スズキの不正燃費測定と検査不正を確認! | CARTUNEマガジン
スズキの不正燃費測定と検査不正を確認!

2019年03月18日 (更新:2022年11月14日)

スズキの不正燃費測定と検査不正を確認!

日本が世界に誇る自動車ブランド「スズキ」。多くのファンを持つこのブランドが、2016年に燃費不正問題を起こしました。また2019年には検査不正も発覚、本来なら大バッシングを受ける問題ですが、最終的にはスズキの評価が上がる様子も見られたのです。一体なぜなのか?その概要を、振り返ってみましょう。

スズキ不正燃費測定 - 2016年

いまいさんのスイフトスポーツZC32SDIYの画像
いまいさんのスイフトスポーツZC32SDIYの画像

2016年4月、国土交通省は三菱自動車がリリースする9車種の燃費測定をしました。その結果、8車種の燃費値が実際よりも良い数値に改ざんされていたことが発覚。この燃費不正問題を受けて、国土交通省は各自動車メーカーに同様の調査を開始し、スズキのデータ不正が明るみになりました。

問題点

国土交通省がスズキの16車種の走行抵抗の測定状況をチェックしたところ、実車のデータを使っていなかったことが判明。スズキの説明によると、走行抵抗を測るテスト設備が立地上海風の影響を受けやすいことから、計測結果にばらつきが多く、それを避けるために理論上の数値で燃費を計算したとのこと。

国指定の測定方法を他の方法に置き換えたという点で大きな問題になりました。

三菱自動車の燃費不正との違いは?

三菱自動車では、燃費の測定を日本の省庁が定めた方法ではなく米国式で行った上に、燃費が良く見えるデータを選び出してクルマの性能の国に提出しました。さら平均値などを計算する際にもわざと補正をするなど意図的に「燃費データを良くするための改ざん」が行われていたのです。

再測定でカタログ燃費値よりも良好な結果に

しばらくして事態は一変。スズキにポジティブなイメージが向けられるようになったのです。その理由は、再測定で出たデータにありました。国が定める測定方法で、燃費を再測定したところ、当初カタログに載せていた燃費値よりも良好な結果が出たのです。

スズキは国が定めている測定方法ではなく、独自の測定方法を用いた方が正確なデータを測定できると考えました。実際に国が定めている測定方法で測定した結果、独自の測定方法よりも優れた数値を記録したそうです。

つまり、2016年に発覚した不正問題はスズキが燃費や排ガスの数値を偽装しようとしたわけではなく、スズキ自身が正確なデータを追求したあまりに起きてしまった問題でした。不正は不正ですが、考え方によっては一概に悪いともいえないところが難しい問題です。

このような一連の流れを受けて「スズキはユーザー目線で自動車を作っている」という解釈が広まり、ポジティブイメージが広がりました。スズキは、燃費性能のカタログ表示との差は「上下5%程度」で、それを「誤差の範囲内」と説明。国土交通省に対しても、「燃費性能について、修正の必要はない」と報告しました。

スズキの検査不正問題 - 2019年

次に2019年4月に大きな検査不正が発覚しました。車検の際のブレーキや速度計の検査において、無資格の従業員が検査不合格の車を合格として処理していたのです。完成検査は資格を持っている従業員が実施する必要があります。

ところが、スズキでは無資格の従業員がブレーキや速度計の検査を実施したあげく、資格を持っている従業員の印鑑を押すなどして処理していたのだとか。このような不正を組織的に隠ぺいしていたことが、今回の不正問題の重要な点です。

この検査不正は37年以上に渡って行われていた可能性があるらしく、リコールの対象となった車種はなんと約200万台にものぼります。リコールによる損失は約800億円、さらに不正を防ぐための設備改修で1,700億円の費用がかかるとのこと。

この不正問題により、スズキは消費者からの信頼を失っただけではなく、巨額の損失を抱えることにもなりました。またこの不祥事により、2019年の日本カー・オブ・ザ・イヤーにノミネートされたジムニーをスズキは辞退しています。

まとめ

MATSUさんのジムニーJB64Wの画像
MATSUさんのジムニーJB64Wの画像

今回は、はじめに2016年に起こったスズキの燃費不正問題を取り上げました。奇妙な逆転現象が起こったこの問題は、自動車業界では長きにわたり語り継がれる出来事になることでしょう。自動車ファンなら覚えておいて損のない出来事といえそうです。

また2019年の検査不正に関しては、これまでスズキを応援してくれた人たちを裏切る形になってしまったのは非常に残念です。検査を不正していたことを長年に渡って隠ぺいしていたという事実は、間違いなく今後のスズキの足を引っ張ります。自動車メーカーとしての成長を大きく妨げることになるでしょう。もちろん、業績にも大きく影響するはずです。

2000年代に発覚したリコール隠し問題によって、三菱は消費者の信頼を大きく裏切り、かつての国内シェア4番手から大きく失墜しました。リコール隠し問題によるブランド力の低下は今もなお三菱の足を引っ張っています。

不正が発覚したとはいえ、スズキが製造する車は世界中で高く評価されています。スズキに対する信頼を失ってしまった人は少なくありませんが、不正の再発を防ぐための多額投資は、もう二度と不正をしないという覚悟の表れでしょう。

スズキファンだけでなく自動車ファンとしても今後のスズキのクルマづくりへのこだわりに期待しつつ見守って行きましょう!

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