2019年04月27日 (更新:2022年08月23日)
オーバーヒートしたら?その対処法と原因、予防策も徹底解説!
オーバーヒートという言葉は知っていても、どういった症状が出たときにオーバーヒートなのか知っている人は少ないです。オーバーヒートが起こった時の症状や起こる原因、そして対処の仕方を徹底解説します。こまめに行う日頃のメンテナンスは大事ですよ。
オーバーヒートの仕組み
車のエンジンは、ガソリンや軽油を燃焼させることによって動力を発生させるように作られています。そのため、あまりにも熱量が高くなりぎると、金属が焼き付いてしまうので、焼き付きを防ぐために、冷却水をエンジン内へ通しています。その冷却水がエンジンの熱を取り除くことによって、長時間走っていても焼き付いたりしないようにすることができます。
ですが、冷却が上手くできなくなってしまうような不具合が起きてしまうと、オーバーヒートとなってしまいます。
オーバーヒートの原因は?
通常走っていても起きてしまうオーバーヒートは、何が原因で起きてしまうのかを一覧にしてみました。
- 冷却水の異常
- ウォーターポンプの異常
- ラジエーターファンの異常
- サーモスタットの異常
- ラジエーターコアの異常
- エンジンオイルの不足
この6つの原因について解説します。
冷却水の異常
エンジンの温度上昇を防ぐために使用されている冷却水ですが、エンジンだけでなく車の各所に冷却水が回るように配管が張り巡らされています。その配管に破れや損傷による穴があったりすると、そこから冷却水が漏れてしまうことがあります。
また、少しずつエンジンの熱によって冷却水が蒸発してしまうこともあり、残量が減ってしまうことがあります。こうした冷却水の漏れや不足によって、エンジンを冷やすための冷却水が足りなくなってしまうことによってオーバーヒートが起こってしまうこともあります。
ウォーターポンプの異常
ウォーターポンプは冷却水を循環させる役割があります。具体的には、ウィーターポンプベルトを介して回転することで、冷却水に圧力をかけて流れを作り、エンジンやラジエーター内を循環させます。
ウォーターポンプの構成部品は、ボディーをはじめ、フランジ、インペラー、ウォーターポンプベアリング、メカニカルシールなどとなっています。フランジにはプーリーが装着されており、そのプーリーがベルトを介して回転するとボディーの内部にあるインペラーも回転し、冷却水に圧力をかけて流れを作り出します。
ウォーターポンプが故障してしまうと、冷却水の流れが停滞してしまい温度が上昇し、オーバーヒートの原因となります。
ラジエーターの異常
冷却水はエンジンの熱を吸収して、温度が100度を超えるほどに熱くなります。そのまま循環させていると熱を吸収できなくなってしまいますので、冷却水自体を冷やす装置が必要となり、ラジエーターは冷却水を冷やす装置になっています。
ラジエーターには、走っている最中に風を受けて冷却水を冷やすために、冷却水が流れる通路があります。その通路が詰まってしまったり、ラジエーターに紙や袋、ビニールや雪などが覆いかぶさってしまうと、冷却水を冷やすことができなくなってしまい、オーバーヒートが起きてしまいます。
ラジエーターファンの異常
ラジエーターが走行風を受けて冷却水を冷やす装置と説明しましたが、車がずっと走り続けているかと言われるとそういうわけではありません。アイドリングで止まっていたり、渋滞になって動けなくなることもあります。そうした場合には、ラジエーターに強制的に風を当てるようにしなければなりません。その風を発生する装置が、ラジエーターファンです。
このラジエーターファンは、冷却水がある一定の温度に達した段階で、電気的にファンを回すように作られています。しかし、ファン自体に繋がっている配線が途中で断線していたり、ファンが機械的に動かなくなってしまうと、オーバーヒートしてしまう可能性があります。
サーモスタットの異常
サーモスタットという言葉を初めて聞くという人もいると思いますが、これは冷却水の温度を一定に保つための装置です。冷却水が冷えている状態であれば、サーモスタットは閉じており、ラジエーターに冷却水が流れないようにしています。それが、冷却水の温度が高くなってくると、サーモスタットが開いてラジエーターに冷却水が流れるようになります。
このようにして、冷却水の温度を一定に保つようにしています。しかし、冷却水の温度が上昇しているにも関わらず、サーモスタットが開かなくなってしまうと、オーバーヒートになってしまいます。
エンジンオイルの不足
エンジンオイルはエンジンを冷却する役割があります。そのため、エンジンオイルが漏れ出すことで量が減ってしまうと、エンジンを冷却できなくなり、オーバーヒートの原因になります。ガスケットやシールに不具合が発生すると、エンジンオイルが漏れ出すことがあるので、注意が必要です。
オーバーヒートの症状
オーバーヒートが起こった時に気付かないままで走ってしまうと、エンジンが焼き付いてしまってエンジンを載せ替えたりしないといけなくなってしまいます。だからこそ、どういった症状になったらオーバーヒートになっているのかを知っておく必要があります。
初期症状
オーバーヒートの初期症状は次の様な症状が考えられます。
- 水温計がHに近くなっている
- アクセルによる異音
- 加速が鈍い
- エンジンの回転が不安定
上記の様な症状がある場合、まずエンジンルームを確認しましょう。そこから甘い匂いがするとラジエーターなどが破損し、冷却水漏れが発生しています。
冷却水が漏れていないときは、冷却水不足のため冷却水を補充するだけで解決する可能性があります。ただし停車直後は温度が高いので、キャップを開けると高温の蒸気で火傷したり、熱いうちに冷却水を入れることでエンジンに悪影響を及ぼす可能性があります。ある程度自然冷却させてから作業に入りましょう。完全冷却まで2時間はかかるとされます。
もしアイドリング時に水温が下がる場合は引き続き走れます。しかしこれも一時的である場合が多いので、早期の対処が必要です。
- オイルが焼けた臭いがする
中期症状
中期症状としては次の様な症状が考えられます。
- 水温計がHを超えている
- 水温警告灯のランプが点灯・点滅している
- アクセルを踏まないとエンジンが止まる
- アイドリングが維持できない
- エンジンルームから水蒸気が出ている
初期段階でも気づかない場合がありますので、サーモメーターやアイドリングの異変などを感じたらすぐに対処しましょう。中期症状が出た場合は安全な場所に停車し、小一時間おいてからボンネットを開け自然冷却させましょう。水蒸気や煙が飛び出し火傷することがありますので、正面からではなく横からボンネットを開けましょう。ロードサービスなどの専門業者を呼び、応急処置をしてもらってください。
末期症状
末期症状としては次の様な症状が考えられます。
- 水温計が振り切れている
- オイルが焼けた臭いがする
- ボンネットから煙が出ている
- エンジンが異音がする
- エンジンがかからない
エンジンブローなどの重大なトラブルにならないよう、すみやかに安全な場所に停め、専門業者を呼ぶことが大切です。末期症状まで放置していると高額な修理代を求められる可能性はありますので、初期・中期の段階での対処を早めに行うように心がけましょう!
オーバーヒートの対処法
オーバーヒートが発生した場合、その場で行える対処方法を紹介します。オーバーヒートが発生しても、これから紹介する対処方法を冷静に実行すれば、被害を最小限に抑えることができます。
安全なところに車を停車する
オーバーヒートがひどくなると、エンジンがストップしてしまい走れなくなる可能性があります。例えば、追い越し車線などで車が停止してしまうと、後続車に追突される可能性があるので、エンジンがストップする前に、路肩など安全なところに車を停止させる必要があります。
エンジンをつけたままでボンネットを開けて風を取り入れる
イグニッションをオフにしてエンジンをすぐに停止させてしまうと、冷却水やエンジンオイルの循環も止まってしまい、オーバーヒートを悪化させてしまうことがあるので、エンジンを停止させないでください。
次に、エンジンルームは高温になっていることが想定されるので、注意しながらボンネットを開けてエンジンを外気に触れさせることも必要です。エンジンルームをチェックして、冷却水が漏れていたり、冷却用電動ファンが動いていなかったりする場合はエンジンを停止させてください。
自走できるかどうかを判断する
オーバーヒートの症状が緩和されても、道路が渋滞していたり、坂道が続いたりするようであれば、どちらにせよ再度オーバーヒートが悪化することが予想されます。自走はあきらめ、ロードサービスを使用しましょう。
オーバーヒートした場合の修理・交換費用
どこかしらに異常が発生しているからこそ、オーバーヒートが起きています。そのため、必ず修理や部品の交換をしなければなりません。オーバーヒートの原因を5つ紹介しましたので、それらの修理や交換する際の費用を載せておきます。
冷却水の異常 | 冷却水の補充であれば数千円、配管からの漏れであれば2万~3万円 |
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ウォーターポンプの異常 | 1万~3万円 |
ラジエーターファンの異常 | 2万円以上 |
サーモスタットの異常 | 1万~2万円 |
ラジエーターコアの異常 | 1万~6万円 |
車種によっても違いますのであくまでも参考価格です。もし、エンジンのヘッドガスケットの不具合によるオーバーヒートなら、ガスケットの交換をしなくてはならなくなり、そうなると4万~6万円程度かかります。また、エンジンが駄目になってしまえば、20万以上で車によっては数百万円かかる場合もあります。
オーバーヒートの予防策
オーバーヒートを対策する方法には、冷却水の管理、ラジエーターのグレードアップ、オイルクーラーの装着があります。ひとつづつ、紹介していきましょう。
冷却水をしっかり管理する
冷却水を管理する方法は、エンジンが冷えた状態で、リザーバータンクのラインで確認します。FFやFRなど、エンジンが車のフロントに搭載されている場合のほとんどは、ボンネットを開くとリザーバータンクがあります。
リザーバータンクの正確な位置はオーナズマニュアルなどに書いてあるので確認してください。リザーバータンクの側面にあるアッパーとロア―のラインの中間位置に冷却水の液面があれば、正常です。
もし、冷却水の液面がロアのライン以下であったら、冷却水を補充します。冷却水を補充してもすぐに減る場合は、エンジンやホースなどから冷却水が漏れ出している可能性があります。このようなことから、定期的にリザーバータンク内の冷却水をチェックすることで、オーバーヒートを対策することができます。
ラジエーターをグレードアップする
純正のラジエーターの中には1層構造のラジエーターがあります。2層や3層構造にしたり、コアに厚みをもたせたラジエーターにグレードアップさせて交換することで、冷却効率が向上し、オーバーヒートの対策になります。
BLITZ、TRUSTといったメーカーのラジエーターが販売されており、おすすめです。中でもBLITZ RACING RADIATOR TypeZSは、価格を抑えた軽量オールアルミラジエター。熱容量をアップさせるために、厚コア(42mm)と大容量タンクを採用しました。
加工が必要な場合がありますが、純正のファン&シュラウドを装着可能です。バフ仕上げのタンクを採用しており、クオリティにもこだわりが感じられます。1/8PTサービスホールが付いているので、水温センサーのアウトプットに重宝します。
新型アウターフィンが採用されているので、放熱性が向上。車種によって違うチューブピッチを採用しました。ドレンボルトはアルマイト仕上げ、ラジエターキャップはBLITZオリジナルとなっており、こだわりが感じられます。
一方、TRUST GReddy ラジエター TWRは、2 層ワイドチューブコア(オールアルミ製)を採用。2 層ワイドチューブにすることで、3 層構造に匹敵する容量を実現しました。純正と比較して2倍以上の冷却水の容量があり、圧力損失を減らすことが可能。
ハイプ レッシャータイプ ラジエターキャップ(開弁圧力127kPa(1.3kg/cm2))も標準装備(全車種TYPE-S)されています。優れた強度と耐腐食性を両立させるためにアルミ素材になっており、バフ加工を施したタンクを採用したので、エンジンルームに精悍さをプラスすることができます。
サーモスタットの交換
サーモスタット故障によるしエンジンのオーバーヒートへの対策としては、やはりサーモスタットを交換することが有効です。
オイルクーラーの装着
エンジンオイルの役割は、エンジンの潤滑や密封、洗浄の他に、冷却があります。そのため、オイルクーラーを装着してエンジンオイルの温度が高くなり過ぎないようにすることでオーバーヒート対策になります。
オイルクーラーはエンジン内のエンジンオイルをオイルクーラーに循環させることで冷却するので、サーキットを走る場合、オイルクーラーを装着することで、オーバーヒートの対策になります。
TRUST、HKSといったメーカーのオイルクーラーが販売されており、おすすめです。中でも、TRUST GReddyオイルクーラーシリーズのオイルクーラーキット(オイルエレメント移動タイプ)(OIL COOLER KIT (OIL ELEMENT RELOCATION TYPE))は、放熱性に優れ、圧力損失が低いため、オイルの温度を安定させることが可能です。
オフセットフィンを装着した大容量のコアを採用することで、放熱量を高め、圧力損失も低減した理想的な仕上がり。エレメントを移設することでオイルフィルターの交換が簡単になり、メンテナンスも楽になります。更に効果を高めるためには、トラストオイルフィルターを使用しましょう。
まとめ
オーバーヒートが起きるのはいきなり起こるわけではありません。何かの異常がある場合は、車から何かのサインがあります。冷却水の異常であれば、リザーバータンクの冷却水が減っていたりと点検をすることで見つけることができます。だからこそ、日頃のメンテナンスが重要となります。
少しの手間ではありますが、その手間を掛けることによって車を快適に安心して乗ることができますね。