ベンツの立体エンブレムはなぜ減った?メルセデス・ベンツの由来や意味も解説! | CARTUNEマガジン
ベンツの立体エンブレムはなぜ減った?メルセデス・ベンツの由来や意味も解説!

2019年05月06日 (更新:2020年08月27日)

ベンツの立体エンブレムはなぜ減った?メルセデス・ベンツの由来や意味も解説!

ボンネットにエンブレムが付いた車は、いつの時代も憧れの的となりうる高級車ばかりです。特に、メルセデス・ベンツのラインアップに取り付けられているエンブレム「スリーポインテッド・スター」は、その最たるものでしょう。しかし、その立体エンブレムが近年次第に姿を減らしつつあります。何か理由があるのでしょうか?今回は、「スリーポインテッド・スター」が減ってきている理由と、由来や成り立ちについてご紹介します。

メルセデス・ベンツの意味・由来

けんでぃさんの画像
けんでぃさんの画像
引用元:けんでぃさんの投稿

社名の由来

そもそも、「メルセデス・ベンツ」というのは社名ではありません。メルセデス・ベンツはあくまでもダイムラー社の取り扱っているブランド名であることに注意です。

このダイムラー社自体は、世界最古の自動車会社であるベンツ&シー・ライニッシェ・ガスモトーレン・ファブリーク社とダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト社が1926年に合併したことにより生まれた会社。当時の社名はダイムラー・ベンツでした。

ブランドネームとしての「メルセデス」

また、「メルセデス・ベンツ」というブランドネームは、1899年当時にダイムラー車のディーラーを経営していたユダヤ系ドイツ人のエミール・イェリネックの娘の名前であったメルセデス・イェリネック(Mercédès Jellinek)を由来にしています。

この「メルセデス」は「神の恵み」や「慈悲」を意味するスペイン語の女性名であり、取り扱っていたメルセデスブランドの車両が人気を博したことから、ダイムラー社が1902年に「メルセデス」を商標登録したのが始まり。

ダイムラー社はその後、1998年にダイムラー・クライスラー、2007年にはダイムラーと社名を変えますが「メルセデス・ベンツ」というブランドネームは不変のモノとしています。そのため「メルセデス・ベンツ」は、誕生してすでに93年という伝統のあるブランドなのです。

エンブレムの意味や由来

ぱっちんさんのSLR230の画像
ぱっちんさんのSLR230の画像
引用元:ぱっちんさんの投稿

メルセデス・ベンツの象徴的なエンブレムである「スリーポインテッド・スター」を考案したのは、前述したダイムラー・モトーレ・ゲゼルシャフト社の創業者であるゴットリープ・ダイムラー氏の二人の息子です。

考案された当時のスリーポインテッド・スターには現在のように星を囲む周囲の円はなく、3つの頂点を持ったシンプルな星のみでした。

これにはゴットリープ・ダイムラー氏の思想である「三本の光芒は陸海空を指し、それぞれの世界でモビリティーの発展を意味する」という願いが込められていました。

その後、1926年ダイムラー社の発足時に新たなロゴが考案されます。合併したダイムラー社とベンツ&シー社の絆と、スリーポインテッド・スターを中心に当時のベンツ&シー社の自動車レースでの活躍を称える月桂冠をあしらったデザインに変わりました。

現在でもメルセデス・ベンツのエンブレムには、この時のデザインが用いられています。

立体エンブレムが減った理由

ぜんせーさんのSクラスW126の画像
ぜんせーさんのSクラスW126の画像
引用元:ぜんせーさんの投稿

車両のボンネットに取り付けられているエンブレムやマスコットは、車の象徴です。

しかし、それらが付いている車は徐々に姿を減らしつつあります。その背景には一体何があるのでしょうか。

国際基準で決まっている

立体エンブレムが姿を消したのは、乗用車に対して「突起物規制」が敷かれたため。

かつては国産車であっても、立体的なエンブレムが取り付けられている車種がありました。F50型にモデルチェンジする以前の日産シーマや、セドリック・グロリア。また、トヨタのクラウンなどがそれにあたります。

しかし、歩行者保護の観点から、自動車のエクステリアには歩行者との接触時・衝突時に障害を与えかねない突起を有してはならないという国際基準が、2009年以降に製造された車両には適用されました。

そのため、他の外国車でもジャガーのボンネットに直立していた「リーピング・キャット」は全モデルから消え去り、現在では車体の後部に埋め込まれるような形に姿を変えています。

ベンツはなぜ許される?

しかし、そういう流れがありつつもメルセデス・ベンツが製造する一部の車種には、現在でも立体エンブレムを採用しているモデルがあります。

Sクラスやマイバッハ、EクラスやCクラスの上級・限定グレードがそれにあたります。これらのモデルは、もともと「エレガンス」と呼ばれるメルセデス・ベンツ伝統のフロントデザインになっています。

メルセデス・ベンツの現行モデルでは、ほとんどのモデルでフロントグリル中央にエンブレムを置いた「アヴァンギャルド」が採用されていますが、クラシカルな「エレガンス」はやはり需要があります。そういったニーズに応えるため、メルセデス・ベンツのボンネットマスコットは押せば後ろに倒れこむような設計になっているのです。

これにより、「道路運送車両の保安基準」で定められている特別規定に適合。立体エンブレムが格納もしくはたわんだ状態で、突出量が10mm以下であることをキープすることに成功しているため、メルセデス・ベンツではいまだに立体エンブレムを採用できるモデルが存在しているのです。

まとめ

ryu63  specialists☆さんのCLSクラスの画像
ryu63 specialists☆さんのCLSクラスの画像
引用元:ryu63 specialists☆さんの投稿

立体エンブレムが安全対策のためとはいえ、姿を消していくのは少し寂しいような気がしますね。そんな中、技術や設計で象徴たる立体エンブレムをいつまでも失くしてしまわないようにしているメルセデス・ベンツは、やはり格式の高いブランドであると再認識させてくれます。世界で最も由緒正しいブランドであると言われているメルセデス・ベンツは、これからもユーザーの期待を裏切らないモデルを生み出し続けてくれるのではないでしょうか。

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