2019年02月05日 (更新:2020年07月30日)
諸元表を読むのが楽しくなる!馬力とトルクを説明します。
車好きなら当然ですが、様々な車種の諸元表(スペックシート)を見るのは楽しいものです。この車はパワーがあるとか、こっちはもっとすごいとか、車話には欠かせない情報が記載されています。しかし、その諸元表に記載された数字の意味をどこまで理解しているでしょうか?そこで、知っているようで意外と知らない諸元表の読み方の中から、もっとも見る機会の多い馬力とトルクについて説明します。
馬力とトルクについて
馬力とトルクは、どんな車の諸元表にも載っているパワーユニットの性能を示す数字です。したがって、ガソリンやディーゼルエンジンだけでなく、ハイブリッドやEVに使われるモーターに対しても同じように表示されます。
例を挙げると、日本で最も売れているホンダのN-BOXの諸元表には、
- 最高出力 43kw(58ps)/7,300rpm
- 最大トルク 65N・m(6.6kgf・m)/2,600rpm
と記載されています。これは通常のエンジンですが、ターボ仕様となると
- 最高出力 47kw(64ps)/6,000rpm
- 最大トルク 104N・m(10.6kgf・m)/4,800rpm
となっています。出力、トルクともにターボ仕様の方が数字が上回っているのがわかります。軽自動車は自主規制によって他のモデルとの差はありませんが、普通車であればその差は大きくなり、車種選択の大きなキモとなるでしょう。
馬力とは
ではkWにしてもPSにしても、一般に言う馬力とは何なのでしょうか?諸元表にある「最高出力」とは、エンジンが発生する最高の出力を示す単位で、N-BOXであれば、/6,000rpmと記載があるように、ある回転数の時にその出力が出るという意味になります。
自転車で言えば、出力はトルクにペダルの回転数をかけたものなので、スピードと大きく関係する指標となります。単純に言えばクルマの最高速度は、最高出力が高いほど速くなることになります。
したがって、時速300㎞を超えるようなスーパーカーは膨大な出力を発揮しているのです。
トルクとは
「最大トルク」では、エンジンが発生する最大の回転力を示し、同じくN-BOXであれば、/4,800rpmという回転数の時に記録されます。
出力の算出方法は「トルク/回転数」です。自転車の場合では、ペダルを踏み込む力がトルクで、踏み込む力となるトルクが大きいほど自転車は加速します。このように、トルクは加速性能と関係が大きなります。また、スピードではなく力であるトルクは、重量のあるSUVや荷物を積む商用車にとって、出力よりも重要な指標になります。
単位について
ところで、出力、トルクの両方の数値に並ぶ単位ですが、随分とややこしいですよね。出力でいえばkWとPSという単位が並んでいますが、俗にいう馬力はどちろなのでしょうか、トルクに至ってはN・mとkgf・mでは桁が違っています。
出力のps(仏馬力)やHP(英馬力)は、以前は多く用いられていましたが、近年になって国際単位であるN・mとkgf・mが使われることになりました。ですが、それまでのPSとトルクのkgf・mも表示し続けています。
N・m(ニュートンメートル)は国際単位ですが、現在ではkg(重量キログラムメートル)が用いられます。ちなみに、出力の1ps = 0.7355kW(1ps=0.986hp )、 トルクの1kg-m = 9.80665N・mと換算します。
両方を表示する理由
なぜ両方表示するのかというと、特に出力では「何馬力?」という表し方の方が、「何キロワット?」という電化製品の様な言い方より分かりやすいということもあります。馬力表示の方が数字が大きいというのも要因の一つです。
トルクは単位を省略して話すことが多く、「トルクが40.8ある」などといわれることがほとんどです。kgf・m(重量キログラムメートル)という単位は省略されており、N・m(ニュートンメーター)という単位は工具使用時にちらっと耳にする読み方で、エンジンのトルクではほとんど使用されていません。
馬力とトルクの計算式
単純に馬の最高出力が1馬力を表すわけではなく、英馬HP(hp)は標準的な荷役馬1頭のする仕事を基準としたことを起源にしており、数値的には1秒間につき550ポンドの重量を1フィート動かすときの仕事率となります。
また、仏馬力(ps)は、メートル法(重力単位系)に基づいて定義したもので、1秒間につき75キログラムの力で1メートル動かすときの仕事率となります。
計算式
出力は時間あたりの仕事率となので、力の大きさを F、移動量を s、時間を tとすると、出力 PはP = F・s / tとなります。
トルクは回転している物体の回転軸の周りに働く力のモーメントであり、力の大きさを F、回転半径を rとすると、トルク Tは T = F・rとなります。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの馬力とトルク
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンという特徴が異なるエンジンについて、その馬力とトルクの違いを、ガソリンとディーゼルという両方のエンジンをラインナップしているマツダの「CX-5」を例に説明してみましょう。
CX-5のエンジンスペック
2.5Lガソリンエンジン | 2.2Lディーゼルエンジン | |
---|---|---|
最高出力(kW<PS>/rpm) | 140〈190〉/6,000 | 140〈190〉/4,500 |
最大トルク(N・m<kgf・m>/rpm) | 252〈25.7〉/4,000 | 450〈45.9〉/2,000 |
ガソリンとディーゼル、同じ車種でも随分と違うのが分かります。特にトルクはディーゼルエンジンが圧倒的にガソリンエンジンを上回っています。逆に、ガソリンエンジンが高回転型なのもはっきりと見て取れます。
ガソリンエンジン
2.5Lのガソリンエンジンは、2.5Lという排気量によって非常に力強いと評価されています。しかも、高速道路などでは、気持ち良い加速と静粛性能が、ガソリンエンジンの良さを引き出します。
ディーゼルエンジン
2.2Lのディーゼルエンジンは、そのガソリンの4Lエンジン並みの大トルクによって低速域や勾配のある道路、そして重量のあるSUVに最適なエンジンとなっています。また、マツダ独自のスカイアクティブテクノロジーによって改良が進み、ディーゼル特有の振動や音もガソリン車と同じ程度に抑えられています。
それぞれに異なる特徴がありますが、高速道路の使用頻度が高くロングドライブをする機会の多い人にはガソリン。アウトドアなど大自然を求めて、休日にエンジョイしたい人にはディーゼルという選択がよいでしょう。
このように諸元表を読み解く事でその車の特性がわかり、自分のライフスタイルに合わせた車選びが可能となります。
まとめ
同じ車でも、ガソリンやディーゼルそしてターボやハイブリッドなど、異なるエンジンを用意する車種も多く、全てを乗り比べることはかなり困難です。諸元表をみて、その特性が理解できれば車種を絞り込めて理想的な車選びが出来ます。諸元表にはその車の情報が沢山詰まっているので、じっくりと読んでみましょう。