2019年05月31日 (更新:2020年08月25日)
青春の憧れ!リトラクタブルライトを採用した国産車
歩行者保護を目的とした保安基準の変更により今では世界的に姿を消したリトラクタブルライト。かつてはスポーツカーの象徴として多くの車に採用されました。輸入車とは異なり、国産車はセダンやコンパクトハッチにも搭載車をラインナップしました。懐かしくも憧れたリトラクタブルライト搭載車を振り返ってみます。
リトラクタブルライトとは?
リトラクタブルライトとは、普段は格納されており点灯する場合に展開され立ち上がるヘッドライトのことです。最初は法規の定めるヘッドライトの最低地上高をクリアしつつ、低いボンネット高を両立するために海外メーカーの車から採用がはじまりました。
車の印象に強い影響を与えるフロントフェイス、その中でもヘッドライトの配置は各国の法規で細かく規定されています。日本では、保安基準の取付高さ50cm以上をクリアするために採用されたのがリトラクタブルライトなら、上端の高さは1.2m以内という規定を満たすために工夫された日産・ジュークのような例もあります。
ジュークでは、ボンネット両端に装備されたのはポジションランプでヘッドライトはバンパーにビルトインされています。デザイン上の自由度が増すという点ではメリット抜群のリトラクタブルライトですが、デメリットもあります。ヘッドライトを動かすメカニズムが必要になりますのでその分の重量は増加します。
国産車でのリトラクタブルライト搭載車の特徴
リトラクタブルライトを一躍有名にしたのは1970年代後半のスーパーカーブームでしょう。ミッドシップレイアウトによる低いボンネットにリトラクタブルライトを搭載したカウンタックや512BBはそれまでの日本車とは全く異なるデザインと性能で衝撃的。日本車でのリトラクタブルライトは、低いボンネット高という必然性だけではなく、スポーティーな印象を与えるファッション性から採用した車種があったのも特徴です。
トヨタ
セリカXX・スープラ
A60型セリカXXと、トヨタ3000GTのキャッチフレーズで登場したA70型スープラでは2代続けて採用されました。A60型セリカXXは谷田部最高速トライアルでも活躍しましたね。
セリカシリーズ
セリカはFR最後のモデルとなったA60型後期モデルから、WRC(世界ラリー選手権)で大活躍したT160型、T180型まで3世代で採用していました。
トレノ
某漫画で有名な86型トレノよりも、今ではFF化された後継モデルである92型トレノの方が希少かもしれません。
MR2
国産初のMRスポーツカーとして登場したMR2にもリトラクタブルライトは欠かせません。初代モデルに引き続き2代目モデルも継続採用しています。
カローラⅡ・コルサ
コンパクトハッチにリトラクタブルライト搭載!今ではどの車よりも希少車ではないでしょうか。もう10年以上、走っている姿を見かけていません・・・。どちらかのイベントで再会したいですね!
日産
フェアレディZ
ボディシルエットはS130型からのキープコンセプトですが、ヘッドライトのデザインが変更されただけで雰囲気は大きく変わりましたね。この、半目のようなデザインがかえって獰猛な雰囲気を醸し出していて格好良いです。
シルビア・ガゼール
大ヒットモデルであるS13型シルビアの前のモデルであるS12型シルビア・ガゼール。後期型の2ドアクーペはTV-CMやツートーンカラーなどでも美しいモデルでした。
180SX
S13型からはシルビアは固定式ヘッドライト、180SXがリトラクタブルライトを搭載しています。リトラクタブル機構がなくなる分、シルエイティーにするとフロント周りが軽くなって回頭性があがる!?
パルサー・エクサ
初代パルサーエクサ、2代目モデルはエクサとしてリトラクタブルライトを採用。2代目モデルの、キャノピー装着車は今、輸入車で流行しているシューティングブレークの先取りではないでしょうか!?
ホンダ
NSX
後期型では固定式ヘッドライトになりましたが、登場当初の初代NSXはリトラクタブルライト搭載でした。ユーズドカー相場も上昇中の名車ですね。
クイント・インテグラ
ホンダがリトラクタブルライト搭載車を増やしていた時代、クイントの後継モデルである初代クイント・インテグラも採用しています。
バラードスポーツCR-X
この車も登場時はセミ・リトラクタブルライトを搭載していましたが、後期型では固定式ヘッドライトに変更していますね。
プレリュード
3代目モデルのFFとは思えない低いボンネット高を見たときはリトラクタブルライトの必然性を感じましたが、後に固定式ヘッドライトのinx(インクス)を追加しました。
アコード
3代目アコードはセダンボディにリトラクタブルライト、そして有名なエアロデッキと、ホンダ車でのリトラクタブルライト採用が最も多かった時代の名車ですね。輸入車のアコード・クーペも大人なクーペで人気でした。
マツダ
RX-7シリーズ
日本車でリトラクタブルライトをメジャーにした存在といえばRX-7を忘れるわけにはいきません。スポーツカールックにリトラクタブルライトを搭載した初代のSA22Cの登場は衝撃的でした!その後もFC3S、FD3Sと3代にわたってリトラクタブルライトを搭載しています。
ロードスター
初代のNA型ロードスターにのみリトラクタブルライトが採用されていました。開発者はインタビューで「リトラクタブルライト機構などで重量増になるのはわかっていたが是非採用したかった」と語っています。
ファミリアアスティナ・ユーノス100
1代限りだったファミリアアスティナと兄弟車のユーノス100。マツダが拡大戦略を行った、多チャンネル時代に登場しています。
コスモ
コスモでは、3代目モデルでリトラクタブルライトを採用。片側2灯の角目ヘッドライトがスポーティーな雰囲気で良いですね!
その他のメーカー
いすゞ・PAネロ
PAネロ素敵だわ。 pic.twitter.com/hp66afr6JY
— PAネロおじさん (@gemini191s867) 2019年3月4日
いすゞとGMの提携により生まれたPAネロ。ベースとなったのは3代目ジェミニです。3代目ジェミニよりも現存数は少ないかもしれません。
いすゞ・ピアッツァ
初代モデルは117クーペの後継モデルとしてジウジアーロデザインで登場。2代目モデルやPAネロも含めていすゞ車はセミ・リトラクタブルライトが特徴です。
三菱・GTO
N1レースではR32GT-Rとバトルを繰り広げたGTO。前期型モデルではリトラクタブルライトやエアスクープ状のエアロが特徴的でした。
三菱・スタリオン
初期のグループAレースやテレビドラマ「ゴリラ・警視庁捜査第8班」で活躍したのがスタリオンです。GSR-VRのブリスターフェンダーが格好良かったですね。漫画「SS」では固定式ヘッドライトに改造された設定になっていました。
初代アルシオーネ
スバル車として唯一となるリトラクタブルライト搭載車が初代アルシオーネです。ライトだけではなく一度見たら忘れられないウェッジシェイプのデザインが独創的でした。
まとめ
登場時には憧れだったリトラクタブルライトは採用車種も順調に増え、色々なボディータイプで選択することが出来ました。しかし固定式ヘッドライトと比べてライトを展開するためのメカニズムが必要なことや、プロジェクターヘッドライトの登場など、デザインとヘッドライト設計の自由度が増したことで1990年代中盤から急速に姿を消していきます。
国産車としてはFD3S型RX-7の生産終了と共に、リトラクタブルライト搭載車は1台も無くなってしまいました。かつては世界有数のリトラクタブルライト搭載車王国だった日本車。しかし今でも多くが名車となって人気ですので、CARTUNEユーザーの皆さんを中心に大切にされていくでしょう。