かつて世界と戦っていた国産ラリーカー | CARTUNEマガジン
かつて世界と戦っていた国産ラリーカー

2019年05月29日 (更新:2020年06月18日)

かつて世界と戦っていた国産ラリーカー

サーキットではなく、公道での走行タイムを競うラリー。ラリーの最高峰であるWRC(世界ラリー選手権)には、かつて国内の自動車メーカーが多数参戦していました。現在は参戦している国内自動車メーカーがたった1チームと寂しいですが、ひと昔前は日本勢がWRCの舞台でチャンピオン争いをしていたのです。今回はかつて世界と戦っていた国産ラリーカーを3車種、そして現在も世界と戦っている現役ラリーカーを1車種紹介します!

ラリーカーってなに?

Mrs_quattroさんのBRZの画像
Mrs_quattroさんのBRZの画像
引用元:Mrs_quattroさんの投稿

ヨーロッパを中心に人気を博しているモータースポーツのひとつ、ラリー。モータースポーツといえばサーキットでのレースを頭に思い浮かべる人が多いですが、ラリーはサーキットではなく、公道で1台ずつ走行してタイムを競うモータースポーツです。

未舗装路や雪道を走行することも多く、過酷な競技として知られています。そんなラリーに用いられる競技車両のことをラリーカーと呼んでいるのです。

ひと昔前は4ドアセダンをベースにした競技車両が多かったのですが、近年は3ドア/5ドアハッチバックをベースにした競技車両が多いように見受けられます。ラリーの舞台となる公道は直線区間が少ないため、コーナーが速い車が優れたタイムを叩き出します。

そのため、リヤが軽くてクイックにコーナーを曲がることができる3ドア/5ドアハッチバックをベースにした競技車両が主流となりました。その他のラリーカーの特徴といえば、ド派手なカラーリングやワイドボディ、大型リヤウィングなどが挙げられます。

世界で活躍したラリーカー

だいさぎ@FtR−StyleさんのギャランフォルティスCY4Aの画像
だいさぎ@FtR−StyleさんのギャランフォルティスCY4Aの画像
引用元:だいさぎ@FtR−Styleさんの投稿

ラリーの最高峰といえば、やはり世界ラリー選手権(以下、WRC)です。WRCは国際自動車連盟(FIA)が主催するモータースポーツの中で、F1世界選手権に次いで長い歴史を誇っているモータースポーツになります。

欧州で人気を博しているモータースポーツということもあって、WRCで好成績を収めている自動車メーカーは欧州ブランドばかりです。しかし、1993年から1999年にかけて、マニファクチャラー部門で日本勢がチャンピオンを獲得した黄金期がありました。

約6年間に渡る黄金期で大活躍した自動車メーカーがトヨタ、スバル、三菱です。今回はトヨタ、スバル、三菱がWRCに参戦していた期間の中で、特に目覚ましい活躍を遂げた3台のラリーカーをピックアップしてお届けします。

トヨタ セリカ GT-FOUR(T180型)

Hi−Ya【ヒーヤ】さんのセリカST185Hの画像
Hi−Ya【ヒーヤ】さんのセリカST185Hの画像
引用元:Hi−Ya【ヒーヤ】さんの投稿

1992年以前もトヨタはWRCで活躍していましたが、マニファクチャラー部門やドライバー部門でチャンピオンを獲得することはできていませんでした。その時に登場したのが「セリカ GT-FOUR」です。

セリカGT-FOURは、車両の姿勢に冷却性能が左右されにくい水冷式インタークーラーと耐久性を重視したターボチャージャーを初めて採用。ワイドボディ化とブレーキの拡大によって走行性能が大きく向上したモデルです。

参戦1年目はカルロス・サインツとルイス・モヤがドライバー部門とコ・ドライバー部門の予報でチャンピオンを獲得。その1年後には日本勢初のマニファクチャラー部門でのチャンピオン獲得を成し遂げました。

OZレーシングの特徴的な白いホイールは、あまりにも有名です。

スバル・インプレッサ WRX

GC8うみねこさんのインプレッサ WRXGC8の画像
GC8うみねこさんのインプレッサ WRXGC8の画像
引用元:GC8うみねこさんの投稿

「インプレッサ WRX」はWRCの1993年シーズン終盤、レガシィに代わって新たに登場したラリーカーです。インプレッサWRXが登場するまでのスバルは、稀に活躍する程度でチャンピオン争いをするほどの力はありませんでした。

しかし、1992年シーズン・1993年シーズンにトヨタの下でドライバー部門のチャンピオンを獲得したカルロス・サインツがスバルに移籍。元々秘めたる力があったインプレッサWRXの熟成が進んだこともあり、スバルの戦闘力は大きく向上します。

その結果、1994年シーズンの第6戦「アクロポリス・ラリー」でスバル初の優勝を果たします。その後も好成績を収めたスバルは、1995年から1997年シーズンにかけてマニファクチャラー部門で見事3連覇を獲得しました。

三菱・ランサーエボリューションV

masterさんのランサーエボリューションⅤステッカーの画像
masterさんのランサーエボリューションⅤステッカーの画像
引用元:masterさんの投稿

「ランサーエボリューション V」が登場するまでの三菱は、ギャランVR-4でWRCに参戦していました。マニファクチャラー部門でのチャンピオン獲得こそできていなかったものの、当時の日本勢としては優秀な成績を収めています。

ランサーエボリューションVは1993年シーズンに、ギャランVR-4に代わる新たなラリーカーとして参戦しました。参戦当初はランサーエボリューションV自体の熟成が進んでいないことやトヨタ、スバルが活躍していたこともあって、悪戦苦闘することになります。

しかし、熟成が進むにつれてトヨタやスバルと対等に争うことができるようになり、当時のドライバーであったトミ・マネキンがドライバー部門でチャンピオンを獲得。そして、1998年には熟成が重なったランサーエボリューションVにて、マニファクチャラー部門、ドライバー部門、コ・ドライバー部門で悲願のチャンピオン獲得(完全制覇)を成し遂げたのです。

トヨタがWRCに挑戦

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/release/2019/rd06-day1.html

1993年シーズンと1994年シーズン、マニファクチャラー部門で2連覇を成し遂げたトヨタですが、1995年シーズンにエアリストリクターと呼ばれる部品に関する不正を行ってしまいました。

その結果、1995年シーズンのポイント剝奪と1年間の出場禁止を言い渡されてしまいます。FIA側から言い渡された出場禁止期間は1年間でしたが、事態を重く受け止めたトヨタはさらに1年間活動を自粛しました。

そして、1998年シーズンに2年ぶりのWRC復帰を果たすとすぐに好成績を収めるだけでなく、1999年シーズンでは3度目のマニュファクチャラー部門でのチャンピオンを獲得。 有終の美を飾ったトヨタは2000年シーズン以降のWRCから撤退、F1へと転身しました。

それから18年、トヨタはWRCに一切参戦していなかったのですが、2017年にヤリスWRCという新たなラリーカーで再びWRCの舞台に舞い戻ってきました。約18年ぶりにもかかわらず、デビュー2戦目で早くも優勝を獲得。

2018年には、19年ぶり4度目となるマニファクチャラー部門でのチャンピオン獲得を成し遂げました。今後もトヨタはWRCで目覚ましい活躍を遂げ、日本でモータースポーツを盛り上げてくれるでしょう。

ヤリスWRC

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/release/2019/0112-01.html

「ヤリスWRC」は2017年シーズン以降、トヨタがWRCで用いているラリーカーです。欧州市場での主力コンパクトカーであるヤリス(日本名:ヴィッツ)をベースに、WRカーへと大幅な改造を行っています。

ボディタイプは3ドアハッチバックで、ドイツのTMGがエンジン開発を担当。1.6L直列4気筒直噴ターボエンジンは、最高出力380馬力以上、最大トルク43.3kgmというとんでもない高出力を達成しています。

ワイド化されたボディーはベース車両がヤリスであることを感じさせない迫力です。特に全幅は標準のヤリスを大きく上回る1,875mmとなっています。それでいて車両重量は1,190kgと超軽量。

ヤリスWRCは、トヨタがWRCでチャンピオンを獲得するためだけに生まれた生粋のラリーカーに仕上がっています。ヤリスWRCは2019年シーズン以降も、世界各地のイベントで輝かしい成績を収めてくれるはずです。

まとめ

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/release/2019/rd06-day1.html

今回はかつて世界と戦っていた国産ラリーカーと、これからのWRCを牽引していくヤリスWRCについて紹介しました。日本の自動車メーカーはWRCに限らず、様々なモータースポーツで優秀な成績を収めています。

モータースポーツ人気が高い欧州に比べると、日本人のモータースポーツに対する関心は非常に低いです。世界中で人気を博している自動車メーカーが多数存在しているにもかかわらず、モータースポーツへの関心が低いことは残念でなりません。

しかし、トヨタのWRC参戦やホンダのF1参戦をきっかけに、日本でもモータースポーツ人気が再燃しようとしています。トヨタ以外の国内自動車メーカーがWRCへ参戦するという噂もあるので、今後日本でモータースポーツ人気が高まる未来が訪れるかもしれません。

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