踏み込んだ時の豹変ぶりは、やはり〝マセラティ〟そのもの。重量2トンのボディは軽やかに加速し、コンパクトスポーツカーのようなハンドリングに様変わりします。
最新の運転支援技術を数多く搭載しながらも、タッチパネルを触っているよりハンドルを握っていた方が一番楽しいと思わせてくれるのは、クアトロポルテだからこそでしょう。クルマを運転するのが心から好きな方へ…マセラティのそんなこだわりが見えるモデルです。
まとめ
クルマの〝クルマとしてのあり方〟が多様化している現代、セダンの人気が低迷するのも仕方ないこと。それは、日本人のライフスタイルの変化もあるでしょう。セダンはニッチな趣味だと笑われるようになってしまっているのかもしれません。
しかし、やはりセダンにはそれを越えた魅力があります。メーカーのフラッグシップとしての誇り、スペシャリティカーらしくあろうとする様は、何もかもを一つに詰め込んだようなモデルにはない強烈な覚悟すら感じます。本記事を読んで、少しでもセダンというクルマの魅力に気が付いてもらえたら幸いです。