2019年05月05日 (更新:2024年08月06日)
ラジエーターってなに?その構造や役割を徹底解説!
冷却水がどうやって冷やされているか知っていますか?ラジエーターがあることによって、車は安全に、そして快適に走ることができます。ラジエーターがどういった役割で付いている装置なのか、また故障してしまったりすると何が起きるか。ラジエーターの構造や構成されているパーツを知って、車への理解を深めていきましょう。
ラジエーターとは?
ラジエーターは蒸気や温水を利用した暖房装置の熱放射器です。こんな難しい言葉を並べていては、なにがなんだかわからないという人がほとんどでしょう。簡単に言えば、人間の汗と同じようなものです。人間は汗によって、温度調節を行なっています。
車も温度調節を行わなくてはならないのですが、その温度調節を行っているのがラジエーターです。ラジエーターの中には冷却水が含まれており、その冷却水を利用して温度調節をしてくれます。仕組みもとても簡単です。
走行することでラジエーターに風が当たり、その風によって、ラジエーター内の冷却水が冷やされます。冷えた冷却水はラジエーターのホースを伝って、エンジンの中の水路に流れていきます。エンジンの中に入った冷却水はとても冷たいので、エンジンの中を冷やします。
しかし、冷却水は冷気を失うため、再びラジエーターの中に入っていき、そこで再度冷却されるのです。冷却水はとても熱いエンジンを通るので、100度の温度になることがあります。100度ともなると、泡が出てきます。
その泡が密閉されたエンジンやラジエーターの中で発生すると、爆発してしまうことがあるのです。そうならないためにも、ラジエーターキャップで加圧をして、泡を押さえているのです。また、車が走行していない時もエンジンを稼働させていることがあります。
その時は冷却水が走行中の風によって冷えることはありません。なので、クーリングファンが稼働し、扇風機という役割をしています。走行していなくても、クリーニングファンによって、冷却水を冷やしているのです。とても便利ですよね。ラジエーターの仕組みを覚えておくことで、エンジンに異常が発生した場合や、車に不具合が起こった場合にすぐに対処することができます。
ラジエーターの役割
ラジエーターの役割は上記でも少し説明しましたが、エンジンを冷却する役割があります。エンジンを稼働させるために、エンジンの中で爆発を起こしているのですが、爆発が起きるとエンジンが物凄く熱くなります。
それを冷却させなくては、エンジンが故障する原因にもなるのです。ラジエーターがない場合、オーバーヒートしてしまい、車が動かなくなります。冷却水を貯蓄して、冷やして、エンジンルームに流し込むという重要な役割を補っているので、ラジエーターはなくてはならない存在です。
ラジエーターが故障するとどうなる?
ラジエーターが冷却水を冷ますことができなくなるわけですから、どんどんと冷却水の温度は上昇し、エンジンの温度もそれに伴って上昇していきます。そうなってくるともう大変です。エンジンの内部の金属が熱によって膨張して、干渉して金属同士が擦れ合ってしまい、焼き付いてしまうこともあります。これについては、最悪の場合ということですので、ここに至るまでに症状が出てきます。
- メーターパネルにある水温計がHに近くなる
- アクセルを踏まないとエンジンが止まる
- ボンネットから煙が発生する
このような症状が出てきます。冷却水を冷やすために設置されているラジエーターが、故障してしまうことで、車の走行に致命的な欠陥となってしまうということを覚えておいた方が良いでしょう。
ラジエーターの構造を知っておこう
では、ラジエーターがどうやって冷却水を冷やすのか、その中の構造を知っていきましょう。エンジンの熱を冷却水が吸収することで、エンジンを通ってきた冷却水は熱くなっています。その冷却水を、ラジエーターのフィンと呼ばれる細くギザギザとなっているところを通らせて、走行風を当てるようになります。
冷却水の温度が100度以上となっていたとしても、外気温はいくら夏の暑い日であったとしても40度くらいですから、それに近い温度まで下げることができます。そうして、再びエンジン内部を通って熱を吸収して、ラジエーターに返ってくるようになります。
ラジエーターを構成しているパーツ
熱くなった冷却水がラジエーターのアッパー(上)に来て、そこからフィンを通って冷却をされ、ロアー(下)まで落ちてからエンジンに入っていきます。ラジエーターのアッパーには、ラジエーターキャップが付いており、その近くにはリザーバータンク(サブタンク)に繋がるホースもあります。
熱くなった冷却水が膨張してしまうと、リザーバータンクの方へ流れて、余分な冷却水を溜めておくようになります。そして、冷えていけば今度はラジエーター側にリザーバータンクから冷却水が流れて、空気が入らないように冷却水で満たしておくようになっています。ラジエーターのアッパータンクやロアタンク、フィンだけでなく、ラジエーターキャップやリザーバータンク、そして冷却ファンによって構成されているようになっています。
冷却ファン
実は冷却ファンは、走っている最中には滅多に動くことはありません。何故ならラジエーターに直接、走行風が当たって冷却水を冷やしてくれるからです。渋滞大国日本には欠かせないものが、冷却ファンです。走っているときは冷却水が冷えてくれるところが、車が止まっていると、走行風が当たらなくなってしまい、ある程度は風があって冷えてもそこまでの効果は見込めません。
そのため、渋滞中や低速走行時、アイドリングで止まっている最中に冷却ファンが回ることで、無理矢理ラジエーターに風を当ててやることで冷却水を冷やすようにしています。
ラジエーターキャップ
唐突ですが、水が沸騰する温度って100度なのは知っていますよね?ですが、100度で沸騰するのは「1気圧」の時なんです。つまり、1気圧から変化して0.8気圧になったり、1.2気圧になると、沸騰する温度が変わってしまうということです。富士山に登ったら、カップラーメンにお湯を入れて、3分待っても麺が固いって話があります。これは、気圧が変化して水が沸騰した温度が低いことが原因です。
何故この話をしたのかというと、ラジエーターキャップをすることによって、ラジエーターを通る冷却水に対して、気圧を変えているからです。1気圧を基準に、水が100度で沸騰するとして、気圧が下がると水の沸点は下がります。逆に気圧が上がると水の沸点は上がるようになります。
この原理を使って、冷却水が沸騰してしまわないように圧力を上げるのがラジエーターキャップの役割です。ただし、ラジエーターキャップで設定している圧力以上になると、圧力を一定に保つためにバルブが開いて、リザーバータンクに冷却水が流れるようになっています。
このラジエーターキャップがなければ、冷却水がいつも沸騰してしまって、エンジンを十分に冷やせないなどの問題が発生します。とても大切なパーツなのです。
ラジエーターのメンテナンス
ラジエーターはメンテナンスも行わなくてはなりません。メンテナンスを行わなくては、それこそ、オーバーヒートしてしまうのです。では、ラジエーターのメンテナンス方法について紹介していきます。
冷却するための部品交換
冷却系の部品(ラジエーターのファンやサーモスタット)が壊れてしまうと、ラジエーターが稼働しなくなります。そのまま放置しておくと、オーバーヒートしてしまうのです。なので、故障かな?と思ったら、部品を交換するために、ディーラーや整備工場に点検に出しましょう。どれか1つの部品が壊れてしまうと、エンジンが冷えない原因になります。点検で異常が見つかった場合、すぐに冷却系の部品を交換してもらいましょう。
クーラント(冷却水)の補充
冷却系の部品が壊れていない場合、冷却水が漏れていることもあります。冷却水が漏れている場合、水道水を入れてもいいのですが、ラジエーターを故障させる原因にもなります。なので、冷却水の漏れを発見した場合、ディーラーや整備工場に持っていって、冷却水を補充してもらいましょう。
クーラント(冷却水)の交換で冷却効率アップ!
クーラントの交換も定期的に行ないましょう。目安としては2年に1回の車検の際に交換するといいでしょう。交換方法はとても簡単です。
必要な道具
- 軍手
- 廃棄クーラント用のトレー
- 吸水ポリマー
- 漏斗
- 水道水
- 新しいクーラント
- 計量ができる容器
廃棄クーラント(冷却水)用のトレー
クーラントは不凍液としてエチレングリコールを含む有害物質のため適切な処分を行わないと違法となります。そのため廃棄する場合、処理が必要となるためトレーで受けて処理を行いましょう!
吸水ポリマー
先程説明したように、クーラントは有害物質となるため下水への排水が行えません。そこで吸水ポリマーにて凝固させた状態でゴミとして廃棄しましょう!吸水ポリマーは災害時のトイレの処理などにも使用できるので災害グッズとして常備しておくのもおすすめです。
漏斗
![](http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/astroproducts-shop2/cabinet/65/2009000005365_1.jpg?_ex=300x300)
クーラント
クーラントに関してはメーカーにより色が違うので同じ色を使用したい場合は確認が必要です。色は青、赤、緑があります。
また容量に関しては軽自動車では3L程度から乗用車では10L程度まであるので事前に取り扱い説明書等で確認が必要です。トラストのページでも一部確認できるので参考までにご覧ください。
ジョッキ
容量によっては必要ありませんが、全交換で10L程度交換するならジョッキがあると便利です。
➊クーラントを出す
まずはクーラントを排出します。ラジエーターの下にあるドレンコックを開けて、ラジエーターキャップを開けると冷却水が全て流れてきます。
❷水道水を入れる
次にドレンコックを閉めて、水道水を入れていきます。
❸エンジンを稼働させる
水道水を入れたまま、エンジンを稼働させます。これはラジエーターを綺麗に洗浄するためです。この時、ヒーターも稼働させておきましょう。5分くらいエンジンを稼働させたら、水道水を抜きます。
❹水を出す
そして、再度水道水を入れます。これを何度か繰り返します。水道水が透明になればラジエーターが綺麗になった証拠です。
❺新しいクーラントをいれる
そして、クーラントを適切な量入れます。原液と水を入れましょう。
❻エア抜きをする
ラジエーターキャップを開けたまま、エンジンを稼働させてエア抜きをします。エア抜きが完了したら、減った分の水を入れます。
❼キャップを閉める
キャップを閉めて冷却水の交換は完了です。とても簡単なのでやってみましょう。
❽ラジエーターの掃除
ラジエーターフィンという部分は自分で掃除できます。掃除することで冷却機能をアップできるのです。水とブラシで優しく洗ってあげましょう。
❾ラジエーターキャップの交換
ラジエーターキャップはネットなどで販売されています。ラジエーターキャップは加圧を調節するのにとても大切です。なので、こまめに交換するほうがいいでしょう。このようにしっかりとラジエーターをメンテナンスしましょう。自分で確認し、異常があった場合はディーラーや整備工場で点検してもらってください。
まとめ
昔の車やバイクのように空冷のエンジンのものは既になくなってしまいました。現在販売されているのは、水冷エンジンになので、必ずラジエーターが付いています。エンジンの熱を一定に保つためにも必ず必要な装置になるので、熱量が多いエンジンになれば、その分大きなラジエーターが付いています。
車のパーツには、必要のないものはないというほどにドンドンとコストが削減されて、1つの装置がなくなることで走れなくなってしまうこともあります。ラジエーターもその1つで、今後しばらくは車に必ず付いている装置となるでしょう。