2018年09月18日 (更新:2024年08月19日)
車の整備におすすめの電動工具
車の整備をするとき、作業時間を短縮するために電動工具の購入を考えたことはありませんか?タイヤ交換や足回りのメンテナンスなんかだと、1本のナットやボルトを外すために思った以上の力を使わないと外れてくれないことってありますよね。電動工具は作業効率をはるかに引き上げ、疲れさえも軽減してくれるとても素晴らしいアイテムです。今回は整備をするときにあると便利な電動工具をいくつか紹介していきます!
必ず揃えたい電動工具
車を整備する時に力が必要な作業として一番最初に思い浮かぶ作業は、ボルトを外すことではないでしょうか。実際に手で回して外そうとすると時間をかけて何度も回さないといけませんが、電動工具を使った場合は一瞬で外すことができます。
もちろん注意点は何点かあります。ほんの一例ですが、使用するソケットの種類が合っていないとネジ頭を破損したり、締め付け時に力をかけすぎてボルトが折れてしまったりといった事になってしまいます。
また、電動工具にはコード式と充電式がありますが、充電式に関しては電圧による出力の差がありますので、購入の際は電圧が高いものを基準に考えても良いかもしれません。バッテリーをしっかり充電すればどこでも使える利便性が魅力。この項目では充電式をご紹介します。
インパクトレンチ
レンチとは六角ボルト・ナットを回すための工具のことで、手工具の場合はハンドルに「ソケットレンチ」を取り付けて使用する工具です。インパクトレンチは作業を省力化し、より大きなトルクで締め付けることが可能となっています。もちろん取り外しにも使えます。
主にタイヤ交換やサスペンションの交換などに使われますが、機械の内部で回転方向への打撃を加え強いトルクでボルト・ナットの締め付けを行います。強いトルクに耐えられるように作られており、先端にあるソケット取り付け部は「角ドライブ」という部品が取り付けられています。
角ドライブの規格
インパクトレンチで使用されている角ドライブには大きさがあり、この大きさは「差し込み角」と呼ばれ、6.3sq 9.5sq 12.7sq 19.0sq 25.4sqの5つのサイズが設定されています。「sq」とはsquare(スクエア、英語で四角)の略で、9.5sqの差し込み角は、四角の二面幅が9.5mmになります。
インパクトレンチで使われている角ドライブは12.7sqのものが多いので、このサイズのソケットを選んでおくと安心です。
ソケットレンチの選び方
ソケットレンチに関しては「ハンドソケット」と「インパクトソケット」の2種類があります。ハンドソケットは一般的に銀色をしておりラチェットハンドル・スピンナーハンドル・T型ハンドルなど、手で回す工具に使用するものです。
インパクト用ソケットは多くのものが黒い色をしており、エアーインパクトレンチや電動インパクトレンチなどの強い衝撃がかかる動力工具に付けて使うものです。見分けはとても簡単ですが、ハンドソケットにはメッキ処理がされており錆に強く手触りが良いです。一方のインパクトソケットはメッキの代わりにリン酸皮膜処理を行い錆に強くしています。理由はインパクトレンチを使用するとソケットに強い衝撃が加りメッキが剥がれる恐れがあるためです。
また、ハンドソケットとインパクトソケットでは力のかかり方が大きく変わってきますので素材の硬さ自体も変えられていたり、インパクトソケットは大きく・厚く・頑丈に作られています。工具が入る幅が狭い場合にはハンドルやアダプターを合わせやすいハンドソケットの方が使いやすいですね。
インパクトドライバー
ドライバーとは、「+」または「−」状のネジを回すための工具のことで、手工具では大抵ハンドルに+か−状の物が取り付けられており、これを用いて緩め作業などを行います。インパクトドライバーはこの電動工具版でインパクトレンチ同様作業を省力化できますが、さらに穴を開け作業や研磨作業まで可能になります。
主に内装品、とくに小物関連に使われますが、機械の内部で回転方向への打撃を加え強いトルクでネジの緩め作業を行います。こちらも強いトルクに耐えることが前提に作られておりますが、インパクトレンチと違い先端にある取り付け部は「チャック」という部品になります。
インパクトドライバーで使用されているチャックの差込サイズにも大きさがあり、9mm、9.5mm、13mmの3サイズが設定されています。インパクトドライバーでは差込サイズよりも先端工具にあたる「ビット」のサイズで表されることが多いです。
インパクトドライバーのビッドは種類が沢山
インパクトドライバーで使われるビットは、日本国内では13mmのものが主流となっているので、このサイズのビットを選んでおくと安心です。ビットに関してはとにかく種類が豊富で、ネジを回すビット以外にも穴を開けるための「ドリルビット」やソケットをインパクトドライバーで使用するための「ソケットアダプター」などがありますが、他にも「六角レンチビット」「トルクスネジ用ビット」といったものがあります。
インパクト用ビットにも色付けや防錆処理をしており、ソケット同様強度なども変わってきます。しかし、ネジ本体は細いものが多くインパクトレンチのように強い力で
締めるとネジが破損するので若干トルクが弱めのモーターが使われています。アルマイト処理がされているビットなどもあり強度的に不安を感じる方もいるかもしれませんが、力をかけ過ぎなければビットの強度は特に問題ありませんので安心してください。
出力の多いインパクトドライバー、選び方は?
内装に使用する際は3.6Vや7.2Vのペン型インパクト、穴開け作業に使いたいのであればパワーのある10.8Vや14.4Vのピストル型インパクトなどで使い分けてあげると作業ミスも減るかもしれませんね。
上記ではネジやナットを脱着するための工具について解説をしてきましたが、次は加工作業でとても役に立ってくれる電動工具について解説をしていきたいと思います。
加工作業には素材を切ったり削ったりと危険な作業を伴うことがあります。正しく使用しないと思わぬ怪我や事故に繋がってしまう恐れがあるので、ここからの工具は必ず正しい使い方を学んでから使用してください。
また、こちらの電動工具は切削作業などを行うためにモーターの力が必要になってくる場面が多いので、充電式ではなくAC電源式でご紹介していきます。
グラインダー
電動工具であるグラインダーの中でも、建設現場や自動車整備など幅広いシーンで使用されることが多いハンディタイプの「ディスクグラインダー」。本来の用途は金属加工などの研削・研磨・切断砥石などを使用した金属や石材の切削です。
ディスクグラインダーは先端工具の砥石や刃物を変えることで、金属やコンクリート、石材の研磨・切断など幅広く活躍してくれる定番の電動工具です。金属の切断作業に「切断砥石」を、コンクリートの切断作業に「ダイヤモンドカッター」を、研磨作業には「ダイヤモンドカップ」「研削砥石」「研磨ディスク・ペーパー」を使用します。
サンダーやポリッシャーと違ってディスクを平面に押し当てたまま仕上げ研磨を行うことができないため、硬い材料の粗研磨に向いています。ディスクグラインダーには高速タイプと低速高トルクタイプがあるので、高速タイプなら切断、低速高トルクタイプなら研磨作業と使い分けるのも作業効率を上げる一つの方法です。
取り扱いには十分気をつけなければなりませんが、最近のディスクグラインダーには付加機能が付いている商品も多く、ブレーキ機能・過負荷保護機能・変速ダイヤル機能などが付いているものもあります。ご自身の使い道にあった工具を選ぶことが作業のしやすさにつながります。
余談ですが、グラインダーと名がつくものでは、卓上グラインダーはバリの除去や研磨がメイン、ハンドグラインダーは精密部位の加工がメインとなっています。
ジグソー
木工作業でノコギリを使うことが悪いわけではありませんが、作業効率が悪い上に、刃の状態が悪いと引っかかったりして、余計に力んで疲れるような体験をしたことはありませんか?
木工の作業効率を上げるための切断工具には丸ノコとジグソーの二択がありますが、扱いやすく多機能なのはジグソー。その理由は、丸ノコでは難しい曲線や細部の切断作業ができること。
ディスクグラインダー同様、切断する素材に合わせて刃を交換してあげる必要がありますが、ジグソーだと木工用ブレード・金工用ブレード・プラスチックブレード・特殊材料用ブレードなどの刃を手軽に交換することができます。
ジグソーを選ぶ上での注意点
ジグソーではスペックが高くサポート機能が充実しているものを選んでおくとほぼ間違いありませんが、あえて付け加えるとしたら、「ストローク数・幅」と「まっすぐ材料が切れるサポート機能」はしっかりと見ておきましょう。
ストローク数・幅
ストローク数は1分間に歯が何回上下するかという数値で、あまりにも速く動きすぎると反動が強く上手に切れません。上下する回数は「minー1」で表されており、1000minー1なら1分間に1000回という意味です。ストローク幅はどれくらい刃が上下に稼働するかで、これが長いほど早く切ることができます。
まっすぐ材料が切れるサポート機能
まっすぐ切れるサポート機能としては、直線が書かれている場所に合わせるだけでまっすぐ切れる「切断線ガイド」や、切りクズで下書きの線が見えなくなってしまうのを防ぐ「ブロワ機能」などがあります。機種によりサポート機能が違うのでしっかりと選んでみてください。
その他
この他にも持っているととても便利な電動工具は多数存在しますが、個人的にあると便利だなと思う商品を用途と共に簡単に3種類ご紹介していきたいと思います。
ポリッシャー
車のワックスやコンパウンドを高速で仕上げてくれるポリッシャー、「ダブルアクションタイプ」の物だと偏心構造となっており、上下移動や楕円を描くような変わった動きをしてくれます。このタイプは研磨力が弱めに設定されており削り過ぎないので初心者の方でも安心して使えます。
ハンディ超音波カッター
刃先に振動を与えることで摩擦係数を減らし、切断の効率を上げる方式の電動工具です。従来のカッターよりも軽い力で作業することができ、3mm程度までのABS・PP・PET・アクリルに使用できます。車内で自分だけのオリジナルパネルを作るのにとても便利なツールとなっています。
コードリール
工具ではありませんが、いざという時に電動工具の電源線の長さが足りないと作業がストップしてしまいます。コードリールはドラムを回して収納できるタイプなのでしっかりと片付けができますし、安全機能が付いているものであれば漏電遮断器付きなどもあります。自宅内で使うことはまずないと思うので「屋外タイプ」を選んであげてください。
まとめ
文明の利器という言葉はあちこちでよく使われていますが、本当に便利なアイテムが増えています。最初は扱うのにちょっと怖さが伴う電動工具ですが、正しく使ってあげることで危険はグンと下がります。時間は決して無限ではありませんので、作業効率を上げるためにもぜひお手元に用意しておきましょう。