気になっているアルミホイール、デザインはいいけどインセットの設定が自分の車に合わないから装着できない。お金の節約のために昔から持っていたアルミホイールを新しい車につけたけどなんだかホイールが引っ込んで見えてカッコ悪い。こんな体験をした方いらっしゃいませんか?今回はアルミホイールの出面、トレッド幅を広くすることができるスーパーアイテム「ワイドトレッドスペーサー」の役割や構造・装着の際に注意しなければならない事を解説していきます!
この記事の目次
ワイトレの役割・構造
ワイドトレッドスペーサー(略してワイトレ)とは自動車のハブに取り付けるパーツのことですが、どのような役割を持つ部品なのでしょうか?構造についてもここで解説しますので早速見てみましょう。
役割
ホイールの取り付け面を車体の外側に変更することでトレッド幅を広くし、コーナリングの際に発生する遠心力に耐える力を持たせることができます。前輪・後輪ごとにトレッド幅を広くすることで得られるメリットは変わってきますが、デメリットが発生してしまうことも少なくはありません。簡単に表にしてあるので一度確認してみてください。
メリット | デメリット |
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前輪 | 車両の動きがクイックになる。 | 直進安定性が悪くなる。 |
後輪 | 直進安定性が向上できる | アンダーステア傾向が強くなる。 |
構造
ワイドトレッドスペーサーの多くは厚みを持たせた円形の板に数カ所の穴を開け、ナットが装着できるナットホールとホイールを装着するためのスタッドボルトが装着されています。ホイールのハブ接地面(ホイールの裏側)の形状によってはワイドトレッドスペーサーをそのまま装着できるものもありますが、純正のハブボルトを加工する必要がある商品もあります。
挟み込みタイプのワイドトレッドスペーサーでは厚みを持たせた円形の板に穴が開いており純正のボルト、またはロングハブボルトに打ち替えたものを使用するタイプの商品があります。このタイプの場合、多くはホイールスペーサーなどと別個で呼ばれたりしています。
ワイトレ装着に必要な作業と工賃
ワイドトレッドスペーサーの装着に必要な工賃はカー用品店や整備工場では、そのお店でのタイヤ脱着料金とさほど変わらない金額で行ってもらえますので、タイヤの脱着作業×2の金額。加工が必要になった際は追加費用が掛かってしまいますので作業をお願いする際には一度見積もりを貰うなどして確認をしておきましょう。ディーラーでは車検の観点でフェンダーから車輪が出ることを嫌いますので作業してもらえない場合があります。
作業の内訳
では、ワイドトレッドスペーサーの取り付け作業の内訳はどうなっているのでしょうか?加工作業が必要になった場合は作業内容が変更になりますので、どのような作業を行わなければならないのかを見ていきましょう。
STEP1:ロングハブボルトへの打ち変え作業
ボルトセットのワイドトレッドスペーサーであれば必要ない作業ですが、通常の挟み込みタイプスペーサーより厚みがあるタイプの物であれば必ず必要です。ボルト/ナットのひっかりが甘いとホイールが脱落してしまう可能性があります。
STEP2:特殊ナットでのワイドトレッドスペーサー締め付け作業
ワイドトレッドスペーサーのナットサイズが合わないとホイールのハブ面に干渉してしまい正しくホイールの取り付けが出来ず思わぬ支障をきたします。
STEP3:純正ハブボルトの短縮作業
ボルトセットのワイドトレッドスペーサーで、スペーサーよりボルトが出てしまった際はこの加工が必要です。ホイールのハブ面とボルトが干渉し正しくホイールの取り付けができません。
STEP4:アライメント作業
ボルトを交換するための分解作業がない場合でも、トレッド幅が変更される事に変わりはありませんのでアライメント作業は必要です。アライメント作業ができていないとタイヤの偏摩耗などが起こってしまいます。
工賃
どうしてもプロの方に作業をお願いすると工賃が掛かってきてしまいますが、車種や作業工程によって変化してきます。ここでは簡単に作業別で必要になる金額を見ていきましょう。
作業項目 | 作業料金 |
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ハブボルトの打ち替え作業 | 4H車は前後いずれか¥9200〜、5H車は前後いずれか¥11000〜。一台分はそのまま×2の金額。 |
ハブボルトの短縮加工 | 1本あたり¥800〜。一度短縮加工をしてしまうと純正ホイールの装着が不可能になってしまうこともあります。車検などの兼ね合いがありますのでしっかりと判断してください。 |
アライメント作業 | お店により価格が全く変わってしまいますが、軽・コンパクトカーなら¥12000〜、普通車なら¥16000〜となっています。調整点数によって価格が変わるお店もありますので、お店の人と確認をしておきましょう。 |
ワイトレ装着の際の注意点
ワイドトレッドスペーサーの装着には注意点があり、正しく装着できていないと思わぬ事故の原因となってしまうことがあります。特に注意していただきたいことを3点記載させていただきますので、必ず読んで確認しておいてください。
ハブボルトに負荷がかかる
ホイールは、ホイールとハブの圧着により固定されていますが、スペーサーが入る事によりスペーサーのたわみなどが邪魔をしてテコの原理が発生してしまい、正しい力で均等に締め付けがされにくくなってしまいます。挟み込みタイプのスペーサーはたとえ1mmであろうと多く負担がかかってしまいます。
ナットやホイールが緩みやすくなる
ワイドトレッドスペーサーに対してホイールを正しく装着しないと、ナットが緩んでしまいホイールが脱落してしまう危険性がります。ワイトレの厚みによっては、純正のハブボルトが突き出てしまい、ホイールのハブ面に接触。ホールが面接触がされないまま、ナットを締めてしまうと、ホイールナットは徐々に緩んできてしまい危険です。
スタッドボルトが使われておらずスペーサー自体を付属のボルト/ナットで圧着させるタイプのものは、ボルト/ナットが共回りしてしまいホイール自体が外れなくなったり、取り付けがしっかりできない場合がありますので特に注意が必要です。
ワイドトレッドスペーサー自体の強度にも注意
また、スタッドボルトが使われている場合でもジュラルミンやアルミなど素材としては鉄より質量が少ない物で作られているものも多く、締め付けのトルクによってはスタッドごとスペーサーの根元が破損してしまうこともあります。
まとめ
今回はホイールの出面を手軽に変更できるワイドトレッドスペーサーについて解説をしてきましたが、ツライチセッティングを出す際に使用したり、車体の操作性を改善するために使用したりといったシーンがあります。しかし、取り付けに関する注意点は全て共通のものとなっていますので無理な取り付けなどは行わないように気をつけていただければと思います。