スカイラインとフーガだけじゃない!?過去にインフィニティエンブレムを持つ日産車が存在 | CARTUNEマガジン
スカイラインとフーガだけじゃない!?過去にインフィニティエンブレムを持つ日産車が存在

2019年05月28日 (更新:2020年08月03日)

スカイラインとフーガだけじゃない!?過去にインフィニティエンブレムを持つ日産車が存在

トヨタにとってのレクサス、ホンダにとってのアキュラというように、日産にも独自の高級車ブランドが存在しています。それがインフィニティです。残念ながらインフィニティは日本国内に展開されていない自動車ブランドなのですが、スカイラインやフーガはインフィニティ車と共通の意匠や、インフィニティのエンブレムが採用されています。スカイラインやフーガに採用されたことで、近年知名度が高まりつつあるインフィニティですが、実は今から30年前には、すでにインフィニティのエンブレムを持つ車が販売されていたようです。

スカイラインとは

ともきさんのスカイラインクーペCKV36の画像
ともきさんのスカイラインクーペCKV36の画像

スカイラインは富士精密工業(プリンス自動車)の主力車種として1957年に誕生した車です。プリンス自動車と日産自動車の合併後もその車名は引き継がれ、現在では日産を代表するブランドとして世界中で愛されています。

積極的なモータースポーツ活動の影響でスポーティーな印象が強いスカイラインですが、元々は現在ラインナップされている4ドアセダン以外にも、2ドアクーペ5ドアハッチバックステーションワゴンライトバンなど、様々なボディタイプが存在していました。

キャラクターの変わった新世代スカイライン

みそのさんのスカイラインクーペV35の画像
みそのさんのスカイラインクーペV35の画像

10代目のR34型以前と11代目のV35型以降のモデルでは、キャラクターが大きく異なっていることも頭に入れておきたい情報のひとつです。R34型以前はスポーツテイストの強いブランドでしたが、V35型以降はラグジュアリー性を強調したブランドとなっています。

日産のフラッグシップスポーツとして君臨している「GT-R」は元々、スカイラインの高性能モデルである「スカイライン GT-R」として販売されていました。スカイラインGT-Rは、2002年に実施された排ガス規制により長い歴史に終止符を打ちましたが、2007年にスーパーカーを凌駕するハイパフォーマンスクーペとして生まれ変わっています。

かつてのスカイラインに備わっていたスポーティー志向がGT-Rとして独立したことで、V35型以降のスカイラインはこれまでとは異なる上質感を重視したブランドに発展しています。もちろん、スポーティー志向が一切排除されたわけではありません。

現在販売されている13代目は?

J-COCKERさんのスカイラインHV37の画像
J-COCKERさんのスカイラインHV37の画像

現在販売されている13代目モデルのV37型スカイラインは、セダンとしての快適性や質感を追求しながらもスポーツセダンとしての魅力を両立しています。スポーツカー顔負けの迫力あるスタイリングの採用やクーペモデルの設定(国内未発売)から、日産がR34型以前のイメージを損なわないように努力していることが伝わってきますね。

V37型スカイラインには大きく分けて、ガソリンモデルとハイブリッドモデルの2種類が設定されています。搭載するエンジンは2.0L直列4気筒ターボエンジンと3.5L V型6気筒エンジンです。

環境性能と燃費性能を重視したハイブリッドモデルも用意されています。ボディタイプこそ4ドアセダンの1種類のみとなっていますが、パワートレインやグレードのバリエーションは豊富です。価格は約400万円からと、ミドルサイズセダンでありながら高価な価格帯に位置していることから、高級車としての快適性や上質感を手に入れていることがわかります。

フーガとは

たくろーうさんのフーガHY51ホイールの画像
たくろーうさんのフーガHY51ホイールの画像

フーガは2004年に登場したEセグメントクラスの上級4ドアセダンです。フーガが登場する以前の日産では「セドリック」と「グロリア」が日産の上級セダンとして君臨していました。

スポーティーなイメージをプラスして新たな顧客層を開拓したいという思いから、セドリック及びグロリアに代わってフーガが日産の新たな上級セダンとして登場したのです。

セドリック及びグロリアは異なる販売店で販売されていましたが、フーガとして統合されたことで販売網が広がり、これまでよりも幅広い年齢層から人気を博しています。スポーティーなイメージがプラスされたといっても、その本質がラグジュアリーセダンであることに変わりはありません。

フェアレディZのプラットフォームを改良

フーガは、セドリック及びグロリアよりも高い上質感とプレミアム性を追求しています。V35型スカイラインやZ33型フェアレディZにも用いられているプラットフォームを改良して使用することで、高い運動性能と高剛性を実現。

パワートレインのバリエーションも豊富で、特に4.5L V型8気筒エンジンはスポーティーな高級車にふさわしいエンジンです。そんなY50型フーガのキープコンセプトで、3代目モデルのY51型フーガは2009年に発売されました。

2008年時点で日産のフラッグシップセダンであるシーマとプレジデントの廃止が確定事項となっていたこともあり、Y51型フーガは日産の新たなフラッグシップセダンとして開発が進められ、更なる上質感とプレミアム性を手にしました。

FR車としては初のハイブリッドモデル

また、Y51型フーガからは、日産のFR乗用車としては初のハイブリッドモデルが追加設定されています。搭載するエンジンはモデルや年式によって異なりますが、2.5L V型6気筒エンジン、3.7L V型6気筒エンジンです。

3.7L V型6気筒エンジンの最大出力は333馬力、最大トルクは37.0kgmとなっています。ハイブリッドモデルが搭載しているのは3.5L V型6気筒アトキンソンサイクルエンジン+ハイブリッドシステムです。

Y51型フーガは前期型と2015年以降の後期型でエクステリアが大きく異なっています。前期型はY50型フーガにフラッグシップセダンらしい流麗さとラグジュアリー性がプラスされたデザインでしたが、後期型はV37型スカイラインと同様の意匠が取り入れられたことで、フロントマスクを中心にスポーツテイストがプラスされました。

現行のスカイラインとフーガがインフィニティとなった理由

Sho-yaさんのスカイラインYV37の画像
Sho-yaさんのスカイラインYV37の画像

スカイラインとフーガは日産車ですが、フロントグリルの中央に配置されているのは日産のエンブレムではなくインフィニティのエンブレムです。スカイラインは現行モデルとなるV37型から、フーガは2015年以降の後期型からインフィニティのエンブレムが採用されています。

なぜ現行のスカイラインとフーガには日産のエンブレムではなくインフィニティのエンブレムが採用されているのでしょうか。そもそもインフィニティは北米市場を中心に販売されている日産の高級車ブランドです。

立ち位置としてはトヨタにとってのレクサス、ホンダにとってのアキュラと同じポジションに位置しています。インフィニティは日産の高級車ブランドでありながら日本市場には導入されていない存在です。

極端な話をすれば日本ではまったく無名のブランドなのですが、なぜそんな無名ブランドのエンブレムを、日産のラインナップの中で重要な立ち位置を担っている車種に採用することを決断したのでしょう。それには日産の販売戦略上の都合が大きく関係しています。

欧州ブランドを導入したかった

元々日産はレクサスと同じように、インフィニティを日本市場に導入していきたいと考えていました。高級車は収益性が高く、インフィニティが日本で人気を博すことになれば会社全体の大きな利益につながるからです。

しかし、現時点の日本の高級車市場ではメルセデス・ベンツやBMWをはじめとする欧州ブランドの一強となっています。国内で最強のブランド力を持つトヨタ(レクサス)をもってしても、欧州ブランドの人気に苦戦している状況です。

そのため、日産は現時点でインフィニティを日本市場に導入するつもりはありません。しかし、日産はインフィニティというブランドを日本市場でもどうにか有効活用させたいと検討した結果、車種単体でのブランド力が高いスカイラインにインフィニティのエンブレムを採用することを決定しました。

エンブレムでブランドイメージを高める

みてぃな♭さんのG コンバーチブルの画像
みてぃな♭さんのG コンバーチブルの画像

スカイラインにインフィニティのエンブレムを採用することで、これまでは大衆セダンであったスカイラインにプレミアム感やラグジュアリー性をプラスすることができます。

また、スカイラインは車種単体での知名度が高いので、日産のエンブレムではなくインフィニティのエンブレムを採用すれば、インフィニティの存在を大勢の人に認知させることができるのです。

もちろん、スカイラインにインフィニティのエンブレムを採用することはリスクがありました。大衆セダンであったスカイラインが高級セダンになることで、これまで獲得していた顧客が離れていってしまう可能性があったからです。

しかし、V37型スカイラインの登場から5年が経過した現在、インフィニティのエンブレムは大勢の人に受け入れられています。以前と比べ、インフィニティ自体の認知度も高くなりました。現時点での状況は日産の思惑通りといっていいでしょう。

フーガもV37型スカイラインに続く形でインフィニティのエンブレムを採用しています。ちなみにV37型スカイラインとY51型フーガの後期型はエンブレムだけでなく、フロントマスクのデザインに関してもインフィニティブランドの意匠が取り入れられているようです。

インフィニティエンブレムを持つ日産車

T.I945さんのインフイニティQ45G50の画像
T.I945さんのインフイニティQ45G50の画像

V37型スカイラインとY51型フーガインフィニティのエンブレムが採用されたことで、日本国内での知名度を大きく向上させたインフィニティ。ところが、実はインフィニティブランドが1989年の時点で日本に導入されていたことをご存知でしょうか。

今からちょうど30年前のことです。そもそも日産がインフィニティブランドを新たに設立したのが今からちょうど30年前の1989年。1985年の円高によって、低価格と高品質を両立していた日本車はそのようなウリを活かすことができず苦戦を強いられていました。

そんな状況を打破するために日産はインフィニティを設立します。インフィニティブランドの第1弾として日産が北米市場向けに投入したモデルが「インフィニティ Q45」です。インフィニティQ45は北米市場に向けたモデルではありますが、日本でも発売されました。

もちろん、当時の日本ではインフィニティが一切認知されていないので、海外ではインフィニティ・Q45として、日本では日産・インフィニティQ45という車名で登場します。

インフィニティQ45のフロントマスク中央には、日産車として登場していながら日産のエンブレムではなく、インフィニティのエンブレムがしっかりと配置されていました。

ボディタイプは4ドアセダン。全長5,090mm×全幅1,825mm×全高1,430mm(後期型は1,425mm)という当時としては大柄のボディサイズで販売されています。インフィニティQ45が登場する以前の高級車といえば、メッキ仕上げの大型フロントグリルや内装の木目パネルの採用が一般的でした。

一味違う外観で差別化

ところがインフィニティQ45はグリルレス(後期型はメッキグリルを採用)のフロントマスクを採用。内装には木目パネルを一切使用せず、漆塗りを採用したインストルメントパネルで日本文化を体現する上質かつ美しいコンセプトが話題となっています。

インフィニティQ45が搭載したエンジンは4.5L V型8気筒エンジンです。最高出力は国産車として初の300馬力を達成していましたが、当時の運輸省からの行政指導によって280馬力に自主規制されています。

これまでの日産車とは一線を画す高級車で、1989年から9年間に渡って販売が継続。最終的にはFY33型シーマに統合される形で販売終了となっています。海外ではFY33型シーマが2代目インフィニティ・Q45として、F50型シーマが3代目インフィニティ・Q45として販売されていたようです。

まとめ

なうさんのスカイラインHV37の画像
なうさんのスカイラインHV37の画像

今回はインフィニティのエンブレムを採用した国内の日産車をピックアップしてお届けしましたが、いかがだったでしょうか。インフィニティ自体は日本で展開されていない自動車ブランドですが、インフィニティのエンブレムを採用している車種は、すでに販売終了しているインフィニティQ45を含めて3車種も存在しています。

現在販売されているV37型スカイラインとY51型フーガの後期型は、エンブレムだけでなく、いたるところにインフィニティを思わせる意匠を採用することで、これまでの日産車とは異なる魅力がふんだんに盛り込まれています。

V37型スカイラインとY51型フーガは国産車と高級外車の魅力を併せ持っている車種です。信頼性が非常に高いうえ、近場の日産ディーラーで購入・アフターサービスを受けることができるので、高級車デビューにぴったりの車種だと思います。

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