2019年01月17日 (更新:2020年07月28日)
マツダの救世主!マツダ デミオの馬力・トルクの遍歴
近年のマツダの代表車種といえば、ミドルサイズのクロスオーバーSUVであるCX-5が頭に思い浮かぶ人が多いのはないでしょうか。ところが、販売台数においてはコンパクトカーのデミオがCX-5の人気を上回る月も多くあるのです。今回は陰ながらマツダを支えているデミオの特徴や魅力をとともに、デミオ各モデルのエンジン馬力・トルク遍歴を紹介したいと思います。
デミオについて
美しいスタイリングと独自性の強い車づくりで、近年急激にブランド価値を向上させているマツダ。そんなマツダもひと昔前は、会社の規模に見合わない販売チャネルの多数展開によって経営危機に陥っていました。そんな危機的状況を打破するために投入された車が、今もなおマツダの主力車種として販売されているデミオです。
現在ではコンパクトカーとして基本的なボディ形状である5ドアハッチバックを採用しているデミオですが、初代DW系デミオは5ドアのコンパクトミニバンとして登場しました。広大な車内空間と低価格をウリにしていて、デミオ単体でマツダの経営危機を立て直すほどの大ヒット記録。
一躍マツダを代表するコンパクトカーになったのです。まずはそんなデミオの歴史や歴代モデルの特徴について簡単に紹介したいと思います。
歴史
初代DW系デミオは1996年に発売されました。現在のデミオのボディ形状とは異なる5ドアのコンパクトミニバンとして登場。実用性の高いパッケージングとリーズナブルな車両価格が幅広いユーザー層の指示を得ることにつながり、大ヒットを記録することになります。
2002年までの6年間販売が継続されたのち、2代目DY系デミオにフルモデルチェンジしました。DW系デミオのキープコンセプトとして登場したDY系デミオは、DW系デミオからエンジンやパワートレインを刷新することで商品価値をさらに向上させています。DW系デミオの実用性はそのままに、当時のマツダが統一戦略として打ち出していたスポーティなスタイリングを実現したことで、DY系デミオも人気集めることになります。
3代目DE系デミオは2007年に登場しました。これまでのデミオの共通コンセプトであるコンパクトな5ドアミニバンから、欧州市場を意識した、流麗かつスポーティーな5ドアハッチバックとして大きく変貌を遂げたことで話題になっています。
これによりDW系デミオやDY系デミオよりも実用面では劣ってしまいましたが、運転の楽しさや上質なスタイリングなど、実用性の高さに代わる新たな魅力を実現。より一層魅力的な車種として進化を遂げ、7年の販売期間を経て、4代目DJ系デミオにバトンタッチ。DJ系デミオは基本的なコンセプトこそDE系デミオと共通しています。
しかし、マツダの新しいデザインテーマである魂動デザインを採用することで、国産車トップクラスの美しいスタイリングを実現。また、「スカイアクティブ・テクノロジー」を全面採用したことで、車としての基本性能が大きく向上したため、軽快で気持ちの良い走りを実現しています。
特長・魅力
デミオは初代モデルと2代目モデル、3代目モデルと4代目現行モデルでその特徴と魅力が大きく異なっています。初代デミオと2代目デミオは広大な車内空間と高い実用性を両立していることが大きな特徴です。コンパクトカーでありながらファミリーカーとしても活用できる、現在のホンダ・フィットやトヨタ・タンク/ルーミーと同じような魅力が備わっています。
それに対して、3代目デミオと4代目デミオに広大な車内空間と高い実用性は備わっていません。もちろんコンパクトカーである以上、実用に値する最低限の車内空間と実用性はつながっているものの、重視している部分が初代デミオや2代目デミオとは大きく異なっているのです。
3代目デミオと4代目デミオは欧州市場のAセグメント車やBセグメント車と並べても全く見劣りしない完成度の高いスタイリングを実現しています。また、初代デミオや2代目デミオでは感じることのできなかった上質感の高さや所有感を味わうことが可能です。特に4代目デミオに関してはその傾向が非常に強くなっています。
各モデルのエンジンの馬力・トルク
初代デミオのエンジンスペック
続いてデミオ各モデルに搭載しているエンジンの馬力・トルクの遍歴に迫ってみましょう。初代デミオには1.3L直列4気筒SOHCエンジンと1.5L直列4気筒SOHCエンジンの2種類が搭載されていました。
エンジン型式 | B3-ME | B5-ME |
---|---|---|
最高出力 | 83ps(61kW)/6000rpm | 100ps(74kW)/6000rpm |
最大トルク | 11.0kg・m(107.9N・m)/4000rpm | 13.0kg・m(127.5N・m)/4500rpm |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒SOHC16バルブ | |
総排気量 | 1323cc | 1498cc |
内径×行程 | 71.0mm×83.6mm | 78.0mm×78.4mm |
圧縮比 | 9.4 |
2代目デミオのエンジンスペック
2代目デミオが搭載しているエンジンは、1.3 L直列4気筒DOHCエンジンと1.5 L直列4気筒DOHCエンジンの2種類です。排気量こそ同じですがパワートレイン自体は一新されています。
エンジン型式 | ZJ-VE | ZY-VE |
---|---|---|
最高出力 | 91ps(67kW)/6000rpm | 113ps(83kW)/6000rpm |
最大トルク | 12.6kg・m(124N・m)/3500rpm | 14.3kg・m(140N・m)/4000rpm |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ | |
総排気量 | 1348cc | 1498cc |
内径×行程 | 74.0mm×78.4mm | 78.0mm×78.4mm |
圧縮比 | 10.0 |
初代デミオよりも10馬力ほどパワーアップしているのに加え、圧縮比が10.0まで向上が興味深いですね。
3代目デミオのエンジンスペック
次に3代目デミオの馬力とトルクを紹介しましょう。3代目デミオには、1.3 L直列4気筒DOHCエンジンと1.5 L直列4気筒DOHCエンジンが 搭載されていました。
エンジン型式 | ZJ-VE | ZY-VE |
---|---|---|
最高出力 | 91ps(67kW)/6000rpm | 113ps(83kW)/6000rpm |
最大トルク | 12.6kg・m(124N・m)/3500rpm | 14.3kg・m(140N・m)/4000rpm |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ | |
総排気量 | 1348cc | 1498cc |
内径×行程 | 74.0mm×78.4mm | 78.0mm×78.4mm |
圧縮比 | 10.0 |
2代目デミオとパワートレインが共通しているので、そのエンジンスペックも変わりないことがわかりますね。走りの評判がいい3代目デミオの秘密はエンジンではなく車体にあるのかもしれません。
4代目デミオのエンジンスペック
最後に4代目デミオの馬力とトルクに迫ってみたいと思います。4代目デミオの搭載エンジンは、1.5L直列4気筒DOHCガソリンエンジンと1.5L直列4気筒DOHCクリーンディーゼルターボエンジンの2種類です。前期モデルには1.3L直列4気筒DOHCエンジンも採用されていましたが、マイナーチェンジ以降は廃止となっています。
エンジン型式 | S5-DPTS | P5-VPS |
---|---|---|
最高出力 | 105ps(77kW)/4000rpm | 116ps(85kW)/6000rpm |
最大トルク | 22.4kg・m(220N・m)/1400~3200rpm | 15.1kg・m(148N・m)/4000rpm |
エンジン種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ (ディーゼル) | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ |
総排気量 | 1498cc | 1496cc |
内径×行程 | 76.0mm×82.6mm | 74.5mm×85.8mm |
圧縮比 | 14.8 | 14.0 |
ディーゼルターボエンジンの最大トルクは凄まじい数値を実現していますね。このクラスでのトルク22㎏は圧倒的な数字。最高出力自体に大きな差はありませんが、トルク感溢れる力強い走りを堪能することができます。
ガソリンエンジンの圧縮比は流石スカイアクティブテクノロジーといったところ。スペックでの馬力差はありませんが、実際に試乗すると数値に表れないパンチの強さに驚かされます。
これから買うならどのモデルがお得か
さて、デミオ各モデルの馬力とトルク遍歴をお伝えしたところで、これから買うならどのモデルのデミオがおすすめなのか紹介したいと思います。ポイントはどれだけお得であるか、です。
個人的には車としての完成度が高く、エンジンスペックが魅力的な4代目デミオが最もおすすめなのですが、現行モデルということやデミオの中でも特に人気の高いモデルということもあって、中古車市場での価格は高めとなっています。もちろん新車で購入するほどの予算がある場合は、間違いなく4代目デミオを購入すべきです。
お得さに重点を置いて考えると、初代デミオや2代目デミオの中古価格の安さは大きな魅力。しかし、愛車としてこれから末永く乗っていくことを考えると、少々年式が古いような気もします。経年劣化による故障や不具合も心配です。
その点、3代目デミオは比較的年式が新しいため経年劣化による故障や不具合の心配も少ないです。また、欧州車のデザインテイストが取り入れられたスタイリングは販売終了から5年が経過した現在でも十分に通用します。
年式の新しさや外観と内装のデザイン性、中古車市場での流通価格を考えると、間違いなく3代目デミオがお得ですね。3代目デミオのコストパフォーマンスの高さに敵うコンパクトカーは少ないので、これから購入するのであれば3代目デミオをおすすめします。
まとめ
今回はデミオ各モデルの馬力とトルクの遍歴、デミオ各モデルの特徴や魅力を中心に解説しましたが、いかがだったでしょうか。これであなたもデミオについて深く知ることができたと思います。
これから購入するのであれば、新車なら4代目デミオ、中古車なら3代目デミオがおすすめです。どちらもコンセプトは共通していますが、似て非なる車種なので、乗り比べてみるのも面白いかもしれませんね。