2019年06月05日 (更新:2020年08月18日)
どうして動く?エンジンの構造について最低限知っておきたいこと
車の動力源となるエンジン。それがどのような仕組みで動いているのかご存知でしょうか。エンジンの構造を理解しなくても車を動かすことができますが、知っておくことで車をもっと好きになれるはず。自分の車に搭載されているエンジンが、どんな仕事をしてくれているのか再確認しましょう。
この記事の目次
レシプロエンジンとは
レシプロエンジンの「レシプロ」とは、「レシプロケーティング」の略であり、「往復運動」を意味します。
現在主流となっている4ストローク(4サイクル)・レシプロエンジンの動作は、円筒形状のシリンダー内でピストンが吸気・圧縮・燃焼・排気の4行程を経て往復運動を繰り返し、クランクシャフトで回転運動へと変換され軸出力を発生させます。
シリンダー内で行われる4行程
レシプロエンジンの動作は、注射器を思い浮かべると想像が容易です。
吸気行程
注射器のピストンを引くとシリンダー内の気圧が下がり、空気と燃料を混ぜた混合気がシリンダー内に流入します。
圧縮行程
続いて、注射器の先端を塞いでからピストンを押すとシリンダー内の混合気が圧縮されます。
燃焼行程
混合気を圧縮した状態でスパークプラグを用いて点火すると、ピストンは爆発力で押し戻されます。この押し戻す力がエンジンの動力源となります。
排気行程
爆発が終わったあとのシリンダー内には排気ガスが充満しているため、先端を開いてピストンを押すことで排気ガスを押し出し、再び吸気行程に戻ります。
実際のエンジンでは、吸排気の制御をクランクシャフトの回転をタイミングベルトやチェーンでエンジンヘッドまで伝えて、カムシャフトを介して吸気バルブと排気バルブの開閉を同期させることで行っています。
これらの動作を連続的におこない、ピストンが爆発で押される力をコンロッドとクランクシャフトを用いて回転運動に変換することで、エンジンは回転を続けることができるのです。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い
ディーゼルエンジンは軽油で動作するエンジンであり、基本的な動作はガソリンエンジンと同じです。ただし、ディーゼルエンジンはスパークプラグの火花点火ではなく混合気自体を圧縮した際に発生する熱によって自然に着火するため、ガソリンエンジンのようにスパークプラグがありません。
また、ディーゼルエンジンはすべてシリンダー内に直接燃料を噴射する直噴エンジンであることも大きな特徴です。
吸入した空気をガソリンエンジンよりも高い気圧まで圧縮し、高温になった空気に軽油燃料を噴射することで爆発させるため、ディーゼルエンジンは高い気圧に耐えられるよう頑丈につくる必要があります。そのため、ガソリンエンジンよりも大きく重くなる傾向にあります。
ガソリンエンジンのように高回転まで回るエンジンにすることは難しく、稼働時には大きな音と振動が発生します。そのかわり、高圧縮による大きな爆発によってガソリンエンジンよりも低回転域から大きなトルクを発生させることができるのです。
ロータリーエンジンとは
ロータリーエンジンとは、レシプロエンジンのような往復運動ではなく、三角形のローターが”まゆ型”のハウジングの中を回転運動する際にできる容積変化で、吸気・圧縮・燃焼・排気をおこなうエンジンです。
ガソリンエンジのような複雑なバルブ開閉機構が不要であり、レシプロエンジンのように往復運動から回転運動への変換がないため非常にコンパクト。さらに稼働する際のエネルギー損失が少ない効率的なエンジンです。
ロータリーエンジンの仕組み
ロータリーエンジンには、レシプロエンジンのようにシリンダーもピストンもありませんが、吸気・圧縮・燃焼・排気を繰り返すことで動力を発生させることには変わりがありません。
ハウジングはシリンダーの役割を果たし、ローターはピストン代わり。三角ローターの三面それぞれが、同時並行して4行程をおこない、三角ローターの頂点は行程ごとの気密を保持するためのピストンリングの役割を果たします。
ローターの中央を貫くように配置されたエキセントリックシャフトは、レシプロエンジンでいうクランクシャフトにあたる部分です。
三角ローターの1面が吸気ポートを通過する際に容積が拡大することで吸気。再び容積が縮小することで圧縮。スパークプラグで点火し、容積を拡大しながら爆発エネルギーがローターの回転を加速させ、再び容積が縮小することで排気ポートから燃焼ガスを押し出します。
ローターの回転エネルギーは、ローター内側とエキセントリックシャフトに刻まれたギアを介し、舐めるようにして伝え、軸出力を発生させます。
まとめ
人間の何十倍、何百倍ものパワーを絞り出し目的地まで快適に運んでくれる自動車のエンジンは、非常に過酷な仕事をしています。
その動作は非常に精密で、1カ所でも不具合があると、すべての仕事が破綻してしまうほどです。
しかし、エンジンは異常があると、もれなく異音やパワーダウンといった症状でそのことを知らせてくれます。
健康な状態のエンジンの音や動作をしっかりと覚えてけば、エンジンが発する悲鳴に気づき、故障を未然に防止できる場合があります。手厚いケアとメンテナンスで、日頃の苦労をねぎらってあげましょう。