2019年04月24日 (更新:2022年10月28日)
アベンシスワゴンを解説!英国で作られていたトヨタの輸入車
みなさんはトヨタ自動車から販売されていたアベンシスワゴンという車をご存知でしょうか?元々はイギリスで生産され主に欧州で販売されていたステーションワゴンなのですが、日本でも一部の仕様が輸入販売されていました。ヨーロッパを主戦場としただけあり、高い高速安定性と味わい深いハンドリングで好事家達から愛された一台です。
初代アベンシスワゴン
日本国内最初のモデルは2003年10月にAZT25#系から販売が開始され、エンジンはアリオン/プレミオ、ウィッシュ/アイシス、ノア/ヴォクシー、オーパ/ガイア、カルディナに搭載されていた1AZ-FSE 2,000ccエンジンを搭載、FF/4WDの駆動方式とセダン、ステーションワゴンの選択が可能でした。
2005年9月からは2,400ccの2AZ-FSE搭載車も追加されラインナップが増え、2006年7月にマイナーチェンジが施されました。マイナーチェンジモデルではネッツエンブレムが追加された他、バンパー・ヘッドランプ・フォグランプ・リアコンビネーションランプのデザインが変更されサイドターンランプ付ドアミラー、エンジンイモビライザーシステム(盗難防止)やコンライト(他メーカーではオートライトとも呼ばれる)、瞬間燃費と航続可能距離などの車両情報を表示してくれるマルチインフォメーションディスプレイを全車標準採用しています。
グレードは2.4L搭載の最上位グレード「Qi」と標準グレードの「Li」、2.0L搭載車は「Xi」がラインナップとなり計3グレードが販売されましたが、エンジンはいずれも筒内直接燃料噴射(D-4)システムを採用した直列4気筒。
2.4Lの2AZ-FSEはプレミアムガソリン仕様で163PS/23.5kgf・m、2.0Lの1AZ-FSEはレギュラーガソリン仕様で155PS/19.6kgf・mを発生させます。2.4LはFFのみの選択、2.0LはFFとフルタイム4WDの選択が可能となっています。
Liは16インチアルミホイールを装着、ディスチャージプロジェクターヘッドランプ、パワーシート等を装備。QiはLiをベースに17インチアルミホイール、カーテンシールドエアバッグ、本革シート、CD+MDオーディオ、DVDナビゲーションシステム+音声ガイダンス機能付カラーバックガイドモニターなどの豪華装備が備えられていました。
このモデルは2008年12月に在庫限りで日本での新車販売を終了し、ネッツ扱いのセダンとステーションワゴンは消滅しました。2009年5月にプリウスがフルモデルチェンジを行いネッツ店でも採用しセダンが復活、2011年にはプリウスαを取り扱うことでステーションワゴンも復活しています。
※欧州版の初代アベンシスワゴンは日本国内で言う2代目カルディナだったそうですが、日本国内での初代アベンシスワゴンはこのモデルとされています。
グレード・価格
では、初代アベンシスワゴンのラインナップに乗っていた4種類のグレードによるそれぞれの新車時販売価格を見ていきましょう。
グレード・型式 | 駆動方式・トランスミッション | 新車時メーカー希望小売価格 |
---|---|---|
Xi・AZT250W | FF・4AT | ¥2,499,000~ |
Xi・AZT255W | 4WD・4AT | ¥2,688,000~ |
Li・AZT251W | FF・5AT | ¥2,908,500~ |
Qi・AZT251W | FF・5AT | ¥3,475,500~ |
※新車時販売価格は消費税込みの価格です(このモデル販売当時の消費税は5%)
当時はフォルクスワーゲン・パサートワゴンやプジョー・406ブレーク、ルノー・ラグナワゴン等がライバル車として挙がっていたそうですが、アベンシスワゴンの欧州販売は好調だったそうです。
ヨーロッパ風デザインのため10年以上経った今でもあまり古さを感じることはありません。荷室が広く使い勝手も良いうえに、走行性能も高速道路での安定性は非常に高く、カーブが続くワインディングなどでもワゴンとは思えないハンドリング性能を持っています。
2代目アベンシスワゴン
2代目モデルとなるZRT272Wが国内で販売開始されたのは2011年9月。日本市場の輸入販売は同市場で競合してしまう可能性があったため2代目モデルでは長らく見送られていましたが、このクラスの2列ステーションワゴンが国内ラインナップに存在しなくなった事と、2007年に廃止されたトヨペット店扱いのカルディナ・マークⅡブリット、トヨタ店扱いのクラウンエステートからの乗り換え需要を鑑みて2011年6月に輸入再開の発表がされました。
日本に導入されたものは3ZR-FAE 2,000ccバルブマチックエンジン+CVT搭載のワゴン「Xi」グレードのみでした。ステアリングコラムに設置されている左右の操作レバーのレイアウト、CVT制御やサスペンションのチューニングは欧州の物をそのまま使用し、スポーティーでしなやかな走行性能を持つとともに、JC08モードで13.6km/Lの低燃費性を実現し「平成22年度燃費基準+10%」を達成しています。
エコカー減税には対応していませんでしたが取扱店は以前取り扱っていたネッツ店に加え、トヨタ店・トヨペット店でも取り扱いを開始しました。カローラ店は小型ステーションワゴンのカローラフィールダーを取り扱っていたため、アベンシスワゴンのラインナップはありませんでした。
2012年4に日本国内向けワゴンのマイナーチェンジ版を販売開始しました。ヘッドランプにクリアランスランプを追加、ロアグリルの開口部を拡大しフロントデザインを変更。
インテリアはシート表皮デザインの変更やドアグリップ・左右のエアコン吹き出し口・センタークラスター・ドアスイッチベースの変更を行い質感を向上させています。「Li」グレードはここから登場しており、フォグランプ・17インチアルミホイール・アルカンターラ+本革の専用シート表皮・木目調パネル・運転席電動ランバーサポート・クルーズコントロールが装備されています。
予防安全装置として運転席・助手席のSRSエアバッグ、サイドエアバッグ、カーテンエアバッグ、運転席ニーエアバッグの計7エアバッグ搭載。電子制御はTRC+S-VSC(トラクションコントロール+ステアリング協調車両安定制御システム)が全車標準装備となっています。
2015年には再度マイナーチェンジを行い、外装ではヘッドランプをBi-Beam LEDヘッドランプに変更、フロントロアグリルをより大きく力強いデザインにしています。内装ではデザインを変更しワイド感を持たせ、シートの形状も変更されています。
安全性能はレーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせてプリクラッシュセーフティーブレーキ(衝突被害軽減システム)、レーンディパーチャーアラート(車線逸脱ブザー&ディスプレイ)、オートマチックハイビームで構成された「Toyota Safety Sence C」を全車標準装備させました。
燃費性能もCVTを改良し「平成27年度燃費基準」を達成しています。2018年に受注・販売を終了し、国内の5ドアステーションワゴンとしての後継は5人乗り仕様のプリウスへと託されたようです。
グレード・価格
では、2代目アベンシスワゴンのラインナップに乗っていた2種類のグレードの新車時販売価格を見ていきましょう。
グレード・型式 | 駆動方式・トランスミッション | 新車時メーカー希望小売価格 |
---|---|---|
Xi・ZRT272W | FF・7CVT | ¥2,749,091~ |
Li・ZRT272W | FF・7CVT | ¥2,983,745~ |
※新車時販売価格は消費税込みの価格です(このモデル販売当時の消費税は8%)
国内でのライバルはスバル・レガシィツーリングワゴン、ホンダ・アコードワゴン、マツダ・アテンザスポーツワゴンの3車種。どの車も魅力があり、とても面白い勝負になっていたのではないでしょうか。
希少性を求めるユーザーの方には間違いなくアベンシスワゴンをお勧めします。やはり基本は欧州のため乗り心地は少し硬めの設定ではあるものの、操舵に対する評価はとても高くなっています。
荷室ももちろん広いので収納性はバツグンです。ただ、ウインカーレバーが左側についているので慣れるまでに少し時間が掛かるかもしれません。
現在の中古車市場価格
現在は新車販売されていないアベンシスワゴンですが、中古車で購入するチャンスはまだあります。次は現在の中古車市場価格を見てみましょう。
グレード・型式 | 年式 | 中古市場相場 |
---|---|---|
Xi・AZT250W | 2003年~2008年 | 9.7万円~67.0万円 |
Li・AZT251W | 2003年~2007年 | 19.0万円~66.8万円 |
Xi・ZRT272W | 2011年~2018年 | 39.8万円~198.0万円 |
Li・ZRT272W | 2012年~2018年 | 55.8万円~207.0万円 |
※ボディーカラーは全て選択、修復歴は無しで統一しています。
走行距離や車検期間などの条件によって価格が違いますが、40万円~70万円の層で見てみるといずれの型式も検討できそうですね。
CARTUNEユーザーのカスタム事例
果たしてアベンシスワゴンはカスタム車両として選べるのか、CARTUNEユーザーによるカスタム事例を見ていきましょう。
ひさ さんのアベンシスワゴン(ZRT系)
車高を限界まで下げインチアップ、シンプルなカスタムですが元々ロングなボディなのでこれだけでとても雰囲気が出てきますね。アベンシスには各メーカーから車高調が販売されています。ZRT系はホイールP.C.Dが114.3となっていますのでアルミホイールの交換にも幅広い選択肢が用意されています。
ピンクライフ さんのアベンシスワゴン(AZT系)
こちらのアベンシスワゴンも車高を下げインチアップですが、フロントバンパーサイドマーカーや純正エアロとホイールデザインのバランスで欧州デザインならではの雰囲気が出ています。AZT系はホイールP.C.Dが100なのでアルミホイールの選択肢が狭くなってしまいますが、今ではカスタムオーダーに応じてくれるメーカーさんも沢山ありますので悩んだ時には相談してみましょう!
ノブ さんのアベンシスワゴン(AZT系)
通勤スペシャルの車体にレカロシートを取り付けされています。通勤快速仕様だからこそ安全性能や疲れにくいドライビングポジションというのは大切ですね。AZT系のシートレールはRECAROから販売されています。ZRT系のシートレールはどのメーカーからも販売されていませんので、ECサイト等で適合が取れているものを選ぶ他ありません。流用もできるとのことですが保安基準に抵触してしまう可能性もありますので十分に気を付けてください。
まとめ
今回はアベンシスワゴンについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?国産車にはない魅力を持ち、機能性も非常に高い車両となっています。中古相場が落ち着いてきた今、少し余裕を持たせたステーションワゴンを選択しゆったりとドライブやカスタムを楽しんでみてはいかがでしょうか。