2019年07月03日 (更新:2020年08月04日)
水冷エンジンの構造や空冷との違いを解説!
エンジンは内部で燃料を燃焼(爆発)させて出来た熱エネルギーを運動エネルギーに変換して動力を得る構造になっています。燃焼するときの温度は約1,000℃に達し、常に高温な状態にあります。エンジンを過熱させないことが燃焼効率に繋がり、その過熱させない方法に水冷エンジンがあります。水冷式のほかに空冷式もあり、今回は構造などの違いから水冷式のメリット・デメリットなども含めて解説します。
水冷エンジンの構造
水冷エンジンはラジエーター・ウォーターポンプ・サーモスタットなどの主要部品から構成され、冷却液でエンジンを冷却させる方式です。冷却水の流れは、エンジン⇒サーモスタット⇒ラジエーター⇒外気へ放熱⇒ウォーターポンプ⇒エンジンの繰り返しで冷却しています。
内部
エンジンを始動した直後、冷却水がまだ暖まらないうちはラジエーターは通らずにエンジン内部でのみ循環が行われます。エンジンは熱くなりすぎるのも困りますが、冷たくなりすぎてもよくありません。
昔はエンジン始動直後に暖機運転をしていましたが、近年はチョーク弁の自動化や燃料噴射装置の燃料供給量自動補正機能など技術の進歩が著しく、暖機運転は不必要な動作になってきています。水冷エンジンには、シリンダーブロックとピストンを冷やすための冷却水の通路があります。
それをウォータージャケット(冷却水が通るところ)といいます。ラジエーターで冷やされた冷却水がウォーターポンプにより送り出され、ウォータージャケットを通過することでエンジンブロックと燃焼室周りを冷却します。
水冷エンジンの良いところ・悪いところ
良いところ
熱の有効利用
エンジンを冷やすために暖められた冷却水をそのまま外気に放出してしまっては勿体ないですよね。そこでヒーターコアを用いて、暖められた冷却水で車内を暖めてしまいます。これにより無駄な燃料を消費することなく、低燃費の効果が得られます。
エンジン音の低減効果
エンジンの周りを冷却水が通っているので、水がエンジン音を吸収することで音が低減されます。また、振動も同様に水が振動を吸収して低減されます。
温度管理が容易
水冷式の一番の効果と言っても過言ではないのが温度管理です。冒頭で説明した通りエンジンは1,000℃という高温な状態にあり、冷却は必須となります。水温計を用いて冷却水の温度管理を行うことで、オーバーヒート(エンジンの焼きつき)を未然に防ぐことが出来ます。
悪いところ
構造が複雑
構造が複雑になるがゆえに重量が重くコストが高くなります。空冷式の冷却方法は空冷フィンだけで済んでいたものが、水冷式だとラジエーター、冷却水、ウォーターポンプなど様々な部品が必要となり、その分の重量増・コスト増になってしまいます。
メンテナンスの手間
空冷式と違い部品が増えたことによるメンテナンスの手間やコスト増になります。冷却水の交換、ラジエーター・配管などから発生した水漏れの対応など、手間と費用がかかってしまいます。
水冷エンジンと空冷エンジンの違い
これまで水冷エンジンについて説明しましたが、もう1つエンジンの冷却方法があります。それは空冷エンジンです。空冷エンジンは走行して得られる走行風をエンジン(フィン)にあてて、冷却するという簡単なものです。
シンプルな分、製造コストを抑えられ、整備の手間が減るといったメリットがあります。また、空冷エンジンは冷却媒体に空気を使用するため、冷却効率は低くなります。そのため、エンジンの高出力化を追求してゆくとエンジンが発する熱に冷却が追いつかなくなることがデメリットになります。
また、冷却効率が悪く、エンジンの温度管理も出来ないので、オーバーヒートを起こしてしまうリスクが非常に高いです。
まとめ
近年の車は水冷エンジンが主流となっていて、空冷エンジンの車は発売は皆無です。バイクやATVなどの小排気量のものは、今も空冷エンジンで発売されているものもあります。昨今は電気自動車を主流にしていく流れがありますが、エンジン特有の味のある音だったり、レスポンスだったり、加速感だったり、魅力あるものは今後も大事にしていきたいものですね。