2019年05月20日 (更新:2022年07月20日)
ハイブリッド車の燃費はどれくらい?代表車種でまとめてみました!
トヨタ自動車がプリウスを発表し、続々と自動車メーカーが採用してきたハイブリッド車は、低燃費の定番。今回は、実際にハイブリッド車がどのくらい燃費がいいのか、メリットやデメリットも含めて紹介していきます。
ハイブリッド車の基本のおさらい
そもそもハイブリッドとは、「2つのものを掛け合わせる」という意味で、クルマではエンジンとモーターの2つの動力があるものを指します。エンジンとモーターを別々に単独で動かすことのできるストロングハイブリッドと、走行中は常時エンジンが可動していて、エンジン動力をモーターをつかって後押しする役割に徹しているマイルドハイブリッドの2種類に分けられます。
エンジンとモーターで走る車
ガソリンエンジン車の場合、エンジン回転数が上昇するにつれて、多くの燃料を使うので燃費が悪くなってしまいます。これは加速時に多く起こり、特に発進時には多くのエネルギーを使うため、停車と発進を繰り返す市街地では燃費が悪化してしまいます。
この問題を解決するために、最もエネルギーを使う発進時に、電気モーターの力を使ってエンジンへの負荷をおさえ、できるだけ低回転でエンジン動力を使おうとするのがハイブリッド車の燃費向上の秘密です。
クルマの中に緻密に設計されたコンピュータが存在し、ドライバーのペダルワークに応じて、エンジンを動かすか、モーターを動かすか、その両方を使うのかを判断しています。そのため、ドライバーがボタン操作などをすることなく、クルマが自動的に最も効率のいいエネルギーの使い方を判断してくれるので、通常のガソリンエンジン車と運転操作はなんら変わることはありません。
ハイブリッド車のメリット・デメリット
メリット
ハイブリッド車には多くのメリットがあります。
ガソリン代が安い!
まず、動力源が増えてエンジンの作動時間が減るため、燃料消費が抑えられます。エンジンだけのクルマよりもモーターを使える分だけ燃費がよく、いいでガソリン代を抑えることができ、経済的にも助かります。
静粛性や乗り心地にも好影響アリ!
エンジンが動くことが少ないということは、静粛性や振動の少なさにも寄与します。車に乗っていて聞こえる音の大半はエンジンが動いている音で、回転数が上がり負荷が大きくなればなるほど音は大きくなります。比例して振動も増え、乗車中の不快感が増えてきます。ハイブリッド車は静かで乗り心地がいいと感じるのは、エンジンの音や揺れを抑えられているからです。
消耗品のサイクルが長く経済的!
エンジンが動く時間が短くなるメリットとしては、エンジン自体の寿命を伸ばすことができるのと、エンジンオイルの消費や汚れが少なくなる、ということも挙げられます。そのため、エンジンオイル交換のサイクルが伸び、点検整備費を少なくできるのです。
さらに、モーターを動かすための電気は、エンジン動力で充電するものと、ブレーキによって充電するものがあります。通常ブレーキは、クルマの運動エネルギーを小さくするために、運動エネルギーを熱エネルギーに変えて、クルマを止めています。この熱エネルギーは捨ててしまっているのと同じです。
ハイブリッド車では、回生ブレーキというクルマの運動エネルギーを充電に使う仕組みが採用されており、今まで捨ててきた熱エネルギーを、電気エネルギーとして再利用しすることができるようになりました。そのため、熱エネルギーを生むためのブレーキパッドの減りも少なくなり、経済的です。
デメリット
対して、デメリットも存在します。
高めの車両価格
まず、車両価格が高いという点です。例えば同じ車でガソリンエンジンモデルとハイブリッドモデルがある場合、ハイブリッドモデルのほうが40万から70万程度高くなるのが一般的です。減税措置などはありますが、それでも車両本体価格の差額をすべて埋めることはできません。この差額は走行してガソリン代として取り戻すしかないので、概ね6万キロから7万キロ程度走行しないと、差額をガソリン代で補填することができなくなります。走行距離が少ないユーザーは、ハイブリッドモデルのほうがクルマを購入してから手放すまでのトータルコストが高くついてしまう場合もあります。
高速道路は苦手
また、高速道路での使用が多い場合、ハイブリッド車の特徴であるモーター駆動を優位に働かせることができません。現在開発されているハイブリッド車の多くは、モーターだけで駆動できる速度域を時速70キロから時速100キロ程度に抑えており、この速度域を超えてしまうと自動的にエンジンが作動します。そのため、通常のガソリンエンジン車と変わらなくなってしまい、ハイブリッド車のメリットを活かせません。
モーターやインバーター、そしてハイブリッドバッテリーの重量は非常に大きく、長距離を高い速度域で走行することには向いていません。重さが増えている分、燃費性能としては落ちてしまいますので、高速道路を使ったロングドライブにしか使わないということであれば、通常のガソリンエンジン車のほうが経済的です。
代表的なハイブリッド車
各メーカーが多くのハイブリッド車を販売していますが、ここでは代表的なハイブリッド車を3台紹介していきます。
トヨタ プリウス
言わずとしれたハイブリッド車のパイオニアであり、今もなおハイブリッド車の頂点に君臨し続けるクルマです。1997年に発表された初期型から現在の4代目まで、ストロングハイブリッドシステムを採用し、日本のみならず世界に衝撃を与えたクルマです。
JC08モード燃費で40.8km/lという驚異的な燃費性能を誇り、燃費性能向上のためのデザイン、部品素材の選定を行う、こだわり抜かれたハイブリッド車です。
ホンダ インサイト
ホンダ初の量産型ハイブリッド車として登場したのがインサイトです。初期型は3ドアスポーツハッチのデザインで、リアタイヤがボディに覆われる、キャノンボールのようなクルマでした。
2代目プリウスのライバルとして、セダンとして登場したのが2代目インサイトです。全幅が広くなり3ナンバー化していたプリウスに対し、5ナンバー規格で抑えたインサイトは一定の人気がありましたが、エンジン主導のマイルドハイブリッドシステムだったために、燃費競争ではプリウスに分がありました。
現在が3代目のインサイトになり、大型セダンとして高級路線に打って出ています。キープコンセプトのプリウスとは対象的に、代替わりごとにクルマのカテゴリーが変化していっています。
スズキ スイフト ハイブリッド
ストロングハイブリッドとマイルドハイブリッドの両方の選択肢を持ったクルマがスイフトです。同一車種の中に、多くのパワートレインがあり、ハイブリッド車も2種類用意するという、かゆいところに手が届くスズキらしさが全面に出たクルマです。
高い走行性能と各種パワートレインの選択ができるため、自分の使い方にあった車選びをできるのが最大のメリットです。
ハイブリッド車のカタログ値燃費/実燃費の違いは?
クルマの燃費で悩まされるのが、カタログ燃費と実燃費の差です。カタログよりも燃費が悪いというのが通例で、多くのクルマはカタログ値の7割から8割程度が実燃費となります。実際に複数台のハイブリッド車をピックアップして、カタログ値と実燃費の差を比較してみましょう。
- トヨタ:プリウス カタログ燃費(JC08モード)40.8km/l 実燃費28 km/l
- ホンダ:インサイト カタログ燃費(JC08モード)28.4 km/l 実燃費20 km/l
- スズキ:スイフトハイブリッド カタログ燃費(JC08モード)32 km/l 実燃費18 km/l
- 日産:ノートeパワー カタログ燃費(JC08モード)37.2 km/l 実燃費19 km/l
カタログ燃費とは程遠い実燃費の値となっているクルマがほとんどです。実際にハイブリッド車の燃費向上にはドライバーの技術力も必要となってくるので、カタログ燃費に近い数字を出しているユーザーもいますが、ごく一部となっています。
今度は、ハイブリッド車とガソリンエンジン車の両方があるクルマで比較してみます。
- トヨタ:シエンタ(ガソリン) カタログ燃費(JC08モード)20.2 km/l 実燃費13 km/l
- トヨタ:シエンタ(HV) カタログ燃費(JC08モード)28.8 km/l 実燃費20 km/l
ガソリンエンジン車も同様に、カタログ燃費の7割程度の実燃費となるので、単純に燃費の良さ、航続可能距離の長さから考えると、ハイブリッド車がいかに低燃費かということがわかります。
以前までの10・15モード燃費よりは、JC08モード燃費のほうが実燃費との差異は少なくなりましたが、それでもまだまだ大きな乖離が見えるのが実情です。実燃費はカタログ値の7割と考えおくほうが無難でしょう。
まとめ
各社が力を入れているハイブリッド市場は、一口にハイブリッドといっても様々なクルマがあります。メーカーごとに機構が異なり、燃費の良さも様々です。まだまだ進化の可能性があるハイブリッド車に、今後も注目していきましょう。